田中慎弥のレビュー一覧

  • 田中慎弥の掌劇場

    Posted by ブクログ

    不思議な触り心地のする、黒と黄が印象的なカバー。装釘もどことなく妖しく美しい本文を想像させる。

    本書は田中慎弥氏が毎日新聞西部本社版に2008年から2012年の1月まで連載していた掌編小説を編んだ物である。
    新聞連載のため、時事を取り込んだ作品も多い。
    例えば《扉の向こうの革命》《感謝》などは震災を取り扱い、《男たち》では作者曰く『当時の政治状況を拝借』して氏が芥川賞のスピーチで言及した都知事や、乱読した作家たちが時代を超えて雑談に勤しむ姿が描かれる。《客の男》には当時プロ入り後間もなかったであろう、例の「王子」と思しき人物も登場する。

    『共喰い』に見られる地方色の強い濁ったストーリーが特

    0
    2013年02月28日
  • 図書準備室(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「図書準備室」「冷たい水の羊」の2編入り。「冷たい水の羊」、すごすぎた。いじめられっこの主人公は「いじめられたと感じたらそれをいじめ」といういじめの定義を採用し、「自分はいじめられていない」とし、ひたすらいじめを受け続ける。いじめの内容もかなり陰惨な部類に入る。主人公はただただ自分の中の論理でいじめっこを観察し、自分の論理に逃避する。ただ一人、先生にいじめがあることを報告した水原里子という女子と心中することを計画しながら。重い。でもあの結末、主人公がいつか「死ねなかった」ではなく「死ななかった」と思える日が来るのだろうか。
    「図書準備室」は芥川賞第一作の「夜蜘蛛」にも通じるものがある、現代に第

    0
    2012年08月16日
  • 切れた鎖

    Posted by ブクログ

    田中さんの作品としては、これが読んだの二つ目でした。


    短編の作品が三つ入っていて、各々、不意の償い、蛹、切れた鎖です。


    共食いと同様、文章が力強くて、短編なのに物凄く疲れるものでした。


    疲れるとはいっても、不快感はなく、本文といい意味で対峙している感覚になれます。


    三つとも印象には残りましたが、三つ目の切れた鎖が一番印象に残りました。


    正直、初め人間関係や、話しのつながりが把握できなくて、半分行く前に初めに戻って、やっと本の世界に入り込むことができましたが。


    自分の国語力のなさに改めて気づかされました。


    まだこの春休み本を読むとは思いますが、今のところ春休みでは、一

    0
    2012年07月21日
  • 田中慎弥の掌劇場

    Posted by ブクログ

    面白かった。少し寒気するような話、陰鬱な話。「男たち(一幕)」は声に出して笑ってしまった。

    動作の描写が素晴らしいと思いました。

    0
    2012年06月24日
  • 田中慎弥の掌劇場

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ゼミの課題図書でした。

    手に取ったときの印象は「随分と短いな」ということ、それとカバーのするりとしたちょっと変わった感触。指紋がつきやすそうだなぁ、と。



    読んでみての感想というか、読みながらの感想になるのですが。
    タイトル通り「掌編小説」が「陳列」されている、全体としてそんな雰囲気の本でした。

    好きな話とかを一つ一つ書き連ねるのも大変そうなので、大まかに思ったことを。



    まず登場人物にほぼ名前がついていないことが気になりました。
    もちろん「男たち(一幕)」は別ね。
    なぜだろうか。

    この掌編が毎日新聞に連載されていたものだと知って、あぁと思いました。
    新聞に載っている記事ってノン

    0
    2012年06月09日
  • 堕落論 住めば都のディストピア

    Posted by ブクログ

    「まっとうに堕落している」これは、落合さんが田中さん持っていた印象である。
    読む前は、世捨て人みたいなことを堕落というようなイメージを持っていたが、この本で堕落のイメージが変わった。
    世の中が求めるものに正しく答えるのではなく、そこから敢えて外れていく。これが堕落なのかなと。
    新たな視点を一つ教えてくれる本でした。

    0
    2026年07月26日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    必ず1日1回机に向かって文を書く
    毎日の習慣を形作る
    料理は自分でする
    本に向かって自分の世界を広げろ
    文学は内的世界を広げる
    孤独な作業が自分を作る
    自分の感情が入ったものでないと身につかない

    0
    2026年07月23日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    好みかと言われれば、そうではない。が、それでもなかなか面白く読んだ。確かな筆力を感じた。釣りの場面は本当に細かく描写されていて、筆者は釣り好きなのだろうか?

    0
    2026年07月18日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    誰でも気軽にアクセスできる場にあるものばかり取り込んでいたら他人と同じ言葉しか得られなくなる。
    自分と他人を差別化するような、底力のある言葉を養うには、もう少し手間をかけざるをえません。

    この感性が素晴らしい。
    言葉を扱うプロとして警鐘を鳴らされた気分。

    気を抜けば同じ言葉ばっかり使ってしまいがちだが、常に言葉のストックを足していって、かつ枯渇させないように留意せねばならない。
    そのためにはやはり活字に触れる事。
    様々なジャンルに触れる事。
    長く、早く喋れるとは、言葉に触れている人たちの特権。

    言葉の重要性に意識が向いたまま、”舟を編む”を読んだのも流れとして良かった。

    田中慎弥さんは

    0
    2026年06月28日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    芥川賞受賞のときより、気になっていた作家さん。 孤独というとネガティブなイメージがあるけれど、じぶんの時間を確保することの大切さを読んでいて感じた。 また料理することや、体力のために散歩するなどよく生きるヒントがあるなあと感じた。 何より本を読むことの大切さが伝わってくる。

    0
    2026年06月21日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    人に合わせなくてはいけないのかもしれない、社会に適応しなければいけないのかもしれないと自信を無くした時に戻って読みに来たい本。こういう生き方の人もいるから大丈夫だ。今いる場所、自分が全てではないと思わせてくれる作品

    0
    2026年06月09日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    優しくて、不器用で、誠実な内面が伝わってきます。いっそう応援したくなりました。とても折り目正しい生活をしている方です。

    0
    2026年06月08日
  • 図書準備室(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ニート主人公のクズっぷりが伺える祖母との会話シーン。異常に長い独白が身も蓋もない。ページを捲る毎に、祖母は遮ることもなく延々とこれを聞かされているのかと、ふと我に返る。
    小説というより漫談に近い独白が数十ページにも渡って気付いたら誰も居なくなって終わる。

    「冷たい水の羊」はいじめに遭う中学生の真夫が独自の理論でいじめを認めないことでなんとか生きる葛藤を描いている作品。故にいじめだと断定して心配してくる水原を敵視し、さらには殺意と性欲の対象にして憎悪を向けてしまう。
    各々の登場人物が自分の考えや心情を相手に向けているが、決してそれがお互いに交わることなく自己完結している。それぞれが、双方にとっ

    0
    2026年06月04日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    芥川賞受賞の表題作は、陰々滅々とした湿り気の多い文章が中盤にかけて続き、読みながら不快感が募っていくのだが、最終盤でそれらが濁流とともに押し流されていくカタルシスがあり、物語としてよく構成されている。
    併録される(芥川賞候補となった)『第三紀層の魚』の方には自死や死別といった重いテーマも持ちながら日常を淡々と描き、登場人物それぞれの語られない思いを想像する余白があって、どちらかと言えばこちらが好みである。
    オマケとして瀬戸内寂聴との対談が収録されるのだが、ケレン味だらけの大先輩の前で縮こまる田中慎弥氏が微笑ましい。

    0
    2026年05月16日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    YouTubeのレコメンド機能に流されて、気付けば死ぬほどどうでもいい動画を見ていたり、AIの間違いにイラついて問い詰めたり、最近そういうことが増えて自分やばいなと思ってたけど、まさに情報の奴隷ですね。

    特に印象的だったのは、田中さんが引きこもり生活中、親戚の叔父さんにそろそろ働けよ〜的な小言を言われたときに「それはそうだけど、そう言っているこの叔父さんは、川端康成じゃないしな」と思って聞き流していたというエピソード。めっちゃおもしろくて声出して笑ってしまった。川端と比べられる叔父さん不憫。
    田中さんは引きこもり中に本に没頭して、結果的に作家になれたからこのエピソードも活きますが、自分の甥が

    0
    2026年04月26日
  • 田中慎弥の掌劇場

    Posted by ブクログ

    宇宙の起源
    宇宙より前から生きているかもしれない鯨の、片方の目には宇宙の過去が。もう片方には宇宙の未来が映っている。綺麗で残酷なお話ですきだった。

    揚羽
    死んだ女にとまる揚羽と、カーテンレールを見上げる男。これもなんか切なくてすき。

    うどんにしよう
    わお。

    男たち
    わらうw金や麻生太郎、太宰治に三島由紀夫が対話してる。内容もおもしろすぎる。

    見えないもの
    暗闇すぎて悪夢。眼球が無くなったあとの穴に触れてみた、なんて怖い表現だけど、指先が微かに濡れた、ってなんか綺麗だなと思っちゃった。


    どれも悪夢みたいな話で、夢と現実の狭間的な話がすきな私には、すきな本だった。

    0
    2026年04月10日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    よくぞ生き延びてこの本を世に届けてくれた、ありがとうと思った。どんな苦難に満ちた人生でも小説という表現する場があることでよい教材になるし、誰かを照らしてくれるものになる。

    0
    2026年03月21日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

    Posted by ブクログ

    内容に関しては当たり前のことではあったが、
    自分が言語化できなかった部分まで深く理解することができた。

    0
    2026年03月11日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

    Posted by ブクログ

    面白かったです。

    一番思ったのは、主体性を放棄した思考停止の奴隷にだけはなりたくないということです。

    やってみようと思ったのは、古典や文学作品をもっと読んでみようということです。内容がよくわからない状態を怖れず、楽しみながら読めればいいなと思いました。

    田中さんが言っていた「棚からぼたもち論」は、すごく感心しました。せめてお皿を持ち棚の下に行き、手を差し出しておくことくらいはやらないと。とても励みになりました。
    やはり、怠惰だけはいけません。

    田中さんの小説も読んでみたいと思いました。

    0
    2026年02月06日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    作品を創るってどういうことなのだろうと考えた。
    何か作品を観ると、それが優れたものであるほど作者の事を知りたくなる。
    作品に内包された作者自身の苦悩、考え、生き方がその作品の魅力に直結している事は多いと思う。
    そういう意味でこの『死神』は、作者自身の人生と、小説的なフィクションを一緒くたに描くことで「創る」という行為の意味を読者に問いかけてきているように感じた。

    0
    2026年01月22日