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Posted by ブクログ
不思議な触り心地のする、黒と黄が印象的なカバー。装釘もどことなく妖しく美しい本文を想像させる。
本書は田中慎弥氏が毎日新聞西部本社版に2008年から2012年の1月まで連載していた掌編小説を編んだ物である。
新聞連載のため、時事を取り込んだ作品も多い。
例えば《扉の向こうの革命》《感謝》などは震災を取り扱い、《男たち》では作者曰く『当時の政治状況を拝借』して氏が芥川賞のスピーチで言及した都知事や、乱読した作家たちが時代を超えて雑談に勤しむ姿が描かれる。《客の男》には当時プロ入り後間もなかったであろう、例の「王子」と思しき人物も登場する。
『共喰い』に見られる地方色の強い濁ったストーリーが特徴的だと思われる作家だが、この本では様々なモチーフから物語を創り出していく氏の姿勢を感じ、新たな魅力に触れることが出来るのではないだろうか。
Posted by ブクログ
宇宙の起源
宇宙より前から生きているかもしれない鯨の、片方の目には宇宙の過去が。もう片方には宇宙の未来が映っている。綺麗で残酷なお話ですきだった。
揚羽
死んだ女にとまる揚羽と、カーテンレールを見上げる男。これもなんか切なくてすき。
うどんにしよう
わお。
男たち
わらうw金や麻生太郎、太宰治に三島由紀夫が対話してる。内容もおもしろすぎる。
見えないもの
暗闇すぎて悪夢。眼球が無くなったあとの穴に触れてみた、なんて怖い表現だけど、指先が微かに濡れた、ってなんか綺麗だなと思っちゃった。
どれも悪夢みたいな話で、夢と現実の狭間的な話がすきな私には、すきな本だった。
Posted by ブクログ
第146回芥川賞はニュースにかなり取り上げられたのを覚えているだろうか。「共喰い」で受賞した田中慎弥さんの会見が非常に話題になり、また受賞スピーチでも一言で終わり、インターネットだけではなく、各メディアで大きく取り上げられた。その結果「共喰い」は大ヒットし、作家としての知名度が大幅に上がった。
もともと2008年に川端康成文学賞、三島由紀夫賞を受賞しており、何回も芥川賞候補になっているので、力はかなりある作家である。なんでもそうだが、実際に受賞した人は記憶に残るが、それ以外はすぐに人々に忘れ去られてしまう。会見及びスピーチで世間的にかなりイメージが作られてしまったが、王様のブランチや他のインタビューではもっと穏やかな表情を見せる。もちろん皮肉屋ではあるものの。
本書は2008年から毎日新聞西部本社版文化面で連載中の作品をまとめたものである。1編の分量は3ページと読みやすい。下書きも含めて一日で書いているそうだ。語り口も設定もそれぞれ異なる37の小説で構成されている。タイトルは愛読していた川端康成の「掌の小説」からオマージュされている、「掌」とエンターテイメントの「ショー」の意味を込めて「掌劇場」だ。
本書を読んでみると、著者がブラックユーモアたっぷりに、様々な角度で物語を描くことが得意ということがわかる。ミステリー、日常、フィクションと一冊にあらゆる形式が詰まっているのでお勧めだ。小説が苦手って思っている人が読んでみて、じょじょに短編小説、長編小説と手を伸ばしていけるきっかけになる一冊かもしれない。
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