帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
職場の先輩からお借りした作品。とても苦しく、重厚な作品でした。
人は自分がされたことはいつまでも覚えているけど、自分がしたことはあまり覚えていないのかもしれません。でもだからといって、それを軽く考えたり、文中にもありましたが、加害者側が「水に流す」としてしまうのは間違いだということがわかりました。
戦時中に日本が朝鮮人にしてきたこと、この作品の舞台は北九州なのに福岡住みのわたしは知ろうともせずに、「韓国はいつまでも日本を許さないな」と浅く考えていたのを反省しました。
読んで良かったです。戦争加害者としての日本からも目を逸らしてはならないと思いました。 -
Posted by ブクログ
同じ背景・登場人物の前作「空夜」が恋愛小説だったのに対し、この作品は「ごみ問題」を取り上げた社会小説です。
さすがというか、帚木さんの筆力は素晴らしく、一気に読ませてもらえます。人物造形の上手さや、途中に盛り込まれる恋愛模様の面白さもあります。
ただ、ごみ問題があまりに正論過ぎて、どうしても青臭い理想論のようにしか見えないのです。例えばごみを税金で処理するのではなく、製造会社が回収するべきという論理もその一つです。製造会社は営利団体です。でなければ、その会社の従業員の生活は成り立ちません。回収義務を与えれば、その費用は製品の価格に反映されます。結果的には税金を支払うのと大差は無くなります。 -
Posted by ブクログ
読み始めは一寸違和感があった。
平和な世界から見れば、異常行動と言える拷問や殺人を経験した主人公が、反省や後悔も無く自己弁護している姿は、これまで読んできた帚木さんの感じとどうも違う。有ってはならない悲惨さを読者に訴えるのではなくて、むしろそれを肯定してる感さえあるる。
しかし、後半に進むにつれ、本当に徐々に、しかも自然の流れの中で、追い詰められた主人公の自己弁護が後悔や反省に変化していき、最後にはいつもの帚木さんである。
加害者である日本の犯罪的行為とともに、戦勝国である米国の行為も随所で批判しながら、再び起こしてはならない悲劇を、いつもの如く淡々とした語り口で表現している。