井上真偽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
見えない・聞こえない・話せないという三重苦を抱えた要救護者に対し救助のドローンが来たことをどのように認識させるのかと思ったが、その手があったか!ドローンからワイヤーを垂らすのかなと予想はしたのだが。
また、バッテリーで稼働するドローンなので、バッテリー切れになったらどうするのかと思ったが、その点の用意もきちんとされていた。さすがスマートシティWANOKUNIと言うべきか。
亡き兄の『無理だと思ったらそこが限界なんだ』という口癖を何かに付けて口にする主人公だが、兄を見殺しにしたという罪悪感からそれは呪縛となって主人公を苛んでいるように感じた。それは主人公も物語が進むに連れて自覚するようになり、最 -
Posted by ブクログ
シチュエーションが素晴らしいですね。
所々で語られる言葉。
『無理だと思ったら、そこが限界だ。』
巨大地震により、地下5階に閉じ込められた女性。
彼女は、見えない、聞こえない、話せないと言う3つの障害を抱えていた。
そして、彼女を救うため、頼みの綱は一台のドローン。そして、操縦士のハルオ。
果たして、彼女を安全地帯まで、誘導出来るのか?
猶予は6時間。迫り来る様々な障害。
そして、噂される彼女の障害とは本当なのか?
最後の最後に、あっと驚くどんでん返しが。
障害がうそと思われたのは、そう言うことなんですね。これは大いなる伏線ですね。
人の生きる力を信じたいと思わせる一冊です。 -
Posted by ブクログ
私はこの本が大好きです。
キャラクターものが大好きだからという面が大きいのは否定できないけれど、それを差し引いてもストーリーがあまりにも魅力的である。
十数年前のカルト集落の集団死亡事件、ただ1人の生存した少女、首切り死体と不可能殺人、そして奇蹟の証明。こんなにワクワクする設定がなかなか揃うこともないだろう。
この小説が面白い点は、登場する推理仮説が「そんなのありか!」という荒唐無稽なものなのにそれを完璧なロジックで否定し切らないといけないこと。
そう、主人公に与えられる課題の難易度設定があまりにも高いのだ。読んでいる最中、何度も無理だろこれはと思わずにはいられない。そんな時、次のセリフを -
Posted by ブクログ
井上真偽さんのデビュー作。
数理論理学という聞き慣れない学問を使って、事件の推理が正しかったのかを検証する、という話。
難解な数式というよりは、命題や論理の記号を駆使して、推理を数式化しており、恐らく多くの読者には理解できない部分が多かったと思う。
(私も含めて)
しかし、敢えて井上先生はそれを分かって本作を書いており、主人公の大学生も高度な説明に全くついていけていない、という形で読者の理解のハードルを同じレベルにしてくれている。
また、各章の話が最後に繋がりを見せる部分は、私の大好きなどんでん返しの要素もあり、とても良い気分でひっくり返されてしまった。 -