帚木蓬生のレビュー一覧

  • ヒトラーの防具(下)
    第二次大戦中のドイツを軍の駐在員の視点から描いた話。
    実際にどんなことが起き、市民の生活はどうだったのか、という描写が生々しい。
    総統の最後が少し迫力が足りないような気もするが全体的には読み応えがある。
  • 聖灰の暗号(下)
    宗教には関心がないがキリスト教も複雑な。勿論仏教もイスラム教も然りだが。外(全く異質のもの)に対しては一丸となり勝敗が明確だが内部抗争となると、止め処ない執拗さが継続する。会社という組織も同様だ。
  • 三たびの海峡
    20代前半の頃に読み「よい本だ、また読もう」と思い十数年。本棚の整理がてら再読。
    内容を殆ど覚えておらず、こんな内容だったかと驚きながら、少しずつ思い出していった。

    二次大戦中、日本の炭坑に無理矢理つれてこられ、労働を強いられた韓国人の主人公。時代は現代になり終戦後韓国に戻り経営者として成功した主...続きを読む
  • 臓器農場
    話が唐突に進んでいくので、ええー? って思うんだけど、先が気になって気になって一気読みしてしまった。
    面白かった
  • 水神(下)
    水田の水不足に苦しむ村で、川から水路を引いてくる計画を立て成し遂げる話。
    五庄屋の情熱に、菊竹さんの想いに、心熱くなりながら読みました。私がいま情熱を注ぐべきは何だろうとも考えさせられました。
    そのとき自分の置かれている状況によって、何を考えるかまた違ってきそうか気がします。

    時間を置いてまた読ん...続きを読む
  • 風花病棟
    2015年の51冊目です。
    帚木蓬生氏の小説を初めて読みました。
    2014年秋にリサイクル本として購入し、
    積読状態だったのですがようやく読みました。
    10作の短篇を集めた作品集です。
    著者は精神科医だけあり、医療や病気に関する表現はリアリティーを感じました。
    医療を通した人の生き様に対する真摯な視...続きを読む
  • 水神(下)
    「水神 下」

    感動した!

    無事に堰ができて水路に水が各村まで流れた時には感動しました!

    今の私たちってこうやってなんでも人間の手で作り上げてきた昔の人たちの土台があってこそなんですね。

    つくづく感心しました!

    途中何度も危うい目に合うけど最後はハッピーエンドで本当に良かったです!
  • 聖灰の暗号(上)
    フランスの地名もわからないし、キリスト教やカタリ派もよくわからないので、冒頭部分は読むのがしんどかったが、パリを出る頃から加速して面白くなった。読んでいるうちに、フランスの情景や、カタリ派の苦しみが見えてくるようだ。
    まだ、敵?の気配しか見えていないので、ここからどうなっていくのかが楽しみ。
  • アフリカの瞳
    『アフリカの蹄』の姉妹編。
    白人極右組織による黒人抹殺の陰謀を書いている『アフリカの蹄』の後、南アフリカは黒人政権の国となったのだが、貧困は変わらず、そのうえエイズが国中に蔓延して、希望を失った人々はアルコールに依存したりするのだった。

    出口の見えない南アフリカの現実。
    白人は高価なエイズの治療薬...続きを読む
  • 白い夏の墓標
    医学の世界がリアルに書かれてて、お見事!の一言。派手に知識をひけらかす訳でなく、基礎がどっしりしていて、医学を学んだ者でも納得しながら読める。
    なおかつ、故人を訪ねて死の謎を追っていくミステリーの要素もテンポよく進んでいく。最後の手紙で、エンターテイメントとして丸く収まったか?
  • 水神(下)
    地味な話なのに読ませるよなあ(感嘆)しかし失敗した。「天に星、地に花」より前に読むべきだった。それが残念。
  • 賞の柩
    ついこの間ノーベル賞が発表になり、日本人が受賞したことは喜ばしいニュースであるが、この作品はそのノーベル賞が背景の医療サスペンス。恩師の死因を探るため主人公は、疑惑の受賞者や関係者を訪ねて、ヨーロッパ各地を巡り歩く。疑惑追及の旅ではあるが、旅情豊かな景色の描写に、爽やかな読後感となっている。
  • アフリカの蹄
    私は自分が生まれる前の出来事は書物に出てくる「歴史上の出来事」として一歩引いて見ているが、アパルトヘイトは紛れもなく私が生まれてからもしばらくは存在していて(中学生の時に文化祭の壁新聞でアパルトヘイトについて書いた覚えがある)、そういう意味では私にとってアパルトヘイトは歴史上の出来事ではなく、現実に...続きを読む
  • 日御子(下)
    那国時代から、漢の国を志向していた歴史と、通訳の家柄「あずみ」の交流を、邪馬台国時代まで俯瞰した物語。馬車や船の歴史や鉄の歴史について触れながら、卑弥呼のありようを丁寧に語った物語だと思った。通訳達の祖先からのつながりを「あずみ」と「3つの掟」で表現したところがうまいなと思った。
  • 臓器農場
    厚いけれど一気に読めました。
    解説にもあったが帚木さんの本は言葉がわかりやすく抑制がきいていて読みやすい。

    「無脳症児」は人間か。
    生きられないならせめて他の子供の役に立って欲しいという親や医療関係者の気持ちもわかる気がするが・・・。

    登場人物の言動が何となく古いなと思ったら、20年以上前の作品...続きを読む
  • 三たびの海峡
    帚木さん、「全部同じような話でどれがどれかわからなくなってくる」なんて言ってごめんなさい。
    全然違うお話も書かれるんですね。
    しかし、重い。重すぎる。
    そして、これが史実に近いかと思うと・・・。

    日本に強制的に連れてこられ、強制労働を強いられた朝鮮の人々のお話。
    人間でいることが嫌になる。
    強制労...続きを読む
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~
    パチンコ・スロットはゲームであってギャンブルではないというのは無理があるだろう。宝くじがギャンブルと言われるとなんだかなぁ~と思わないこともない。

    ギャンブル中毒患者がこんなにいるとは驚き。
  • 三たびの海峡
     戦争が犯した罪の一つ。強者が弱者を対等な人として、認めてこなかった事。
     帚木氏は戦争の罪を書きとどめてきている作家の一人だと思う。
     この作品の凄さは、人さらいの様に連れて来られ、強制労働を強いられた韓国人を軸となっていること。あまり知ることのない、韓国人の習慣などを描き、民族の違いを浮き出さし...続きを読む
  • ヒトラーの防具(下)
    ドイツでヒトラーに贈呈された剣道防具が発見された。贈与に関わった日本人武官を通して激動のドイツを描く。
    題材は最高。文章力・表現力がどこか拙く残念。
  • インターセックス
    『エンブリオ』の続編。『エンブリオ』を読んで以来、読みたいと思っていた本がやっと読めました。
    続編だけど、単体で読んでも違和感なく読めそうです。

    maleかfemaleに無理矢理分類させようとしない、というのは眼からウロコでした。