鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 昏き目の暗殺者 上

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    ネタバレ

    上巻の半分くらい読んで、まだ何の話なのかが掴めない。北米大陸の赤狩りの話?
    全体的に陰鬱な調子で物語が進む中、庭を始めとした自然の描写が美しいのが印象的。
    上巻の後半から物語が加速してくる。「昏き目の暗殺者」の男女が指すのがアレックスとローラだと思ってたけど、リチャードが絡んでくる辺りから、ローラじゃなくアイリスなのかも、そして、作者もローラではなくアイリスなのではないかと思われてくる。
    にしても、回想で語られるアイリスの無知と無力に比べて、老境にあるアイリスの皮肉屋にして頑迷ぶり、そのギャップに時間の残酷さを思い知らされる。そして、アイリスにそれ相応の教育がなされ、母や祖母の後ろ盾があったな

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    2021年02月04日
  • 風と共に去りぬ 第2巻

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    スカーレットのことが大好きになった。レット·バトラーのことも。
    いよいよ戦争が激しくなり、窮地に立たされた時の行動力、自分を奮い立たせるその姿になんだか涙が滲んだ。
    これから先、わたしに辛いことや苦しいことがあった時、きっときっと、タラへ戻るために馬車を走らせたスカーレットのことを思い出そう。

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    2020年12月16日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    ネタバレ

    この話はスカーレットとメラニーのダブルヒロインですな、というくらいメラニーの存在感がすごい。そして魅力的。
    もし私が女優で、どちらの役をやりたいか、と言われたら、メラニーを選ぶかな。

    スカーレットもやっと自分の本当の気持ちに気がついて、一気に大団円に行くかと思ったらすれ違い……。
    それにしてもスカーレットの子供に対する愛情のなさはすごい。
    ボニーじゃなくてエラが死ねばよかったのに、くらいなこと言ってるし。
    これはつまり、その子たちの父親を全く好きじゃなかったというところにつながるのかな。
    アシュリへの愛のさめ方がウケる(笑)。

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    2020年03月05日
  • 風と共に去りぬ 第3巻

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    ネタバレ

    アシュレは、割とどうしようもないとこあるけど、愛しているところに気付いて絶望するところが、二律背反感があって好き
    (まぁ、結局は肉体的な観念でしか愛していないのだが‥)

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    2020年01月24日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    風と共に去りぬ、というタイトルの通りの素晴らしさ‥。だが切ない。本当にみんな去っていってしまった。今まで、スカーレットの破竹な感じが痛快で読み進めていたが、この巻は、裏目に出るというか、どうもボタンを幾度もかけ違うように何事もうまくいかない。
    だが‥それでも、タラに帰ってまた明日を考えようとする。この強さが、彼女が主人公たる所以であり、物語を寂しいだけにしない源なんだろうな。

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    2020年01月24日
  • 風と共に去りぬ 第2巻

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    スカーレットからみたアシュレとレットの比較が、克明に記載されていて面白い。
    アシュレとレットは、実は勝ち目のない戦争に巻き込まれている現状を把握できている似たもの同士なのだが‥レットは憤然と周囲に立ち向かうけど、アシュレは諦め半分に運面に流されていく夢追い人‥
    そのことを考えるとスカーレットは訳が分からなくなるのだ。

    しかし、なんといっても2巻の、スカーレットの燃え上がるような強さは、読んでいてスカッとする。戦争の外にいるアウトサイダーであるのに、自分のこと、自分の希望、ひいてはアシュレへの想いを第一に考えながら、メラニーを守り、プリシーをこき使い、タラのみんなを取り仕切っていく。

    相変わ

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    2020年01月13日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    映画を観てから、読むと、バックボーンが頭に入りやすい。映画は、主要4人の関係、心のやり取りの話に焦点をしっかりと当てて纏め上げている。
    原著は、ジェラルド・オハラやエレンを始めとした周囲の人達の背景も丹念に描いていて、より映画にも深みをあたえる。


    あと、昭和に発行された文学の中でも抜群に読みやすい!訳者の力が素晴らしいのか、地の文が平易なのか、どちらの力にもよるものなのか。

    1巻は、やっぱりあのシーンが映えますね。
    金貨で150ドル!
    格好良すぎる

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    2020年01月11日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    真面目な真面目な「風と共に去りぬ」評。
    これまでの通説を覆す、世間の評価は間違ってる、との評論だけどこれまでの通説を知らないのだから、その辺はなんとも感情移入しにくい。
    でも、まぁ、面白かったよ。

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    2019年07月29日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    100分de名著で観てとても面白かったのでこちらも。映画は観たけど原作は読んでないので読みたい。鴻巣さん訳で!

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    2019年03月11日
  • 全身翻訳家

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    トピックはバラエティに富んでいて、文章は回りくどくなく、オチもあったりしてすごく良い。
    わざとらしさのない、好きな感じの文章。

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    2019年01月29日
  • 恥辱

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     都会的で女遊びが好きな大学教授が、社会的に転落した結果、新しい愛と多様性の受容を達成する話。後半に娘の家で強盗に襲われてからの話は深くて切れ味があって良いのだが、前半の転落するところまでのスケベ親父っぷりがひどくて引いた。
     全体としては、人生も後半になって大きな内心の変化に至るまでの主人公の心情がとてもよく書かれているし、訳文も端正さと切れ味がよく文句なし。

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    2018年05月02日
  • 恥辱

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    南アフリカの大学(都会)と田舎の二つが舞台。
    仕事で2度しか訪れていないが、リアリティをもって読むことができた。
    主人公は西欧文学専攻の大学教員。それがセクハラ疑惑から転落し、犬の殺処分に携わる中で、これまでの人生を振り返る。その振り返りは生やさしいものではない。過去の女性は彼の中では全て美しく輝く。しかし、唯一、実の娘ルーシーだけは、妥協点が見えない。彼女こそ、もう一人の主人公ともいえる存在。覚悟が決まっていて、不可解だが、魅力的なのだ。

    読み終わって、ただただすごいものを読んでしまったという感想しかない。ヒロイズムのかけらもないのに、人間とは、社会とは何なのか、考えさせられる。

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    2017年09月02日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    ネタバレ

    とうとう最終巻。

    えー、ここで終わり!?と思ったが、その先は確かに不要かも。読者の想像に任されたということで。

    スカーレットが、自分は間違っているのかも…とだんだん気づいていく。レットとの新婚生活は満ち足りていて、お金の心配もなく、好きなものに好きなだけお金を使えるのが何より幸せ。
    でも、アシュリとの抱擁を見られたり、スカーレットが階段から落ちて…という事故があったりで、レットとの夫婦仲はおかしな方へ向いてしまう。極めつけに、ジェラルドを思い起こさせる娘の落馬事故。そしてメラニーの死。

    ここまで来て、スカーレットはようやく「自分にはもう頼れる人が誰もいなくなってしまった。でもそうさせたの

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    2017年07月05日
  • 風と共に去りぬ 第4巻

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    ネタバレ

    この巻は、歴史が少しずつ動いて、それに振り回される登場人物たち…という色合いが濃い。時代背景の説明はあるけど、さらっと読んだだけでは全部理解しきれず、もうちょっと理解する必要ありやなと思う。
    今までの中で一番ドッグイヤーも少なめ。

    スカーレットは策略でフランクと結婚して、タラにかかる税金を払って、製材所を買って、どんどん金儲けるぞー!というスタンスで毎日がんがん働く。あくまでもまだ19世紀やし、女性が自分の力で商いをするなんて、フランクが言うように「男勝り」でしかないと思う…笑

    「わたしはこの世で一番大事なのはお金だとわかったし、神に誓って、お金のない生活は二度としないつもりなの」

    でも

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    2017年07月03日
  • 風と共に去りぬ 第2巻

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    ネタバレ

    激動の第2巻。ハラハラしながら、読み終わるのが惜しいと思いながら、でも読んでしまった。
    裏ページのあらすじでなんとなく先はわかっていたが、色々と予想外で面食らう展開だった。

    戦争はつらい。いつの時代でも、どこの国や地域でも、あとに残るのは悲しみだけだなあと感じられる内容だった。
    号砲の響くなか、メラニーのお産をなんとかやってのけるスカーレットが本当にすごい。いくらアシュリと約束したと言えど、ミード医師が来てくれないと言えど、放ってひとりでタラに帰るかと思ってた。(それか、お産によってメラニーは母子共々死んでしまうのかとも予想していた)
    それがまさかの、すごい責任感。そして全員連れ出してタラに

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    2017年06月29日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    アメリカの南北戦争について調べる機会があり、この作品は南北戦争の最中を生きた女性に焦点を当てて描かれたということを知った。ひとまず1巻を購入。
    はじめのうちは、進みが遅い!って思って辛気くさかったけど、だんだん面白くなっていった。スカーレットがアシュリと結婚できると信じてるのがおめでたすぎて、笑える。天真爛漫で、自分に正直で、わがままに突っ走ってるスカーレットがなぜか憎めない。
    南部連合軍からみた戦争の様子や暮らしぶりもよくわかるように描かれており、勉強になる。アトランタにとどまれるようになって、スカーレットはどうなるのか、2巻もさっそく注文したし読むぞ!

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    2017年06月26日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    ネタバレ

    南北戦争時のアメリカの時代背景がよく分かった。訳も非常に分かり易い。1人の人間の成長の過程を読んでいくのは非常に面白い。

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    2016年04月17日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    ネタバレ

    最後のシーン。本当に風が吹き抜けた。その風に後押しされるように、スカーレットはいつものように前に進んでいく。

     まさに、「明日は明日の風が吹く。」

     こんなに中途半端な終わりでも、きれいさっぱりしている作品はなかなかない。スカーレットなら、こんな終わり方でもいっか。そんな気にさせてくれる。


     あと、本当の主人公が誰か、全巻よんできっとわかる。


     この作品を計算してつくったと作者はいう。(p526)
     10年もの歳月をかけて織り上げた作品だという。納得がいく。
     どうしてこんな嫌味な女の物語を延々と読まされているのに、見入ってしまうのだろう。飽きが来ない、どころか先を求めてしまう。悪

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    2016年04月05日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    こんなにも心を動かされる物語に今まで出会ったことがなかった。わがままで強情なスカーレット。「本当に子どもだなぁ」と思うけれど、その強い生き様から学ぶものが沢山あった。結末は意外だったけれど、こういう終わり方だからこそ感じるものが多かった。

    登場人物全員が生き生きとした表現で描かれていて、一人一人本当に魅力的だった。結末を早く知りたいと思い ってページをめくってきたけれど、いざ終わりを迎えてみると、この世界とのお別れに寂しさがこみ上げてきた。スカーレット、レット、メラニー…本当に大好き!

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    2016年03月26日
  • 風と共に去りぬ 第4巻

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    ネタバレ

    これはアメリカの『レ=ミゼラブル』だ。南北戦争に吹き飛ばされた秩序、善良なるものが悪にあざ笑われる時代。強さとは何かを教えてくれる。日本の戦国時代と同じだ。司馬遼太郎を感じた。

     この巻でアシュリの言わんとしていた、自分への悲観の真相が明らかになる。切ない。これはやるせない。死にたい。

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    2016年02月02日