田中慎弥のレビュー一覧

  • 共喰い

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    「共喰い」:閉塞感というか、心も身体もまわりのコミュニティも、色々な意味での狭さからくる息苦しさやどうしようもない衝動をみっちり感じた。
    「第三紀層の魚」:葛藤とか寂しさとかを抱えながらうまれる、分かりやすくはないのにどこか安定感のあるやさしさの描き方がうまかった。

    最後の対談でも触れられてたけど、どっちの物語も、登場する女性たちの魅力や皮肉のこもっていない包容力みたいなのは男性の作者だからこそ生み出せる描写なのかなあと思った。まともに一文一文噛み締めて読んでいくと体力が持たなくなりそうな感じがあった。

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    2022年09月11日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    ディストピア小説と言えばディストピア小説とも言えるが、「作家」とか「よみもの」の存在意義を問いかけたんじゃないかなぁと思った。

    いや、存在意義というより、存在根拠と言うべきか。

    風刺と読むより巷間ですでに多くの人に語り尽くされている「芸術で世界を変えれるか」問題へのこの作家なりのアプローチではないやろか。

    その答えはこの作品では一見無力的にも読めるが、書くということは過去と未来をしっかりと結びつける重要な役割を果たしていると、ちゃんと作家をアピールしとります。

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    2022年05月08日
  • 共喰い

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    2つある短編集の中の「共喰い」だけを読んだけれど、生々しい描写がやや印象に残るものの、肉々しい表現を抜いたら意外と普通の話だった。

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    2023年05月08日
  • 燃える家

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    600ページに迫る長編の中のどのページを開いても、心理描写は深く丁寧、情景も細かく今そこにある様に描かれています。一週間かけて読み終わりましたが、退屈する時間は全くありませんでした。内容に関しては、保身の為に実の息子を廃人にしてしまったり、息子が関わったレイプ事件の犯人を殺したりと、少しやり過ぎだと思います。

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    2022年02月22日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    大切なのは、逃げたら、そこからは能動的な思考を継続していくということ。

    主体性、能動性、そういったものを取り返すための逃避。

    面倒なことを避けると、実態を見失いかねない。

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    2020年11月29日
  • 神様のいない日本シリーズ

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    三世代の親子の確執や、血筋を野球を軸に描いた作品。もう少し2つの日本シリーズの詳細を読みたかったけど、父子のやりとりはよかった

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    2020年08月12日
  • 切れた鎖

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    ちょっと読みづらい文章。内面を表現するので暗いイメージがつきまとう。特に「蛹」なぞはひきこもりでの外界との葛藤であり、妙な居心地の悪さ、圧迫感がある。2020.8.7

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    2020年08月07日
  • 地に這うものの記録

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    言葉を話すネズミのポール。1号ビルの再建を求めて市議会にで演説をふるう。喋るネズミの寓話。ポールのへ理屈は止まらず、人間との掛け合いもぎくしゃく。一体このネズミの意図するところは何なのか?ついでに作者の意図するところも何なのか?田中慎弥特有のまどろっこしい言葉の羅列で、ポールの小さな脳味噌をパンクさせようとしているのに違いない。なかなか読み難しい本で、作者の思うツボ。

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    2020年05月25日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    ネタバレ

    田中慎弥さんの2作品目のエッセィ。
    本書は、著者自身初の口述筆記で上梓されている。
    高校卒業後、新潮新人賞を受賞するまで無職を貫き通し、その中で得た見識が綴られている。
    PC・携帯電話を持たないだけあり、昨今の情報社会から懸念される問題を、アナログ視点で本質を見ることは著書ならではだと感じる。
    ただ、孤独になれない状況をもう少し受け入れて欲しかった。どうしても、仕事や社会から抜け出せなく、頼れる人もいない方もいらっしゃることを認識して頂きたかった。

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    2020年03月12日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    「共喰い」の作家さん。
    働かず、ひきこもって
    ひたすら小説を読む&書くということを「生きる」ことにした作家さん。そのストイックさと生き方を「孤独論」としてまとめた本。
    小説家になるまでの話がおもしろかった~
    そうか…こんな生き方もある…

    「奴隷になるな…」

    深い言葉だ~

    でもってラストの「棚ぼた」の話
    好きだわ。

    ひと握りの天才は餅を待つのではなく自分で棚に登ってひったくる…
    この表現好きだわ~
    わかる気がする~。

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    2019年10月19日
  • 切れた鎖

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    文章がとても独特でした。
    最初の話が1番好きでした。
    主人公の頭の中に入り込んだ気持ちになった。

    蛹と切れた鎖も面白かった。

    よくわからない抽象的な感じが好きな人は好きなのかもしれない。

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    2019年03月23日
  • 実験(新潮文庫)

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    小説家の主人公がうつ病の旧友を自殺に追い込もうと「実験」する表題作。童貞の友人を妻に誘惑させるようなことをしたりと、意地の悪さが出ていて面白い。
    収録されている「週末の葬儀」では、海沿いの街とそこに住む人が、潮風で錆びついて疲弊して行く様子が書かれている。共喰いのドブ川の描写を思い出させるような上手さがある。

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    2019年03月10日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    高校を卒業してから引きこもりだったという田中慎弥氏、パソコンや携帯電話は所有せず、インターネットも使わないらしい。変わり者と一言で言うのは簡単だが、考え方は興味深い。金儲けとか効率化、成功には興味がないようだ。子供の頃から読書が好きなのは又吉氏と共通だ。

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    2019年01月20日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    戦争主義的世界的平和主義における民主主義的戦争!
    SFの一分野としてのディストピア小説とみるか、政治批判とみるか。

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    2018年10月21日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    デビュー作と二作目/ エッセイの文章が綺麗で読みやすいから読んでみたが、これはものすごく挑戦的だ/ 図書準備室に至っては、延々独白で自分の歪みっぷりを幼女に聴かせているだけの話で、その読点を駆使して文章をつなぎ形容しまくる文体は、たとえば節が十もあるヌンチャクを紙面に並べているようで、また表現されている景色は妙に細かく、期待していたような読みやすさではなかったと言えなくもない/ 冷たい水の羊は高校卒業以来一度たりとも労働についたことのない青年が書いた最初の小説という側面を、どうあぶり出してくれるのかという意味で興味深い/ デビュー作からして途切れることのない長い接続の文章で心情ないし風景を文字

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    2018年10月08日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    読みづらい。「神様のいない日本シリーズ」とかそんなことなかったのに。終盤濡れ場(?)とそれ以降のドタバタは筒井康隆っぽさもあっておもしろかってんけど、そこまでの文章がなかなか入って来なかった。

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    2018年09月29日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    『図書準備室』以来、田中作品二作目。電車を降りたらもう一つの“日本国”に着いた場面が、川端康成の『雪国』の冒頭に何処か似ていると感じた。のちに、本作中に川端康成について多少言及されていて「嗚呼…」と、予感していたのかなぁと思った次第。星三つ半。

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    2018年07月28日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    嫌いじゃない。田中慎弥はきっと常々自意識の塊と向き合っているのだろう。そうでないとこんな文章は書けない。命削りながら書いてるのがよくわかる。
    内容に関しては、解釈しながら読もうとしたけれど要素が多すぎて途中で諦めた。即ちよく分からなかったが、恐ろしく勇気のこもった本であることは理解した。著者が裸一貫で国家という巨大なシステムに立ち向かっている。
    将来、日本の国家統制が強まることがあれば早い段階で禁書扱いになりそうなレベルの内容である。

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    2018年07月14日
  • 宰相A(新潮文庫)

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    こういうのディストピア小説というらしい。何とか最後まで読んでみたけど結局消化不良、理解不能。やっぱりこういうジャンル無理なんだな。

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    2018年06月10日
  • 実験(新潮文庫)

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    暗い。出てくる人間全てが絶望的なほどに暗い。暗くて退廃的でうすっぺらい人間たちの関わりにイライラしつつも、淡々と進む文章につい読んでしまう。

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    2018年05月06日