井上真偽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
婚礼の席で、同じ盃を回し飲みした参列者が三人毒死した。
上苙丞の弟子・八ツ星聯と姚扶琳が遭遇したこの不可解な毒殺は、何故起きたのだろうか。シリーズ第二作。
うんうん。前作よりは健闘している。
物語の構成がかなりブラッシュアップされている印象。論客たちを一箇所に同時に集めることで、テンポの悪さがかなり改善されていた。事件を一つにばちっと纏めたことによって、読みやすさという点では前作を遥かに凌駕していた。
それでもまだ気になる所は多い。まず、今回も健在だった推理の纏め資料の存在。丁寧な議論パートの最後に全く同じ内容が再掲されるのは、読者としては冗長に感じる。資料を作成したという一文で割愛するのではいけないのか。読み飛ばして良いと注意を促すくらいなら、最初から書かなければ良いような気もする。読み進めるにあたって、リズムって大事だ。
設定をまだまだ盛りすぎに感じる。
日本の古き良き因習村的な雰囲気がとても良かったので、そこに魅力を集約しても良かったように思う。カヴァリエーレが絡むと西欧の、西王母が絡むと中国の風が如実に強まる。どうにも多国籍になりすぎて雰囲気というものが不協和音を奏でているように思う。引き算の美学も必要かもしれない。
シェン・ウェンジェンがミステリィとの相性が悪い。あまりにもバイオレンスに過ぎるので、理詰めで犯人を炙り出す議論は不要になってしまう。関係者を拉致して拷問にかけて(最悪死んでもいい)犯人に喋らせるという事を、選択肢の一つとしてテーブルに乗せてしまうと、あらゆる知的な議論は木っ端微塵に吹き飛ぶ。
前作よりキャラクターが魅力的に描けていた。
上苙丞は、ちゃんとイケメンだったし、八ツ星聯は切れ者の少年、姚扶琳はちゃんと美人だった。キャラが文章に追いついていて、漫画的な魅力がでてきた。 -
Posted by ブクログ
【短評】
特定の物語を「摂取」したいと渇望することがある。
文章なのか、キャラクタなのか、はたまた巧緻に富んだトリックなのか、私の脳髄を心地良く刺激するものが何かは判然としないが、井上真偽の「その可能性はすでに考えた」シリーズが、私にとって、そうした何かを有する作品であることは間違いないようだ。
浸るように、飲み干すように、貪るように一気読みである。嗚呼、大好き。
青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)は、とある事情から「奇蹟」の存在を実証せんとしている。今回の事件は「飛び石殺人」。聖女伝説が残る地で行われた婚礼において、同一の盃を回し飲みした者のうち、3名(および犬1匹)が毒死した。全員が酒盃に口を付けたという状況において、標的のみを毒殺することが可能なのか。
様々な推理仮説が乱立する中で、探偵は告げる。さあ、皆様ご唱和ください。
「その可能性はすでに考えた」
前作と比較して、エンターテインメントとして一段階上にあったと思う。
特に「第一部」から「第二部」に至る鮮やかな転換がお見事。横溝正史的な日本家屋から一転する新たな「舞台」に目を見張るとともに、探偵の「奇蹟」に縋らざるを得ない状況を作り出す技巧に舌を巻いた。キャラクタの動かし方も心得たものであり、私のお気に入りであるフーリンも含め、各人に見せ場が用意されており、見応えがあった。本筋と殆ど関係ないが、リーシーの踵落としは美しかった。
前作の不満点であった「難解さ」もある程度改善しており、ある種の共通認識を前提に、如何に毒を飲ませるかに収斂することで、パズル的な面白さを出せていたと思う。
さりとて満点評価に至らなかったのは何故か。
メタ的な観点で恐縮だが、ミステリィ好きの心構えとして、本作のようなパズル的な事件について「奇蹟でした」では満足出来ないのである。超常ではなく論理による解決をはなから期待してしまっているのである。無理を承知で「奇蹟でも良いか」と思えるような雰囲気を纏った事件を期待してしまう自分がいる。それが出来れば、前人未到の名作が誕生することを予感している自分がいる。
好意と期待が綯い交ぜとなり、やや乱文となったが、愉しい読書でございました。
【気に入った点】
●突如として呈示される意外過ぎる「犯人」。「ほぇ!?」と声が出てしまった。そこからの怒涛の展開は、冷静に考えると結構ギャグめいているのだが、探偵物の舞台は外連味が効いている程に映えるものなのだ。
●矢っ張りフーリンが好きなのである。彼女が語り手である限りにおいて、私はこのシリーズを継続することを止めないと確信した。地の文に癖がある方が好みなのかしらと、自分を分析すること少々。
【気になった点】
●改善されたとは言え、難解さは否めない。図解や場合分けを駆使して整理してくれるので、脱落することはなかったのだが、要所要所において頭脳をフル回転させ続けることを強いられる(そうしないと字が滑る)というのは、本シリーズの構造的弱点の一つだと思う。
「砂上楼閣もここまで林立すれば壮観だ」とは本著を評した綾辻行人の言葉。然り。
次の作品も楽しみにしている。え、刊行されていない!? そんなご無体な!! -
Posted by ブクログ
下巻でございます。
一華ちゃんのお父さんの四十九日の法要の日、
すなわち一華ちゃんが暗殺されようとしている日でございます。
大陀羅家の暗殺を企てるセレブ親戚達VS
さらっと未然に対処してしまう探偵、千曲川光。
どんどん暗殺がいろんな手法で繰り出されるわ
繰り出されるわ。しかも一華ちゃんが気づかないうちに、探偵千曲川が解決している始末。
親友曰く、『一華は少しボケていると言うか・・・、馬鹿じゃなくてスーパー馬鹿なんだよ』
ナイスです!すなわち超天然良い子なんですね。
ドラマだと千曲川の『トリック返し』がフォーカスされてましたが、原作は時間の都合上割愛されまくってました。普通逆じゃないかい?千曲川光の出番は意外と少ないのね、って。
最後、一華と橋田とのジャレ愛が、この作品のすべてだったなと。
上下巻おつかれさまでした。
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Posted by ブクログ
ドラマで楽しく見ていた作品が、井上真偽さんの作品だと知り上下巻本を購入して、早半年。
やっと読みはじめました。ブク友さんも2.3人しか読んでいなさそうな作品でございます。
主人公一華ちゃん、家政婦的使用人橋田さん。
ドラマと変わらぬキャラで世界観を楽しめました。まぁ明るいこと。
ただ探偵である『千曲川光』は少し小説の方がミステリアスで、ドラマは滝藤さんが激しいキャラだったので、いい意味でストーリーに集中でしました。
なんといっても、タイトル通り『探偵が早すぎる』、事件が起こる前に解決しちゃうのが面白い。
その名もトリック返し!
井上真偽さんの名作『その可能性はすでに考えた』
に通じる世界観。
スッキリする!とか、なるほどねぇ!ではなく、
事件が起きる前に、トリックを見破り犯人にお仕置きをしちゃうお茶目なミステリです。