田中慎弥のレビュー一覧

  • 切れた鎖

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    「不意の償い」
    ある行為のせいで死に至ったのではないかと無意識に抱えていた罪悪感が、徐々に噴出し精神のバランスがあやふやになっていく。
    読み進むにつれて、このバランスの崩れた不安定感こそがが逆に安定した世界の様にも思えてくる。


    「蛹」
    一番好きな作品。
    内包された自己への強い自信とは裏腹に、いつまでも地上に出る事の叶わず日々悶々とする存在。
    実際は地上に出られないのではなく出たくないのであって、結局内包されていた自信とはただの虚勢である。
    考えなければいいのに。
    何も考えずに外に出て人生を謳歌して、繁殖して死ねばいいだけなのに。
    「だけなのに」が、一番難しい事なんだなと。


    「切れた鎖」

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    2012年03月05日
  • 切れた鎖

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    芥川賞受賞のインタビューで、刺激的な悪態をついた著者を
    どこまでパフォーマンスが入ってるんだろ…? なんて、
    半ば、よこしまな気持ちを持って手にしたのが本書だった。
    あれは、著者の気持ちの飾り気ないストレートな発露だったろう…

    「不意の償い」「蛹」「切れた鎖」の3編…
    川端賞・三島賞のダブル受賞という随分と評価の高い短編集だ。
    小説を読む恐ろしさは、気づかずにある内面を引きずり出され、
    歪によどんだありのままの様をつきつけられることにある。

    どの作品からも、そうした領域に切り込んでゆこうとする、
    著書の文学的に真摯な姿勢を感じた…
    たとえば冒頭作「不意の償い」は、妻となった女と
    はじめて関

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    2012年02月10日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    奴隷なのか否か。世間の常識や溢れる情報。自分は自分を生きられているのか。今だからこそ共存から孤独へ、新しさから過去へ。自分とは何なのか、それをわからないわかろうとしない考えることすらできない。そんな時代への一石。

    本を読む素晴らしさに対して、
    "「美しければそれでいい、それ以上望むには及ばない」というようなことが書いてあって、中学生のわたしは「そうか、美しいことが最高だと言ってしまっていいんだ」と雷に打たれたような気になった。人間はどう生きるべきかとか、そういうことではなくて、「美しければそれでいい」と断じてしまう価値観に衝撃を受けたのです。"

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    2026年07月20日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    もうあまり、いろんなところで、「大学で学んでないんで」と言わないでほしい。だから思考進度が浅くてとか、だからせめてスマホを持たずにいるとか‥
    孤独先進として格好よくいてほしい。

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    2026年07月19日
  • 堕落論 住めば都のディストピア

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     男性2人の対談は珍しくもないが、タイトルに惹かれて読んでみた。男性による男性のための『堕落論』だと思った。この本を自分の人生に引き寄せて読める女性はどの程度いるのだろうか。共感できないところが多々あって、常識やら固定観念やらから自由になって、「自分独自の世界を作り上げていく」というような言説があったが、人間という普遍的な存在が念頭にあるわけではなく、男という生き物について論じているような印象を持ってしまうのは、私だけだろうか。

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    2026年06月16日
  • 堕落論 住めば都のディストピア

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    AIの手のひらの上でいいように転がされる=環境に最適化して「墜ちて」しまった方が自然に生きられるのでは?という提案の書

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    2026年05月31日
  • 共喰い

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    息子へ)
    いかにも文学作品といえる本書。確か芥川賞受賞作品。
    内容は重く、後味が悪い系。とはいえ、印象に残るという意味では良い作品なのだろう。芥川賞を取ったのもなっとくの作品だ。
    純文学が好きなのであれば読んでみて欲しい。

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    2026年05月24日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    大学中退してひたすら家で本を読み小説を書いて(バイトもせずに)、33歳で新人賞とってデビューっていうのはなかなか普通の人にはできない。どういう精神なのかと思うけど、別に本人とお母さんがそれでいいと思っていたら、それでいいのかもしれない。苦しみがなければいいのかなと。
    お母さんはよく我慢したもんだと思うけれども、別に母子べったりの生活だったようでもないし、半分諦めて淡々と生活してたのかもしれない。
    しかし本が大好き、本が肥やしみたいな人生って羨ましい。作家だから書いたらそのぶん、読んで体に取り込まないといけない。読書は栄養なのだ。それもなんとなくわかる。
    私も読書だけして生きていけたらいいな。ほ

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    2026年05月19日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    ネタバレ

    「人間の脳、身体は、いわば言葉の容れ物です。そこから言葉をどんどん出して、出したぶんだけまたどんどん容れていかなくてはならない。他者の言葉を知らずして、自分の言葉は生まれません」

    「自分の外側から言葉を獲得し続けて、内側にどんどん蓄えていき、もう収まり切らないというところまで溜まると、言葉は外に出たがるようになります。すると身体がごく自然に 『書く』というアウトプットを求めるようになるのだとわたしには思えます」

    要約すると言葉の新陳代謝を活性化しなければならないということなのではないでしょうか。

    このレビューを書くという行為も他人の言葉を容れていった後、自分の言葉でアウトプットしているこ

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    2026年04月18日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    内容は割と普遍的で、自己啓発本として読む方は物足りないと思うかもしれません。
    奴隷の考え方について、人は何かから独立している状態と何かに従っている状態が共存していると考えているので、著者の考えにはちょっと疑問がありました。
    とはいえ仕事でもなんでも自分の頭で考えることと、読書などで自分の内側をアップデートする必要があることは事実だと思うので改めて学べたのでよかったです。

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    2026年02月16日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    大学入試に失敗して以来15年間引きこもりながら働いたこともアルバイトすらしたことがなく、携帯もパソコンも持たない著者が組織や世の仕組みについて語っていて、面白かった。
    この生き方だと殆どの人が悩みそうなことには悩まず信念を貫いて実際小説家になって芥川賞までとるのがすごい。
    ある意味ものすごく説得力があったしこの方のお母さんもすごいと思った。
    ものすごく変わってるけどほんのり優しい人なのかもとも思いました。

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    2026年02月08日
  • 共喰い

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    100ページ程度の短編 芥川賞受賞作品
    映画視聴済 淡々と書かれてる
    映画の方がわかりやすいのか入り込みやすかった
    短いからサクッと読めたが印象に残る作品

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    2025年12月11日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    著者の経歴などとシンパシーを感じるところもあったので読んでみました。

    個人的には帯とまえがきで十分かなという感じでした。
    まあ孤独であることに以前ほど悩んでいないからそう感じたのかもしれません。

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    2025年12月10日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    純文学は私にとっては難しくてあまり読まないのだけど
    この田中慎弥さんはなんかずっと気になってしまう存在。
    芥川賞受賞の時の印象が強いのかもしれない。
    この本はエッセイというか…複雑な自分の考えを書き殴ったような。あまり纏まりはないかもしれないけど、それが人間というもの。自分をさらけ出してる感じがして良かった。

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    2025年12月07日
  • 孤独に生きよ 逃げるが勝ちの思考 増補改訂版・孤独論

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    第四章「なぜ読書が必要なのか」、第六章の「「棚からぼた餅」論」、第七章「家族は孤独を癒すのか」は特に興味深く、作家らしい洞察力に満ちた独自の視点に膝を打って読んだ。
    他の箇所については、部分的には共感するのだが、2025年に出た本にしては古い論調だな…と思ってしまった。
    根底に流れる「同調圧力とか嫌なことからは逃げていいけど、まあ最終的には努力とか自己責任の能力主義だよね」みたいな雰囲気が、どこか青木真也の著書『空気を読んではいけない』みたいな、ごくごく一部の尖った経歴の人が強者の目線から私的自論をつらつらと述べる 2010年代の煽り系ビジネス書(?)に似てるというか…。
    本著は2017年に出

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    2025年11月26日
  • 共喰い

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    最近は母娘の話を読むことが多かったので、表題作の父息子が興味深かった。
    父のインパクトが凄くて他の全てが背景に見える。

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    2025年10月10日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    【図書準備室】
    ニートの話
    中学の古参教師の戦場で犯した罪の告白人生をひとり語りで語っており、ニートの立場の主人公が語る事で時代の価値観みたいなものを考えさせられた。

    【冷たい水の羊】
    いじめの話。
    いじめられている事を心配して先生に相談してくれるクラスメイトがいるのに、いじめと認めない主人公。読みながら、直視できない部分と理解できない部分は流し読みになってしまった。
    いじめる側の高揚している気持ちや恐怖で支配されてしまう後輩、父親の選挙の準備て両親は息子の事まで気が回ってない様子、それぞれの立場の気持ちが描かれていて、いじめられる側だけを意識することなく読めて、いろんな立場を考察する気持ち

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    2025年09月24日
  • 共喰い

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    何とも言えない。あまり響かず。主人公以下、登場人物の行動がよく理解できず。悪いやつならもっと荒んでいるのが自然で行動だけおかしくて、思考が大人しくそこがよく理解できなかった。悪い人の思考パターンを作者は知らないのかと感じた。それとも知った上でリアリティ無視でメルヘンチックに人物造形したのか?いずれにせよ面白い試みとは思えなかった。田中慎弥本人はめちゃくちゃ面白いのにな。

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    2025年08月17日
  • 完全犯罪の恋

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    3.8 誰かの人生や思い出に残る人でありたいと願う物語。恋愛はその可能性が高い関係である。一方的であることは多いけどね。まあモテてモテてと言う人生ではない人には刺さる話。

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    2025年06月26日
  • 共喰い

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    女性が文学上で羽織らされる理想像の形にもかなり色々あるな...と感じた。海や川になにか大きなものを感じているのか、決して綺麗なものでは無いと描写する一方で心の拠り所になっているのが2作とも共通している感じがする。
    個人的には最後の瀬戸内寂聴さんとの対談が一番面白かった。源氏物語の話が読めて満足。

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    2025年05月25日