鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    これを「確かに傑作だ」と手放しに首肯するには自身の海外文学に対する読書力?知見?がまだまだ足りないのかなぁと実感させられた。

    日本の小説でも「話者が誰なのかわからない現象」はたまにあって、その度に「読みにくい」としか思わなかったが、解説を読んでみるとそれこそが技法というからびっくり。
    確かに、印象とか感想はとめどなく対象を変えていくもので、その人間本来の印象こそをそのまま描くことが正、みたいなヴァージニア考えも一理ある。
    けど、傑作とはなぁ…
    評価が分かれそうな気はする。訳者の人も原作に添いつつ、この曖昧な文章をよく訳してくれたなと感謝。

    ラムジー夫人に対する周囲の評価が場面によってコロコ

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    2026年06月20日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読むのに非常に苦労した。目が文字の上をすべり、中身が頭に入ってこない。
    登場人物の意識の流れを克明に描写した文章なので、それを自分の頭の中のイメージに置き換えていく必要があるのだが、うまくできなかった。
    こういった文章をちゃんと読める読者になりたい、というのが率直な感想です。

    作品が何を主題として描いていたのか分からなかったので、各社の説明文の要所を引用してみる。
    ・二日間のできごとを綴ることによって愛の力を描き出した(新潮文庫)
    ・若い女性画家はそんな母子の姿をキャンバスに捉えようとする(岩波文庫)
    ・微妙な意識の交錯と澄明なリリシズムを湛えた文体によって繊細に織り上げられた、去りゆく時代

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    2026年06月16日
  • あずかりっ子

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    映画「コット、はじまりの夏」の原作ということで読んでみました。翻訳が難しそう。映画の方がわかりやすく好きかも。

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    2026年06月04日
  • ペネロピアド 女たちのオデュッセイア

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    非常に読みやすい口語体で書かれ、翻訳されている。ミュージカルのように途中途中に歌や詩などが交じり場面転換のような動きが入る。通常の小説とは異なる趣向、この手の書き方はもしかしたら原本のギリシャ神話がそうなっているパターンかもしれない。ギリシャ神話を分かっていれば、もっと楽しめるんじゃないかと思う。

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    2026年06月04日
  • イエスの学校時代

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    『イエスの幼子時代』ほどではないけれど、面白かった。
    相変わらず善良そうだけれど我が強い面々に囲まれて、普通の小市民シモンはどんどん影が薄くなっていく。
    後半は名前負けしない情欲の熱血漢「ドミートリー」に持っていかれてしまう。
    ダビードは、シモンやイネスからは独立し、真理や激情に目を向けている感じで、あまり多くを語られなかった。
    『イエスの死』、翻訳はされないのかな。

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    2026年06月03日
  • 嵐が丘

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    拾われた子どもを中心に激しい愛憎のドラマが展開された小説。
    ネタバレが怖いけど、巻末の家系図を見ながらだと分かりやすい。

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    2026年05月31日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    人と話す時に絶えず動く心
    思ったことまるっと描写
    途中で入れ替わる話者
    誰がいましゃべってるんだろ
    誰がいま心のうちを吐露してる
    隅々までかいてる

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    2026年05月12日
  • ウーマン・トーキング ある教団の事件と彼女たちの選択

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    実際に起きた閉鎖コミュニティーにおける集団レイプ事件に着想を得た本作。衝撃的な話だが、事件そのものではなく被害者やその親族の女性らが、コロニーを支配する男性陣が外出している間に今後の対応策(何もしない、闘う、去る)を話し合う(ウーマン・トーキング)ことが主眼となっている。
    個人的には展開が遅くて文学的すぎる印象だった。
    なお、本書はある理由から幼い頃一度コミュニティーを離れた男性(それにより男性陣から下に扱われている)が書き留めたノート、という形式を取っている。女性たちは教育を受けられず文字が書けないからである。小説の最終部近くで軽く振れられているコロニーを追われた理由も罪深く考察を深めるポイ

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    2026年04月25日
  • ほんのささやかなこと

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    ネタバレ

    マグダレン修道院が舞台の映画、「決断のとき」を見て原作を読んでみた。映画ではっきり語られていなかったことが語られていたし、原作ではわかりにくい所が映画では可視化されていた。ファーロングの母がネッドと結婚していればファーロングの過去の問題は解決したのでは?と思った。
    修道院で起こったことは宗教を使った虐待と人権侵害なんだけど、これがつい最近まで隠されていたことに驚愕。

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    2026年04月16日
  • 恥辱

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    登場人物達にさっぱり共感できなかったけれど、心情は理解できた。そして理解できた自分が嫌だった。
    飼い慣らすことのできない自分の中の欲とか、ついはってしまう自分を追い詰めるだけの意地とか、なんだか身につまされて嫌な気持ちになった。
    娘と父親の、性別なのか年代なのかそれとも関係性のせいなのか、埋まることのない溝も、次々襲いかかってくる不幸な出来事も妙にリアリティーがあった。
    全然好きにはなれない嫌な話だったけれど、自分の中でいつまでも残っているし、これからいろんな本を読んでも、異物のような感じでいつまでも心に残っていそうな本。

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    2026年06月13日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    ネタバレ

    最後の方に、バザーでレットにダンス相手として落札されてとびだしていく場面まで、スカーレットのことが一ミリも好きになれなかった。
    両親以外の人を見下しすぎてきて、ついていけず…チャールズも十分愛らしい青年だったと思うけど、あんなにあっさり死んでしまうなんて…ここをほんの数行で終わらせる作者の潔さは面白かった。
    スカーレットに子どもが生まれてから、決定的に人生の大事な選択を間違えてしまった様がありありと伝わってきて(特に子どもに全く愛情を持てないシーンがリアル)、いたたまれない。17歳という若さゆえに選択を誤り、社会の慣習に押し込まれる様子が、いや自業自得やろという気持ちもありつつ、かわいそうだっ

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    2026年04月04日
  • 老いぼれを燃やせ

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    軽くてユーモアがあって読みやすかったです。
    フリーズドライ花婿と死者の手はあなたを愛すが面白かった。
    アルフィンランド3部作はよく分からんかった…あのダメ男を愛する価値が笑

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    2026年03月15日
  • 嵐が丘

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    再読。
    初めて読んだのは10代の頃で、その時の印象はとにかく重くて重くて楽しい読書体験とは思えなくて。あれからだいぶ歳を重ねた今の自分なら何か違う事を思うかな…と思ったのだけれど。
    やはりじめっとどんよりした空気に纏わりつかれながらこの物語を追うのは息苦しかった。
    相手の不幸を望んでしまうような負の連鎖。
    希望?でもどこか歪んで感じるし…
    まだ早かったのかな。

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    2026年03月09日
  • 嵐が丘

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    あらすじを見てから読み始めたので、この気性の荒い主人公(ヒースクリフ)がどういう結末を迎えるのだろう?という興味から読み進めていった。
    この時代の恋愛小説としては、恋愛感情が憎悪に変わる人間の脆さという点がフォーカスされているのは珍しかったのかもしれない。今の時代だと、不倫や許されない恋など「一捻りある恋愛」が題材に挙げられることは珍しくないが。
    今回は物語の構成(起承転結)として読み進めてしまったから、もう直ぐ公開される映画を見たらもう一度感情移入しながら読んでみたい。

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    2026年02月27日
  • あずかりっ子

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    1時間もかからず読み終えてしまう中編で、情報量は非常に制限されている。その分、少女の心の動きについて、預かった夫妻の悲しみと繰り返される痛みについて、限られた言葉のその奥にあるものをじっくりと想像させてくれる。

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    2026年02月21日
  • 小説、この小さきもの

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    本の雑誌ベスト企画から。先だって読んだ氏の読書本に続き、ここでもかなり丁寧に人称についての言及がある。物語の読解においてそれだけ重要ってことなんだけど、自分的にはなかなか腑に落ちてくれない。ここがもっと分かってくれば、こと純文学ジャンルにおいて、もっと深い読解ができるようになる気がするんだけど…。まだまだ遠いぜ、読解マスター。

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    2026年02月13日
  • ほんのささやかなこと

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    妻と5人の娘たちと仲睦まじい生活をおくっている石炭と木材の商人ファーロング。

    彼の周りではいつも淡々と時間が過ぎて行くが、そんな中でも家族や近所の人々との触れ合いを通じてささやかな幸せが伝わってくる。

    しかしある日、仕事のために訪れた女子修道院で史実に基づく事件が起こる。そこでファーロングが取った選択は、「ささやかなこと」とはかけ離れたものだった。

    物語は起伏がなく淡々と進むため読み手によって好みが分かれると思う。

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    2026年02月03日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    一日目に第一部読んで、今日第二部、第三部と読んだんだけど目がめっちゃ疲れた!!!

    表現が美しすぎて幅がありすぎてなんかもう人物描写が外も内も凄すぎて私は何を読んだんだ???って気分です……

    最初感じてた読みにくさは慣れたので今日はもう全然なかったんだけど、なんだろ、直接描写の途中から間接描写に変わったりで一文、いや一節一節をしっかり読まないとすぐ置いてかれるというか。
    ほんまころころ移動するから読むのにめっちゃ目と頭使ったなっていうマジ疲労感がすごい。゚(゚^▽^゚)゚。

    しかし凄い描写力だった……

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    2026年01月06日
  • 翻訳ってなんだろう? ──あの名作を訳してみる

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    面白かった。
    さすが売れっ子の鴻巣さん。
    解釈や日本語が新鮮で、わかりやすく、センスが良い。

    翻訳家ってこんなにレベルの高いことが当たり前に求められているんだなと改めて思った。
    文化や生活習慣に詳しいことはもちろん、あらゆる横糸縦糸をチェックしながら物語を織り直しているうえに、読者にとってはほぼ黒子なんだから、大したものだ。
    (日本が翻訳文学大国だってことも、もっとみんなに知らせてもいいっすよ。)

    この本ではじめて知ったことは、
    アリスのいかれお茶会に出てくる、マッド・ハッター=イカレ帽子屋は、当時の帽子はフェルトを均すために水銀を使うので、水銀中毒がなかば職業病になり、ヤバい言動の人が多

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    2026年01月05日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    すごく勉強になって興味深い一冊でした。時たま耳にする海外の文学賞についての解説もわかりやすい。2025年は王谷さん柚木さんの話題がありエポックメイキング的な年でしたね。素晴らしい~!

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    2025年12月31日