田中慎弥のレビュー一覧

  • 完全犯罪の恋

    Posted by ブクログ

    3.8 誰かの人生や思い出に残る人でありたいと願う物語。恋愛はその可能性が高い関係である。一方的であることは多いけどね。まあモテてモテてと言う人生ではない人には刺さる話。

    0
    2025年06月26日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    女性が文学上で羽織らされる理想像の形にもかなり色々あるな...と感じた。海や川になにか大きなものを感じているのか、決して綺麗なものでは無いと描写する一方で心の拠り所になっているのが2作とも共通している感じがする。
    個人的には最後の瀬戸内寂聴さんとの対談が一番面白かった。源氏物語の話が読めて満足。

    0
    2025年05月25日
  • 完全犯罪の恋

    Posted by ブクログ

    「愛」と「完全犯罪」は両立するのか? 田中慎弥が描く、背徳の果ての純愛

    愛するがゆえに、壊さずにはいられない。
    奪うことでしか、手に入れられない。

    田中慎弥の『完全犯罪の恋』は、そんな危うい愛の形を突き詰めた物語だ。登場人物たちは誰もが孤独で、報われぬ想いを抱えながら、互いに深く絡み合っていく。そして、その果てにあるのは——「完全犯罪」と呼ぶべき、ある決断。

    田中慎弥の端正かつ研ぎ澄まされた文体は、まるでナイフのように鋭く、読む者の心を抉る。情熱と狂気が紙一重のバランスで描かれ、読み進めるほどに背筋がぞくりとする。そして、気づけばあなたもこの危険な物語の虜になっているだろう。

    「愛」とは何か? 「完全犯罪」とは何か?
    その答えが知りたいなら、この本を手に取るしかない。

    0
    2025年03月08日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    死神

    著者:田中慎弥
    発行:2024年11月30日
    朝日新聞出版
    初出:「小説トリッパー」2022年春季号~2024年夏季号

    私小説と言っていいのだろう。子供の頃から自殺を考えていた少年が、死神と出会う。その死神とは、自殺することになる人間にとりついて(担当になって)、自殺をちゃんと見届けるというのが仕事である。決して自殺するように唆しはしない、ただ見届けるのが仕事なのだ、という。ところが、担当する人間との会話を通じて、それは唆しているように思える。

    主人公は田中で、小説家になることを目指している。本ばかり読んでいるが、学校の勉強はできない。父親は有名大学を出て一流企業に勤め、昔ながらの父親像を歩んでいる。母親もそれを認め、それを望んでいる。父親はそうした昔ながらの(家父長的な)家族像にそれるような言動が家族にあると、手を上げる。母親はいつも暴力を受ける。しかし、それで絶望したりめげたりせず、そういうものだという考えのもと、美味しい料理を作る。田中本人も、父親からひっぱたかれる。すでに慣れて、覚悟はできている。その上であえて逆らったりする。

    中学2年のとき、本気で自殺を考える。遺書も書く。何度も書くが、書き直す。死神がアドバイスをするというか、いちゃもんを付けるから。そもそも死神との出会いとなったきっかけは、小学校の時の友達の女の子。近くに古いビルがあり、上階が住まいになり、そこに住んでいる子だった。ビルの人たちから、決して屋上には行くなと言われている。変な噂もまちの人たちの間には立っている。ある日、その女の子から誘われて屋上へ行ってみることに。トライするが、ドアに鍵掛かっているのか開かなかった。女の子はどこかへ行ってしまい、諦めた。

    中学になり、その怖いビルを見ないように通学した。通学路だったから。しかし、ある日、そこを避けて遠回りして通学していると、本来なら郵便局があるはずの場所にそのビルが立っていた。そんなばかな!

    また元通りの通学路に戻る。やはりビルがある。猫がいた。猫に誘われてビルに入る。屋上まで行ってしまった。そこにはスーツを着た男。それが死神だった。実は、猫に化けておびき寄せたのだった。自分はお前の担当だ、自殺するのはわかっているし、そろそろその時期だと判明したので見届けてやる、ということだった。

    自殺するのしないの、唆すだの唆さないだの、延々と論争というか議論が始まる。その行ったり来たりが、例えば、ダイエットをしている人間が、今日はこれを食べて明日からきっぱりとダイエットした方がいいだろう、いや、やめとこう、と心の中で葛藤をする。同じように、断酒を決意した人間が、今日のこの一杯を最後にしよう、いや、これは飲むべきではない、などと葛藤する。禁煙などもしかり。その屁理屈のつけあいで葛藤している様子になんだか通じるものがあって楽しい。

    しかし、前半のそんな軽快なやりとりが過ぎると、話は面白くなくなる。もうこの小説は面白くない、と思って投げ出そうとすると、また少し面白くなる。行ったり来たりする。なんだこの小説は?行ったり来たり、そのものではないか。結局、仕方なく最後まで読み終える。

    結果は、うーん、面白くなかった。

    主人公は作家になり、芥川賞を取る。このあたりは自伝的かもしれない。授賞式の描写などは実に興味深い。

    子供のころの女の友達も、死神だった。別の自殺願望者の担当だった。別の死神が担当している田中の前に現れるのは本来はルール違反なのだが、担当の死に神を含めて、3者はなんだか友達のようになってしまう。学校の卒業式など、父親も母親も出席せず、死神だけが出席するというおかしさもあった。

    そして、ずるずると死神とともに、自殺するのせんの、その前に死神を殺すの殺さないのと、うだうだしながら、小説家として成功していき、年を取って行く。まさに、多くの人間、多くのそこそこ成功者のパターンかもしれない。

    0
    2025年01月31日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    この作品は作中にあるとおり「ファンタジー」なんだろうが、妙にリアルに感じられて面白かった。P48では一文が10行にも渡り、釘付けになって何度も読んだら、それがこの小説全体を物語っているように感じられた。
     出会うなら伊坂幸太郎さんの死神と田中慎弥さんの死神とどっちがいいかなと考えながら読んだが、どっちもややこしそうなので、出来れば出会いたくない。

    0
    2025年01月25日
  • 死神

    Posted by ブクログ

    父親に虐げられ、暴力を振るわれる母親と『私』。学校では理不尽な虐め。日常化する負の連鎖を絶ち切ろうと死を願望する『私』だが…私小説。登場する死神が『DEATH NOTE』のリュークを思わせた。

    0
    2024年12月26日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

    Posted by ブクログ

    孤独とは、自分と向き合い自分の頭で考えることのできる時間のこと。
    苦しみから逃れて生きろ。生き延びろと伝えたい著者はきっと優しい人だろうなと思った。

    0
    2024年12月17日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

    Posted by ブクログ

    寂しさや不安から来る孤独や一人ぼっちの孤独なら分かる気がする。17人の作家陣の考える孤独と孤独へのアプローチが様々で、孤独って奥が深いんだなと思った。想像力や創造力を生み出す有意義な孤独を味わいたいと思った。

    0
    2024年09月14日
  • 完全犯罪の恋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とても面白かった。
    あまりにも文章が上手い。その上で思っていたよりもストーリーがしっかりしていて、面白かった。
    川端康成も三島由紀夫も一冊も読まずにこの本を読んでしまったことは失敗だった。せめて『仮面の告白』『雪国』くらいは読まねば。
    緑が一時期、田中と森戸の両属状態にあったという点は普通にクズだと思った。
    透明な罪悪感。

    0
    2024年08月18日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    この方の作品「切れた鎖」を読んで、全く理解出来たかったのですが、こちらは芥川賞受賞作品との事で、もう一度挑戦。無事に読めました。クセのある文章ですが今回は読めたので、ほかの作品も読みたくなりました。

    0
    2024年08月16日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    表題作は、映画版を観たことがあって、こんな話だったなぁーと思いながら読んだ。あの映画、結構忠実だったんだな。全体的に共感はできない話だけど、母の義手の設定が印象的だった。
    2つめの話も同じくバイオレンスな感じなのかと思ったが、意外に教科書に載っているような雰囲気だった。祖父にとっての戦争、日の丸、勲章とは。父親を亡くした少年の話だったので、先に巻末の対談を読んでいたため、著者自身がこういう少年時代を過ごしたのかな、と想像した。でも、対談では実体験を書くことはあまりないようなことが書いてあったので、そうとは限らないのかも。著者が釣りが好きなのは確かだと思うけど。
    そして、瀬戸内寂聴との対談。こんなに謙虚で、『源氏物語』とか読む人だったんだなぁと思って、「もらっといてやる」が話題となった芥川賞の受賞会見をYouTubeで見てみたら、やはり感じが悪くて面白かった。

    0
    2024年08月04日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    第146回芥川賞受賞の表題作と『第三紀層の魚』、瀬戸内寂聴との対談を収録。『共喰い』は性と暴力が目立つというか本筋ではあるんだけど、『第三紀層の魚』と合わせて親子や家族関係におけるつながりやしがらみ、愛情と呪いが描かれている作品。特に『共喰い』で避けえぬ呪い的に描かれていたものが『第三紀層の魚』の主人公はサラッとそこから自由な視点を持っていつつ、繋がりのあたたかみや喪失感が対比的に描かれていて面白かったし、瀬戸内寂聴との対談テーマが家族や性愛のドロっとした古典であるところの『源氏物語』なのも含めて一冊としての完成度が良い。

    0
    2024年05月02日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    共喰いは、ひたすらに欲がぶちまけられた、純文学らしい作品だった。なんというか、時代が変わったんだなぁ、良い世の中に向かってるんだなぁということを強く感じられるお話。

    第三紀層の魚、こっちがとても刺さった。なんでこんな子供のときの気持ちをクリアに描けるんだろう。思い出して胸が苦しくなった。

    0
    2024年03月01日
  • 流れる島と海の怪物

    Posted by ブクログ

    複数のメタを織り交ぜた、いわばベタの物語。時折、はっとする文章もあり、ただ、個人的な好みとしてはどこの土地でも起こせそうな内容に収斂しているように見えたのが残念だった。

    0
    2024年02月19日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    共喰いと第三紀層の魚の2編が入っており他のレビュアーも書かれていたが、私も第三紀層の魚の方が好みであった。
    第三紀層の魚
    田舎町で、祖母や曾祖父などと共に生きた少年の成長譚であるが、じいちゃんや、ばあちゃんがいた人ならわかる気持ちが非常に共感を得る。身近な人の死、そしてそれが悲しいことなのかどうかすら、わからない少年時代。鬱屈とした昭和の空気感は
    逆に読んでいて新鮮であった。

    0
    2024年01月23日
  • ひよこ太陽

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    読みにくい作品でした。結局夢か現か分からなくなりました。何が言いたかったのか、分かりませんでした。難しい。

    0
    2023年11月10日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

    美しい文体に引き込まれて著者の世界観にとっぷり浸りながら読み進める面白さがあった。

    迫力ある表題作と対を成すように、
    優しく情緒溢れる第三紀層の魚が良かった。

    0
    2023年07月28日
  • 共喰い

    Posted by ブクログ

     芥川賞を受賞した「共食い」と「第三紀層の魚」を収録。
     共食い、父親が性交を行う時に、相手に暴力を振るうといったある種の性癖を、嫌いながらも自身の中に発見し、恋人に対して同様の行為を行ってしまうということにおいて、自身の中に父親と同様の血が流れていること、それがまるで定めでもあるかのようにも思え、それが何の変哲もない川沿いの田舎でのこととして描いているだけに、よりその凄惨さが浮かび上がる。
     単純に父対子というような図式ではなく、いや果たして対立していたのかという疑問もある。また奇妙な親子関係が、描かれてはいないが性癖に影響を与えているのかもしれないとも勝手ながら憶測してしまう。そして描かれる女性は何処か閉塞している土地と分かっているものの、そこから抜け出せないところが感じられた。読む者にとっては少し耐えられないところもあるかもしれないが、確実に読み応えはある。

    0
    2023年07月01日
  • 切れた鎖

    Posted by ブクログ

    うううーむ‥‥
    難しい、、、中々理解出来ず何度も進めたり戻ったりして読み終えたが。
    僕には難し過ぎてダメだった

    0
    2022年11月08日
  • 図書準備室(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    冷たい水の羊は10年かけただけあって表現や描写が細かかく描かれていると思った。内容が暗すぎるからか、ラストの水原からの伝言は今後少しでも希望を見出せる展開に繋がる言葉になって欲しいと思った。

    0
    2022年11月07日