鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    20世紀、カナダ。終戦の十日後に自動車事故で死んだ妹のローラは、姉のアイリスに学習帳の束を遺していた。死後出版という形で発表されたローラ名義の小説『昏き目の暗殺者』はゴシップ好きの好奇の目にさらされ、数十年後の今に至るまでカルト的人気を誇っている。83歳になったアイリスは、ひとりで暮らすいまの生活と、ボタン工場で一財を成した祖父の代から続くチェイス家の歴史をノートに記しはじめる。アイリスの現在記録と過去回想、ローラの小説と当時の新聞記事からの断片で構成された、モザイク模様の〈姉妹〉の物語。


    最初、というか上巻まるまる一冊ぶんくらい、何が主題の小説なのか掴めず戸惑った。ローラがなぜ死んだのか

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    2020年09月13日
  • イエスの学校時代

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    『言葉とは弱々しいものです―だからこそ、わたしたちは踊るのです。そうして踊ることで、超然たる星々のかなに住む数を呼び寄せる』

    主人公のシモンをヨセフ、シモンが前世からの渡航中に知り合った子供であるダビードをイエス、失われた筈の記憶がダビードの母親だと告げるイネスをマリアに擬えて、物語は進行していると前作である「イエスの幼子時代」を読んだ時から思っていた。マリアが受胎告知を受け授かってしまった子を育てるヨセフの視点の話だと。何から何まで聖書の物語を当て嵌めて考える必要はないのかもしれないが、今回もダビードが7歳になろうとする時に国勢調査が行われる際にダビードを隠すエピソードなどは、マタイ書のヘ

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    2020年07月10日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    私の中で風と共に去りぬフィーバーが来たものの語り合える人もなく、ただただエンディングに喪失感を覚え、私なりの答えが欲しくて購入。
    この一冊を読んで何だか風と共に去りぬについて人と意見を交わしている感覚になって満足です。またいつだって人からの影響を受けるにしても自分の解釈でしか物語は消化できないものなのだと改めて感じました。
    私は岩波文庫で読んだので、著者の新潮の方にもいつかチャレンジしたいです。

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    2020年06月25日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    昏き目の暗殺者(上)では、3つのお話しに激しく混乱。「最後まで読み通せるのかな?」と思いながら読んでいた。
    (下)に入ると、アイリスのテンポにうまく乗ることができた。きっと、(上)では、ローラのテンポが私を混乱させていたのかもしれない。いや、ただ単にカタカナや引用が難しいと感じていただけかも・・・。
    クライマックスに近づくにつれ、「もしや???ローラの小説なの?」、「昏き目の暗殺者って??」と字面通りに読んでいた私を???にさせる。???が増えるにつれ、この小説にハマりこんでしまった。
    ローラは聖人のような書きぶりだけれど、ほんとは単にアイリスが妬ましかったのではないか。自分の人生の不自由さ

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    2020年01月12日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    ブッカー賞とハメット賞をW受賞した作品の文庫化.老女の現在,彼女の回想,若くして死んだ妹の処女作,兼,遺作が相互に絡み合い,妹の死を始めとする数々の謎が終盤で解き明かされる.
    正直,途中までは「見え見えのトリックでミステリーとして読むと少々期待外れだなあ」と思っていたのであるが,最後にはたたみかけるように,予期していなかったことまで全てが解き明かされる.
    現在と過去とフィクションが重層的に構築され,そのうちのフィクション部分(妹の遺作)のタイトルが本書のタイトルにもなっているのだが,その意味は深い.

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    2019年11月14日
  • 恥辱

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    読み終わるとニック・ホーンビィの『ハイ・フィデリティ』を唐突に思い出した。ポップソングの代わりにバイロン。もっとも細部の類似点ならジョナサン・フランゼンの『コレクションズ』かもしれないけれど。物語の進行に首を傾げる場面はいくつかあれども、男というのはこんなものかもしれないと腑に落ちる。最後の一文は秀逸。

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    2019年10月28日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    作中作が重要な意味を持ち、事件の真相とも密接に関わっているという結末。解説によると、『薔薇の名前』とも似た構造とのことだけど、自分には類似点が殆ど理解出来んかった。サーガとしては結構楽しく読めたけど、ミステリ的側面からはいまひとつピンとこなかった。ってかそもそもが、あくまで文学であって、エンタメ的・ミステリ的に楽しむ必要はないのかもしらんけど。

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    2019年10月17日
  • 昏き目の暗殺者 上

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    アトウッドの代表作。色んな書評やらで見かけて、いつかは読みたいと思ってた作品を、文庫化にあたって入手。あと、ノーベル文学賞授賞かも、っていうタイミングもあって。でもそれは逃したけど。メタフィクションの体を取っているけど、それぞれが章立てで区別されていたり、登場人物もそこまで多くなかったりするから、前半を読み終えた印象として、難解度はそれほど高くない。自分の理解度が低いから、単純にこれ以上だとついていけない、っていう話だけど。最初に提示された、妹の死にまつわる謎を解き明かすのが本題だとは思っているんだけど、この超大作の果てに、どんな結末が待っているのか、期待大。

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    2019年10月15日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    鴻巣訳じゃないけど原作も読んでるのに、やっぱり映画の印象が強いんだなあ。「え、そうだっけ」「あれ、そんなこと書いてあったっけ」というのが多かった。物語に対してもだけど、アシュレの見方がちょっと変わった。

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    2019年10月13日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    おなじみ、NHK「100分de名著」で取り上げられていた『風と共に去りぬ』。
    その解説をしていた著者による、より詳しく知りたい人のための本だ。
    これだけの名作を読んだことがなく、映画も見たことがなかった。
    だからなんとなくのイメージで、南部のわがままな金持ちの美人さんがニヒルな男性に惚れて振られる話、だと思っていた。
    そもそもからしてほとんど間違っているのだが、なんと!
    スカーレット・オハラはヴィヴィアン・リーのような容姿ではない!
    四角い顔で、つり目、浅緑の目、猪首、低めの身長。
    何も知らない私ですら、ヴィヴィアン・リーの姿は見たことがあり、あのイメージだったのだが。
    著者はコンパクトグラマ

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    2019年07月14日
  • 翻訳ってなんだろう? ──あの名作を訳してみる

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    直訳ではなく,意訳でもなく,原文のニュアンスを可能な限りくみ取り,適切な日本語で表現する.
    このとても奥が深い作業のエッセンスが味わえるではなく,対象とした小説の優れた批評にもなっているように思う.
    1章「赤毛のアン」
    2章「不思議の国のアリス」
    3章「嵐が丘」
    4章「アッシャー家の崩壊」
    5章「ライ麦畑でつかまえて」
    6章「ピグマリオン」
    7章「灯台へ」
    8章「高慢と偏見」
    9章「情事の終り」
    10章「風と共に去りぬ」

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    2018年12月31日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    kkkは解散してるね。今に至る悪名高きとは分けて、過渡期の必然、徒花と読むべきなのだろうか。
    終わり方がすごい。

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    2018年12月15日
  • 恥辱

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    前時代的な全くもっていけすかないインテリおじさんの大転落と、その先にある微かな希望の物語。
    始まって30ページもしないうちに主人公が「女の美は当人だけのものではない。この世にもお裾分けがなくては。美を分かちあう義務がある。」とか言い出した時には凄まじい嫌悪感が一周して逆に笑ってしまうくらい、愚かだな~と思っていたけど、南アフリカ独特の閉塞的なムラ社会の中で娘を思って七転八倒する姿と、徐々に価値観が変わっていく様子に、嫌いにはなりきれなかった。

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    2018年12月02日
  • 恥辱

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    衝撃すぎてなんかもう思い出したくないけどとにかく衝撃だった。衝撃すぎて読んでから7年経ってもまだ感想が書けるほど。こんなエグい物語を書く人がいるのか。でも普段考えることもないし、避けていることをガンガン突きつけられて胸糞悪いし、苦しい。密度の濃い感情を起こさせる事においてやっぱりブッカー賞はすごいんだなあと思ったけど、好き好んで読もうとは思わない…。

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    2018年11月06日
  • 恥辱

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    エリート大学教授が性欲により落ちぶれていく話。簡単にいうとそれだけなんだけど、じゃあ落ちぶれていくってなんだろう?アフリカは落ちぶれている?都会で大学教授をすることはエリート?生きていく上での恥辱とはなにか?
    自分たちが味わった恥辱について、大学を追い出された元、エリート大学教授と、アフリカの田舎で農園経営をして必死に1人で生きていくその娘が話し合う所がある

    「最下段からのスタート。無一文で。それどころか丸裸で。持てるものもなく。持ち札も、武器も、土地も、権利も、尊厳もなくして」
    「犬のように」
    「ええ、犬のように」

    生きていくなかで、何に裁かれていかなければならないのか。美しい女とセ

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    2018年08月14日
  • 明治大正 翻訳ワンダーランド

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    明治大正期の名&迷翻訳家14人とその主要作品を紹介。
    経歴の紹介はあっさりとしたものですが、
    それよりも翻訳家としての悲喜こもごもに重点が充てられています。
    著者自身も翻訳家であることからの、想いと感情が入り混じり、
    エッセイ的な色合いが濃い感じの文章です。
    一字入魂の森田思軒、絶妙の会話文の若松賤子、
    荒業師な黒沼涙香、古きパリへの憧憬を窺わせる永井荷風、
    翻訳者としての想い爆発な内田魯庵、発禁と伏せ字、邦題の謎、
    ノベライゼーション・・・等々、明治大正期の彼らの挑戦が
    楽しく語られています。
    引用文献・参考文献も豊富。さすがに当時の文献は大変そう。

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    2018年07月20日
  • 恥辱

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    「百年の誤読」から。ノーベル賞受賞作家ってこともあり。主人公じいさんの、結構なろくでもなさ加減が面白かったです。ただおそらく、自分が本作の素敵さを十分に味わいきれていないんだろうなというもどかしさを踏まえて、満点はつけずです。アパルトヘイトがまかり通っていたかの国の抱える難しさとか、本作からそれとなく伝わってくるものも興味深かったです。もう一方のブッカー賞受賞作品も是非味わってみたい、とは思えました。

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    2017年10月16日
  • 恥辱

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    主人公とその娘の墜落の仕方がうまく対比をなしていて、且つ彼らを陥れる(作為、無作為問わず)人々との照らし方もこれまたうまい。

    動物病院での殺処分など、モチーフも唸らせる。

    ただ、盗難車が見つかった件は何だったのだろう…?

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    2020年07月12日
  • 恥辱

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    ノーベル賞作家クッツェーの代表作。現代作家だけあって読みやすい。しかし、ストーリーが投げかける問いは難解。セクハラにより大学を追放された主人公の娘。南アフリカの田舎で農園を営む。しかしその行動は近代人である主人公やわれわれ読者には理解できない。だけどそれは近代の目指した価値観が崩壊した現代において、オルタナティブを模索しているようにもみえる。

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    2017年01月30日
  • 恥辱

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    読みやすい。原文がよいのか訳文がよいのか、たぶん、どちらもよいのだろう。気をつけているつもりでも、結局、自分のイメージで世界を見ることしかできない知識人の中年男子が、いろいろな試練にあいます。

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    2016年08月15日