【感想・ネタバレ】わたしたちの登る丘のレビュー

あらすじ

2021年1月、バイデン大統領就任式で朗誦された一篇の詩。
アメリカの、世界の分断を癒し、ともに立ち上がろうというメッセージをうたいあげ、全世界に感動を与えたわずか21歳の桂冠詩人こそが、アマンダ・ゴーマンでした。

シングルマザーに育てられ、幼い頃には言語障害にも悩まされました。今でさえも黒人であることで差別を受けるといいます。そんな生い立ちから米国議会図書館の支援で世に認められ、全米青年詩人賞を受賞して時代を代表する詩人となった彼女が、団結の象徴として書き下ろした圧倒的な「うた」。それが本作『わたしたちの登る丘』です。

この『The Hill We Climb』のみを収録した単行本は、米国で初版100万部を刷り、各国で版権の争奪戦に。雑誌『文學界』に掲載された、鴻巣友季子さん渾身の訳業も大きな話題を呼びました。

そしてこのたび、満を持して日本版を改めて文庫として刊行します。英文と対照できる対訳形式も掲載。鴻巣さんによる背景解説、そして日本版だけのスペシャル企画として芥川賞作家、柴崎友香さんと鴻巣さんの解説対談を収録します。さらに、大坂なおみさんも特別コメントを寄せてくれました。

就任式以降も、スーパーボウルでのスピーチ、『VOGUE』誌のカバーに登場、「Met Gala」では大坂なおみ、ビリー・アイリッシュらと登場、と「Z世代」を代表するスーパーセレブに駆け上っている彼女。
現代を代表することばの紡ぎ手であり、多様性を象徴する存在である彼女の「うた」を堪能してください。英語学習のテキストとしてもおすすめです。

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Posted by ブクログ

勉強してたので5月の新刊を今頃。

「あ、詩だけじゃなく解説も対訳もある。良さそう。」って、割と軽い気持ちで買ったのですが、一冊で何度も楽しめる深い中身でした。いい文庫本だ。作りも可愛いし。

米の若き詩人、アマンダ・ゴーマンが大統領就任式で朗読した詩の本。
①翻訳詩
②訳者鴻巣友季子さんと柴崎友香さんの対談。(文學界に掲載されたもの)
③鴻巣さん解説
④原文と詩の対訳
という構成。

②③を読むと、詩の印象がまた変わるし、
そこそこ英語を読める人なら、まず原文を読んで、他の章を読み進めるとより楽しい。

趣味的に語学学習しているもので、まずこの解説部分がとても面白かった。
また、語学に限らずいろんな発見のある2つの章でした。

ここ数年、日本でも詩歌をはじめ短文が復権しているように思えるのですけど、
言葉を絞れば絞るほど、書き手にも読み手にも教養や感性、考えを精錬する時間が求められますよね。

沢山の人が言葉や短文の魅力を知ると、なにか豊かさに繋がる気がします。
"perfect" でなくてもいい豊かさ。

ボリュームのある本ではないけれど、発見と思考のヒントに満ちている素敵な本でした。

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2022年06月30日

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