田中慎弥のレビュー一覧
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【共喰い】と【第三紀層の魚】の中編2つ。
生半可じゃなく掘り下げた描写で、特に【共喰い】は自分がこれまでに掘ったことがないところが書かれていて、エネルギーを使って読んだ気がする。
【共喰い】は、高校生男子が主人公。その父の見てられないような暴力性が主題だと思う。その暴力性に町の描写ごと飲み込まれるような体験が生々しく頭に残った。水が溢れるクライマックスの部分とその後の清々しい(と言ってはいけない気がするけど)結末。主人公が付き合っている千種との関係はどう変わったのかな?
【第三紀層の魚】は、小学生の男の子が主人公。彼にとって大人は遠い存在で、自分の気持ちも持て余している。そんな気持ちが正直に丁寧に書かれていたと感じた。
読んでいるときは、「ちょっと難しいな……」となりながら、そしてちょっと面食らいながら読み進めていた。でもストーリーの最後の部分が両者とも印象的だったので、読後はその最後のシーンから前のシーンに心を馳せた。
そして、自分自身の直せない嫌いな部分や自分自身の親との関係を、その物語の横に並べてみた。たぶん。 -
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奴隷なのか否か。世間の常識や溢れる情報。自分は自分を生きられているのか。今だからこそ共存から孤独へ、新しさから過去へ。自分とは何なのか、それをわからないわかろうとしない考えることすらできない。そんな時代への一石。
本を読む素晴らしさに対して、
"「美しければそれでいい、それ以上望むには及ばない」というようなことが書いてあって、中学生のわたしは「そうか、美しいことが最高だと言ってしまっていいんだ」と雷に打たれたような気になった。人間はどう生きるべきかとか、そういうことではなくて、「美しければそれでいい」と断じてしまう価値観に衝撃を受けたのです。" -
Posted by ブクログ
大学中退してひたすら家で本を読み小説を書いて(バイトもせずに)、33歳で新人賞とってデビューっていうのはなかなか普通の人にはできない。どういう精神なのかと思うけど、別に本人とお母さんがそれでいいと思っていたら、それでいいのかもしれない。苦しみがなければいいのかなと。
お母さんはよく我慢したもんだと思うけれども、別に母子べったりの生活だったようでもないし、半分諦めて淡々と生活してたのかもしれない。
しかし本が大好き、本が肥やしみたいな人生って羨ましい。作家だから書いたらそのぶん、読んで体に取り込まないといけない。読書は栄養なのだ。それもなんとなくわかる。
私も読書だけして生きていけたらいいな。ほんとに趣味とかほかにないし、本読めたらそれでいいかなーと思ったりする。
こんど小説の方も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「人間の脳、身体は、いわば言葉の容れ物です。そこから言葉をどんどん出して、出したぶんだけまたどんどん容れていかなくてはならない。他者の言葉を知らずして、自分の言葉は生まれません」
「自分の外側から言葉を獲得し続けて、内側にどんどん蓄えていき、もう収まり切らないというところまで溜まると、言葉は外に出たがるようになります。すると身体がごく自然に 『書く』というアウトプットを求めるようになるのだとわたしには思えます」
要約すると言葉の新陳代謝を活性化しなければならないということなのではないでしょうか。
このレビューを書くという行為も他人の言葉を容れていった後、自分の言葉でアウトプットしていることになるかと思います。
自分の言葉を磨く努力をこれからもしていきたいと思いました。
要約すると言葉の新陳代謝を活性化しなければならないということなのではないでしょうか。
このレビューを書くという行為も他人の言葉を容れていった後、自分の言葉でアウトプットしていることになるかと思います。
自分の言葉を磨く努力をこれからもしていきたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
第四章「なぜ読書が必要なのか」、第六章の「「棚からぼた餅」論」、第七章「家族は孤独を癒すのか」は特に興味深く、作家らしい洞察力に満ちた独自の視点に膝を打って読んだ。
他の箇所については、部分的には共感するのだが、2025年に出た本にしては古い論調だな…と思ってしまった。
根底に流れる「同調圧力とか嫌なことからは逃げていいけど、まあ最終的には努力とか自己責任の能力主義だよね」みたいな雰囲気が、どこか青木真也の著書『空気を読んではいけない』みたいな、ごくごく一部の尖った経歴の人が強者の目線から私的自論をつらつらと述べる 2010年代の煽り系ビジネス書(?)に似てるというか…。
本著は2017年に出た著書を再構成・加筆したものとのこと。どうりで。この論調のタイムラグは、本書を読む上で念頭に置いたほうがいいのかも -
Posted by ブクログ
【図書準備室】
ニートの話
中学の古参教師の戦場で犯した罪の告白人生をひとり語りで語っており、ニートの立場の主人公が語る事で時代の価値観みたいなものを考えさせられた。
【冷たい水の羊】
いじめの話。
いじめられている事を心配して先生に相談してくれるクラスメイトがいるのに、いじめと認めない主人公。読みながら、直視できない部分と理解できない部分は流し読みになってしまった。
いじめる側の高揚している気持ちや恐怖で支配されてしまう後輩、父親の選挙の準備て両親は息子の事まで気が回ってない様子、それぞれの立場の気持ちが描かれていて、いじめられる側だけを意識することなく読めて、いろんな立場を考察する気持ちになれた。
季節の描写が良かった。