田中慎弥のレビュー一覧

  • 共喰い

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    純文学というカテゴリを初めて知りました。なるほど、たしかに娯楽というよりは芸術に近い作品なのだな、と感じました。対談に私小説は書かないとありましたが、体験や経験なしで、遠馬の性衝動をあそこまで生々しく書き上げる腕に驚嘆しました。

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    2024年03月21日
  • 田中慎弥の掌劇場

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    2008年10月4日~2012年1月23日まで毎日新聞西部本社版に連載された37編+文庫のみ文芸誌「すばる」2014年1月号掲載の1編を収録した掌編小説集。居眠りしたときに見る短い悪夢のような話が続いてどれも面白い。内容的にも長すぎないから良いものばかりと感じた。

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    2024年03月09日
  • 流れる島と海の怪物

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    ただのファンタジーと呼んでしまうのには、練られすぎているしリアリティがある。恐ろしいほどの筆圧。辺境の島の恐怖の構造も怪物の正体もわからないまま進む物語は、それを辿りながら前のめりになり、登場人物たちの叫びが聞こえるみたいで恐ろしくて哀しい。
    いったい怪物とは何だったのか。


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    2023年12月22日
  • 共喰い

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    血は争えないよなって
    色んなものが川に流れていく表現が良かった
    ずっとずっと雨だなって感じ

    第三紀層の魚の方が好き
    気づいたらぼろぼろ泣いてた

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    2023年12月03日
  • 共喰い

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    純文学を感じた。
    共喰いは私にはまだわからないところも多かったが、第三紀層の魚は、(すこしありがちなストーリーにも感じたが)読みやすく面白かった。
    巻末の対談も良かった。

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    2023年09月26日
  • 孤独のレッスン(インターナショナル新書)

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    感想
    どれだけの才を持ち合わせても、どれだけの美貌を手に入れても。孤独は人間に付きまとう。耐えるという態度を捨てた楽しむという付き合い方。

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    2023年04月26日
  • 共喰い

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    男の本質と言うべきか、人間の業と言うべきか。ねじの外れた人間がリアルに描かれている。同時収録の「第三紀層の魚」のほうも毒は薄いが好き。

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    2023年04月05日
  • 神様のいない日本シリーズ

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    作者、田中慎弥による、父性や男性性の再定義のようにも思えたが、変則的な青春小説として読んでもじゅうぶん面白い。結婚にまで発展していく「父さん」と「母さん」の、情報の少ない中学校時代の描写がかえってその後を想像させる。

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    2023年04月01日
  • 完全犯罪の恋

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    ネタバレ

    本好きで繋がる田中と緑の関係は、甘酸っぱくていいなと思う。そこに三年生の先輩森戸の影がちらつき…
    キスまでしておいて友人認定だったの?と思うけど、結局どちらだったのだろう。好きな作家と同じ死に方をすべき、というのがキーワードになってくる。
    二男一女の三角関係は死人が出るのが文学のお決まり。
    「こころ」のお嬢さんも名前「静」だったな。
    男なんだから、という育てられ方をした田中に対し、静はジェンダーに過敏な反応をするけど、その静自身が田中を「男性」「作家」という枠組みでレッテルを貼っているという解説の指摘に、なるほどなと思った。

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    2023年01月04日
  • 共喰い

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    嫌悪する父親と同じ血が流れていることに苦悩し、抗えない衝動に葛藤する主人公。細かな描写が主人公の心理を丁寧に表現する。重苦しい雰囲気だがまさにこれぞ純文学。今の時代、貴重な作家だと思う。

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    2022年09月22日
  • 共喰い

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    ネタバレ

    仁子さんが親父を殺すシーンの濁流の描写が凄まじい表現力で引き込まれた。ここのシーン、自分の脳内で浮かんだアニメとも実写ともつかない映像が印象的で、今後どんな媒体で映像化されてもこの文章を読んだ時の感動は超えられないだろうなと思った。でも実写映画もあるみたいだから観てみようかな。
    第三紀層の魚も良かった。
    この人の作品初めて読んだけど、なんか2作ともむき出しの田舎と少年の夏って感じで好きだな。こうやって書くとさわやかな雰囲気になるけど、夏特有のムワムワとした湿気が常に纏わりついていて薄暗い印象。文体もなんというかイマドキな感じじゃなくて格好いい。ちょっと渋いというか、芥川賞ってこういうのが取るよ

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    2022年09月01日
  • 共喰い

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    理性と本能、思春期の急激な変貌、遺伝子と拒絶。父親の忌避すべき類似性を己から感じ取った主人公の葛藤と苦悩が淡々とした筆致で表現されている。
    繊細な情景描写も多く、読む者を灰色の田舎町へ無理矢理引き込んでいく。
    独特な文体であるが違和感はなく、読後は余韻に浸ることができる。
    しかし、芥川賞である表題作よりも、共に収録されている短編「第三紀層の魚」の方が個人的には良い。釣りにまったく興味の無い私でも涙腺が多少緩んだ。
    幼い少年と死にゆく曽祖父との交流がなんとも切ない。血のつながりが全てではないと少年の成長と経験、戸惑いを通し、流れ込む。
    こちらも淡々とした情景描写に、芥川賞を獲った奇才ぶりを存分に

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    2022年04月10日
  • 共喰い

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    迫力のあるお話。こうゆう感覚は映像化したいって思うクリエイター多いと思います。目に見えない、狂気、性(さが)、自己中心的卑しさ。程度はここまででなくとも共感しちゃう部分はあると思うんだよね。こんな人ばっかりだったら社会が変になりそうだから、ある程度までね。こうゆう感情をシーンとして情景として描かれています。凄い迫力なので私は映像が浮かびます。惹き込まれました。

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    2022年03月07日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    うまく文章が書けなくてもねちっこくしがみつき、10年かけて賞を獲得した。できることを毎日ちょっとでいいから続ければ。ねちっこく。

    ねちっこく続けること。棚からぼたもちが落ちてくるところで待つ。

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    2021年07月01日
  • 切れた鎖

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    写文したくなる名作

    やっぱり「血縁」なんやなテーマは。しかし、共喰いより断然面白い。
    家族はバトンを繋いでいくけどその中身は思いや、時代で形を変えて受け継がれる。そしてそれはいかなる力でも切れないと思わせる。いくら時代がグローバリズムを称揚しても、関係なかったことにはできない。関係ないことにしようとして「関係ないやん」と思うこと自体、関係に縛られている。

    著者は「切れた鎖」でその呪縛を解き放とうとしたのではなく、あえて浮き彫りにしたんだと思う。

    とにかく素晴らしい作品。

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    2021年05月23日
  • 孤独論 逃げよ、生きよ

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    ネタバレ

    共喰いの作者、と思って読み始めた割にはものすごく健全で、明るくて希望に満ちている。思考停止に陥った奴隷になるくらいなら、今いるところから逃げて孤独に自分と向き合い自分が好きなことから始めよう。本は自分の視野を広げてくれる。人生の全てが無駄ではなく、何か得るものがある。といった、とにかく明るい本。装丁とのギャップ。

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    2020年05月12日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    【図書準備室】
    主人公がずっと喋っていくスタイルの文章。序盤のリズミカルな、小気味良い口調が読んでいて楽しかった。子供の頃、倒錯的な強迫観念を抱いた経験が多かれ少なかれ誰にでもあるのではないだろうか。大人になり世の中のことがわかってくるにつれ、それが無知ゆえの取るに足らない思い込みであることに気付く。しかし、大人になればまた別の強迫観念に縛られながら生きている自分がいる。人生が続く以上、この枠組みの外へは決して逃れられないのだと思った。

    【冷たい水の羊】
    自分がいじめられていると思わなければいじめは存在しない、という論理で真夫は自分を騙す。いじめを辛いと感じるような心理描写は全く出てこない、

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    2020年04月10日
  • 図書準備室(新潮文庫)

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    ◯図書準備室、冷たい水の羊ともに、まず表現の面でエンターテインメントを感じた。
    ◯図書準備室では、現在の語りと当時の行動のギャップに驚き、冷たい水の羊では、凄惨なイジメの描写に驚く。
    ◯しかし、その先に、それぞれの生きることに関する論理がある。あるのだが、なかなか読み解けず、その分心惹かれた。

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    2019年12月02日
  • ひよこ太陽

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    ギリギリ生活ができる程度の
    売れない小説家の不安定な心情を描く。
    いずれはヒット作を出して欲しいと願う。

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    2019年09月17日
  • ひよこ太陽

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    死に依存し、妄想にとりつかれ、何の為に生きているのか自問しつつ、それでも生きる作家。不条理だ。不条理極まりない。登場人物の誰しもが、どこかしらだらしなく、どこかしら弱い。もやもやしながら読む作品。ひよこ太陽は、みつからない。

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    2019年07月19日