田中慎弥のレビュー一覧
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「不意の償い」
ある行為のせいで死に至ったのではないかと無意識に抱えていた罪悪感が、徐々に噴出し精神のバランスがあやふやになっていく。
読み進むにつれて、このバランスの崩れた不安定感こそがが逆に安定した世界の様にも思えてくる。
「蛹」
一番好きな作品。
内包された自己への強い自信とは裏腹に、いつまでも地上に出る事の叶わず日々悶々とする存在。
実際は地上に出られないのではなく出たくないのであって、結局内包されていた自信とはただの虚勢である。
考えなければいいのに。
何も考えずに外に出て人生を謳歌して、繁殖して死ねばいいだけなのに。
「だけなのに」が、一番難しい事なんだなと。
「切れた鎖」 -
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芥川賞受賞のインタビューで、刺激的な悪態をついた著者を
どこまでパフォーマンスが入ってるんだろ…? なんて、
半ば、よこしまな気持ちを持って手にしたのが本書だった。
あれは、著者の気持ちの飾り気ないストレートな発露だったろう…
「不意の償い」「蛹」「切れた鎖」の3編…
川端賞・三島賞のダブル受賞という随分と評価の高い短編集だ。
小説を読む恐ろしさは、気づかずにある内面を引きずり出され、
歪によどんだありのままの様をつきつけられることにある。
どの作品からも、そうした領域に切り込んでゆこうとする、
著書の文学的に真摯な姿勢を感じた…
たとえば冒頭作「不意の償い」は、妻となった女と
はじめて関 -
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奴隷なのか否か。世間の常識や溢れる情報。自分は自分を生きられているのか。今だからこそ共存から孤独へ、新しさから過去へ。自分とは何なのか、それをわからないわかろうとしない考えることすらできない。そんな時代への一石。
本を読む素晴らしさに対して、
"「美しければそれでいい、それ以上望むには及ばない」というようなことが書いてあって、中学生のわたしは「そうか、美しいことが最高だと言ってしまっていいんだ」と雷に打たれたような気になった。人間はどう生きるべきかとか、そういうことではなくて、「美しければそれでいい」と断じてしまう価値観に衝撃を受けたのです。" -
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大学中退してひたすら家で本を読み小説を書いて(バイトもせずに)、33歳で新人賞とってデビューっていうのはなかなか普通の人にはできない。どういう精神なのかと思うけど、別に本人とお母さんがそれでいいと思っていたら、それでいいのかもしれない。苦しみがなければいいのかなと。
お母さんはよく我慢したもんだと思うけれども、別に母子べったりの生活だったようでもないし、半分諦めて淡々と生活してたのかもしれない。
しかし本が大好き、本が肥やしみたいな人生って羨ましい。作家だから書いたらそのぶん、読んで体に取り込まないといけない。読書は栄養なのだ。それもなんとなくわかる。
私も読書だけして生きていけたらいいな。ほ -
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ネタバレ「人間の脳、身体は、いわば言葉の容れ物です。そこから言葉をどんどん出して、出したぶんだけまたどんどん容れていかなくてはならない。他者の言葉を知らずして、自分の言葉は生まれません」
「自分の外側から言葉を獲得し続けて、内側にどんどん蓄えていき、もう収まり切らないというところまで溜まると、言葉は外に出たがるようになります。すると身体がごく自然に 『書く』というアウトプットを求めるようになるのだとわたしには思えます」
要約すると言葉の新陳代謝を活性化しなければならないということなのではないでしょうか。
このレビューを書くという行為も他人の言葉を容れていった後、自分の言葉でアウトプットしているこ -
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第四章「なぜ読書が必要なのか」、第六章の「「棚からぼた餅」論」、第七章「家族は孤独を癒すのか」は特に興味深く、作家らしい洞察力に満ちた独自の視点に膝を打って読んだ。
他の箇所については、部分的には共感するのだが、2025年に出た本にしては古い論調だな…と思ってしまった。
根底に流れる「同調圧力とか嫌なことからは逃げていいけど、まあ最終的には努力とか自己責任の能力主義だよね」みたいな雰囲気が、どこか青木真也の著書『空気を読んではいけない』みたいな、ごくごく一部の尖った経歴の人が強者の目線から私的自論をつらつらと述べる 2010年代の煽り系ビジネス書(?)に似てるというか…。
本著は2017年に出 -
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【図書準備室】
ニートの話
中学の古参教師の戦場で犯した罪の告白人生をひとり語りで語っており、ニートの立場の主人公が語る事で時代の価値観みたいなものを考えさせられた。
【冷たい水の羊】
いじめの話。
いじめられている事を心配して先生に相談してくれるクラスメイトがいるのに、いじめと認めない主人公。読みながら、直視できない部分と理解できない部分は流し読みになってしまった。
いじめる側の高揚している気持ちや恐怖で支配されてしまう後輩、父親の選挙の準備て両親は息子の事まで気が回ってない様子、それぞれの立場の気持ちが描かれていて、いじめられる側だけを意識することなく読めて、いろんな立場を考察する気持ち