鴻巣友季子のレビュー一覧
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上野千鶴子の担当する章が興味深かった。
ホモソーシャルな集団(往々にして男性中心のコミュニティを指す)では、同性愛嫌悪(ホモフォビア)とミソジニー(女性蔑視)を持つことで成員資格が与えられる。つまり、異性愛者として女性を性の対象として扱うことができてはじめて「仲間」として認められる。
ホモソーシャルの考え方を使えば、非モテ男性や弱者男性、インセルといった現象も説明できる。
冷静に考えたら別にモテなくて落ち込む必要はないのに女性に性的にモテなくて落ち込む人が存在する。
それは実は女性にモテないのではなく、自分が男社会で「仲間」と認められないから落ち込むのではないだろうか?
そういうのは本当の意味の仲間とは言えない。ので、「仲間」ではなくて、自分を仲間と認めてくれるコミュニティを探すのがいいと思う。世界は広い! -
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翻訳家の鴻巣友季子さんが海外文学の名作を紹介している。小説の形態や技法、時代背景などはもちろんのこと、翻訳家なので原文の英語についても説明されていておもしろい。little 、young といった簡単な単語やwish+仮定法過去完了が持つニュアンスを知ると、印象が少し変わったり、より深く作品を味わうことができて興味深かった。
これらの作品は、著者にとってはなつかしい再会の書が多いそうで、30年ぶりに読み返してやっと真意がわかったということもあったそうだ。その感動をこの本で伝えてくれている著者の「『わからない』は一生の宝」という言葉には説得力があるなあと思う。ほとんどの作品は、読み返したくなったり、知らなかったけれど読みたくなったりしたので、「わからない」を楽しみながら読んでいきたい。 -
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1996年までアイルランドに存在していた「マグダレン洗濯所」。ここは政府からの財政支援を受け、教会が運営していた。未婚や婚外関係で妊娠した女性が無償労働を強いられ、虐待が行われていたという。
本作には、この洗濯所をモデルとした施設が登場する。主人公ビルは、女子修道院に石炭を配達しにいった時に、この施設で少女と出会う。そして彼女がひどい扱いを受けているのを目にするのだ。
彼自身、母親は未婚で彼を産み、父親を知らない。しかし運よく母が女中をしていた屋敷で育てられ、キリスト教徒として真面目に生きて来た。生活は決して豊かではないが、妻や娘たちに誠実なビルのセリフはいちいち心温まる。
ラストはこれから起こる波乱を予期させるものだが、希望も垣間見える。静かな語り口ながら、感情を揺すぶられる小説。
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土瓶さんの『夜の記憶』のレビューに触発されてトマス・H.クックを初読み。
平穏な村に美しい女性教師が訪れたことによって起こった事件は、どんな悲劇だったのか…
いや〜焦らされる。
こうして思い出すと…、あの時はまだ…、こんな恐ろしいことになろうとは…みたいな思わせぶりにずっと焦らされる。
「一体何が起きたのよ〜、早く教えて!」という思いからどんどん先へと読まされていく。
ヒロインの登場シーンは、色や音や空気感までもが映画のスローモーションのようにゆっくり描写されている。
クック作品の比喩で「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」と言われているのがすごい納得できる。
描写や言葉一つ一つがとても美しくて、ミステリーだけど文学小説を読んでるよう。
倒叙やスピーディーな展開が好きなので、思わせぶりな匂わせが続くクックさんは正直焦れったかった。
でも最後まで読むとその過去の緻密な振り返りも深く効いてくるし、スローモーションのような登場シーンも全てがこの作品の魅力だった。
「速く進むだけが面白さではないぞ」と、クック先生に教わった気がする。
とても良い作品だった。
真相が何とも言えない。。。
土瓶さん!ありがとうございました(◍•ᴗ•◍)
クックの他の作品も新版が出ないかな。 -
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アマンダ・ゴーマンさんの詩集ですね。
アマンダ・ゴーマンさん(1998年、アメリカ生まれ)
詩人、活動家。全米青年桂冠詩人受賞。
2021年1月、ジョー・バイデン大統領の就任式で、自作の「わたしたちの登る丘」を朗読。
訳は、鴻巣友季子さん(1963生まれ)
翻訳家、文芸評論家、エッセイスト。
アマンダ・ゴーマンの第一詩集。
『彼女の詩は苦難の瞬間をとらえ、希望と癒しのりリックに変える。歴史、言語、アイデンティティをかけめぐり、想像力豊かに、そして親密に、ことばをコラージュし、ときに消去する。パンデミックの悲嘆をうけとめ、悲痛のときに光をあてる。彼女はわたしたちの過去からのメッセンジャー、未来への声だ。』と、紹介されています。
「わたしたちの名は」
わたしたちの型に痣を刻印し、
この日付をしるせ。
この体は折々に半分以上が
自分のものではなくなる。
わたしたちの躰は非人間の細胞を
容れる器になった。
細胞にとってわたしたちは
存在を乗せる小舟
不可欠のもの。
国
大陸
惑星
人間
微生物叢というのは、この体の
表面&内面でうごめくなにか。
わたしたちの生の下で設計されるもの。
わたしたちは、わたしではないーー
わたしたちは、わたしたちだ。
こうしてわたしたちが担うもの、
その名でわたしたちを呼んでほしい
「樹木のように Ⅱ 」
樹木のように
わたしたちがしきりと
探っているねは
暖気で、
それは
この目ではなく、
このぼやけて
体で探す、
内に縫いこまれた
天使が探す。
斜め上へまっすぐ
なぜなら
じっとしたまま&
喜びにこの負傷を
見つけさせる
方法はあるから。
低く鳴る
音の
ように
わたしたちの
頭を
喪失に
洗われている
ときでさえ。
わたしたちは
おたがいの
いちばん良いところを
つかんで、
&始める。
『わたしたちの登る丘』も収録されています。
謝辞の最後に「わたしは黒人作家たちの娘。縛めを断ち切り、世界を変えた自由の闘士たちの裔。かれらがわたしを呼ぶ。わたしはかれらを担いつづける。愛を、アマンダ」と綴られています。
人種差別の活動家としても、若い闘士の雄叫びの詩もあります。
翻訳の鴻巣友季子さんの詳しい解説も、こね若い詩人を讃えています。
なかなか、受け止めるのが大変な詩が多いですが、読み応えのある素晴らしい詩人さんですね。
若い詩人の内面からの言霊に、身震いを感じる真摯な詩に感動を覚えます。