あらすじ
「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位。今、最も読むべきミステリ!! 聖女伝説が伝わる里で行われた婚礼の場で、同じ盃を回し飲みした出席者のうち、毒死した者と何事もなく助かった者が交互に出る「飛び石殺人」が発生。不可解な毒殺は祟り神として祀られた聖女による奇蹟なのか? 探偵・上苙丞(うえおろじょう)は人の手による犯行可能性を数多の推理と論理で否定し、「奇蹟の実在」証明に挑む。
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Posted by ブクログ
2026年15冊目
本の中の感想を書く前に、、表紙のイラストとても綺麗過ぎませんか!艶やかで気品のあるイラストですごく惹き込まれてしまいます。。
調べるとQーTAさんという方のデザインされたイラストのようです(一次元の挿し木も担当されたとか)。
今まで表紙のイラストに関心を持ったことはありませんでしたが、今後は気になった表紙があったら調べてみようかなと思いました。
さて、本の中身についての感想ですが、やっぱり最高に楽しむことができました。
前作のその可能性はすでに考えたが、個人的にどハマりで、次回作も期待大で、ようやく読むことができました。
前作よりも読みやすくなってますが、事件の真相については前作の方が好きだなという印象です。
ただ、ロジック対ロジック、屁理屈対屁理屈のバトルは、前回同様に読んでいてとても面白かったです。
他のミステリー小説では味わうことのできない楽しさを味わうことができます。
人間が何もかも一から百まで全て、論理的に行動する生き物だったら、言ってることは分かるけど、、多少無理のある感じはする、ということはちらほらありましたが、論理的に語り合ってる様子を楽しむと思えば、あまり気にならなかったです。
この可能性には、こういう論理で否定できる、ここの矛盾があるから、その可能性は否定できる。全ての可能性を否定し切った先に奇蹟が待ってる。気の遠くなるような地道な考え方ですが、論理に沢山触れることができて面白いです。
平日2日で読み終わりました。休日で仕事がなかったら、1日で読み終わりそうです。
Posted by ブクログ
前作が面白かったから、似たようなシチュエーションだったら二作目から失速とかありえそうだよなぁ。と思っていたら。
面白いー!
元弟子くんが頑張ったりするところに王道少年漫画味があったり、まさかのフーリン視点!!!フーリンタソがだいぶ丸くなったねぇ!と上苙さんもニッコリ私もニッコリな感じ、良かったです!シーリーちゃんも可愛い!!!
オチ自体はまぁまぁ、そうか〜くらいの感じでしたが、キャラクターたちの違う一面が見られたところが良かった!
Posted by ブクログ
「その可能性はすでに考えた」を読んでから読むことをお勧めします。登場人物の関係などは本作でも説明が入りますが、前作を読んでいる方がよりわかりやすく話が頭に入ると思います。
面白いです。
事件的には前作よりライトなので、すんなり読み進められるし、説明上手の探偵二人が途中途中で推理をまとめてくれるので、とてもわかりやすいです。ミステリ入門にもってこいです。
前作同様、反証が基本的なテーマです。
犯人を暴くのではなく、推理を反証するというのがこの作品の魅力です。犯人を暴くことと、推理の反証をすることが近いようで遠い。その感覚が意外と新鮮です。
事件事態は平々凡々なよくある事件です。
しかし、この反証という要素で事件をさまざまな角度からみて楽しむことができます。
物語構成も山場が前中後で綺麗に割り当てられ、飽きずに読めます。
ミステリ好きはもちろん、ディベート好きも楽しめるのではないでしょうか。
Posted by ブクログ
読んでいくうちにどんどん頭の中で勝手にアニメ上映されていました、、、面白い。
何故かジョジョ4部の作画で脳内再生されました。
今回は上苙よりもフーリンや聯が主役!
前作よりももっとアニメっぽいストーリーだったかな?苦手な人は苦手だし好きな人には堪らない!内容盛りだくさんだったかなと思います。
私はやっぱり、まどろっこしい喋り口調や蘊蓄の多さに、くぅ〜!堪んねー!となるタイプなので、今作は少し物足りなさをかんじたけれど、やっぱり「その可能性はすでに考えた」上苙は最高に格好良かった!
Posted by ブクログ
前作、「その可能性はすでに考えた」に引き続き、奇蹟を求める探偵、上苙 丞(うえおろ じょう)再び馳せ論じる!
続刊での舞台は望まぬ婚姻による恨みから男らを毒殺し、自らも毒死を遂げた伝説が残る、祟り神であり守護神である「カズミ様」を祀る因習ある村。
そこで催された結婚式にて盃を回し呑みした親族の男3人と犬1匹が毒殺される事件から物語は始まる。
前作以上に1つの事件に対する多角的視点とそれに対する反証が綿密に描かれていて、著者のトリックアイデアノートを思う存分に取り込んだであろう内容となっています。正直読み返しながらじゃないと頭が追いつきませんでした。
今作からでも楽しめますが、前作を読んで作品のテンポ感とか文体が馴染んだ人にはなおオススメです。
人の悪意や欺瞞が溢れる中でも希望の存在を忘れない作風は、同作者の別作品、「アリアドネの声」にも反映されているのでミステリー要素少なめで読んでみたい方はそちらも是非。
Posted by ブクログ
盃を交わし家族なりし者たちのうち、男のみが亡くなる事件、果たして「カズミ様」の呪いであるのか?、というお話(?)。
今作も様々な仮説が検証され否定されていく形だったが、前作とはまた違ったお話の展開が楽しかったです。
今作は事件が発生し、予め複数の可能性が考えられ、そこから物語が展開してとある真実が明らかになり、ヒーロー的に探偵が登場し、また他の可能性も出て、ボス的存在と敵対し、様々な可能性が否定され、最後には、、、。
パズルのピースのようにかっちりハマっていてすごかったですな。
Posted by ブクログ
花嫁の父親が土下座したり花嫁道中で罵声を浴びたりという風習が残る里で行われた結婚式。テレビ中継も入った衆人環視の中、同じ盃を回し飲みした出席者のうち、毒死した者と何事もなく助かった者が交互に出る「飛び石殺人」が発生した。
青髭の探偵・上苙と債権者の中国人美女・フーリン、探偵の弟子・八ツ星と両家の人たちが交わり推理と論破のミルフィーユ合戦。
色んなトリックが登場したりの多重推理は面白かった!
Posted by ブクログ
婚礼の席で、同じ盃を回し飲みした参列者が三人毒死した。
上苙丞の弟子・八ツ星聯と姚扶琳が遭遇したこの不可解な毒殺は、何故起きたのだろうか。シリーズ第二作。
うんうん。前作よりは健闘している。
物語の構成がかなりブラッシュアップされている印象。論客たちを一箇所に同時に集めることで、テンポの悪さがかなり改善されていた。事件を一つにばちっと纏めたことによって、読みやすさという点では前作を遥かに凌駕していた。
それでもまだ気になる所は多い。まず、今回も健在だった推理の纏め資料の存在。丁寧な議論パートの最後に全く同じ内容が再掲されるのは、読者としては冗長に感じる。資料を作成したという一文で割愛するのではいけないのか。読み飛ばして良いと注意を促すくらいなら、最初から書かなければ良いような気もする。読み進めるにあたって、リズムって大事だ。
設定をまだまだ盛りすぎに感じる。
日本の古き良き因習村的な雰囲気がとても良かったので、そこに魅力を集約しても良かったように思う。カヴァリエーレが絡むと西欧の、西王母が絡むと中国の風が如実に強まる。どうにも多国籍になりすぎて雰囲気というものが不協和音を奏でているように思う。引き算の美学も必要かもしれない。
シェン・ウェンジェンがミステリィとの相性が悪い。あまりにもバイオレンスに過ぎるので、理詰めで犯人を炙り出す議論は不要になってしまう。関係者を拉致して拷問にかけて(最悪死んでもいい)犯人に喋らせるという事を、選択肢の一つとしてテーブルに乗せてしまうと、あらゆる知的な議論は木っ端微塵に吹き飛ぶ。
前作よりキャラクターが魅力的に描けていた。
上苙丞は、ちゃんとイケメンだったし、八ツ星聯は切れ者の少年、姚扶琳はちゃんと美人だった。キャラが文章に追いついていて、漫画的な魅力がでてきた。
Posted by ブクログ
前作よりもかなり分かりやすい仕上がりになっていた。
しかし、それにより前作の圧倒的な知識と推測からなる説得力の強さが今作は少なかったように感じる。
でも、面白かった。
Posted by ブクログ
ようやく気づきましたが、多重解決ものが好きです。
その中でも群を抜いてロジカルなのではないでしょうか。
推理の否定の材料と思われるところにマーカーを引いて読み進めてみましたが、全く想像もしていなかったところに、材料が隠れていたりしました。
こちら、なんとか続編出ませんか…?
Posted by ブクログ
【短評】
特定の物語を「摂取」したいと渇望することがある。
文章なのか、キャラクタなのか、はたまた巧緻に富んだトリックなのか、私の脳髄を心地良く刺激するものが何かは判然としないが、井上真偽の「その可能性はすでに考えた」シリーズが、私にとって、そうした何かを有する作品であることは間違いないようだ。
浸るように、飲み干すように、貪るように一気読みである。嗚呼、大好き。
青髪の探偵・上苙丞(うえおろじょう)は、とある事情から「奇蹟」の存在を実証せんとしている。今回の事件は「飛び石殺人」。聖女伝説が残る地で行われた婚礼において、同一の盃を回し飲みした者のうち、3名(および犬1匹)が毒死した。全員が酒盃に口を付けたという状況において、標的のみを毒殺することが可能なのか。
様々な推理仮説が乱立する中で、探偵は告げる。さあ、皆様ご唱和ください。
「その可能性はすでに考えた」
前作と比較して、エンターテインメントとして一段階上にあったと思う。
特に「第一部」から「第二部」に至る鮮やかな転換がお見事。横溝正史的な日本家屋から一転する新たな「舞台」に目を見張るとともに、探偵の「奇蹟」に縋らざるを得ない状況を作り出す技巧に舌を巻いた。キャラクタの動かし方も心得たものであり、私のお気に入りであるフーリンも含め、各人に見せ場が用意されており、見応えがあった。本筋と殆ど関係ないが、リーシーの踵落としは美しかった。
前作の不満点であった「難解さ」もある程度改善しており、ある種の共通認識を前提に、如何に毒を飲ませるかに収斂することで、パズル的な面白さを出せていたと思う。
さりとて満点評価に至らなかったのは何故か。
メタ的な観点で恐縮だが、ミステリィ好きの心構えとして、本作のようなパズル的な事件について「奇蹟でした」では満足出来ないのである。超常ではなく論理による解決をはなから期待してしまっているのである。無理を承知で「奇蹟でも良いか」と思えるような雰囲気を纏った事件を期待してしまう自分がいる。それが出来れば、前人未到の名作が誕生することを予感している自分がいる。
好意と期待が綯い交ぜとなり、やや乱文となったが、愉しい読書でございました。
【気に入った点】
●突如として呈示される意外過ぎる「犯人」。「ほぇ!?」と声が出てしまった。そこからの怒涛の展開は、冷静に考えると結構ギャグめいているのだが、探偵物の舞台は外連味が効いている程に映えるものなのだ。
●矢っ張りフーリンが好きなのである。彼女が語り手である限りにおいて、私はこのシリーズを継続することを止めないと確信した。地の文に癖がある方が好みなのかしらと、自分を分析すること少々。
【気になった点】
●改善されたとは言え、難解さは否めない。図解や場合分けを駆使して整理してくれるので、脱落することはなかったのだが、要所要所において頭脳をフル回転させ続けることを強いられる(そうしないと字が滑る)というのは、本シリーズの構造的弱点の一つだと思う。
「砂上楼閣もここまで林立すれば壮観だ」とは本著を評した綾辻行人の言葉。然り。
次の作品も楽しみにしている。え、刊行されていない!? そんなご無体な!!
Posted by ブクログ
あらゆる可能性を考え否定した先に残るものが奇跡であるという、青髪オッドアイ赤コート白手袋の探偵。というアイコン過多な主人公の二作目。一つの事件でこれならどうだの勢いで、トリックの波状攻撃と高まる緊張感の中でドキドキしながら楽しめるミステリー。
Posted by ブクログ
前作「その可能性はすでに考えた」がわたしの中でもオールタイムベストに入るくらいの好きな作品だったので、気になって購読。
全てにおいて前作の方が好きではあるが、中盤から「そういう方向に舵を切るのか!!」という前作とのずらしにはしっかり驚かされたし、なによりもこのキャラクター達の続きが読みたいという気持ちにはしっかり応えてくれたので、読んでよかった作品の一つではある。ただ、このシリーズはこれ以上刊行するのが難しいだろうなとは思ってしまって悲しい。なんせ多重解決ものですもの。
Posted by ブクログ
ミステリーの王道といえば、事件の真相を追い求めることですが、この作品は提示された可能性を一つずつ徹底的に潰していくユニークな展開が面白いです。タイトルにもある通り、毒に関する雑学が豊富で、読み物としても楽しめます。
個性豊かなキャラクターたちは想像しやすく、物語にどんどん引き込まれるため、サクサクと読み進められます。
また作者の別作品で、美白のためにヒ素を飲むという恐ろしい風習があったことを知り、美に対する女性たちの執念にゾッとしました。
Posted by ブクログ
今回は味方!
懐かしの元弟子に金貸しのフーリンさん、さらにはちょっと性癖が異常なリーシーまで、今回は味方?に回って推理を繰り広げるという、もうワクワクしかない展開でした。
まさかフーリンが犯行を仕掛けた犯人とは思いませんでした。それにしても、これほどのトリック、どこから湧いてくるのか。突拍子もないトリックからわりと現実的なものまで、トリックの宝庫です。
最後には探偵が登場してきっちり幕引き、かと思いきやまさかの伏兵。
奇蹟の証明がいつか叶うといいなと思わずにはいられません。続編を期待します。
Posted by ブクログ
ミステリーの構造が面白いから、キャラクターが変わっても面白い。これはかなりの強みだ。
内容が複雑で難しいが、ポップなキャラクターが中和してくれて、読みにくいとまでは感じない。
Posted by ブクログ
婚礼の儀で男性3人と犬はどのようにして毒殺されたのか。
少年探偵八ツ星くんがいいキャラ!
そして後半がそうつながるのかと…
可能性を消していく推理、論理的だけど偶然とか誰かに罪を被せようとする行為が働かなかった場合は、こんなにうまくはいかなさそうだよなーと思ったり。
でも面白かった!!
Posted by ブクログ
登場人物の殆どかキャラ立ってて読んでて飽きなかった
『恋と禁忌の述語論理』を読んでからだと、上苙の推理が如何に論理的か
わかる
論理的なんだけど、そこに人間ならではの感情があるのもクる
結末は切ないけど、しっかり締めてて流石だと思った
続編出ないかな
Posted by ブクログ
今回も面白かった〜。終始フーリン目線で、ウエオロの元弟子の八ツ星が奮闘するも、ピンチのところで待ちに待ったウエオロ登場。最後の最後にやっぱり驚きの真相が待っていた。フーリンも前回よりも人間らしい情のようなものが見えてよかったな。
Posted by ブクログ
〇 総合評価 ★★★★☆
〇 サプライズ ★☆☆☆☆
〇 熱中度 ★★★★★
〇 インパクト ★★★★☆
〇 キャラクター★★★★☆
〇 読後感 ★★★★☆
〇 希少価値 ★☆☆☆☆
〇 評価
結婚式で、盃を回し飲みしたところ、回し飲みをした人物のうち毒死した者と、毒死しなかった者が交互に出る。また、侵入してその酒を飲んだ犬も死亡する…という不可能状況が魅力的な謎として提示される。
序盤は、結婚式に参加したメンバーによる推理合戦。使われた毒が花嫁が持っていた砒素だったことから、花婿の姉妹は花嫁を疑う。その場に訪れたのは、結婚式に参加していた少女、双葉の依頼を受けて花嫁の嫌疑を晴らしにきた少年探偵、八ツ星聯。あまたの仮説をことごとく退け、誰が犯人か分からない状態で1章が終わる。
2章は場面がガラッと変わり、中国の裏社会のボス的存在である沈老大(シェン)が現れる。結婚式で、巻き添えのように死亡した犬はシェンの愛犬だったという。その犬を殺害した犯人に復讐するために、シリーズキャラクターでもある元中国裏社会の住人、金貸しである姚扶琳(フーリン)に拷問を依頼する。しかし、フーリンこそ結婚式の場で、自分の会社に損害を与えた俵屋家の人物を殺害しようと計画した黒幕だった。シェンの前に八ツ星聯が現れ、改めて推理をする。結婚式の後の推理合戦以上に「可能性」だけを示す、荒唐無稽な推理が連発。カヴァリエーレ枢機卿から、無礼のお詫びとして提供されたというエリオ・ポルツォーニや、フーリンのかつての相棒、儷西(リーシー)などの仮説に八ツ星は圧倒されるが、上苙丞が登場し論破。シェンはフーリンが少女や家政婦を庇おうとしたことからフーリンの犯行を疑うが、上苙はフーリンが黒幕として計画した殺害計画が失敗していたことを示す。上苙は、人間3人の殺害は奇蹟。犬の殺害はエリオが仕込んだ毒のせいだと示す。
しかし、最後に真相は花嫁の父と花嫁の叔母の共犯だったことが分かるというオチ
前作「その可能性はすでに考えた」と同じように奇蹟の証明をしようとする話だが、前作よりはゲーム的なノリ、推理対決という要素は減っている。前作は推理対決という様相だったので、上苙の「対戦相手」としてキャラクターが立っていたが、今回はそこまでのキャラクターはいない。しかし、その分、物語の展開としてはバラエティに富み、話全体として飽きさせない。今作も「推理対決」だとマンネリ感も出ただろうから、この展開はよいと思う。
問題は、前作でも思ったことだが、真相の弱さだろう。荒唐無稽な仮説に対し、まじめな論理で対抗していく途中のシーンの面白さに比べ、真相が凡庸すぎる。前作以上に凡庸。被害者サイドに犯人がいた可能性を考えないで奇蹟というのはなんとも無茶だ。途中の論理も、「花嫁が厳重に管理している砒素を使ったのは誰かに濡れ衣を着せようとしているから」という前提で、濡れ衣を着せることができる相手がいない犯行を否定している点が疑問。論理的にはそれで正しい論理かもしれないけど、花嫁が厳重に管理していた毒を使って全員が共犯とか、あり得る気がする。物証などで否定するわけでもなく、濡れ衣を着せる相手がいないから全員犯人はあり得ないとか、やや納得しにくい推理ではある。
とはいえ、魅力的なキャラクターによる仮説・推理といった謎解きシーンが連発される展開は、やはり面白い。読んでいるときの充実感はなかなか。真相にもっと意外性があれば傑作になっていたと思う。★4で。
〇 メモ
〇 概要
「聖女伝説」が伝わる里で行われた婚礼の場で、同じ「盃」を回し飲みした出席者のうち、毒死をした者と何事もなかった者が交互にでる「飛び石殺人」が発生する。
死亡したのは花婿である俵屋広翔、花婿の父である俵屋正造、花嫁の父である和田一平と犬のムギ。死因は砒素中毒
姚扶琳に無理矢理くっついてこの村に来ていた八ツ星聯という少年が推理を行う。
後日、姚扶琳に、中国の裏社会の大ボス「沈老大」から「拷問」をして容疑者から犯人を割り出してほしいとの依頼がある。沈老大は可愛がっていた「犬」を殺害した犯人を見付けてほしいという。その「犬」は、先の婚礼の場で死亡した「ムギ」だった。
双葉達の拷問を防ぐために八ツ星聯が現れる。八ツ星は、上苙丞がこの事件は奇蹟だと言っているという。ここで、改めて仮説の否定が始まる。
〇 八ツ星聯の推理
事件のポイントは2つ。「どうやって花嫁の砒素を入手するか」と「どうやって被害者3名及び犬を『飛び石』で殺すか」。関係者の証言をまとめると事前に花嫁の砒素を入手可能だったのは「アミカ」(俵屋愛美珂。花婿の上妹)、「キヌア」(俵屋絹亜。花婿の下妹)、「紀紗子」(俵屋紀紗子。花婿の母)、「花嫁自身」(和田瀬那)の4名
〇 橘翠生(愛美珂達の従兄弟)の推理
「奇数番殺害説」。盃を飲む向きは前の人の逆になる。奇数番と偶数番は飲む方向が違う。奇数番が殺害されている。単独で犯行を実行できるのは奇数番で死ななかったアミカと推理
〇 アミカの推理
「時間差殺人説」。被害者が倒れたのは演技。橘翠生が介抱するときに毒を飲ませた。橘翠生は紀紗子と不倫をしていた。砒素は紀紗子を通じて入手
〇 橘光江(橘翠生の母)の推理
「一人前犯行説」。花婿はアミカが、花婿の父は花嫁が、花嫁の父はキヌアが毒を仕込んで殺害したという推理
〇 キヌアの推理
「犬故意乱入説」。花嫁と山崎双葉(式に参加していた少女)の共犯。双葉が犬を乱入させた。
〇 八ツ星聯の推理。4つの仮説の否定
犯行に花嫁の砒素が利用されていたところから否定。犯人が花嫁であれ、花嫁以外であれ、犯行に花嫁の砒素を使った目的は「自分以外の誰かの犯行に見せかけること」。アミカが酒を飲んだと証言していることから、自分に嫌疑を向けている。これは犯人であれば取るはずがない行動。よって「奇数番殺害説(アミカ単独犯説)」が否定される。「時間差殺人説(翠生・紀紗子共犯説)」は、花嫁とキヌアの行動が予想できない以上、アミカか双葉に濡れ衣を着せようとするはず。しかし、アミカに濡れ衣を着せようとするなら蔵の翡翠を使うはず。双葉に濡れ衣を着せようとするなら、「アミカが何回も音を立てて啜った」と紀紗子が証言するのはおかしい。よって、誰かに濡れ衣を着せるという行動を取っておらず、この仮説も否定できる。「一人前犯行説(アミカ・花嫁・キヌア複数犯説)」は、花嫁とキヌアには濡れ衣を着せる相手がいない。キヌアが犬に裂けを飲ませることで、自分が犯人と分かる可能性を上げている。犯人の行動に矛盾があるので、この仮説も否定できる。「犬故意乱入説(双葉・花嫁共犯説)」は、花嫁が砒素盗む機会を与えていないことから、誰かに濡れ衣を着せようとしていると思えず、否定できる。「全員共犯説」は、翠生にしか濡れ衣は着せることができない。しかし、翠生は砒素を入手できず、濡れ衣を着せることができない。よって否定できる。
〇 沈老大主宰の葬儀でのエリオ・ボルツォーニの仮説
花嫁は毒(黄色ブドウ球菌)を利用し、アミカの体調不良を引き起こした。そうすることで、花嫁は砒素を盗む機会をアミカ達に与えた。そうすると「犬故意乱入説(双葉・花嫁共犯説)」は否定できない。
→上苙丞による否定。燃やすごみにピザが出ていない。犬が食べた。そうすると犬が元気なのはおかしい。
〇 儷西の仮説
毒婦の花嫁と、それを糾弾するミトリダテスの娘たち。犯人は花嫁。しかし、殺害しようとした相手がアルセニック・イーター(砒素嗜食者)だったので死ななかった。花嫁はそのため自白しなかったというもの。この説は花婿の妹たちと母(俵屋家側)を殺害するために出した説。儷西は花婿の妹たちと母がアルセニック・イーターであるかどうかを見極めるために砒素を飲ませようとした。
→砒素耐性があったとしても、毒を仕込んだのが花嫁側なら俵屋家側がそのことを告発しない事実に説明がつかない。俵屋家側が犯人の場合は、彼女らが花嫁の叔母に高価な着物を着せる理由がつかない。よって否定できる。
〇 エリオの仮説
黄金の衝立の婚礼。あるいはその光の陰より忍び寄る、屋根裏の暗殺者。犯人は家政婦。酒の回し飲みのときに、天井から毒を入れた。毒を入れるには管を使った。管はグレア現象(眩しい光を見たときに視覚障害を起こす現象)で気付かれなかった。よりばれにくくするために、散瞳薬入り目薬を仕込んだ。
→家政婦は外出しており、その時間は屋敷にいなかった。そのことは「ゴムサンダル」がアルコールで濡れていたことから分かる。
〇 姚扶琳の犯行
姚扶琳は酒器に仕掛けをし、男女の盃の飲み方の違いを資料したトリックを仕込んだ。酒を上下2層に分け、下に毒水の層を作った。着脱式の仕掛けを工作し、共犯者る家政婦に仕込ませた。
→このトリックは実際には仕込まれていなかった。家政婦がミスをしていた。家政婦は逃亡しようとしていたのだ。それは家政婦が酒器を回収する時間がなかったのに酒器から仕掛けが見つからなかったことから分かる。姚扶琳は、家政婦から嘘の報告を受け、騙されていた。
〇 上苙丞による奇蹟の証明(要約)
〇 犯人が厳重管理の花嫁の砒素をわざわざ使ったのは「誰かに濡れ衣を着せようとしている」から
〇 被害者が酒を飲んだ経路は盃、酒、直接のいずれか
〇 摂取経路が盃の場合 9通りの実行犯の可能性があるが全て前提に矛盾する。
→既に否定されていないパターンを要約で否定
〇 摂取経路が酒の場合
〇 銚子に細工をする場合としない場合に分けて証明
→全て矛盾
〇 摂取経路が直接の場合
→犯行可能な人物なし
〇 摂取経路が翠生の場合
→共犯者がいても矛盾する。
〇 人為以外の自然的・偶発的理由もない。
〇 ゆえに奇蹟
〇 犬(ムギ・ピンキー)が死んだ理由
犬の首輪に毒が仕込まれていた。シェンが晩酌をしていたら死亡していたはずだった。その毒がアルコールで溶けて流れ、それを飲んだ犬が死んだ。犬まで検視されなかったので発覚しなかった。なお、エリオは仮死状態になる薬を使って逃亡したと思われる。
〇 真相
真犯人は花嫁の父親。共犯者は叔母。叔母に身代わりさせて娘の砒素を盗んだ。アミカに罪をきせようと髪の毛を仕込んだがその髪の毛を家政婦が取り除いたため、事件が混乱した。
つまりこの事件は、花嫁の父が仕掛けた毒と姚扶琳が仕掛けた毒が巡り巡って互いにぶつかり合い、一方では存在しないはずの毒の効果を生み出し、一方では存在したはずの物証を抹消した-この化学反応が起こり奇蹟のように見えていたのだ。
Posted by ブクログ
同じ盃を回し呑みした数人が飛び石状態で毒殺される…というミステリー。人が起こしたのならトリックは?それとも地域に纏わる伝説による奇跡?
理論パートはさまざまな仮説が挙げられたので、頭を捻りながら、でも登場人物が濃くて頭に入りやすく面白かった。
まさか殺されたうちのそことそこが分断された事件だったとは…とびっくり。序盤の風習もふーん、って読んでたから「そこからトリックが始まってたのね!!」とびっくり。
八ツ星少年が意外と勇気があってようやるな〜〜頑張れ!と思いながら読めました。
Posted by ブクログ
途中で考えるのは諦めた。
ウエオロの登場シーンがもっと多くてもよかった。
とはいえ、登場させたらたちまちに解決してしまうから、それはそれで困るのだが。
Posted by ブクログ
続編もの。前作が面白かったし、今回も面白かった!探偵は中盤以降にやってくる。
同じ杯から酒を飲んだのに飛び石で死人が出た事で殺人が疑われるが、どうして?なんで?さらにどうして?と容疑者すら絞れなくなる状態で、さらに予想もしない展開が斜めから飛んでくる。
相変わらず登場人物が個性的で、さらに面白キャラも出てくるので益々掘り下げたくなってしまう。続編もう無いんですか…?
後、犬好きさんはちょっとショック受けちゃうかも…
Posted by ブクログ
前作に続き、各キャラクターがポップだけど、切れ味の良い推理をどんどん展開していきとても楽しかった。
内容が難しくて、私の頭では完全に理解できないことが残念で仕方がない。
もっと私の頭が良ければ…悔しい
Posted by ブクログ
読後感もよく、キャラも立ってて面白かったけど、真相を追求するのではなく推論の矛盾を証明していくというスタンスが飽きっぽい自分には合わなかった。
Posted by ブクログ
井上真偽さんの長編ミステリ〜‼️
前作の『その可能性はすでに考えた』の続編ということで期待度MAX。
ある田舎の名家で行われた結婚式にて、回し飲みしたはずのお酒に入っていた砒素によって、男性三人だけが死亡する。
この地で祀られる「カズミ様」の仕業なのだろうか……?
設定が抜群にそそられる。しかも、花嫁視点で事件が起きたあと、犯人はフーヤンであると。
えっどうなっちゃうの〜??と思ったら、まさかの巻き込まれで死んだ犬がフーヤンの元ボスの愛犬だったとかで、フーヤンが窮地に追い込まれる。
ちなみに今回も色々な推理案が出ては否定され……。ただ推理勝負という意味では前回の方が面白かったかなぁ。
今回は推理というよりもエンタメ感が強かったような気がする?好みの問題ではあるんだけれど、最初の衝撃踏まえて前作が凄かった。
あと、最初のダムのシーンがこのシーン必要だった?とは思ってたんだけど、(ダミー会社の社長のやらかしを唆した俵屋の始末をしたいフーヤンの動機の説明とはいえ)そこから銚子に細工をした説明にいくんだなぁと納得。
今回も随所に伏線が張られていて、最後の解説シーンで回収されていくのが良かった。
そして、やっぱり探偵とフーヤンの関係性が最高。続編も出てほしい、短編でも良いので……。