鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 恥辱

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    ただただ転落していく様を見ることになり、読み終えても心が晴れることはないだろう。僕にはいまいち心に響くことはなかったのは教養が足りないのか。もう少し歳をとって家庭を持ったり、ある程度の社会的地位を獲得した時に読むと感動は変わってくるのかもしれない。

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    2025年01月13日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    文学史上の傑作として名高い、ヴァージニア・ウルフの代表作。今回新潮文庫より鴻巣友季子による新訳版が刊行されたことを機に読んでみたが、個人的にはこの小説を読みこなす能力を持ち合わせておらず、ハッキリいってよくわからなかった。なにが難しいかといえばなによりもまず、ストーリイらしいストーリイがないことである。表題にもなっている「燈台」をめざすところが物語のクライマックスであるとは思うが、そこに至るまでにわかりやすい起承転結もない。普段読み慣れているような小説の構造とかけ離れていることとも相俟って、余計に読みづらかったのだと思う。登場人物も多く、ラムジーには8人も子供がいるが、「意識の流れ」という手法

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    2024年12月29日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    あちらこちらに海や舟に関わるたとえが散らばって表題がリフレインして、2部へと繋がっていくのが好きだった

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    2024年11月30日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    読み進めるのが難しい本だった。
    場面転換が少ないなかで登場人物が多く、人と人の心理描写がいつの間にか移り変わる。で、その心理描写もやたらとレトリカル。

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    2024年10月15日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    感想
    いつの時代も変わらない。光を目指して足掻き続ける。今がどれだけ暗くても。先が見えなくても。ひたすら手を伸ばし続けなくてはいけない。

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    2024年10月02日
  • 嵐が丘

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    登場人物たちの人生が悪い方へ悪い方へ転がっていったかと思うと、最終的にはなんか丸く収まったっぽい?私にはよく理解できませんでした。
    情緒不安定なやつらだったなと思います。

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    2024年09月18日
  • 緋色の記憶〔新版〕

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    前半はなかなか事件が起こらないのでやきもきさせられた。少年の純粋さというか純粋ゆえの残酷さがこわい。ミステリとはいえ謎を暴いていく感じではなく精神性に焦点をあてた事件の実録という形式。

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    2024年05月04日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    タイトルがあまりにも有名かつ、カッコいい、その上全5巻の長編なので「高尚な文学作品なんだろうな」などと思い読んでこなかった作品ですが、読んでみると、予想以上にとっつきやすい作品でした。
    何よりヒロイン、スカーレット・オハラのキャラクターに、いい意味で予想を裏切られました。

    言ってしまえば、貴族階級で男子からモテるスカーレットが、自信満々に自分が思いを寄せる男子に告白したら、思いっきりフラれる、というのが話の書き出しになります。

    現代的な翻訳の妙味というのもあると思うけど、スカーレットの生意気さ、傲慢さ、勘違い、一方でのフラれてからの現実逃避であったり、周りの見る目を気にしたり、八つ当たり気

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    2023年12月05日
  • 昏き目の暗殺者 下

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    「古き冷き時間は、古き悲しみは、池の沈泥のように、層をなして積む」

    カナダの小説家マーガレット・アトウッドの2000年の作品。

    チェイス家の二人の娘、アイリスとローラ。
    物語は、名家の没落と新興のブルジョアたちの様子、大恐慌、第二次大戦とその後など、その時代の匂いを、「暗き目の暗殺者」という入れ子の小説や当時の記事を挟みながら、アイリス自身の回顧録?を軸に語られていく。

    女性の内面を抉るような、それでいて「平穏」を繕う。
    老いと皮肉と気位の高さが、積もり積もってまとわりつく。
    煩わしくもあるが、厚着して身を隠したような心地良さも、内側から透けて見える。

    久しぶりに、苦戦した。
    ただ、「

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    2023年11月30日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    ネタバレ

    戦争がかくも人の考え方や生き方を変えてしまうのか。主人公マーガレットのような、狡賢い女でさえも、戦争さえなければ。
    ただ一方で、戦争でマーガレット自身の根本が変わったかというと、そうでもないと思う。ひもじい思いをしていた時代以外、相変わらず自分のことしか考えていない。最終盤で、メアリーやレットの有難さを知り、アシュリに対する思いはただの自分の妄想に近いものだと悟るが、彼女は果たして本当に心から自省したかというと、してないと思う。結局自分の為になってくれた人、自身の損得勘定でその時プラスだと感じた人の為に好きと言えたり泣けたりするだけであって、彼女は本当に冷たく心の貧しい人だと思った。
    現代日本

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    2023年10月07日
  • 恥辱

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    ネタバレ

    インテリ元モテ男だった主人公の没落。
    時代の変遷についていけない古ぼけた文学者は、継続した人間関係を築くことができず、女を買っては消費する日々。
    絶対に自分の考えを曲げず、他人の意見に耳を貸さず、大学を追放されるところまでは面白く読めた。

    娘の農園へ住み着いてからはとにかく重い...

    動物愛護ボランティアの夫婦をせせら笑い、ボランティア女性の容姿を痛烈に批判しながらも結局セックスしちゃう。
    黒人コミュニティを下に見て説教じみた話をするわりに、隣人が仕組んだと思われるレイプについて核心をついた言葉は言えない。
    元妻にも娘と自分が受けた襲撃についてしっかり話さない。

    どの局面でも主人公は自己

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    2023年09月12日
  • 風と共に去りぬ 第3巻

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    スカーレットを取り巻く環境が劇的に変わり、スカーレットの生き方も変わっていく巻。
    ここから本格的におもしろくなっていくのかな!

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    2023年07月02日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    名前だけ知っていたけど、話の内容は全く知らなかった。
    こんな話だったのか、風と共に去りぬ。
    世界的なベストセラーとして、聖書の次に読まれている本らしい。すごい。

    これからどういう展開になっていくのか?楽しみ。

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    2023年05月13日
  • イエスの学校時代

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    物語自体はすんなり読めるが、訳者あとがきを読むとやっぱり奥が深い。
    後半はドミトリーの話で、ダビートが脇に追いやられた感がする。

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    2022年10月04日
  • イエスの学校時代

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    「イエスの幼子時代」の続編.ちなみに第三作「イエスの死」も刊行済みらしい(未訳).
    相変わらず不思議なトーンで淡々と話は進むのだが,今回は殺人事件も起こる.犯人ドミトリーは,名前からしてカラマーゾフ風なのだが,人物もやっぱりカラマーゾフ風で,非常に濃い.彼の思考回路は独特なのだが,よくよく考えてみれば登場人物のダービド,イネスを始め,全員が思考に特徴があり癖が強い.決してお互いを理解することはない.一見,唯一まともに見えたシモンさえも,なんだかおかしい.
    そんなすれ違いが続くなか,シモンの空回りが徐々に目立ってきて,物語は唐突に終わる.
    この先,一体この疑似家族はどうなってゆくのだろうか?

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    2022年08月09日
  • 嵐が丘

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    調べ物してて見つけて読んでみた。
    時代のせいなのか、まったく登場人物の気持ちが理解できないのに、読みすすんじゃった。

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    2022年04月05日
  • 風と共に去りぬ 第2巻

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    第1巻までの気ままな娘ではなくなって男との約束と家族の歴史を背に大人になったスカーレット、とても格好良く魅力的。同時に自由人だったレットも敗走する南軍を目にして戦争へ合流する。
    単なる少女小説から毛色が変わった第2巻。
    次巻以降も楽しみ

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    2022年04月01日
  • 嵐が丘

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    読者層が女性の恋愛小説と思っていたが、印象が違った。二名家におよぶリベンジや亡霊といったホラーの面もある。ヒースクリフの素性は謎のまま読者の想像に任せる。女中のネリーの話は自らも関わっているので主観的なものであり読者として無意識に真偽を迫られる、いや楽しめる仕掛けとなっている。2022.2.19

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    2022年02月19日
  • 全身翻訳家

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    翻訳家という生き方。

    翻訳について、子どもについて、生活について、昔について。その職業を選んだ流れみたいなのが見えるエッセイが面白い。また翻訳の歴史が見える話も興味深い。「スカーレットと江戸ことば」あの明日は明日の風が吹くと訳したのは誰かについて。歴史を辿っていく謎解きが、個人の歴史と重なり合うところが素晴らしかった。

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    2021年07月25日
  • 謎とき『風と共に去りぬ』―矛盾と葛藤にみちた世界文学―(新潮選書)

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    2015年に新潮文庫からマーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」(Gone With The Wind→GWTW)全5巻の新訳を行った鴻巣友紀子氏が、翻訳を通して見えてきたGWTWと、作者マーガレット・ミッチェルがこの大ベストセラー小説に込めた想いを分析した評論。

    GWTWはマーガレット・ミッチェルが10年をかけて書き上げ、発売と同時にベストセラーとなりピュリッツアー賞を受賞した。しかしながら、それだけの功績を挙げながらもこの作品はベストセラーになった→大衆小説という扱いを受けてアメリカの文学史においてもあまり顧みられなかったばかりか、作者であるマーガレット・ミッチェル自身の生い立ちや、

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    2021年07月20日