鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 昏き目の暗殺者 上

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    ネタバレ

    中々に手ごわい小説です。

    久しぶりに読み終わるまでにひと月以上かかった(^▽^;)
    下巻があるので、まだ時間はかかると思いますが、読むのを止めるという意識はないです。

    財を成した名家の一代記であり、また死んだ人間が書いた小説『昏き目の暗殺者』が交互に物語を形作り、その合間にゴシップが入る。

    時代は第一次世界大戦から第二次世界大戦後にかけて、一族の没落や家族が重たい小説ではありますね。
     
    この段階で感想はこの程度しか書くことができないですが、下巻でローラが真に何を描きたかったのか、そしてローラの姉であり語り手の『わたし』であるアイリスが最後まで何を語るのかを読みづつけたいと思います。

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    2021年01月29日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    ネタバレ

    言わずと知れたハリウッド名作映画の原作だが、映画と原作は全く別物だそうです。まぁ映画観てないんで関係ないですが。
    アメリカの南北戦争を目前に控えた南部。アイルランドからの移民を父に持ち、大農園の長女であり、周囲の目を惹きつける魅力をもったスカーレット・オハラ。
    南部の娘は毎週の様に開かれるパーティーで男性を見つけ結婚するのが昔ながらの幸せとされる。スカーレットはその容姿でいつも男性たちを虜にしていたが、自分が密かに心を寄せるアシュリには想いが届かず、アシュリはメラニーと婚約を発表する。
    なんでも自分の思い通りにしてきたスカーレットは傷心の中、全く好意も興味も抱いていないメラニーの兄チャールズと

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    2021年01月17日
  • 全身翻訳家

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    『明治大正翻訳ワンダーランド』を読んで以来。
    さすがだなあ、と思う。

    翻訳者のエッセイなら、先ごろ岸本佐知子さんの作品を読んだ。
    あれもとても面白かった。
    岸本さんのサービス精神と、稀有のキャラクターのなせる文章だった。

    こちらは、エッセイから伝わる著者の生活ぶりもすてきだが、翻訳者としての苦心や気配りなどが、より突っ込んで書かれている部分が印象に残る。

    『風と共に去りぬ』の、「明日は明日の風が吹く」という名訳。
    これは誰のものなのか。いつから流布したのか。
    「スカーレットと江戸ことば」はこの事情を明らかにしていて、とても面白かった。

    阿部知次の昭和十一年の抄訳にはじまり、数々の訳を見

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    2020年12月27日
  • 嵐が丘

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    若い頃に読み損ねた「嵐が丘」。こんな悪意に満ちた話だとは恥ずかしながら知らなかった。歌や映画、芝居のポスターで勝手にモンテ・クリスト伯のような勧善懲悪の復讐劇、ロミオとジュリエットのような禁じられた恋の話とずっと思い込んでいたのだ。嵐が丘邸の主人に拾われてその息子たちに虐められたヒースクリフ少年がなぜか裕福になって帰ってきた。話の99%は歪んだヒースクリフの狂った悪意により滅亡していく2つ家の話なのだ。ヒースクリフの行動はシャイニングかサイコを観るようでかなり怖い。拉致監禁、言葉による追い詰め、サディスティックで陰湿な罠。キャシーへの異常な愛。そして最後の最後に彼に希望溢れる死が訪れそれによっ

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    2022年06月24日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    最初はいけすかない気の強い女性とびっくりしたが、次第にそれか彼女の強さと思わされてしまう不思議な魅力がある。情景描写や時代背景の細かさは圧倒的で、映画やミュージカルも見てみたくなった。

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    2020年09月21日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    20世紀、カナダ。終戦の十日後に自動車事故で死んだ妹のローラは、姉のアイリスに学習帳の束を遺していた。死後出版という形で発表されたローラ名義の小説『昏き目の暗殺者』はゴシップ好きの好奇の目にさらされ、数十年後の今に至るまでカルト的人気を誇っている。83歳になったアイリスは、ひとりで暮らすいまの生活と、ボタン工場で一財を成した祖父の代から続くチェイス家の歴史をノートに記しはじめる。アイリスの現在記録と過去回想、ローラの小説と当時の新聞記事からの断片で構成された、モザイク模様の〈姉妹〉の物語。


    最初、というか上巻まるまる一冊ぶんくらい、何が主題の小説なのか掴めず戸惑った。ローラがなぜ死んだのか

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    2020年09月13日
  • イエスの学校時代

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    『言葉とは弱々しいものです―だからこそ、わたしたちは踊るのです。そうして踊ることで、超然たる星々のかなに住む数を呼び寄せる』

    主人公のシモンをヨセフ、シモンが前世からの渡航中に知り合った子供であるダビードをイエス、失われた筈の記憶がダビードの母親だと告げるイネスをマリアに擬えて、物語は進行していると前作である「イエスの幼子時代」を読んだ時から思っていた。マリアが受胎告知を受け授かってしまった子を育てるヨセフの視点の話だと。何から何まで聖書の物語を当て嵌めて考える必要はないのかもしれないが、今回もダビードが7歳になろうとする時に国勢調査が行われる際にダビードを隠すエピソードなどは、マタイ書のヘ

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    2020年07月10日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    私の中で風と共に去りぬフィーバーが来たものの語り合える人もなく、ただただエンディングに喪失感を覚え、私なりの答えが欲しくて購入。
    この一冊を読んで何だか風と共に去りぬについて人と意見を交わしている感覚になって満足です。またいつだって人からの影響を受けるにしても自分の解釈でしか物語は消化できないものなのだと改めて感じました。
    私は岩波文庫で読んだので、著者の新潮の方にもいつかチャレンジしたいです。

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    2020年06月25日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    昏き目の暗殺者(上)では、3つのお話しに激しく混乱。「最後まで読み通せるのかな?」と思いながら読んでいた。
    (下)に入ると、アイリスのテンポにうまく乗ることができた。きっと、(上)では、ローラのテンポが私を混乱させていたのかもしれない。いや、ただ単にカタカナや引用が難しいと感じていただけかも・・・。
    クライマックスに近づくにつれ、「もしや???ローラの小説なの?」、「昏き目の暗殺者って??」と字面通りに読んでいた私を???にさせる。???が増えるにつれ、この小説にハマりこんでしまった。
    ローラは聖人のような書きぶりだけれど、ほんとは単にアイリスが妬ましかったのではないか。自分の人生の不自由さ

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    2020年01月12日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    ネタバレ

    ブッカー賞とハメット賞をW受賞した作品の文庫化.老女の現在,彼女の回想,若くして死んだ妹の処女作,兼,遺作が相互に絡み合い,妹の死を始めとする数々の謎が終盤で解き明かされる.
    正直,途中までは「見え見えのトリックでミステリーとして読むと少々期待外れだなあ」と思っていたのであるが,最後にはたたみかけるように,予期していなかったことまで全てが解き明かされる.
    現在と過去とフィクションが重層的に構築され,そのうちのフィクション部分(妹の遺作)のタイトルが本書のタイトルにもなっているのだが,その意味は深い.

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    2019年11月14日
  • 恥辱

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    読み終わるとニック・ホーンビィの『ハイ・フィデリティ』を唐突に思い出した。ポップソングの代わりにバイロン。もっとも細部の類似点ならジョナサン・フランゼンの『コレクションズ』かもしれないけれど。物語の進行に首を傾げる場面はいくつかあれども、男というのはこんなものかもしれないと腑に落ちる。最後の一文は秀逸。

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    2019年10月28日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    作中作が重要な意味を持ち、事件の真相とも密接に関わっているという結末。解説によると、『薔薇の名前』とも似た構造とのことだけど、自分には類似点が殆ど理解出来んかった。サーガとしては結構楽しく読めたけど、ミステリ的側面からはいまひとつピンとこなかった。ってかそもそもが、あくまで文学であって、エンタメ的・ミステリ的に楽しむ必要はないのかもしらんけど。

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    2019年10月17日
  • 昏き目の暗殺者 上

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    アトウッドの代表作。色んな書評やらで見かけて、いつかは読みたいと思ってた作品を、文庫化にあたって入手。あと、ノーベル文学賞授賞かも、っていうタイミングもあって。でもそれは逃したけど。メタフィクションの体を取っているけど、それぞれが章立てで区別されていたり、登場人物もそこまで多くなかったりするから、前半を読み終えた印象として、難解度はそれほど高くない。自分の理解度が低いから、単純にこれ以上だとついていけない、っていう話だけど。最初に提示された、妹の死にまつわる謎を解き明かすのが本題だとは思っているんだけど、この超大作の果てに、どんな結末が待っているのか、期待大。

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    2019年10月15日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    鴻巣訳じゃないけど原作も読んでるのに、やっぱり映画の印象が強いんだなあ。「え、そうだっけ」「あれ、そんなこと書いてあったっけ」というのが多かった。物語に対してもだけど、アシュレの見方がちょっと変わった。

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    2019年10月13日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    おなじみ、NHK「100分de名著」で取り上げられていた『風と共に去りぬ』。
    その解説をしていた著者による、より詳しく知りたい人のための本だ。
    これだけの名作を読んだことがなく、映画も見たことがなかった。
    だからなんとなくのイメージで、南部のわがままな金持ちの美人さんがニヒルな男性に惚れて振られる話、だと思っていた。
    そもそもからしてほとんど間違っているのだが、なんと!
    スカーレット・オハラはヴィヴィアン・リーのような容姿ではない!
    四角い顔で、つり目、浅緑の目、猪首、低めの身長。
    何も知らない私ですら、ヴィヴィアン・リーの姿は見たことがあり、あのイメージだったのだが。
    著者はコンパクトグラマ

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    2019年07月14日
  • 翻訳ってなんだろう? ──あの名作を訳してみる

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    直訳ではなく,意訳でもなく,原文のニュアンスを可能な限りくみ取り,適切な日本語で表現する.
    このとても奥が深い作業のエッセンスが味わえるではなく,対象とした小説の優れた批評にもなっているように思う.
    1章「赤毛のアン」
    2章「不思議の国のアリス」
    3章「嵐が丘」
    4章「アッシャー家の崩壊」
    5章「ライ麦畑でつかまえて」
    6章「ピグマリオン」
    7章「灯台へ」
    8章「高慢と偏見」
    9章「情事の終り」
    10章「風と共に去りぬ」

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    2018年12月31日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    kkkは解散してるね。今に至る悪名高きとは分けて、過渡期の必然、徒花と読むべきなのだろうか。
    終わり方がすごい。

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    2018年12月15日
  • 恥辱

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    前時代的な全くもっていけすかないインテリおじさんの大転落と、その先にある微かな希望の物語。
    始まって30ページもしないうちに主人公が「女の美は当人だけのものではない。この世にもお裾分けがなくては。美を分かちあう義務がある。」とか言い出した時には凄まじい嫌悪感が一周して逆に笑ってしまうくらい、愚かだな~と思っていたけど、南アフリカ独特の閉塞的なムラ社会の中で娘を思って七転八倒する姿と、徐々に価値観が変わっていく様子に、嫌いにはなりきれなかった。

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    2018年12月02日
  • 恥辱

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    衝撃すぎてなんかもう思い出したくないけどとにかく衝撃だった。衝撃すぎて読んでから7年経ってもまだ感想が書けるほど。こんなエグい物語を書く人がいるのか。でも普段考えることもないし、避けていることをガンガン突きつけられて胸糞悪いし、苦しい。密度の濃い感情を起こさせる事においてやっぱりブッカー賞はすごいんだなあと思ったけど、好き好んで読もうとは思わない…。

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    2018年11月06日
  • 恥辱

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    エリート大学教授が性欲により落ちぶれていく話。簡単にいうとそれだけなんだけど、じゃあ落ちぶれていくってなんだろう?アフリカは落ちぶれている?都会で大学教授をすることはエリート?生きていく上での恥辱とはなにか?
    自分たちが味わった恥辱について、大学を追い出された元、エリート大学教授と、アフリカの田舎で農園経営をして必死に1人で生きていくその娘が話し合う所がある

    「最下段からのスタート。無一文で。それどころか丸裸で。持てるものもなく。持ち札も、武器も、土地も、権利も、尊厳もなくして」
    「犬のように」
    「ええ、犬のように」

    生きていくなかで、何に裁かれていかなければならないのか。美しい女とセ

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    2018年08月14日