井上真偽のレビュー一覧
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ネタバレ再読。
奇跡を証明するために可能性を潰していくというスタイルが珍しくて良い。
どの人の推理も結構ぶっ飛んではいるが、“可能性を上げれば良い”ためそこは問題にならないというのも面白い。
びっくりしたのは、回想のリゼと依頼人のリゼが別人だったことで、別人が依頼に来た理由がなかなか重かった。
残念だったのは、枢機卿のターンでこれまでの探偵の反証の矛盾を突いていたが、「それって推理の論拠が正しいと仮定した上での反証では?」と思っていたので、その通りに反論がされて「まあ、そうだよね…」くらいの感想にしかならなかったことかな。
しかし、多重解決が楽しめたので全体としては好きな作品だった! -
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たしかにミステリーの展開としてはオリジナリティがあり、ロジックもよく練られていたのだが、ちょっと小難しさを感じた。
気になったのは、主人公の相棒である女性のキャラ設定。中国人で、裏社会の金貸しで、拷問のスペシャリスト、これは必要だったのだろうか?主人公に一億円以上貸付けをしているのに、依頼者の若い女性が支払う報酬(せいぜい数万〜数十万?)に執着するのは違和感があった。実は主人公に惹かれていた、という描写もないではないが、基本的に塩対応で、「内心では信頼を寄せている」というところまではイメージできなかったのが残念。そういうキャラだから、と言われればそれまでだが… -
Posted by ブクログ
ドラマが好きでした。原作は読んだことがなく。
もう千曲川が出てきた時には滝藤賢一さんが『神のものは神に、カエサルのものはカエサルに』と言っている姿が浮かんで...。久しぶりにドラマも観たくなりました。原作先でドラマを観てたら全然違う印象を抱いていたかもしれません。
やっぱり探偵は早すぎる。一華が指摘するよう、所謂小説に出てくるような探偵って事後での解決だし、現実は身辺調査とか...。事件を未然に防ぐのは新しすぎるし、なにより華麗すぎる。
華麗すぎて、未然に防ぎすぎて、一華自身は守られたとこに気がついてもいないこともあり。そこがまたシュールでいいです。
まだ上巻。下巻も楽しみます。 -
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ネタバレ斜線堂有紀の本を探してたどり着いた。脱出をテーマとした5編のアンソロジー。ミステリー小説集とあるけど、正直全部ミステリーではないと。いや最初の阿津川辰海「屋上からの脱出」はまぁミステリーか。織守きょうや「名とりの森」はファンタジーだし、斜線堂有紀「鳥の密室」は魔女狩りについての話でかなりグロい。空木春宵「罪ばみの巫女」もよく分かんなかったし、井上真偽「サマリア人の血潮」も何か人物像が二転三転してあんま好みじゃなかった。初読みの人が多かったけど、あんまはまんなかったな。名とりの森だけ最後ちょっと泣きそうになったわ。これは良かった。
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1話目を読んで思ったのが、「頭のいい人が書く小説だなぁー」。
ずいぶん前に読んだ、『ユートロニカのこちら側』を読んだ、あの感触と同じものを感じたと言えばいいのかな?
ただ、『ユートロニカのこちら側』は、話に出てくる、設定から会話、あらゆるものが著者が読者の先回りをして“正解”を用意しているようで、読むのがバカらしくなった反面、(お話自体は決して面白くないんだけれどw)書かれているその内容について、つい、いろいろ考えさせられてしまうところがエキサイティングで面白かった記憶がある。
一方、この『ベーシックインカムの祈り』はお話一つ一つが独立している短編集だからか(最終話はフィクションの著者がそれ