帚木蓬生のレビュー一覧

  • 受難

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    セウォル号 救助されなかったたくさんの命を思い出す。関連する記事を目にしなくなって、そんなこともあったと「思い出す」自分にちょっとガッカリ。
    お金と技術で蘇った少女。自分の出自を確信したタイミングは、はっきりわからなかったけれど、辛かっただろうと思う。何も知らずに楽しんでいられたら… 良かった?……

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    2019年05月07日
  • 天に星 地に花 下

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    人は何のために生きるのか。死なないために、食べるだけに生きるのか。享保年間の九州の過酷な藩政に対する農民の抵抗を通して、人への慈愛と幸せを淡々と説く。著者の初期のサスペンス作品とは趣きが異なるが、本書や少し時を遡り農民が力を合わせて筑後川に堰を築いて農地を開拓するという「水神」は、同じような語り口で安心して内容に溶け込める。外せない小説である。2019.4.21

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    2019年04月21日
  • 天に星 地に花 上

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    九州筑後川流域の農村の貧窮。享保年間ということは吉宗の享保の改革で幕府財政の立て直しがはかられた時代。改革の一環として、租税も検見法から定免法に移行、米の出来高に関わらず安定した徴収が意図されたが、凶作が続くと農民の生活が忽ち窮乏した。このあたりの背景にも本編では触れられている。塗炭の苦しい生活を直視し、成長していく主人公の姿を語る。2019.4.16

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    2019年04月16日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    ネタバレ

    事件発生時はまだ幼く、事件のことも詳しくは知りませんでした。
    この年になってこの事件の大きさ、恐ろしさを知ることになるとは。

    隠れていた何年も昔の被害者、砒素と断定された理由、他の薬物との違い、他の薬物の症状、警察の頑張り、被害者達の心身への後遺症など。

    専門用語が多く、著者特有の淡々とした進みであるので読みづらいし小説として面白いかはわかりませんが、興味深く読めました。
    (読み飛ばした箇所もいくらかあります)

    砒素は症例数が少なく、診察をしたことのある医者も少ないと語られています。
    この小説が表に出たことで今後このような事件や事故があった場合、砒素による被害であると判明しやすくなった

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    2019年02月01日
  • インターセックス

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    『エンブリオ』の続編。
    こっちの方が興味深かった。
    今回は、あの岸川の経営するサンビーチ病院に転勤することになった秋野翔子が主役。
    彼女は性染色体の異常により、男性でも女性でもない「インターセックス」と呼ばれる人たちへの治療を行っていた。
    思いがけず、サンビーチ病院に転勤になった翔子だが、岸川の周辺に奇妙な点があることに気付く。
    先が気になって、読むのがやめられなくなる。

    2019.1.20

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    2019年01月21日
  • 臓器農場

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    臓器移植が持つ、希望、危険性が描かれている。
    患者たちに対する看護師の対応が頼もしくあり、
    秘密の部屋に忍び込むなどスリル有りで飽きない展開。
    キャラもかなり立っていたと思います。
    話も面白く、医療問題を考えるきっかけにもなり良い出会いだったと思う。

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    2019年01月17日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    事件の真相究明がどのように行われていたか初めて知りました。
    専門的な難しい語句が臨場感のある展開となり一気読みでした。

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    2018年12月15日
  • エンブリオ 下

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    男性の妊娠を国際学会で発表した岸川。
    アメリカの不妊治療ビジネス大手の企業が接近してくる。
    ただ、その企業は岸川に罠をしかけようとしていた。
    それに気付きた岸川もまた、驚きの対策をする。
    不妊に悩む夫婦を助けながらも、卑劣な面を垣間見せる岸川。
    衝撃的な展開に息を飲む。

    2018.11.29

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    2018年11月29日
  • エンブリオ 上

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    「エンブリオ」というのは受精後八週までの胎児のこと。
    産婦人科医の岸川は、人為的に流産させたエンブリオや、様々な手を使って手に入れた卵巣等を培養し臓器移植をするという異常な医療行為を行っていた。
    その技術は異常ながらも、世界の最先端をいっている。
    しかし、そうなるともう歯止めが効かなくなってくる…次は男性の妊娠実験…
    とにかく、全体的にかなり衝撃的な内容。

    2018.11.25

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    2018年11月25日
  • 日御子(上)

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    面白い。帚木 蓬生氏の本は「国銅」「水神」につづき3冊目となるが、どれもすばらしい歴史小説だと思う。本小説は日本に文字のない時代の話であり、歴史を語る文献は日本には存在しない。数少ない、事実と事実の間を実にうまく肉付けし違和感のない小説に仕上げている。はるかいにしえの時代は、確かにこのような時代であったのだろうと納得できる内容であった。

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    2018年11月04日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    和歌山毒カレー事件はもう20年前のことになるのですね。
    ちょうど今頃でした・・・。
    今でもそうですが、マスコミは熱していましたからいろいろ情報が錯綜して
    この小説を読んでいると、わたしでも昨日のことのように思い出します。

    この本の前半、カレー事件とは別の彼女が起こしたとおもわれる保険金詐欺が
    次々と明るみに出てくる描写には、今でもそくそくとしたおぞけがきます。
    現在は死刑囚女性の心の暗闇に一歩でも近づきたいと思う著者の執念迫力を感じます

    この本の語り手は、ひ素はもちろんいろいろの毒物の研究をしている、臨床医でもある教授、
    難しい医学的専門用語、毒物の種類、過去の事例を引いてリアル

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    2018年10月13日
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

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    第二次大戦で軍医として関わった人たちの短編集。
    内地勤務だった人もいれば前線に近い外地での救命活動に携わった人、のんびりとした環境で終戦を迎えた人もいれば、やっとの思いで内地に帰り着いた人もいる。
    そして軍医ならではなのは、やはり命を救う、病気を治すことに使命感を感じ務めを全うする姿勢だと思う。
    膨大な参考資料を読み取材した上で創作した話だと思うが嘘は言っていないだろう。
    15篇もあるので途中で飽きるが、読む価値はあると思う。

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    2018年09月01日
  • カシスの舞い

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    ネタバレ

    実験用のラットを手に入れるように
    人間を手に入れる
    へえーそうなんかい、凄いじゃん

    南フランスのマルセイユ、カシスを舞台に広げられるコワーイお話の中に
    帚木蓬生の作品「深い」を再認識

    書かれた1983年と言えば帚木蓬生はまだ36歳 
    彼にも「シモーヌ」はいたのかな

    ――帚木蓬生氏の作品に接していつも感じるのは、一種の清冽なロマンティシズムである。〈解説より〉

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    2018年08月09日
  • 千日紅の恋人

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    少し年取ってしまった兼業アパート管理人の主人公の落ち着いた視点での恋模様を書いた小説。
    時代感は少し古く、アパートが水洗じゃないころの話であり、時代設定がきちんと些細なところまで統一されてるのが深みのあるリアリティを感じさせる。文体もとても落ち着いており、読みやすい古典的な文章であり、正統派な小説であると言えます。読んでいてドキドキはしないけど、落ち着けるような内容でした。

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    2018年07月18日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

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    国とすれば、稼げればOK、国民なんて、どうでもいい

    ギャンブルをやるのは、人間の本能かもしれません。
    なぜ、ギャンブルを生み出したのか、
    それをやると楽しいからです。

    脳科学が発展して、
    ギャンブル依存症患者の脳の報酬系の仕組みが、
    はっきりしました。ギャンブルをすると快楽物質のドーパミンが出る。
    その快感こそが、依存症へと繋がる一つの大きな原因です。

    しかし、日本という国は、
    官民連携して、ギャンブルという打ち出の小槌を使って金もうけしています。
    既得権益を作って、天下りを生み、また産業界も、バックが国ですから、
    安心です。

    もちろん、ギャンブルに行くのは、無知でバカな国民です。

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    2018年04月23日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    和歌山毒物カレー事件を題材にした、ノンフィクション的小説。

    精神科のクリニックを開く作家・帚木蓬生氏が、地元の医師仲間でカレー事件やサリン事件にも捜査協力した井上尚英九州大学名誉教授から鑑定資料一式を託され、「知られていない事実があまりに多すぎる」ことに驚いた著者が、井上氏をモデルにした〈沢井直尚〉を主人公に、同事件や裁判の経緯を克明に再現した小説とのこと。

    過去の砒素関連の歴史的事件や、サリン事件などにも言及していて、非常に興味深い。

    それにつけても、金に取りつかれることの恐ろしさよ。。。

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    2018年04月14日
  • 悲素(下)(新潮文庫)

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    警察への供述調書、検察への供述調書、公判での証言、弁護人からの反対尋問。犯人が逮捕されてからも大変な役割がある。結審しても被害にあわれた方や残された方の身体や心の傷が完全に癒えることはない。
    どうか少しでもお元気で、少しでも笑顔をと祈るばかり

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    2018年03月09日
  • 悲素(上)(新潮文庫)

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    1998年、和歌山毒カレー事件。よくよく見れば20年前のこと。当日の報道映像を思い出し、小林真由美へのインタビュー映像も思い出す。
    大学教授たちの毒物鑑定や被害者の診察状況などの事実の積み重ねが語られる。感情的な部分が少ないのに心の底に怒りと疑問が溜まっていく。書かれる医学用語のほとんどはよく理解できないのに異常さは伝わってくる。
    そして保険金詐欺も……

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    2018年03月09日
  • 三たびの海峡

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    職場の先輩からお借りした作品。とても苦しく、重厚な作品でした。
    人は自分がされたことはいつまでも覚えているけど、自分がしたことはあまり覚えていないのかもしれません。でもだからといって、それを軽く考えたり、文中にもありましたが、加害者側が「水に流す」としてしまうのは間違いだということがわかりました。
    戦時中に日本が朝鮮人にしてきたこと、この作品の舞台は北九州なのに福岡住みのわたしは知ろうともせずに、「韓国はいつまでも日本を許さないな」と浅く考えていたのを反省しました。
    読んで良かったです。戦争加害者としての日本からも目を逸らしてはならないと思いました。

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    2018年02月13日
  • 聖灰の暗号(上)

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    予備情報ゼロだったのもあって前半はやや退屈なスタートだったけど、後半から引き込まれ始めた。下巻に期待高まる。

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    2018年01月14日