鴻巣友季子のレビュー一覧
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翻訳とは外国語で書かれたものを日本語に訳することだ。訳するとは何なのか?それは外国語で書かれたものを深く読み、掘り下げて、作家の意図を探り取らなければならない。翻訳とは訳をする作業なのではなく、読み込む作業なのだ。
翻訳家であり、翻訳教室なども催している筆者が、10作品の例文を提示しながら、その訳し方を解説する。
韻を踏んだ文章や、当時の時代背景や文化とは切り離せない登場人物同士の関係、辞書では同じ日本語になりがちな複数の英単語の使い分けによる違い、などなど、それは原文を読み込まなければ見えてこない。
翻訳文学が好きな身としては、翻訳家の苦悩が垣間見えて面白かった。 -
Posted by ブクログ
読みやすくはあるが、扱う主題は難しい。
都会で教授をしている二度の離婚経験のあるおじさんが、性欲を抑えきれず教え子に手を出して、職を追われ、田舎の娘のところに行き着き、そこから展開していくストーリー。
南アフリカの白人と黒人の間のわだかまり、治安の悪さ、強姦などといった時代背景がある中、娘とは事件後でも仲良くはあるが、意見は全く食い違う。
相手の意見を聞かずに、自分の意見を通し、辞職に追い込まれ、その後娘に自分の意見を通そうとする。かつて物を教える立場であったように。
一度だけでは本の一部分しか理解には及ばない自分の読解力の無さを嘆きたくなるが、ブッカー賞受賞作なだけあり、読み応えはある。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ2007年12月に筑摩書房から出版され、好評を博していたた『やみくも -翻訳家、穴に落ちる』を親本に、新たに執筆されたエッセイなどを多数集めて、今回文庫化された。
文庫新版にあたって収録されたエッセイには、翻訳家として世に出るまでの生い立ちや最新の仕事事情までが歯切れのいい文章で綴られている。
前作を購入された鴻巣ファンの方にとっても、新鮮な内容がたくさん含まれているので損せぬ内容となっているのでは。
最初に収録されている4編は、たまたまこの本と前後して読んだ「本の寄り道」に収録されている4編だったので、始めはあれと思ったのだが、残りは未読のもの。著者がお得意とする読書にまつわる感想も交え -
Posted by ブクログ
「翻訳」に興味があるので手に取りました。一編5〜6ページのエッセイがおよそ50本、テーマの共通性で5つのパートに分けて並べられている。どこからでも読める。どれを読んでもかなり面白い。
さりげない日常の話から書き始め、「なになに、それでどうなったの?」と身を乗り出した読者を、文学ワンダーランドで楽しませてくれる。ユーモアもあればオチもある。この人、なかなかのエッセイストであり書評家のようです。ついでにいえば、酒飲みでもあり、「元」がつくけどスキーヤーでありカヌーイストでもあります。
ひとつメモしておきます。「デジタルの力というのは、忘却という人間に残された最後の安らぎ、最後の赦しを奪おうとし -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
驚愕!感嘆!唖然!恐るべし、明治大正の翻訳界。
『小公子』『鉄仮面』『復活』『フランダースの犬』『人形の家』『美貌の友』『オペラの怪人』…いまも読み継がれる名作はいかにして日本語となったのか。
森田思軒の苦心から黒岩涙香の荒業まで、内田魯庵の熱意から若松賤子の身体感覚まで、島村抱月の見識から佐々木邦のいたずらまで、現代の人気翻訳家が秘密のワンダーランドに特別ご招待。
[ 目次 ]
近代の翻訳はこの「一字入魂」から出発する―ユゴー『探偵ユーベル』森田思軒訳(明治22年)
訳文が生きるか死ぬかは会話文―バアネット『小公子』若松賤子訳(明治23~25年)
超訳どころの騒ぎではない―ボ