田中慎弥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ主人公は、母の墓参りに帰郷したが、到着したのは故郷ではなく、全く見覚えのない景色。周りは軍服のような服装をしており、瞳も髪も日本人離れしている風貌な人ばかりだった・・。
ここは日本であるが、今現在の日本とは違う世界にスリップしてしまった主人公。右も左も分からず、拘束され”旧日本人”と差別され、隔離される。
日本の政治とは何か? 現在の政治から窺える日本の未来はどうなのか?・・考えられるであろう道筋が作中に落とし込まれている。
ただし、あくまでフィクションである。どのように感じ、考えるかは各々の捉え方だろう。今の政治に不満があるのか、無いのかで捉え方も変化するだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大変おもしろく読んだ。
共食いも宰相Aも正直途中で挫折したんだが、
これは、短いんで、もーだめだー、な瞬間がこず、最後まではい次はい次、な感じで最後まで読めた。
この人のはなんかいろいろ濃いので、好き嫌い分かれるだろうなあっと思う。
でも濃いけど、文章事体は分かりやすいとゆーか読みやすい。ので、この短さはちょうどよい感じ。
表題のイメージは深い。
「今日の昼飯」が結構好き。
「右傾化」には笑った。が「体験」がそれなりに実体験は入ってそうでコワイ。
表現の自由に鎖がまかれないことを願うのみ。
いや、願うだけじゃだめなんだろうが、
今回の選挙結果をみれば暗澹たる気分。 -
Posted by ブクログ
共喰い
独特の文体が 怪しい雰囲気をつくる。
サカナのにおいが 漂っている。
カタツムリが ゆっくりと歩いている。
怪しい文体にもかかわらず 凶暴な勢いがある。
登場人物の 抱えている闇は大きい。
昭和63年のころ。
篠垣遠馬は 17歳。高校生。
つきあっているのが 会田千種 18歳。
生みの母親は 魚屋で仁子。60歳。
戦争で 右腕の手首が先からなかった。
10歳年下の父親 円。
暴力を振るうことで仁子とわかれた。
決して美人というわけではないが胸と尻が大きい琴子
35歳が 父親と一緒に住んでいる。
登場人物の設定自体も ぐにゃぐにゃしている。
川が割れ目だと言う表現に、川の表情 -
Posted by ブクログ
田中慎弥の作品に出てくる人物の本当にどうしようもなさ。これこそが人間なのではないかと強く思う。本当に本当にどうしようもない。ろくでもないし、怒りもわいてくる。しかし、ひとつひとつの言動を取り上げるのではなく、総体として、人間はこういう弱さとか残忍さを抱えた存在なのではないかという疑念を払拭しきれない。しかしこのひとの本の、日本伝統純文学のど真ん中感はいったいどこから来るのか。少々時代錯誤感をわたしはかんじてしまうのだけれど、今、こういうものを発表する意味、というのはまあ著者の関係なのでしょうがないのだけれども、こういうものを読む意味、ということについて考えていくと、どうにもこうにもやっぱりしっ
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野球クラブでいじめに遭い、部屋に閉じこもってしまった息子に父親が語る父(息子にとっては祖父)との野球をめぐる物語…。というと何かハートウォーミングな話を期待してしまいそうだけど、全然そういう話じゃない。
父は実家の困窮のために中卒で働くことになり、野球を諦めた。仕事が決まった日、父は愛用のバットで自宅で飼っていた豚をなぐり殺して川に捨てる。野球への執着は野球賭博というかたちであらわれ、賭博のせいで身上を持ち崩して家を出る。妻と幼い子どもを置いて。その子どもが中学生になる頃、家を出た父から「野球をやっているか」という手紙がくる。ちょうどその頃、プロ野球の日本シリーズでは奇跡が起きようとしてい -
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第146回芥川賞はニュースにかなり取り上げられたのを覚えているだろうか。「共喰い」で受賞した田中慎弥さんの会見が非常に話題になり、また受賞スピーチでも一言で終わり、インターネットだけではなく、各メディアで大きく取り上げられた。その結果「共喰い」は大ヒットし、作家としての知名度が大幅に上がった。
もともと2008年に川端康成文学賞、三島由紀夫賞を受賞しており、何回も芥川賞候補になっているので、力はかなりある作家である。なんでもそうだが、実際に受賞した人は記憶に残るが、それ以外はすぐに人々に忘れ去られてしまう。会見及びスピーチで世間的にかなりイメージが作られてしまったが、王様のブランチや他の