田中慎弥のレビュー一覧

  • 死神

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    この作品は作中にあるとおり「ファンタジー」なんだろうが、妙にリアルに感じられて面白かった。P48では一文が10行にも渡り、釘付けになって何度も読んだら、それがこの小説全体を物語っているように感じられた。
     出会うなら伊坂幸太郎さんの死神と田中慎弥さんの死神とどっちがいいかなと考えながら読んだが、どっちもややこしそうなので、出来れば出会いたくない。

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    2025年01月25日
  • 死神

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    父親に虐げられ、暴力を振るわれる母親と『私』。学校では理不尽な虐め。日常化する負の連鎖を絶ち切ろうと死を願望する『私』だが…私小説。登場する死神が『DEATH NOTE』のリュークを思わせた。

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    2024年12月26日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    孤独とは、自分と向き合い自分の頭で考えることのできる時間のこと。
    苦しみから逃れて生きろ。生き延びろと伝えたい著者はきっと優しい人だろうなと思った。

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    2024年12月17日
  • ひよこ太陽

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    「断ったりして気の弱い委員の方が倒れたりしたら、都政が混乱するので。都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる」

    調べると、彼が芥川賞を受賞したのは2012年。影のある二枚目なルックスと人を食ったようなコメントに痺れた。同時受賞の西村賢太もキャラが立っていて、文壇に盛り上がりを感じた事を思い出す。その後、先に逝ったのは西村賢太。私小説は、同時代では西村の方の専売特許のはず。しかし、田中慎弥もその路線で、年老いた母にすがりながらのデカダンスを語る。

    本作は、どこまで実話か、どこまで本音か分からない。登場人物は作家だし、自身の日常を描いているようにも見えるが、見ている世界がぼんやりして

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    2024年11月17日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    寂しさや不安から来る孤独や一人ぼっちの孤独なら分かる気がする。17人の作家陣の考える孤独と孤独へのアプローチが様々で、孤独って奥が深いんだなと思った。想像力や創造力を生み出す有意義な孤独を味わいたいと思った。

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    2024年09月14日
  • 共喰い

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    この方の作品「切れた鎖」を読んで、全く理解出来たかったのですが、こちらは芥川賞受賞作品との事で、もう一度挑戦。無事に読めました。クセのある文章ですが今回は読めたので、ほかの作品も読みたくなりました。

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    2024年08月16日
  • 共喰い

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    表題作は、映画版を観たことがあって、こんな話だったなぁーと思いながら読んだ。あの映画、結構忠実だったんだな。全体的に共感はできない話だけど、母の義手の設定が印象的だった。
    2つめの話も同じくバイオレンスな感じなのかと思ったが、意外に教科書に載っているような雰囲気だった。祖父にとっての戦争、日の丸、勲章とは。父親を亡くした少年の話だったので、先に巻末の対談を読んでいたため、著者自身がこういう少年時代を過ごしたのかな、と想像した。でも、対談では実体験を書くことはあまりないようなことが書いてあったので、そうとは限らないのかも。著者が釣りが好きなのは確かだと思うけど。
    そして、瀬戸内寂聴との対談。こん

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    2024年08月04日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    十人十色の「孤独論」とあるが、実際に20人近くの知識人、著名人による寄稿の寄せ集めなので、ダイジェストとしての読み応えはあるが、全てが皮層的で浅い。なんだか格言や至言を探し出したり、その言葉の周辺を少しだけ肉付けしたような文章。それでも思考のきっかけを得たり、脳内に連鎖して考えさせられるのだから、読書は面白い。複数人分を読んで、余韻で考えるのが、私自身のオリジナルな「孤独論」というわけだ。

    人は、社会的分業をしているために完全な自給自足にはなり得ない。また、直接会話をする相手がいなくても、本や看板など、目に入る日本語は、その集団に帰属している証拠。ゆえに言葉が分からぬ海外での孤独感は一層強ま

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    2024年05月25日
  • 共喰い

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    第146回芥川賞受賞の表題作と『第三紀層の魚』、瀬戸内寂聴との対談を収録。『共喰い』は性と暴力が目立つというか本筋ではあるんだけど、『第三紀層の魚』と合わせて親子や家族関係におけるつながりやしがらみ、愛情と呪いが描かれている作品。特に『共喰い』で避けえぬ呪い的に描かれていたものが『第三紀層の魚』の主人公はサラッとそこから自由な視点を持っていつつ、繋がりのあたたかみや喪失感が対比的に描かれていて面白かったし、瀬戸内寂聴との対談テーマが家族や性愛のドロっとした古典であるところの『源氏物語』なのも含めて一冊としての完成度が良い。

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    2024年05月02日
  • 共喰い

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    共喰いは、ひたすらに欲がぶちまけられた、純文学らしい作品だった。なんというか、時代が変わったんだなぁ、良い世の中に向かってるんだなぁということを強く感じられるお話。

    第三紀層の魚、こっちがとても刺さった。なんでこんな子供のときの気持ちをクリアに描けるんだろう。思い出して胸が苦しくなった。

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    2024年03月01日
  • 流れる島と海の怪物

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    複数のメタを織り交ぜた、いわばベタの物語。時折、はっとする文章もあり、ただ、個人的な好みとしてはどこの土地でも起こせそうな内容に収斂しているように見えたのが残念だった。

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    2024年02月19日
  • 共喰い

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    共喰いと第三紀層の魚の2編が入っており他のレビュアーも書かれていたが、私も第三紀層の魚の方が好みであった。
    第三紀層の魚
    田舎町で、祖母や曾祖父などと共に生きた少年の成長譚であるが、じいちゃんや、ばあちゃんがいた人ならわかる気持ちが非常に共感を得る。身近な人の死、そしてそれが悲しいことなのかどうかすら、わからない少年時代。鬱屈とした昭和の空気感は
    逆に読んでいて新鮮であった。

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    2024年01月23日
  • ひよこ太陽

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    ネタバレ

    読みにくい作品でした。結局夢か現か分からなくなりました。何が言いたかったのか、分かりませんでした。難しい。

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    2023年11月10日
  • 共喰い

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    美しい文体に引き込まれて著者の世界観にとっぷり浸りながら読み進める面白さがあった。

    迫力ある表題作と対を成すように、
    優しく情緒溢れる第三紀層の魚が良かった。

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    2023年07月28日
  • 共喰い

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     芥川賞を受賞した「共食い」と「第三紀層の魚」を収録。
     共食い、父親が性交を行う時に、相手に暴力を振るうといったある種の性癖を、嫌いながらも自身の中に発見し、恋人に対して同様の行為を行ってしまうということにおいて、自身の中に父親と同様の血が流れていること、それがまるで定めでもあるかのようにも思え、それが何の変哲もない川沿いの田舎でのこととして描いているだけに、よりその凄惨さが浮かび上がる。
     単純に父対子というような図式ではなく、いや果たして対立していたのかという疑問もある。また奇妙な親子関係が、描かれてはいないが性癖に影響を与えているのかもしれないとも勝手ながら憶測してしまう。そして描かれ

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    2023年07月01日
  • 切れた鎖

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    「共喰い」よりも本作の「蛹」や「切れた鎖」の方が芥川賞受賞作品らしく感じた。怒りや苛立ちの表現がうますぎてゾワゾワする。

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    2023年01月01日
  • 切れた鎖

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    うううーむ‥‥
    難しい、、、中々理解出来ず何度も進めたり戻ったりして読み終えたが。
    僕には難し過ぎてダメだった

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    2022年11月08日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    ネタバレ

    冷たい水の羊は10年かけただけあって表現や描写が細かかく描かれていると思った。内容が暗すぎるからか、ラストの水原からの伝言は今後少しでも希望を見出せる展開に繋がる言葉になって欲しいと思った。

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    2022年11月07日
  • 共喰い

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    正直がんばって読んだ。まさに芥川賞と思えるような心理描写の重さや救いがたい物語に気持ち強くないとやられる。受賞時の記者会見での「貰っといてやる」や「とっとと終えましょう」的な発言が記憶に残っていていざ作品を読むとボコボコにされる感じだ。多作ではないけれどなんか力がある作家さんだなぁ。

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    2022年10月04日
  • 共喰い

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    川沿いの田舎町にへばりつく様に生きる人々の描写が生々しいのだ。
    生々しいのだが、父親が複雑でリアルな像を結ばない。僕の想像力の限界だ。
    映画を観ると光石研さんが軽やかに演じていた。あぁ、これだ、これが正解だと思った。
    ようやく父親が実体を得たけれど、読後感が著しく悪いので再読する気はしません。

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    2022年09月12日