田中慎弥のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
芥川賞を受賞した「共食い」と「第三紀層の魚」を収録。
共食い、父親が性交を行う時に、相手に暴力を振るうといったある種の性癖を、嫌いながらも自身の中に発見し、恋人に対して同様の行為を行ってしまうということにおいて、自身の中に父親と同様の血が流れていること、それがまるで定めでもあるかのようにも思え、それが何の変哲もない川沿いの田舎でのこととして描いているだけに、よりその凄惨さが浮かび上がる。
単純に父対子というような図式ではなく、いや果たして対立していたのかという疑問もある。また奇妙な親子関係が、描かれてはいないが性癖に影響を与えているのかもしれないとも勝手ながら憶測してしまう。そして描かれ -
Posted by ブクログ
デビュー作と二作目/ エッセイの文章が綺麗で読みやすいから読んでみたが、これはものすごく挑戦的だ/ 図書準備室に至っては、延々独白で自分の歪みっぷりを幼女に聴かせているだけの話で、その読点を駆使して文章をつなぎ形容しまくる文体は、たとえば節が十もあるヌンチャクを紙面に並べているようで、また表現されている景色は妙に細かく、期待していたような読みやすさではなかったと言えなくもない/ 冷たい水の羊は高校卒業以来一度たりとも労働についたことのない青年が書いた最初の小説という側面を、どうあぶり出してくれるのかという意味で興味深い/ デビュー作からして途切れることのない長い接続の文章で心情ないし風景を文字