鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 風と共に去りぬ 第2巻

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    1巻目の色が、花々が咲き乱れたパステルカラーだったとすると、2巻目は戦争で民間人の命をもが危ぶまれる黒と灰色。
    そんな中でスカーレットは心中で本音や悪態を呟きながら、なんだかんだでメラニーの世話をし、どうすれば今、一緒にいる人たちが戦火から逃げれるか考える。
    本人が望んでいなくても、人を引っ張っていく、強い人生になるんだな、と思いました。まだ19歳なのに。

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    2026年05月25日
  • 誓願

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    誓願読んでよかった。
    侍女の物語ではわからなかったことが、こちらでは少しずつわかってくる。男性の極端なロリコンは日本だけかと思ったが、そうでもないんだな。
    まぁこの物語の中の人物が特殊なのかもしれないけれど
    ディストピア小説としての展開も気になるが、女性の尊厳に対して改めて考えることになる小説でもあると思う。

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    2026年05月09日
  • 小説、この小さきもの

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    なぜ、物語の批評を共感で語るのか。

    それは、現代が趣味や志向を肯定しつづけてくれるサービスに触れつづけ確証バイアスを肥大させている時代だからだという。
    その著者の分析に大いに賛同し、行く末を思って怖くなった。

    いま、読書離れといわれる時代で、物語もよりわかりやすい(共感性をえやすい)ものが売れる時代になってきているように感じる。
    他者性が複雑に織りなされた物語は、結局何が言いたいのかわからないとバッサリ切られる時代だ。
    そういう人は、AIが要約した文章で事足りるから、とますます本から遠ざかっていく。

    本書を読んで感じるのは、文章に織り込まれる人称や、過去形、現在形、二葉亭四迷の「完了形た

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    2026年05月05日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    大変面白く読んだ。日本文学がこんなに世界で活躍するとは…隔世の感あり。旅行先としても大人気だし…わたしが子どものころは考えられなかった。時代は変わりますね。
    2025年6月時点のイギリスの翻訳文学トップ50のうち23作が日本語作品だった(p33)とは驚き。

    川上未映子のインタビューでの発言が興味深い。
    「川上は村上の賞賛を得ていただけではなく、2017年には村上に対してその創作や世界観に深く切り込んだロングインタビューを4回に分けて行っている(日本では『みみずくは黄昏に飛びたつ』として新潮社より刊行)。おこでの大作家に対する鋭い質問とやりとりが、英訳書の発売前にアメリカで人気のウェブ文芸誌「

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    2026年05月04日
  • ほんのささやかなこと

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    アイルランドの昔の話だろうと読み始めたら、舞台は1985年代でわずかまだ41年前の事だった。読後、本書では”グッド・シェパード教会”となっている"マグダレン洗濯場”を調べてみた。”マグダレン洗濯場”とはどこかで見聞きした記憶がある。映画だっただろうか? 
    "マグダレン洗濯場”は政府とカトリック教会が後援していて、恵まれない少女や女性が事実上監禁され、働かされ、虐待を受けた施設だったとある。200年以上も存在し、閉鎖されたのは1996年!アイルランドの闇を思わずにいられなかった。
    ここまで書いたレビューを止めて、もう一度本作を最初から読みなおした。訳が堅く感じられて(久々の外

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    2026年05月04日
  • 嵐が丘

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    ネタバレ

    エメラルド・フェネル監督の映画公開をきっかけに手に取りました。

    めちゃ面白かった。何世代にも渡る、壮大な復讐劇であり、愛の物語であり、土地と権利の物語であり、憎しみと後悔の物語であり…。

    また、ネリーの視点から語られる構造が、より物語に引き込まれる。彼女、彼の本当の姿は?謎に包まれたまま、物語は進み、世代が入れ替わっていく。

    嵐が丘と鶫の辻という2つの一族の狭い世界、行動範囲も基本的には両家の行き来のみだし。でもこんなにスケールの大きい壮大な物語だとは。

    古典好きな方にはオススメ!

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    2026年04月26日
  • あずかりっ子

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    7歳くらいだという女の子の視点で書かれているので、その子の理解が追いついていないために状況がよくわからないところもあり、女の子の不安や戸惑いが伝わってくる。たぶん、これまで彼女はあまり親に甘えられるような環境で育ってこなかったのだろう。でも、ひと夏の間、女の子を預かることになった親戚の夫婦は、彼女をちゃんとケアが必要な子どもとして接し、子どもらしくいられるようにする。訳者あとがきに、ケアの精神が自尊心を育み、他愛につながるとあった。女の子は、その家での生活がずっと続くものではないとはじめからわかっていて諦めているようなところもあったけれど、短い間でも育まれて彼女の中に残るものがあったと思いたい

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    2026年04月20日
  • ほんのささやかなこと

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    これが史実に基づく話だとは恥ずかしながら知らなかった。
    「マグダレン洗濯所」が実在したのが1996年までって…つい最近じゃん。
    天候のこと、日々の食事のことなどと同等に、淡々とその事実を著者は記す。だからこそその事実が重苦しくのしかかる。
    最後にファーロングがする決断があったから、歴史は少し動いたのかな。現実にも誰かが動いたのでしょう。
    映画化「決断するとき」もぜひ観たい。

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    2026年04月20日
  • ほんのささやかなこと

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    読みたいリストに入れていたら、どうやら映画が上映中のようで、慌てて読みました。地方のため、小劇場で一週間限定でしか上映されないので、「これは観ておきたい!」という映画は即決しないと見られなくなるのです、、

    中編の静かな佇まいの一冊。内容も、無駄がなく、控えめで、多くを語らないという感じ。なので、よくわからないところも正直あって、滑りだしは今ひとつだったのですが、次第に引き込まれていきました。

    一般市民で、普通のささやかながら大切な生活を送っている主人公。巨大な権力には手も足も出せないのが世の常。主人公ファーロングは、偶然、権力に虐げられている人を目にしてしまう。一旦知ってしまったら、もう元

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    2026年04月18日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    この名作をはじめて読みました。鴻巣友季子さんの訳が美しい。自然の美しさ、登場人物の魅力が目の前に立ち上ってくるようです。
    スカーレットの未来、南北戦争の歴史も知りたい。2巻目が楽しみです。

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    2026年04月05日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    非常にためになる良書。翻訳を通して世界の構図がわかる感じが良い。著者の達観したスタンスもこのテーマと合っている。村上春樹の世界戦略とか、初めて知ってへーという感じ。

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    2026年04月01日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    タイトルの通り、日本文学が英米でどのように、そしてなぜウケているのかを説明している。
    butterなど日本文学が海外で注目されているというニュースをよく見ていたが、本当にそうなのか疑問だった。
    データを元にどれくらい人気があるのか示してあり、その理由はそもそも翻訳文学が盛り上がっていることにあるとのことで、納得がいった。
    日本後から外国語に翻訳されている本も気になったが、中南米やインドなど、非英語の言語から訳されている本も読みたくなった。

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    2026年03月31日
  • ほんのささやかなこと

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    クレア・キーガンは「Walk the blue fields」と「Foster」は原書で読んでいて、読むのはこれが3作目ですが、これまで読んだ3作品の全てが本当に素晴らしい。

    丁寧な日常の描写の中にふと差し込まれる違和感と、主人公が自らの生い立ちを振り返って、後悔をしないための選択をするまで、彼の感情の流れを読みながら一緒に追体験できるような臨場感のある描写がすごく良かった。

    この先、彼には多くの困難が待っているはずだけど、それでもなお、その選択は「後悔しないための決断」というよりも、彼が彼である以上そうするしかなかったもののように感じられた。

    しかし、この出来事が1980年代だというの

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    2026年03月31日
  • 嵐が丘

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    大学時代に卒論で取り上げた大切な一冊。
    嵐が丘でしか味わえない空気感に、まさに虜になってしまいました!
    色々な要素が無駄なく絡み合いながら、壮大だけども非常に個人的な唯一無二の世界が作り上げられていると思います。だからこそ200年にわたって、さまざまな形でアダプテーションされ続けているのでしょう。
    これからも読み続けます!

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    2026年03月28日
  • 恥辱

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    犬の眼差し

    文が強く鋭い。主人公である50代男の現実的な視線をよく表現している。南アフリカは社会面でも自然面でも日本と違う土地だが、見える風景に対する毒づき方にはいちいち共感した。彼は西欧文学に通じる大学教授。西欧白人社会の偽善にうんざりしていて、口からは皮肉しか出てこない。その南アフリカは、ケープタウンから少し郊外に行くだけで、そうした偽善の裏側にある野生的で危険で不条理な社会がある。彼は学内のセクハラで訴えられ、追われるように娘の住む郊外に行くが、娘を食い物にして消化しようとしているその不条理な社会にも憎しみの目を向ける。鋭い社会批判小説だが、その視点は白人社会にも黒人社会にも置かれず、

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    2026年03月28日
  • ほんのささやかなこと

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    衝撃。1996年に施設が閉鎖されるまでこんな非人道的なことが国家規模で暗黙の了解でまかり通っていたなんて。2013年にようやく政府が公式謝罪したなんて。しかもこんな重大なことを記録に残すフィクションやノンフィクションがほぼ存在しないなんて。並行して読んでいるアトウッドの小説の世界とも完全にダブり、映画も現在上映中のようだからぜひみておこうと思う。犠牲になった女性たちの鎮魂のためにも。
    ある平凡で幸せな一家の穏やかで誠実な父親の勇気と正義が風穴を開けるがその後この一家はどうなるのか。彼自身も未婚の母親の子供だったにも関わらず母親の雇い主である気概のある女主人のおかげで悪の施設に行かされることもな

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    2026年03月28日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    ここ最近、川上未映子や村田沙耶香ら日本の女性作家の翻訳作品が英語圏で売れている。ちょっと前まで村上春樹一強のはずが何が起きたのか。読み手の変質(特に英米)はまあそうだろうが、書き手と読み手に挟まって日の目を見なかったプロフェッショナル達が評価されてきたというのはいい傾向だなと思う。

    あとAIによる翻訳についても言及があって面白い。アメリカの翻訳者が言うところの、死のない書き手による文学に興味はないってのは普通の読者はそこまで達観しないだろうが、AIの作った文学に何となく忌避感があるのは最終的にはそこに行き着くのかも。

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    2026年03月25日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    人生を変えそうな小説。訳が相当良くて、夢中になって家にこもって読破しました。南北戦争と黒人差別、タラやアトランタの情景、スカーレットの強さと弱さ、メラニーの愛、魅力的なレット、タラのご両親、そしてアシュリ…。とにかく盛りだくさん、というかぎゅーっと濃い濃い読書体験でした。

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    2026年03月22日
  • ほんのささやかなこと

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    早くも、2026年の小説のベスト候補となる小説に出会ってしまった。

    日本語に不自然なところが多く、英語版と並行して読んだが、伝統的なアイルランド小説の流れを汲むと思しい散文的というか、1人称に限りなく近い3人称で思索の流れを中心に読者が主人公の思考に没入して類推していくことを強いるような文体で、翻訳が難しいところもあったのかと思った。

    内容は、強い衝撃を受けた『ドイツ亭』を思い出さずにはいられない。社会的な事象を、一人の人間のあり方として具体化して示すことで胸がしめつけられるような思いを抱かせる。ラストも救うでもなく絶望させるでもなく、読者をただ複雑な現実に放り出す。ウイスキーをぐいっと飲

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    2026年03月20日
  • なぜ日本文学は英米で人気があるのか

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    ​漫画などのサブカルチャーの枠を超え、現代の日本小説が英米で「正統な文芸作品」として確固たる評価を獲得している現在地を解き明かす一冊。
    ​特筆すべきは、その人気の理由を歴史的・社会的背景と接続させた分析の鋭さ。9.11以降の不安やブレグジット等に揺れる社会の閉塞感。そこに、日本の女性作家たちが描く多様な価値観や、猫・ヒーリングをテーマとした中編小説が、現代人の精神的渇望を満たすものとして合致しているという見事な構造的理解。
    ​また、このムーブメントの裏にある「翻訳者」の存在への着目。文化的文脈や解釈を深く理解し、言語の壁を越えて共感を再構築する彼らの媒介なしに、いまの熱狂は語れないという確信。

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    2026年03月08日