帚木蓬生のレビュー一覧

  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

    Posted by ブクログ

    第二次大戦で軍医として関わった人たちの短編集。
    内地勤務だった人もいれば前線に近い外地での救命活動に携わった人、のんびりとした環境で終戦を迎えた人もいれば、やっとの思いで内地に帰り着いた人もいる。
    そして軍医ならではなのは、やはり命を救う、病気を治すことに使命感を感じ務めを全うする姿勢だと思う。
    膨大な参考資料を読み取材した上で創作した話だと思うが嘘は言っていないだろう。
    15篇もあるので途中で飽きるが、読む価値はあると思う。

    0
    2018年09月01日
  • カシスの舞い

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実験用のラットを手に入れるように
    人間を手に入れる
    へえーそうなんかい、凄いじゃん

    南フランスのマルセイユ、カシスを舞台に広げられるコワーイお話の中に
    帚木蓬生の作品「深い」を再認識

    書かれた1983年と言えば帚木蓬生はまだ36歳 
    彼にも「シモーヌ」はいたのかな

    ――帚木蓬生氏の作品に接していつも感じるのは、一種の清冽なロマンティシズムである。〈解説より〉

    0
    2018年08月09日
  • 千日紅の恋人

    Posted by ブクログ

    少し年取ってしまった兼業アパート管理人の主人公の落ち着いた視点での恋模様を書いた小説。
    時代感は少し古く、アパートが水洗じゃないころの話であり、時代設定がきちんと些細なところまで統一されてるのが深みのあるリアリティを感じさせる。文体もとても落ち着いており、読みやすい古典的な文章であり、正統派な小説であると言えます。読んでいてドキドキはしないけど、落ち着けるような内容でした。

    0
    2018年07月18日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

    Posted by ブクログ

    国とすれば、稼げればOK、国民なんて、どうでもいい

    ギャンブルをやるのは、人間の本能かもしれません。
    なぜ、ギャンブルを生み出したのか、
    それをやると楽しいからです。

    脳科学が発展して、
    ギャンブル依存症患者の脳の報酬系の仕組みが、
    はっきりしました。ギャンブルをすると快楽物質のドーパミンが出る。
    その快感こそが、依存症へと繋がる一つの大きな原因です。

    しかし、日本という国は、
    官民連携して、ギャンブルという打ち出の小槌を使って金もうけしています。
    既得権益を作って、天下りを生み、また産業界も、バックが国ですから、
    安心です。

    もちろん、ギャンブルに行くのは、無知でバカな国民です。

    0
    2018年04月23日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    和歌山毒物カレー事件を題材にした、ノンフィクション的小説。

    精神科のクリニックを開く作家・帚木蓬生氏が、地元の医師仲間でカレー事件やサリン事件にも捜査協力した井上尚英九州大学名誉教授から鑑定資料一式を託され、「知られていない事実があまりに多すぎる」ことに驚いた著者が、井上氏をモデルにした〈沢井直尚〉を主人公に、同事件や裁判の経緯を克明に再現した小説とのこと。

    過去の砒素関連の歴史的事件や、サリン事件などにも言及していて、非常に興味深い。

    それにつけても、金に取りつかれることの恐ろしさよ。。。

    1
    2018年04月14日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    警察への供述調書、検察への供述調書、公判での証言、弁護人からの反対尋問。犯人が逮捕されてからも大変な役割がある。結審しても被害にあわれた方や残された方の身体や心の傷が完全に癒えることはない。
    どうか少しでもお元気で、少しでも笑顔をと祈るばかり

    1
    2018年03月09日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    1998年、和歌山毒カレー事件。よくよく見れば20年前のこと。当日の報道映像を思い出し、小林真由美へのインタビュー映像も思い出す。
    大学教授たちの毒物鑑定や被害者の診察状況などの事実の積み重ねが語られる。感情的な部分が少ないのに心の底に怒りと疑問が溜まっていく。書かれる医学用語のほとんどはよく理解できないのに異常さは伝わってくる。
    そして保険金詐欺も……

    1
    2018年03月09日
  • 三たびの海峡

    Posted by ブクログ

    職場の先輩からお借りした作品。とても苦しく、重厚な作品でした。
    人は自分がされたことはいつまでも覚えているけど、自分がしたことはあまり覚えていないのかもしれません。でもだからといって、それを軽く考えたり、文中にもありましたが、加害者側が「水に流す」としてしまうのは間違いだということがわかりました。
    戦時中に日本が朝鮮人にしてきたこと、この作品の舞台は北九州なのに福岡住みのわたしは知ろうともせずに、「韓国はいつまでも日本を許さないな」と浅く考えていたのを反省しました。
    読んで良かったです。戦争加害者としての日本からも目を逸らしてはならないと思いました。

    0
    2018年02月13日
  • 聖灰の暗号(上)

    Posted by ブクログ

    予備情報ゼロだったのもあって前半はやや退屈なスタートだったけど、後半から引き込まれ始めた。下巻に期待高まる。

    0
    2018年01月14日
  • ヒトラーの防具(上)

    Posted by ブクログ

    作品中にも出る「正義は弱者にある」そういう視点から書かれた小説です。
    相変わらず帚木さんらしい抑えたれた丁寧な文体で、ナチスによる迫害や戦争の悲惨さが次々と冷静に語られていきます。声高でも押し付けでもないヒューマニズムです。
    近年発見された日記という形式で語られるのも、リアリティを生み出すのに成功しています。そして、終わり方も上手く余韻を残しています。
    やや冗長な感もありますが、「三度の海峡」と並ぶ作品だと思います。

    0
    2017年11月16日
  • 逃亡(上)

    Posted by ブクログ

    読み始めは一寸違和感があった。
    平和な世界から見れば、異常行動と言える拷問や殺人を経験した主人公が、反省や後悔も無く自己弁護している姿は、これまで読んできた帚木さんの感じとどうも違う。有ってはならない悲惨さを読者に訴えるのではなくて、むしろそれを肯定してる感さえあるる。
    しかし、後半に進むにつれ、本当に徐々に、しかも自然の流れの中で、追い詰められた主人公の自己弁護が後悔や反省に変化していき、最後にはいつもの帚木さんである。
    加害者である日本の犯罪的行為とともに、戦勝国である米国の行為も随所で批判しながら、再び起こしてはならない悲劇を、いつもの如く淡々とした語り口で表現している。

    0
    2017年11月10日
  • 空山

    Posted by ブクログ

    同じ背景・登場人物の前作「空夜」が恋愛小説だったのに対し、この作品は「ごみ問題」を取り上げた社会小説です。
    さすがというか、帚木さんの筆力は素晴らしく、一気に読ませてもらえます。人物造形の上手さや、途中に盛り込まれる恋愛模様の面白さもあります。
    ただ、ごみ問題があまりに正論過ぎて、どうしても青臭い理想論のようにしか見えないのです。例えばごみを税金で処理するのではなく、製造会社が回収するべきという論理もその一つです。製造会社は営利団体です。でなければ、その会社の従業員の生活は成り立ちません。回収義務を与えれば、その費用は製品の価格に反映されます。結果的には税金を支払うのと大差は無くなります。

    0
    2017年11月10日
  • アフリカの蹄

    Posted by ブクログ

    帚木さんらしいヒューマニスティックな作品です。
    一般的にはミステリーに分類されるのかもしれませんが、私にはヒューマニズムの面から純文学のように見えます。
    やや、定型的過ぎるかもしれません。右翼白人は皆悪人ですし、黒人は皆善人のような書かれ方です。そういった面での深みを感じられないのは、少し減点です。
    しかし、読み始めると同時に、帚木さんの筆力に一気に引き寄せられます。そして感動の終末。お勧めの作品だと思います。

    0
    2017年11月08日
  • 空の色紙

    Posted by ブクログ

    最初の作品を読んで"やはり帚木さん!"次を読んで"エッ?"、最後で"アリャリャ”という感じ。
    空の色紙はなかなかです。第2次大戦が出てくるところも、ヒューマニスティックなところも、いかにも帚木さん。
    しかしあとの2作はね。「頭蓋に立つ旗」はデビュー作だそうですが、文章にやたらと力が入っている感じですし、何がテーマなのか判り難いし、最後に力尽きたようです。「墟の連続切片」はそこまででは有りませんが、やはり何か生硬な感じがします。
    とは言え、「空の色紙」の良さに免じてこの評価です。

    0
    2017年10月30日
  • 臓器農場

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    聖礼病院に就職した規子。ある日、無脳症の胎児を身ごもった母の会話を聞いてしまう。規子の病院で無脳症児からっ臓器移植が行われている事実を知ってしまう。そこから医師と規子の友人の看護師など口封じのために殺されてしまう。サスペンスの中に本格的な医療の知識、そしてラブストーリーが織り込まれている。どんどん読み進んでしまう作品。

    0
    2017年09月23日
  • インターセックス

    Posted by ブクログ

    2017.7.21完読

    これ読むの結構時間かかったわー
    だけど、なんだか面白かった

    岸川先生が本当はやってなくて
    誰かに仕組まれたことだったら良かったのにー
    って本当に思う
    でも、何よりの一番の衝撃は、直子さんとデキてたこと

    0
    2017年07月23日
  • 聖灰の暗号(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    現代の謎解き部分よりも、カタリ派が弾圧されている時代の話の箇所のほうが引き込まれた。
    最後の犯人は、トカゲの尻尾切りだろうが、あまりに呆気ない感じがして、少し物足りなかった。もう少しひねりが欲しかった。
    総じて、宗教のあり方を私たちに問いかけている作品としては、すごく考えさせられるのではないかと思う。
    現在のテロ問題も、宗教問題と考えれば、相手を排除することでは絶対に解決できないことであり、相互理解は重要なテーマだと考えさせられた。

    0
    2017年08月04日
  • 風花病棟

    Posted by ブクログ

    帚木蓬生は短編でも引き込ませる。「日本では国民ひとりひとりがかけがえのない存在ではなく…」 国民性なんだろうな。

    0
    2017年07月03日
  • 賞の柩

    Posted by ブクログ

    イギリス人が受賞したノーベル賞の裏には、意外な過去があった。
    ノーベル賞を巡っていろんな人の死が関係していた。
    次々と真実を突き止める津田医師。
    医学ミステリーでは帚木氏の小説は面白いです。

    0
    2017年06月25日
  • 天に星 地に花 上

    Posted by ブクログ

    享保十三年(1728)~十八年
    百姓に対する増税、彼らの反発、そして大飢饉。
    お百姓らの働きはほとんど自分に返ってこない。藩の為 藩のため ‥‥ なんて辛い
    疱瘡を生き延びた大庄屋の次男庄十郎は医師を目指す。

    0
    2017年05月31日