鴻巣友季子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレかなり主観的な考えではあるけど、アシュリに振られて、自暴自棄になったスカーレット自身がチャールズと結婚してて決めたのに、未亡人となり、ダンス行けず、チヤホヤもされず、の状態になったのはチャールズの責任であると考えるのは勿体無いなと思った。母親にも早すぎる結婚は考え直せと言われてわけだし。
反面、そう考えるのも人間らしいスカーレットの魅力が現れたところでもあるなと思った。スカーレットはいっさいチャールズのことを見ていない。それに気づかずに逝けたチャールズは幸せだったのかもしれない。
そのほかのところはスカーレットが魅力的な女性すぎて、読者である私まで魅了されてしまっているる。スカーレットの彼氏10番目くらいに私もいるかもしれない。
レットバトラーとスカーレットとの関係がこれからどうなるのか、続きも気になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・イギリスでは現在(2025年)日本文学ブームを迎えている様で、その背景をビジネス、文学、イデオロギーや時代背景などから読み解く試み
・2025年6月時点のイギリスの翻訳文学Top50の内23を日本文学が占めていたり、上半期の翻訳市場の20%を日本の小説家4名で作るなど、イギリスの翻訳文学市場を席捲している
・米国でも同様に日本文学は売れていて、この背景には、米国一強体制の崩壊や英語圏文化妄信への揺らぎ、フェミニズム潮流、意欲的な翻訳家/出版社の出現(デジタル化と並行して)、不安定な時代に人々が求めるニーズと日本のヒーリング小説の相性の良さ、川上未映子さんによる批評などポスト村上春樹の動き、などがあるという
・定量的な説明はあまり無かったが(データもないだろう)、日本文学を取り巻く海外環境を詳しく知ることが出来てとても興味深かった
・日本文学で売れている代表的カテゴリは犯罪・ミステリー、同年代女性作家、古典的男性作家、ヒーリング系(猫!)、の4カテゴリ、というのは面白い
・著者の村上春樹の現在に対する個人的意見がしれっと入れ込まれていたのは面白かった。個人的にも、村上春樹の1Q84以降作品に対して感じていたことを代弁してくれていて溜飲が下がる思いだった
・一方で、彼が米国出版業界を理解し適切な人にしかるべきアプローチを取ったことやNYTimesなどの有力チャネルで認知を取っていったこと等の戦略的な動きには学ぶことは多い(ビジネス的な妥協も含めて)。偶然で売れることはないのだということ -
Posted by ブクログ
実はしばらく時間を置いてから感想を書き始めました。内容が難しかったからではなく、「自分はもう答えを知っていると思い込んでいた」問題を改めて見直すきっかけになったからです。
私たちの直感では、日本文学が英米で人気な理由は、村上春樹、異国情緒、禅的感覚、孤独、美学の違いなど、いくつかのキーワードに集約されがちです。しかし、この本の素晴らしいところは、結論を急がず、こうした「一見合理的だけれど過度に単純化された」説明を丁寧に分解していく点です。読み進めるうちに、著者が本当に関心を持っているのは「日本文学がどれだけ特別か」ではなく、「英米の文学体系がどのように日本文学を読み、必要としているか」であることに気づかされます。
特に印象的だったのは、「翻訳」の再定義です。翻訳は原文の忠実な再現ではなく、文化的な再構築の行為であるという視点です。日本文学が英米で流通するのは、原作がそのまま残されるからではなく、翻訳過程で英米の読者の読書習慣に適合する形に調整されるからです。曖昧さは強調され、文化的細部は薄められ、文法やリズムさえも「馴化」されます。これは原作の裏切りではなく、作品を「生かす」ための方法です。この考え方は少し残酷ですが、とても誠実でもあります。
もう一つ考えさせられたのは、著者による「普遍性」の問い直しです。英米の読者が日本文学を好むのは、それが完全に未知だからではなく、彼らが今必要としている感情表現——過度に劇的ではない痛み、説明を急がない孤独、空白や間の許容——を提供するからです。言い換えれば、日本文学が「普遍的」と見なされるのは、英米現代文学で失われたり過剰に消耗された表現の欠落を埋めているからです。
また、書中でこの「人気」が浪漫化されていない点も好感が持てます。著者は冷静に、日本文学の英米での成功は選ばれ、取捨選択された結果であることを指摘しています。翻訳され、宣伝され、議論される作品は、既存のイメージに合致するものが多く、過度に地域的、政治的、あるいはパッケージ化しにくい作品は言語の境界の外に残されることが多いのです。このことから、私たちが世界が日本文学を読んでいると思っている場合でも、実際には世界は「読みたいと思う部分」しか読んでいないのだと考えさせられます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチャタム校に赴任してきた女性教師エリザベス・チャニング。懸想するリード。そばで彼らを見続ける主人公ヘンリー。老ヘンリーの回想で物語が進んでいくのだけど、この「におわせ」が苦手な人もいるだろうなと思いながら読んだ。
結局、男のロマンと女の嫉妬で正気のチャニングは破滅してしまうんだけど、一番かわいそうなのは前向きに勉強していたサラかなと。しかも主人公サラと良い仲になってるにも関わらず、事件が過ぎた後もチャニングのことばかり考えててなかなか理解できない。男尊女卑の時代の話なので貧乏くじを引くのは女性、というのはわかるけどあまりにも救いがないなあと思う。メアリとの最終章も男(ヘンリー)にやさしいだけ。 -
Posted by ブクログ
タイトルがいい。
確かに子供のころ読んだ海外作品の中には、なんだかわからないけど、おいしそう、素敵っぽいと思った言葉がたくさんあった。
昔の作品から最近の作品まで紹介されている、内容も翻訳家さんならではの内容で、訳し方やその時代の背景なども書かれていて興味深かった。
youngを若きと訳すのか若いと訳すかでニュアンスが変わるという部分は、なるほど!と思ってしまった。翻訳家は日本語にも通じていないとできない職業だと感じた。
あとがきに書かれていた、読書は本を閉じておしまいではない。私たちの中に入ってから育ちつづけていくのだという部分にはおもわず頷いてしまった。確かに、本を閉じた後も、その本について都度思い返したり考えたりすることもあり、それが余韻を歩くということなんだな、、なんて素敵な表現!と思った。 -
Posted by ブクログ
かつてアイルランドにあった「ふしだらな娘」の収容所に閉じ込められた少女をみた主人公が……の話。
アトウッドの「侍女の物語」とは違って、これは100%真実。
最近も、この種の施設から乳幼児数百人の遺体が見つかったらしい。
1996年まで実在していたそうで、私が最初の妊娠をした時にもあったんだと思うと恐ろしい。
自分の家族が不利益を被るとしたら、私はどう行動するだろうか……と思う。
ファーロングは、自分自身が「助けられた」ことを理解していたからこんな行動ができた。
「ウィルソンさんがいなければ、うちの母さんは十中八九、あの施設に入れられていただろう。自分がもっと昔に生まれていたら、いま助けようとしているこの子は母さんだったかもしれない。」
家の中の、クリスマスの前のちょっとした描写が心地よい。
クリスマスに読んで欲しい。 -
Posted by ブクログ
妖精や魔女の国、アイルランドのクリスマス。
カトリックの絶対支配の階級社会。
その中で誠実に生きる労働者の男性。
寒くて暗い中の仄明るいアイルランドのクリスマス。幻想的にも見えるクリスマスの様子が実態として浮かんでくる筆致がよい。
精一杯労働し、家族との生活を守る1人の男性の虐げられた女性の救済への葛藤が読んでいて苦しい。(これまで必死で守ってきたものが絶対的な権力に抗うことで失ってしまうかもしれない、これは普遍的なテーマだろう。)
キリスト教の暗部と共同体としての機能を明示しており、辺境の文学としての面白さもあった。アイルランドの空気感がよい。(イギリス児童文学への系譜を感じる。) -
Posted by ブクログ
小学校時代に読んだ児童文学がいっぱい。
「あしながおじさん」「若草物語」「ジェイン・エア」
「嵐が丘」は好きすぎて3回くらい読んだ。
「風と共に去りぬ」は恋愛小説の枠を超えて、土地をめぐる不動産小説であり、世界が’ひっくり返る敗戦小説であり、女性同士の複雑な友情関係を描くシスターフッド小説であり、血縁関係にない家族を抱える介護扶養小説でもある、という分析にめっちゃ納得した。
最近はもっぱらしか読んでないけど外国文学もまた読んでみたくなった。
特にオースティンの「高慢と偏見」エドガー・アラン・ポーの「アッシャー家の崩壊」
タイトルの塩漬けライムとは、酢漬けのピクルスの意。
この頃まだピクルスは日本に浸透してなくて塩漬けライムと
訳したらしい。
翻訳者さんも苦労したのね〜。