あらすじ
1945年、妹のローラは車ごと橋から転落して死んだ。あれは本当に事故だったのだろうか? 年老い孤独に暮らす姉アイリスは、釦工業で財をなした町いちばんの名家だった家族の歴史と姉妹の来し方を振り返っていく……。ローラの手になる小説『昏き目の暗殺者』、次々と亡くなっていく親族たちの死亡記事、そして老女の回想が織りなすある一族の波瀾の歴史。稀代の物語作家が圧倒的想像力で描くブッカー賞、ハメット賞受賞作。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
上巻の半分くらい読んで、まだ何の話なのかが掴めない。北米大陸の赤狩りの話?
全体的に陰鬱な調子で物語が進む中、庭を始めとした自然の描写が美しいのが印象的。
上巻の後半から物語が加速してくる。「昏き目の暗殺者」の男女が指すのがアレックスとローラだと思ってたけど、リチャードが絡んでくる辺りから、ローラじゃなくアイリスなのかも、そして、作者もローラではなくアイリスなのではないかと思われてくる。
にしても、回想で語られるアイリスの無知と無力に比べて、老境にあるアイリスの皮肉屋にして頑迷ぶり、そのギャップに時間の残酷さを思い知らされる。そして、アイリスにそれ相応の教育がなされ、母や祖母の後ろ盾があったなら、と思わずにはいられない。
あと、カナダを舞台にした小説を『赤毛のアン』しか知らなかったことに気づいた。ギャップすごい。
ウィにフレッドは、あれだ、朝ドラのいびり役。ムカつくんだけど、ドラマの盛り上がりには欠かせない。
Posted by ブクログ
入れ子構造になった複雑な物語。
・人生の終盤を迎えたアイリスの現在と回想。
・車ごと橋から落ちて、若くして亡くなったアイリスの妹、ローラが、生涯に1作だけ書いた小説『昏き目の暗殺者』
・その小説自体も、人目を忍んで逢瀬を重ねる男女の逢い引きのなかで、男の口から、とある惑星を舞台にした物語(それこそが『昏き目の暗殺者』)が語られていく。
……とまあ、自分の頭の中を整理するために書いてみた。
ちょっと長くて、どれもこれも謎ばかりなので、わくわくというよりは少し読み疲れる感じもあるのだけど、それでも下巻は読むつもり。あと、老いに対する容赦ないぶった切り方など、どきっとするところも多くて、この呵責のなさってアトウッドの特色なのかなと思ったり。(2、3冊読んだくらいでえらそうなこと言うな)
Posted by ブクログ
中々に手ごわい小説です。
久しぶりに読み終わるまでにひと月以上かかった(^▽^;)
下巻があるので、まだ時間はかかると思いますが、読むのを止めるという意識はないです。
財を成した名家の一代記であり、また死んだ人間が書いた小説『昏き目の暗殺者』が交互に物語を形作り、その合間にゴシップが入る。
時代は第一次世界大戦から第二次世界大戦後にかけて、一族の没落や家族が重たい小説ではありますね。
この段階で感想はこの程度しか書くことができないですが、下巻でローラが真に何を描きたかったのか、そしてローラの姉であり語り手の『わたし』であるアイリスが最後まで何を語るのかを読みづつけたいと思います。
『侍女の物語』や『誓願』はあまり時間もかからず読めたのですが……。
ですが、続きも追いかけていきましょう!
Posted by ブクログ
アトウッドの代表作。色んな書評やらで見かけて、いつかは読みたいと思ってた作品を、文庫化にあたって入手。あと、ノーベル文学賞授賞かも、っていうタイミングもあって。でもそれは逃したけど。メタフィクションの体を取っているけど、それぞれが章立てで区別されていたり、登場人物もそこまで多くなかったりするから、前半を読み終えた印象として、難解度はそれほど高くない。自分の理解度が低いから、単純にこれ以上だとついていけない、っていう話だけど。最初に提示された、妹の死にまつわる謎を解き明かすのが本題だとは思っているんだけど、この超大作の果てに、どんな結末が待っているのか、期待大。