鴻巣友季子のレビュー一覧
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ネタバレ短い物語ですぐ終わってしまうので、大切に丁寧に読んでいく。
はじめから、心に響く文章がいくつも登場する。
秘密は恥。
黙っていることは良いことだ。
信じて良い人は見極める。
手をかけて育てる。
丁寧な言葉遣い。
礼儀正しく。
嘘をつかない。
ギャンブルをしない。
噂話をしない。
教養。
子供を亡くした夫婦で、崩壊する話はたくさんあるが、ここでは夫婦のお互いの愛情と優しさで支えあっている。
周りに噂好きの友人達がいても、自分さえしっかりと愛を持って生きていたら、腐らない。
黙っとく。
人生って、苦行ではなく、心のままに愛を感じる素晴らしい日々。
腐ってる人の家は散らかっていて、顔もキツい。
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まずタイトルにそそられた。子供の頃、エニドブライトンのおちゃめな双子やはりきりダレルを読み、美味しいに違いない未知の食べ物を頬張る少女たちの描写にワクワクした私。赤毛のアンを読んで、素敵に違いない未知の生地のお洋服の描写にうっとりした私。あの頃読んだ外国の本は、よくわからないけど素敵そうなもので溢れていた。その感覚を思い起こさせるようなタイトル。ギンガムチェックと塩漬けライム…!
どうやら同じような子供時代を過ごしていたらしい著者は、翻訳家で文学評論家。本書では彼女が子供の頃や若い時分から読んできた外国文学の解説が載っていて、外国文学への良い入り口になると思う。堅苦しくなく親しみが持てる語り -
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ネタバレクレア・キーガン2冊目。
映画「コット、はじまりの夏」の原作。映画は観てないけど。
ほんのささやかなこと、がとても良かったのでこちらも購入。
アイルランドの子沢山な農家の女の子、わたしがお母さんが赤ちゃんを産んで安定する前までに親戚のおばさん/おじさんに預けられて
愛情を受け、ケアされて成長するお話。
とても切なくて、悲しくて、泣きながら読んだ。
おばさん/おじさんは、子沢山で貧乏な…農家で育ったわたしをケアしてくれる。街に出て綺麗なお洋服を買い、言葉遣いを教え、体を綺麗に洗ってお風呂に入れて。
中盤、おばさん/おじさんには実は子どもがいて、不慮の事故で亡くなってしまったことがわかる。わた -
購入済み
最高
映画で観たタラやアトランタの風景を思い浮かべながら読んだ。スカーレットだけでなく、全ての登場人物と南部という土地について、その魅力・欠点・醜さ・崇高さを生き生きと描き出している
マーガレット・ミッチェルはこれ一作しか書いていないというのが残念
他の小説も読んでみたかった -
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「待女の物語」の15年後の物語
指導者のリディア小母
司令官の娘アグネス
カナダで暮らすデイジー
それぞれの立場で日々
暮らしながらも
何かを求めていた
デイジーの両親が
殺されたのをきっかけに
思惑が動き出す
ギレアデを告発し、自由を掴むために!
国民の婚姻、生殖、子育てへの介入、管理
教育と言語の抑制
文化、芸術、学術への弾圧
歴史上、あるいは現実にも
存在するこれらに対する
抗議が網羅されている
さらにそれに加えて
この物語には無謀な冒険がある
生きようとする力
自由を求める力
大きな革命のために
自ら犠牲になる少女
思わず、頑張れ!と
叫びつつ
読むことを止められなかった
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自分の近くに社会的の闇があることに気づいたとき、どのような行動をとるべきなのだろうか。
果たして自分は、正しいコトができるのだろうか。『ほんのささやかなこと』を読んでそんなことを考えた。
1985年のアイルランドの小さな町のクリスマスシーズンの数日間を描いた物語である。
石炭と木炭商人のビル・ファーロングが配送先の修道院で見窄らしい恰好で働く女性を見つけて助けを乞われることで、その社会の闇に気づき、といった話である。
アイルランドの「マグダレン洗濯所」という悲劇をモデルにした物語であり、恵まれない境遇の女性を取り上げている。
本書を読むまでは「マグダレン洗濯所」という悲劇を知らなかった。ま -
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1985年、アイルランドの小さな町
クリスマスが近い十二月の話
主人公の石炭販売店を営むビル・ファーロングには、妻と五人の娘がいる。
これまで苦労も多かったが、今は何とかささやかで平穏な日々を手に入れている。
ところが配達先の女子修道院で目にした光景をきっかけに、どうしようもなく心が動いてしまうのだ。
その光景とは修道院の附属施設の〝洗濯所〟
これはアイルランドに1996年まで実在した教会運営の母子収容施設と「マグダレン洗濯所」をモデルにしているらしい。
洗濯所は政府からの財政支援を受けてアイルランド各地で営まれていたもので、ひどい女性虐待がおこなわれていたという。
こんな恐 -
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ジョイスやプルーストと並び称されるモダニズム作家の珠玉の名作。
第1部と10年後の第3部はラムジー家の夏の別荘でのそれぞれの1日。それを結ぶ第2部は10年という2つの時間を家人が不在の中で語られる個人的な出来事や第一次大戦を交えた短いエピソードの中で深い悲しみとともに濃密に結びつける。
主人公一家とその知人たちの移り変わる心模様を木々や風、海や芝などと時間の流れに合わせて淡々としながらも豊かに表現された言葉の数々に心が揺り動かされ、いつのまにか心の片隅にじんわりと残る不思議な作品。
舞台となったスカイ島のスコッチウイスキー、タリスカーとともに愉しんだ一冊。 -
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「侍女の物語」の15年後を描く続編。
こちらは前作と立場がまるで違う3人の女性それぞれの視点から全体主義国家「ギレアデ共和国」がいったいどのような国で、監視社会としていかに女性の人権を蹂躙していたのか、その隆盛から崩壊するまでが描かれる。
前作から35年後に書かれたこともあり前作の閉鎖的で陰鬱な文体から一転しアップテンポなスピード感のあるポップな文体でエンターテインメント性に溢れ、登場する女性たち全てのその懸命な生き様に魅了され、本から読む手を離させないエキサイティングな展開でワクワクさせられた。
前作を読み終えた時には喪失感に胸が苦しくなる思いがしたが、今回は「救い」があり穏やかな読後感を得 -
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リディア小母、デイジー、アグネスの視点で描かれる、「待女の物語」の15年後のギレアデ、その腐敗と崩壊について。前作はオブフレッドの独白という形だった為見えなかった、ギレアデの全体像と細部、そのなかで生きる人々がしっかりと描かれていて、非常にエンタメ感があり、本当にかなり、とにかく、面白かった!!立場が違うと見え方が違うので、読んでいるほうもたくさんのカメラで見ている感覚になり、700ページの長編だが最後まで全く飽きることがない。
感想を書く為に読み返していてまた何回も泣いた。
シスター・フッドここに極まれり!570ページ「心臓止め」からラストまでの量みかけるような
激動の描写は特に圧巻だっ -
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Posted by ブクログ
人間の嫌らしいところ…人を陥れる心の動き、卑屈な精神とその態様、驚くほど残酷な側面、、リアルに表現されてた。それは人のネットワークを制限され、文化との接触を極限まで限られた不自由な暮らしを受忍させられてる人間の、どうしようもなく人間らしい歪み方、生き方なんだと思う。同じ状況なら自分もそうなると思う。
それでも、そんな中でも状況を変えるために自分が犠牲になることを分かっていて、国家の敵になる危険な行為をする知恵と勇気を持てるのもまた人間なんだよね。
そんな社会にならないように、〇〇ファーストとか、差別を助長するような(人間区別しだすと際限がなくなるのは歴史が証明済)言説にノーと言っていくことが、