井上真偽のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読みやすくて、サクサク読めた。
見えない・聞こえない・話せない少女を、ドローンを使って救出するという設定は面白い。序盤は「この状況をどうやって解決するんだろう」とワクワクしながら読めた。
ただ、読み進めるにつれて少し単調に感じてしまった。次々と問題が起きて、それを一つずつ解決していく流れは分かりやすい反面、登場人物の内面や物語そのものを、もう少し深く描いてほしかったというのが正直なところ。
ラストはハートフルで良かった。そこまでの展開を振り返ると「なるほど、そういうことだったのか」と思える部分もあり、読後感はかなり良かった。
個人的には『イン・ザ・メガチャーチ』のほうが、途中までの「この先どうなるんだろう」というワクワク感や、物語に引き込まれる感じは強かった。
読みやすく、設定も面白いので気軽に楽しめる作品。ただ、自分には少し物足りなく、もう一段深いところまで読ませてくれる作品のほうが好みかな。 -
Posted by ブクログ
多重解決ミステリというジャンルを初めて読みました。過去の集団自殺の生き残りである少女の依頼で事件の真相解明をする探偵、というのはありがちな設定なのに、ありがちではない展開になっていて読み応えがありました。「奇蹟」の存在を証明しようとする探偵。ふつうは逆では?と思うし、「奇蹟ではない」ことを証明するほうがよっぽど簡単だろうに、まさに修羅の道を進む難儀な人だ。でもフーリンの気持ちもなんだかわかる、探偵の行く末をわたしも見たいと思いました。最後に示した探偵による事件のストーリーがうつくしく、希望に満ちててよかった。
ややゴテゴテしてる語り口だとかキャラクターが強すぎてそこがすこし読みにくかったかなあ…自分に中国系の知識がないから難解に思えてしまった。漫画っぽい仕草の描写が多かった。漫画家の星来先生にキャラデザしてほしいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ミステリーからホラーやSF…5人の作家による様々なシチュエーションからの脱出劇。
「屋上からの脱出」阿津川辰海
中学時代の仲間の結婚式。『一ノ瀬』は二人のなれそめとなった出来事に想いを馳せる。天文学部の合宿中、極寒の屋上に閉じ込められたことを。
一番現実的で想像しやすい舞台。脱出方より理由を解く方が本題。青春物の皮を被っていながら少し後味はよろしくない。ミスリードを狙っているのだろうが、2歳差を歳の差婚というのはちょっと違和感。
「名とりの森」織守きょうや
夏至から十日の間に入ると出られなくなると言われている町はずれにある森。名前を忘れてしまうらしい。一人で森に入り行方不明になってしまった友達を探すため、『夕陽』は森に入る。
ファンタジーよりかな。名前を思い出せば戻れるらしい。ラストは二人で戻れてめでたしめでたし。
「鳥の密室」斜線堂有紀
これは何と言えばよいか。中世の魔女狩りがテーマ。拷問シーンが辛過ぎる。
「罪喰(つみばみ)の巫女」空木春宵
民俗学を調べている男が興味を惹かれたのは、罪を喰ってくれる特別な能力を具えた巫女がいるというもので、ようやく探し当てたその神社を訪れる。
ホラーかな。祈祷や念力ではなく、文字通り肉体を食べる美貌の巫女。なんだか『進撃の巨人』を思い浮かべてしまった。二人の視点が入り混じって複雑な構成。
「サマリア人の血潮」井上真偽
記憶をなくし研究所で目を覚ました『トオル』は、血を吸うゾンビのような人間に襲われる。絶体絶命の彼を助けたのは『カズト』と名乗る声。 一体奴らは何なのか、そしてカズトは本当に味方なのか?断片的に思い出す記憶を頼りに、トオルは上を目指す。
SFかな。薬となる希少な血液を持つが故自由を奪われた少年の脱出劇。人類が滅んでも構わないと思う一方で、親身になってくれた一人を見殺しにはできない。パニック映画のようでいて、意外と奥の深い話だったのかも。