井上真偽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かつてこれほどまでに読者の心を掴む小説の「要素」をふんだんに詰め込んだミステリがあっただろうか。
単なるミステリの枠を超えた上質な読書体験を味わうことができた。
まず、ミステリが人を惹きつける取っ掛かり。それは舞台設定の巧妙さであろう。
この小説は地下で身動きが取れなくなった「見えない・聞こえない・話せない」の三重障がいを抱えた女性をドローンを使って救出するというあらすじ。ここですでに読者の心は鷲掴みにされる。
そんなことは果たして可能なのか?ページを開いて答えを確認したくなる。
つぎにここでもミステリやサスペンスでの王道といえる要素、時間制限である。
読者は時間や環境に追われ、リミットがありその制限内にミッションを終わらせようと奮闘する主人公に感情移入をし、応援する。
太古の昔から使われてきた手法ではあるが、わかりやすく読者の心を惹きつけるのだ。
そして、この小説の最も重要な要素。それが最高級の人間ドラマである。
文庫の解説を担当されている「けんご」さんが指摘されたように、健常者も障がい者も平等に暮らせるようにと作られた地下施設では様々なハイテク技術が登場する。しかし、地下に置かれた彼女を、そして読者を最終的に救ったのは間違いなく、人の心であった。
ぜひ、本文を読んでその体験に出会ってほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった!◎
集団自殺や少年少女の関係……胸が痛くなる事件だったけど、登場人物がコミカルというか『キャラクター感』があって、重くなりすぎず読めた。
重くなりすぎず読めたとはいえ、ドラマの『trick』を観た後みたいな、ずーーんとした気持ちは残る。多重解決で新しいトリックがどんどん出てきて、それが否定されて…って、ミステリとしてはとても面白かったけど、わたしにとってはなかなか重かったなー。
この事件の1つの可能性にすぎないけれど、最後に語られた可能性は泣けた。こうであってほしいな。
悲惨な可能性だけじゃなくて、探偵が希望を見出してくれたことがわたしにとっても救いだった。
著者をwikiで調べたらクビキリサイクルが好きって書いてあった。確かに西尾維新っぽさを感じて納得。
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Posted by ブクログ
「二つの毒が混在していた」「毒が毒を制した」「存在しないはずの毒が効果を生み出し、一方で存在したはずの物証を抹消した」
今回の作品は「毒殺」という犯行計画の二重進行が生み出した「奇蹟」のような事件。
そして父と娘
ー最後は父として死にたかったー
その行動が最善でないことを一平は理解していたはず
その思いが2度目の謝罪「すまん」に込められていたのではないかと感じ、娘自身も権力に抗えず我慢や自己犠牲の道を選んでいたからこそ、父の行動を認めたいと思ったのではないかと思う。
また最後の断想と冒頭の断想のつながり
生きるための毒(薬) 死ぬための薬(毒)という二面性をうまく使っているなと感じた。
毒を制して毒を吐くか。毒に制され血を吐くか。
すごく面白かった