帚木蓬生のレビュー一覧

  • 閉鎖病棟

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    作者が登場する人たちをとても愛しているのだと感じた。何気ない描写日々の生活がとても丁寧で共感でき、物語に没頭できる。
    精神障害の描かれ方が非常に魅力的だった

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    2024年09月03日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    住吉美紀さんのラジオで、ネガティブ・ケイパビリティという言葉を初めて知った。「解決しなくても持ちこたえていくことができる力を培っていけば、落ち着くところに落ち着き解決していく」概念がわかってよかった。治療ではなくトリートメント。日薬。シェイクスピアや紫式部、ドイツのメルケル元首相に備わっているという見方。

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    2024年08月30日
  • 沙林 偽りの王国(下)(新潮文庫)

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    面白かった。オウム事件についての本は沢山読んできたけどこういった医者・学者の立場からの物はなかったので非常に楽しめた。ただ範囲サリンなどの化学兵器だけに収まらず一連の殺人事件などにも及んでいるので、事件の全体像についても描かれている。ただそれが主人公の衛生学者の視点なので、専門分野以外についても語っていたり公判をすべて傍聴したかのような書きっぷりがどうにもちぐはぐな印象は受けた。ほぼノンフィクションなんだけども、実際主人公の沢井のモデルになったのは井上尚英という学者らしく、作中に登場するこの人の著書も読んでみたい。しかしこういった有識者は警察からの照会、メディアの取材、裁判の証人など大変な責任

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    2024年08月07日
  • 沙林 偽りの王国(上)(新潮文庫)

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    小説なんだけどオウム事件の経緯をノンフィクションとして読まされてるのが95%って感じ。いわゆる物語としての楽しさはまだないなあ。ただ疫学者の視点からの事件描写自体はめちゃくちゃ興味深いので読み進めてる感じ。

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    2024年08月06日
  • 白い夏の墓標

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    科学は人を生かすことも殺すこともできる。研究を続けるためにアメリカへ飛んだ若き科学者は自分の信念を黙殺して組織に従うのか、それとも信念を貫いて組織に殺されるのか。

    こういったジレンマは数多くの物語のテーマになっているけど、飽きもせずいつの時代も人々はその物語を読み、考え続ける。1983年にこの本が出版されてから、世代を超えて読み継がれ、今また注目を集めていることが素晴らしいと思う。
    日々のニュースでは人間の嫌な部分ばかり強調されるけど、そんなに悲観する必要はないのかもしれない。

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    2024年07月28日
  • 白い夏の墓標

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    40年以上前の話と思えないほど現代に通じるものがあった。
    終盤は予想外の展開でページをめくる手が止まらなかった。

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    2024年07月18日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    人間の底力を再確認できた本。
    以下読みながら思いを馳せた事
    【子育てについて】
    こどもが不登校になったとき、その子はネガティヴ・ケイパビリティを駆使している。容易に解決できない事態にジッと耐えているのだ。
    つい親は、画一教育に適応してきた自分を基準に、子どもの落第を想像して、安易に解決させようとする。励ましや叱咤をするだろう。しかし、本当に必要なのは親も子どもへネガティヴ・ケイパビリティを駆使することだ。記憶も理解も欲望も発揮してはならない。神秘と不可思議さを持ちながら、ひたすらに見守るのだ。なぜなら、世の中には解決できない問題の方がずっと多い。こどもはまさにそういった現実を直感で感じとり、対

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    2024年07月18日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    問題解決ではなくそもそも問いを疑え,的な話はビジネス本でよく見かけるけど問題解決だけでなく発見(問い直し)すらもできない宙ぶらりんな状態の状態に身を置くことの価値,重要性を言語化し,ネガティブケイパビリティと定義をした(著者が再発見し現代に甦らせた)ことの価値は非常に大きいと思う.

    反脆弱性にも通ずるものを感じる.
    暗中模索,宙ぶらりんに耐えて,性急な結論や過激な意思決定に強く自戒し,一方でその場に背を向けることなく対峙し続ける姿勢.
    現実にこの概念を当てはめ,眼前の苦境をメタ認知できるようになったことは今後の仕事や生活の中でも役に立つだろう.

    あと現代の創作の源泉にもなっているシェイクス

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    2024年07月06日
  • 生きる力 森田正馬の15の提言

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     本書は森田療法の核心がわかりやすく言語的に理解できるものとなっている。苦しい、悲しい、辛い、痛い、生きていれば苦しみは避けられない。しかし、森田はそれはあるがままにそのままにして、今成すべきことをとにかく成せと言ふ。森田自身もそういう生き方をしていた。およそ100年経っても森田の業績は語り継がれている。負のエネルギーは正のエネルギーに転換したときに大きな力となることを森田自身が証明しているようだ。不安や恐怖によって前にすすむことが怖くなってしまった人にオススメの1冊。

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    2024年06月28日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    なるほど、そりゃ全5巻にもなるわ。一作で二度美味しい。といいつつ作中作の部分はさらさらと…。頑張って5巻まで読みます。

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    2024年06月18日
  • 閉鎖病棟

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    閉鎖病棟に入院となれば「精神病の患者」とひとくくりにされがちですが、当たり前にひとりひとりの人生があり、喜怒哀楽もあるし、他人を思い遣ったり幸せを願ったり。そんな事に気付かされる小説でした。

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    2024年05月23日
  • 臓器農場

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    新人ナースの主人公が自分が務める病院の謎を暴いていく。臓器移植のための隠された施設など見つけていく過程はどきどきする。後半の急速に問題解決していくところは、それまでじっくり丁寧に描かれていたのにちょっとついていけなかったけど。作品としては面白く楽しめた。

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    2024年05月14日
  • 白い夏の墓標

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    すごい 面白い
    古さを感じない話題、作者の卓越な知識をもとにした文章、引き込まれる構成、全てが面白かった。
    途中、黒田のことを考えて辛過ぎて心が沈んでしまった。それぐらい読んでて引き込まれたし、心が動かされた、

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    2024年09月15日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    一つで二度味わえる小説。紫式部物語を読む中で作中で書かれる源氏物語を読んでいることになる。香子(かおるこ)は父から「香子(きょうこ)、今日からそなたのことを、かおること呼ぶことに決めた」と言われた。女子にしておくのは惜しい。男子であればこの堤第を再興してくれるだろう。誰でもが認めるひとかどの人物になる、その資質が薫るからだ、と言われる。和歌と漢詩が作中にふんだんに出てくる。漢詩は漢字が難しく意味を取りがたいものも多いが、和歌は二度読んでみるとなんとなく雰囲気で分かってくるものが多い。源氏物語の桐壺、帚木、空蝉、夕顔、若紫、末摘花まで書かれた。

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    2024年04月24日
  • 閉鎖病棟

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    1.著者;帚木氏は小説家。大学仏文科を卒業後、TBS勤務。2年後に退職し、医学部で学んだ。その後、精神科医に転身する一方で、執筆活動。「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞、「閉鎖病棟」で山本周五郎賞など、多数受賞。帚木氏は現役の精神科医であり、第一回医療小説大賞を受賞(医療や医療制度に対する興味を喚起する小説を顕彰)。
    2.本書;現役精神科医が、患者の視点から病院内部を赤裸々に描いた人間味ほとばしる物語。閉鎖病棟とは、精神科病院で、出入口が常時施錠され、自由に出入り出来ない病棟。ここを舞台に、患者が個別の事情を抱えながら、懸命に生きる姿を描く。死刑を免れた秀丸、性的虐待を受けて不登校になった島

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    2024年04月12日
  • 白い夏の墓標

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    帚木蓬生著 白い夏の墓標
     二、三年前古書店で比較的綺麗な形で並べられておいたので購入しておいた。最近書店で平積みで売られていたので読んでみた。40年以上前、著者は三十代に入った頃に書かれた本であるけれども、全く題材は陳腐化しておらず、今の時代にも十分通用する医学ミステリーであり、細菌兵器の開発をあつかったサスペンスです。
     最近見た「オッペンハイマー」は核兵器開発の映画でノンフィクションですが、こちらはフィクションで細菌兵器をアメリカ政府機関での開発に関わった細菌医学者が最後良心に立ち返って、細菌をこの世から廃棄して上司の指示で殺し屋によってピレネー山脈の山深くで抹殺されてしまうストーリーで

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    2024年04月04日
  • 閉鎖病棟

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    淡々と話は進んでいくのだけど、キュウーッとゆっくりじわじわ胸を締め付けてくる話でした。
    冒頭はこの物語の中心人物たちが、病棟に来る前の話をオムニバスみたいに語り、急に現在の話になっています。「チュウさん」「昭八ちゃん」など呼び名が病棟内でのニックネームに。
    それがなんとなく気になるし、いちばん最初に書かれていた由紀の中絶も真相が気になりつつ、物語は患者らの過去を織り交ぜながらこれといった盛り上がりもなく、精神病棟の日常が過ぎているように感じました。

    ところが一転!由紀が巻き込まれた事件で一気にいろんなことが加速し、読み手の私の感情もざわつきが収まらず、最後は一気に読みました。

    もうこれ以上

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    2024年03月10日
  • 白い夏の墓標

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    これはなんだ?というのが読み始めて正直な感想。
    昭和58年(1983年)の医療をテーマにした小説。道にウィルスをテーマにヨーロッパで謎に向かって突き進む主人公。ウィルスという最近人類が苦しんだテーマに真正面から向き合った作品だ。ウィルスのメカニズムについて解説もされていて記憶に新しいことが40年前に描かれているのだ。
    そしてフランスからピレネー山脈での出来事が深く面白い。
    とても40年前の作品と思えない斬新さを楽しめた。

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    2024年02月23日
  • 沙林 偽りの王国(上)(新潮文庫)

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    医学的知見に基づいた解説付きのスクラップブックといったところか。
    当時の情報はなんといっても新聞、雑誌によるものが最も量が多く信頼性もあったということがよく分かる。
    もしこれが現代であれば、教壇発信のフェイクも含め虚実入り交じった情報でここまで整理はできないだろう。

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    2024年02月22日
  • 薔薇窓の闇 下

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    タイトルが「薔薇窓」であった旧バージョンを読みました。19世紀から20世紀にかけてのフランスで日本趣味のある精神科医師と、その周辺で起きる事件や人間模様を描いています。下巻はラストに向けて怒涛のたたみかけ。ハッピーエンドでほっとしました。医療ものかと思っていましたがそうではなく普通の小説でしたが面白かった。

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    2024年01月13日