鴻巣友季子のレビュー一覧

  • 灯台へ(新潮文庫)

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    意識の流れ文学というジャンルがあることを知らず読み始めたので20ページくらいまでは全然内容が入ってこず、挫折しそうになった。あまりにも難しくてネットで調べて、予備知識を入れてから読み始めるとかなり読みやすくなった。

    語り手の内面描写(心情、回想、幻想)がグラデーションのように滑らかに描かれ、あえて語り手が判然としない文章がはさまったり、いつのまにか語り手が変わっていたり、斬新な比喩が出てきたり、集中して読まないと話がわからなくなってくるが、集中して読んでいるとどんどん話に引き込まれて、読むのがやめられなくなる。
    普段、自分の思考の流れを意識したことはないが、何かを考えているときに他に意識がそ

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    2025年05月01日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    文体が面白かった。最初に語っていた人物が話しかけると、その後は話しかけられた人から見た文体になっていて、また何かをきっかけにある人へと変わる。その繰り返しなのだが、私にはとても読みやすくて楽しかった。もっと難しい小説だと思っていたが、その文体が楽しくて一気に読んだ。内容を語れるわけはないが、なんというか好きな世界観だった。心地良い小説。

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    2025年04月29日
  • 風と共に去りぬ 第5巻

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    この世は立体世界
    だから端と端は一致する。
    スカーレットとメラニーは両極端であるからこそ近しい。

    レットに世の中を語らせ、スカーレットの滑稽さと逞しさに先進性を潜ませ、真の強い普遍な存在のメラニーに“神”を感じさせる。

    立派なひとは一人もいない、アクの強い人たちが繰り広げる壮大なゴシップ物語

    ただ、物語の世界ではおおよそは異端児だったレットも、娘ができた途端に普通の人であることを暴露した。

    やっぱりこの世界は女性のものだ。

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    2025年04月23日
  • 風と共に去りぬ 第3巻

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    最終巻で感想を書く

    南北戦争の影に隠れた本当の戦い、それは「何をしても生きる」というスカーレットの壮絶な戦い

    「明日考えよう」
    ちっともヒロインらしくない、
    憎らしいほどのこの主人公が愛おしい
    さぁ、後半へ突入

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    2025年04月16日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    文体に最初なれず、投げ出そうかとも思いましたが、読むうちにどっぷりハマってしまいました。そうそう。人を見る、人に見られるってこうだよねっていうこと。結局自然の一部である人間ってアイデンティティというよりもこう行き来する存在なのだという考え方もあるのねと。

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    2025年04月13日
  • ほんのささやかなこと

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    ファーロングという男性が、不遇の女性(少女)のために行動を起こすのがよかった。そこに至るまでの彼の過去、現在を丁寧に中編にまとめているのもよかった。彼が未婚の母のもとに生まれながらもウィルソン夫人たちの加護のもとに育ったこと、家族を持てたことで問題意識をフラットに、熟慮することができたのも大きいのではないかもしれない。声高に日々、活動する訳では無いが「ささやか」ではあるものの、それが誰かの心や命を守る大きな一歩だと感じた。

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    2025年04月04日
  • ほんのささやかなこと

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    アイルランドの小さな町で日々働いて一家を養う主人公ファーロング。彼の出自以外は退屈といってもいいくらいのささやかな日常生活が淡々と語られるのだけれど、どこか落ち着かないというか不穏なものを感じさせられる。
    最初はファーロング自身が抱える自分の来し方や将来への漠然とした不安なのかと思っていたが、それだけではなかったことに驚き。そして実話を元にしていることにまた驚き。
    ラスト、決然と一歩踏み出したファーロングの姿に勇気づけられた。

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    2025年03月17日
  • 風と共に去りぬ 第1巻

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    ずいぶん前に映画を見た時は、主人公のスカーレットが性悪でキツイ性格だという印象しか残っていなかった。
    なぜ世の中でこれほどまでにスカーレットが憧れの対象になっているのかがわからず、原作を読み始めた。
    1巻は南北戦争前の平和な頃の話。
    ひたすら登場人物の説明ばかりで、少々読むのが苦痛にもなったがレット・バトラーの登場くらいからは今後の展開にワクワクした。
    まだまだ先は長いが、全巻完走したい。

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    2025年03月08日
  • 緋色の記憶〔新版〕

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    土瓶さんの『夜の記憶』のレビューに触発されてトマス・H.クックを初読み。

    平穏な村に美しい女性教師が訪れたことによって起こった事件は、どんな悲劇だったのか…

    いや〜焦らされる。
    こうして思い出すと…、あの時はまだ…、こんな恐ろしいことになろうとは…みたいな思わせぶりにずっと焦らされる。
    「一体何が起きたのよ〜、早く教えて!」という思いからどんどん先へと読まされていく。

    ヒロインの登場シーンは、色や音や空気感までもが映画のスローモーションのようにゆっくり描写されている。

    クック作品の比喩で「雪崩を精緻なスローモーションで再現するような」と言われているのがすごい納得できる。

    描写や言葉一

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    2025年02月22日
  • わたしたちの担うもの

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    アマンダ・ゴーマンさんの詩集ですね。
    アマンダ・ゴーマンさん(1998年、アメリカ生まれ)
    詩人、活動家。全米青年桂冠詩人受賞。
    2021年1月、ジョー・バイデン大統領の就任式で、自作の「わたしたちの登る丘」を朗読。
    訳は、鴻巣友季子さん(1963生まれ)
    翻訳家、文芸評論家、エッセイスト。

     アマンダ・ゴーマンの第一詩集。
    『彼女の詩は苦難の瞬間をとらえ、希望と癒しのりリックに変える。歴史、言語、アイデンティティをかけめぐり、想像力豊かに、そして親密に、ことばをコラージュし、ときに消去する。パンデミックの悲嘆をうけとめ、悲痛のときに光をあてる。彼女はわたしたちの過去からのメッセンジャー、未

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    2025年02月21日
  • NHK「100分de名著」ブックス マーガレット・ミッチェル 風と共に去りぬ 世紀の大ベストセラーの誤解をとく

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    さらっとしか読んだことがなかった本作だが、スカーレットとメラニーの友情、レッドバトラーの愛、また南北戦争に敗れた南部を襲う苦難とKKKの台頭など、いくつものテーマが織り交ぜられた名作だと再認識。

    スカーレット・オハラの "Tomorrow is another day." (明日という日は今日より必ずいい日にしてみせるわ)こそが「風とともに去りぬ」のキーワード。

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    2025年02月09日
  • 文学は予言する(新潮選書)

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    鴻巣さんの知識量に圧倒 鴻巣さんの知識量が惜しげなく披露されていて(しかしほんの一部なのだろうと推測する)それに触れられるだけでも楽しい。
    大概、この手の本はあくびを噛み殺しながら読むのが常なのだが、鴻巣さんの文章は小気味が良くて電車の中であっという間に半分ほど読み終えた。
    「侍女の物語り」「誓願」など彼女が訳した小説にも俄然興味が湧いた。
    読書好きはぜひ一読してほしい。

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    2025年12月18日
  • ほんのささやかなこと

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    世界の中に、このようなものの感じ方をする人間がいて、それを小説として世に出してくれて、極東の国で翻訳され、噛み締めることができる、という奇跡。

    さらに映画化もされ、来年公開されるという。
    昨年見た映画「コット、はじまりの夏」の原作者だと知って、膝を打った。いい映画だった。親からの愛を感じられない少女が過ごす一夏の叔母夫婦での思い出。机のビスケットが繋ぐ叔父との心の交流。
    あの静謐な作品と確かにテイストは似ている。
    予告編を見たけど、映画を見るのが今から楽しみだ。

    こういう小説を読むと世界は繋がっているなと思う。アイルランドの「マグダレン洗濯所」の歴史を知ることもでき、クレア・キーガンの見つ

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    2025年01月19日
  • 灯台へ(新潮文庫)

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    複数の翻訳を読むことでいろいろな解釈が読み手の中で重なり〜と訳者あとがきにもあったことだし、岩波版も読んでみようかな
    掴みきれなかった、で終わらすのはもったいないような気がするんですよね

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    2025年01月12日
  • 全身翻訳家

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    ああ、この感性が好き 鴻巣さんのことを何で知ったのか。
    翻訳家のエッセイは面白いと聞いて、求めたうちの一つだった。
    良い。
    非常に良い。
    私の好みだ。
    鴻巣さんの感性にとても共感する。
    そして、各エッセイちゃんと粋な「結」の文がある。
    それがまた良い。
    ああ、もっと掘ってみたいと思わせられたエッセイだった。

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    2025年12月18日
  • 老いぼれを燃やせ

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    おっさんおばさんはみんな読むと良いと思う。単なる懐古趣味や昔は良かったではなく、痛快で小気味良いのにしみじみと時の流れの恐ろしさを感じてしまう不思議な読後感を味わえる。
    かなり好き嫌いが出る作品がほとんどだと思うが、おっさんである私は十分楽しめた。

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    2024年12月04日
  • 誓願

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    侍女の物語よりは読みやすかった。そして、希望がある。

    今世界中で、学校や世の中で、読み書きや社会について知ることを禁じられている人たちは、どれだけいるのだろう。
    今さえよければとか、自分が生き残るためになどの理由で、してはいけないとわかっていることをやってしまう人たちは、どれだけいるのだろう。

    善人が安心して生きていける世の中であってほしい。

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    2024年11月23日
  • 老いぼれを燃やせ

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    表題の『老いぼれを燃やせ』がなんというか非常にタイムリーで、鴻巣さんがよく言っている「予言する作家」としてのアトウッドの凄さがよくわかる。
    他の短編はまあまあ、突き抜けておもしろい作品があるわけでもなかった。

    一箇所気になったのが、カベルネソーヴィニヨンの白が出てくるところがあって、そんなのあるの?と思った。調べたら一応あるらしいけど、そんな珍しいワインを登場させる意味があったんだろうか。

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    2024年11月03日
  • 誓願

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    ディストピア小説。女性は階級に分けられ、性の道具として扱われる。
    ジョージ・オーウェルの監視社会のほうが好み。

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    2024年10月17日
  • 緋色の記憶〔新版〕

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    ミステリーに分類されているが、ネタバレや謎解きに重きが置かれている訳ではない。
    事件発生までの時系列に加えて、主人公の少年が老齢になった現代の描写や裁判の公判での証言を織り交ぜることで飽きの来ない展開がされている。
    少年の一途な心理が描かれているが、大人の自分としては、彼が興醒めする大人側の視点で考えてしまう。学校長の父親に対する評価が、主人公の少年と女性教師で違っていたことが判明し、彼自身の成長に併せてそれも変遷していくことが描かれている。美人教師の赴任に端を発する事件の裏で展開される、親子や家族関係がテーマなのだろう。
    一つ気になったのは、主人公の心理描写と重ねられて陰鬱に描かれているチャ

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    2024年09月26日