鴻巣友季子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何を言いたいのか私にはよく掴めなかった。
ただ、ページが進むにつれて、シモンが愛おしくなる。
ダビードやイネスに冷たくされながらも、ダビードの為に、一所懸命になる姿に応援したくなる。
シモン、イネス、ダビードは疑似家族。でも、シモンはダビードの為に、父親としての任を果たそうと頑張る。
イネスのように、自身が打ち込める何かを見つけるわけではないし、ダビードのように明晰な感じでもない。
それでも、ダビードのために一所懸命な姿は、世の中の親の一般的な姿ではないかと思ったし、それで、いいんじゃないのかなって思った。
特筆すべき何かがなくても、誰かの為に一所懸命になる、愛を注ぐ。それができたら、い -
Posted by ブクログ
初めて読んだのは確か小5くらいのときで、家にあった河出書房の世界文学全集の、なので大久保康雄訳。他のがグリーンなのになぜか「風と共に」と一部の小説が白い表紙で、その乙女っぽい装丁にときめいた記憶がある。その後、高校生くらいまで何度か再読した。映画のほうはたぶんNHKで観たと思う。ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルのビジュアルは本を読む前から知っていて、そのイメージで本も読んだ…かもしれないけど、映画は原作の良さが全然入ってなくて退屈だな…と思った記憶がある。なので私の中では映画はあまり印象にない。
鴻巣さんが手がけた新訳版は読んでないが、この本は読書リストには入れていた。なんといっても暗記 -
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Posted by ブクログ
翻訳とは外国語で書かれたものを日本語に訳することだ。訳するとは何なのか?それは外国語で書かれたものを深く読み、掘り下げて、作家の意図を探り取らなければならない。翻訳とは訳をする作業なのではなく、読み込む作業なのだ。
翻訳家であり、翻訳教室なども催している筆者が、10作品の例文を提示しながら、その訳し方を解説する。
韻を踏んだ文章や、当時の時代背景や文化とは切り離せない登場人物同士の関係、辞書では同じ日本語になりがちな複数の英単語の使い分けによる違い、などなど、それは原文を読み込まなければ見えてこない。
翻訳文学が好きな身としては、翻訳家の苦悩が垣間見えて面白かった。 -
Posted by ブクログ
読みやすくはあるが、扱う主題は難しい。
都会で教授をしている二度の離婚経験のあるおじさんが、性欲を抑えきれず教え子に手を出して、職を追われ、田舎の娘のところに行き着き、そこから展開していくストーリー。
南アフリカの白人と黒人の間のわだかまり、治安の悪さ、強姦などといった時代背景がある中、娘とは事件後でも仲良くはあるが、意見は全く食い違う。
相手の意見を聞かずに、自分の意見を通し、辞職に追い込まれ、その後娘に自分の意見を通そうとする。かつて物を教える立場であったように。
一度だけでは本の一部分しか理解には及ばない自分の読解力の無さを嘆きたくなるが、ブッカー賞受賞作なだけあり、読み応えはある。 -
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