田中慎弥のレビュー一覧

  • 田中慎弥の掌劇場

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    ショートショートショートがたくさん入った本。淡々とした語り口で少しおかしな話が語られている。思っていたよりも面白かった。

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    2012年08月05日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    37の短編小説集。

    日常生活の中にも非日常的な一言(ワード)を入れたり、半端なところで話を終わらせ、読み手に考えさせるところが新鮮で面白い。

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    2012年07月08日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    難しい。今の私に解釈は。
    しかし美しい。
    そよ風に吹かれながらさらっとよみたい感じ。

    空にみたものでは、なぜか涙が流れました。
    全編通して、あぁ、田中さんは温かい人なんだろうなぁって印象を受けた。
    偏見?
    でも好きー笑

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    2012年07月04日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    新聞への連載用ということでか、これまでのものと比べれば格段に読みやすい。視点を変え品を変え、個性的で味わい深い37編が並ぶ。いずれも結末への期待感にそそられながら、するする読める。但し結末はない。ぶつ切り多すぎで、思わず「えっ終わりっ」を連発。気持ち悪さを残しながらも不思議な想像をかきたててくれた。

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    2012年06月24日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    3ページほどのぴりっとした作品が並んでいる。初めて作品を読んだけど、丁寧な文体が印象的だった。ごう慢な感じはどこにもない。物を決して一面的に見ない視線は厳しくて温かい、じゃないかな。震災について書いた4作品が特に好き。やっぱり、目線は低く、事実を等身大で受け止めたことを言葉にしている。

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    2012年06月18日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    毎日新聞に掲載したショートショート集。一話3ページだから本当に短い。 毒がある内容や、時事ネタ、意味不明まで様々。
    あとがきの、「私は図らずも、小説という絵空事に命を懸けてしまっています。命を縮めて得た糧で、また命を延ばす、この掌編集も、その結果であり、過程です。」 がしっかりブンガクしているようで、何か良かった。

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    2012年06月08日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    他の多くの方と同様、私も芥川賞の受賞インタビューで著者のことを知り、それで受賞作を読んでみた。

    この掌篇集は、2008年10月から2012年1月まで、毎日新聞西部本社版に連載されたもの。
    一篇が3頁前後、不思議でちょっと不穏な、ときにユーモラスな、そしてリリカルな掌篇が並ぶ。
    私は存外、この本の全体が好きになってしまった。
    「存外」というのは誉め言葉で、芥川賞受賞作から想像していたよりも、遥かに様々な色合いの、遥かに様々な想いを掻き立てられて、そしてそれが楽しかったのだ。

    「あとがき」で著者は、「命を縮めて得た糧で、また命を延ばす。」と記すが、たしかにこれは、著者の内面の何かを削って書かれ

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    2012年09月04日
  • 神様のいない日本シリーズ

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    野球賭博で失踪した父親からの息子へのメッセージ。モノローグとはいえ、ストライクゾーンだったが、野球がテーマじゃなければ読み続けられなかったかも。芥川賞受賞時のコメント以上の情報を持っていない作家だったが、結構好印象。

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    2012年05月11日
  • 切れた鎖

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    読んでいて、気が滅入った。
    悪夢や幻覚みたいな、行間のつまった描写は文学的なのかもしれないけど、
    巻き込まれてもいい、と思える好きな世界ではなかった。
    表題作とか、とても暗くて救いようがない感じ…
    不意の償い は、そんな中でもなんか、主人公が現実で置かれている環境、周囲からきちんと愛されている様子がちらほら、妄想の向こうに見えるのがたまに微笑ましい時があり。
    ほらほら、素直にそっちの幸せなほうに行こうよ。。と思ってしまう。
    きっと、とても不器用でいい人なんだなあ。。
    でも、意地で全部読んでしまって読後感の悪さに後悔した。。

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    2012年03月28日
  • 切れた鎖

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    「不意の償い」
    ある行為のせいで死に至ったのではないかと無意識に抱えていた罪悪感が、徐々に噴出し精神のバランスがあやふやになっていく。
    読み進むにつれて、このバランスの崩れた不安定感こそがが逆に安定した世界の様にも思えてくる。


    「蛹」
    一番好きな作品。
    内包された自己への強い自信とは裏腹に、いつまでも地上に出る事の叶わず日々悶々とする存在。
    実際は地上に出られないのではなく出たくないのであって、結局内包されていた自信とはただの虚勢である。
    考えなければいいのに。
    何も考えずに外に出て人生を謳歌して、繁殖して死ねばいいだけなのに。
    「だけなのに」が、一番難しい事なんだなと。


    「切れた鎖」

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    2012年03月05日
  • 切れた鎖

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    芥川賞受賞のインタビューで、刺激的な悪態をついた著者を
    どこまでパフォーマンスが入ってるんだろ…? なんて、
    半ば、よこしまな気持ちを持って手にしたのが本書だった。
    あれは、著者の気持ちの飾り気ないストレートな発露だったろう…

    「不意の償い」「蛹」「切れた鎖」の3編…
    川端賞・三島賞のダブル受賞という随分と評価の高い短編集だ。
    小説を読む恐ろしさは、気づかずにある内面を引きずり出され、
    歪によどんだありのままの様をつきつけられることにある。

    どの作品からも、そうした領域に切り込んでゆこうとする、
    著書の文学的に真摯な姿勢を感じた…
    たとえば冒頭作「不意の償い」は、妻となった女と
    はじめて関

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    2012年02月10日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    純文学は私にとっては難しくてあまり読まないのだけど
    この田中慎弥さんはなんかずっと気になってしまう存在。
    芥川賞受賞の時の印象が強いのかもしれない。
    この本はエッセイというか…複雑な自分の考えを書き殴ったような。あまり纏まりはないかもしれないけど、それが人間というもの。自分をさらけ出してる感じがして良かった。

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    2025年12月07日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    第四章「なぜ読書が必要なのか」、第六章の「「棚からぼた餅」論」、第七章「家族は孤独を癒すのか」は特に興味深く、作家らしい洞察力に満ちた独自の視点に膝を打って読んだ。
    他の箇所については、部分的には共感するのだが、2025年に出た本にしては古い論調だな…と思ってしまった。
    根底に流れる「同調圧力とか嫌なことからは逃げていいけど、まあ最終的には努力とか自己責任の能力主義だよね」みたいな雰囲気が、どこか青木真也の著書『空気を読んではいけない』みたいな、ごくごく一部の尖った経歴の人が強者の目線から私的自論をつらつらと述べる 2010年代の煽り系ビジネス書(?)に似てるというか…。
    本著は2017年に出

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    2025年11月26日
  • 共喰い

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    最近は母娘の話を読むことが多かったので、表題作の父息子が興味深かった。
    父のインパクトが凄くて他の全てが背景に見える。

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    2025年10月10日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    【図書準備室】
    ニートの話
    中学の古参教師の戦場で犯した罪の告白人生をひとり語りで語っており、ニートの立場の主人公が語る事で時代の価値観みたいなものを考えさせられた。

    【冷たい水の羊】
    いじめの話。
    いじめられている事を心配して先生に相談してくれるクラスメイトがいるのに、いじめと認めない主人公。読みながら、直視できない部分と理解できない部分は流し読みになってしまった。
    いじめる側の高揚している気持ちや恐怖で支配されてしまう後輩、父親の選挙の準備て両親は息子の事まで気が回ってない様子、それぞれの立場の気持ちが描かれていて、いじめられる側だけを意識することなく読めて、いろんな立場を考察する気持ち

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    2025年09月24日
  • 共喰い

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    何とも言えない。あまり響かず。主人公以下、登場人物の行動がよく理解できず。悪いやつならもっと荒んでいるのが自然で行動だけおかしくて、思考が大人しくそこがよく理解できなかった。悪い人の思考パターンを作者は知らないのかと感じた。それとも知った上でリアリティ無視でメルヘンチックに人物造形したのか?いずれにせよ面白い試みとは思えなかった。田中慎弥本人はめちゃくちゃ面白いのにな。

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    2025年08月17日
  • 完全犯罪の恋

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    3.8 誰かの人生や思い出に残る人でありたいと願う物語。恋愛はその可能性が高い関係である。一方的であることは多いけどね。まあモテてモテてと言う人生ではない人には刺さる話。

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    2025年06月26日
  • 共喰い

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    女性が文学上で羽織らされる理想像の形にもかなり色々あるな...と感じた。海や川になにか大きなものを感じているのか、決して綺麗なものでは無いと描写する一方で心の拠り所になっているのが2作とも共通している感じがする。
    個人的には最後の瀬戸内寂聴さんとの対談が一番面白かった。源氏物語の話が読めて満足。

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    2025年05月25日
  • 完全犯罪の恋

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    「愛」と「完全犯罪」は両立するのか? 田中慎弥が描く、背徳の果ての純愛

    愛するがゆえに、壊さずにはいられない。
    奪うことでしか、手に入れられない。

    田中慎弥の『完全犯罪の恋』は、そんな危うい愛の形を突き詰めた物語だ。登場人物たちは誰もが孤独で、報われぬ想いを抱えながら、互いに深く絡み合っていく。そして、その果てにあるのは——「完全犯罪」と呼ぶべき、ある決断。

    田中慎弥の端正かつ研ぎ澄まされた文体は、まるでナイフのように鋭く、読む者の心を抉る。情熱と狂気が紙一重のバランスで描かれ、読み進めるほどに背筋がぞくりとする。そして、気づけばあなたもこの危険な物語の虜になっているだろう。

    「愛」と

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    2025年03月08日
  • 死神

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    ネタバレ

    死神

    著者:田中慎弥
    発行:2024年11月30日
    朝日新聞出版
    初出:「小説トリッパー」2022年春季号~2024年夏季号

    私小説と言っていいのだろう。子供の頃から自殺を考えていた少年が、死神と出会う。その死神とは、自殺することになる人間にとりついて(担当になって)、自殺をちゃんと見届けるというのが仕事である。決して自殺するように唆しはしない、ただ見届けるのが仕事なのだ、という。ところが、担当する人間との会話を通じて、それは唆しているように思える。

    主人公は田中で、小説家になることを目指している。本ばかり読んでいるが、学校の勉強はできない。父親は有名大学を出て一流企業に勤め、昔ながらの

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    2025年01月31日