あらすじ
討論なし。
批判なし。
結論なし。
「言いっ放し、聞きっ放し」の会議が、
なぜこれほど人生を豊かにするのか?
私たちが囚われている
「不毛な会議」観を
根底からひっくり返す!
人生を変える、新しい形のミーティング
本書の内容
●「ネガティブ・ケイパビリティ」と「オープン・ダイアローグ」が、新しいミーティングの二大要素。
●ネガティブ・ケイパビリティとは、「不確実さや神秘さ、疑いの中に、事実や理を早急に頼ることなく、居続けられる能力」。
●オープン・ダイアローグの核心は、ポリフォニー(多声性)。
●答えのない世界に身を置いて、対話し続けるうちに、思いもかけない世界が見えてくる。
●評価を放棄することで、自由で自然な対話が生まれる。
●ミーティングは、雑多な意見が披露され、種々の声が行き交うカーニバルのようであるべき。
●「答えは質問の不幸である」。すぐに答えを求めることは可能性を閉ざす。
●薬もカウンセリングも効果がなかったギャンブル症者が、自助グループのミーティングで回復。
●ラカン、メルロ=ポンティ、カミュ、バタイユ、ミッテランらフランスの知性を輩出したパリのアパルトマンで、日夜繰り広げられた「終わりなき対話」。
《目次》
第一章 ギャンブル脳を回復させるミーティング
第二章 心の病いを治すオープン・ダイアローグ
第三章 悪を生む会議と人を成長させるミーティング
第四章 答えは質問の不幸である
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
著者の専門である依存症の自助グループのミーティングについての特徴から、オープンダイアログの共通性に、著者が広めたネガティブケイパビリティと、その源流につながる話。おそらくすべてに通じた人でないと分かりにくい部分もある。「答えは質問の不幸である」といったブランショの言でビオンが「答えは質問を殺す」と言い、ネガティブケイパビリティの重要性を語ったが、本書の後半はブランショがその発想を得た「サン・ブノア通りの仲間たち」のデュラスの話が主となる。戦時中のレジスタンスから戦後のパリの知識人を生み出した中心にデュラスはおり、そこでの対話が豊かな発想を生んだ。デュラスは映画になった「愛人」で有名であるが、本書の後半はデュラスの自伝のような話であったが、彼女の自由な人生は今では当たり前になっているが(逆風もあるが)、そうした環境(心理的安全性)であるからこそ、豊かな発想が生まれるのだろうと感じた。
Posted by ブクログ
仕事柄、会議が多く、実のある議論、効率的な議論とするにはどうすべきかと悩んでいるところで、店頭で見かけて手にしてみました。
序盤は、依存症の方から話を引き出す事例から入っており、ビジネス観点ではなかなか頭に入らない内容でした。
本書では、会議の目的は答えを出すことをよりも、話を引き出すことであり、そのためには答えがでないことも許容する(ネガティブ・ケイパビリティ)ことの重要性を説いていました。
テキパキと会議を進めることだけではなく、話を引き出す重要性を改めて感じました。心理的安全性にもつながる内容だとも感じました。
Posted by ブクログ
前半はギャンブル症とオープンダイアログの紹介。バフチンのポリフォニー(多声性)。答えや解決,結論を急いで導く対話ではなく,参加者の語り,終わらない対話,それらを通した気づきを辛抱強く待つ。分かろうとする性質が導く,分かったつもりの世界。そこに対峙するには,分からないことを分からないままにしておけるネガティブケイパビリティ→不確実さや神秘さ,疑いの中に事実や理を早急に頼ることなく,居続けられる能力(帯より)。「ほんとうの会議」というタイトルは何を意味するのか。病理や害を生む会議の対義語か。
Posted by ブクログ
日本でネガティブ・ケイパビリティを広めた帚木蓬生さんによる新書。依存症の当事者グループ(ギャンブラーズアノニマス)や、福祉現場におけるオープン・ダイアローグなどのありようにネガティブ・ケイパビリティの実践を読み取る。「答えは質問の不幸である」というネガティブ・ケイパビリティの態度(個人的にはケイパビリティというより視点や態度と認識している)の重要性は強く共感する。そして紹介される現場におけるネガティブ・ケイパビリティ的な対話を「ほんとうの会議」ということも、企業等の多くの組織における会議がそれとは程遠いものであることもまったくその通りであると思う。ただ、(著者がつけたのではないと推測するが)副題に「実践法」と付けてしまうと期待と内容のズレがどうしても出てしまう。実践というからには、不祥事を起こした企業や旧日本軍での会議を推測でダメ出しするだけでなく、多くの読者が現在所属している組織における会議をどうすればいいのかなにかしらの「ポジティブ」なヒントを得たいという人も多いだろう。この点では枝廣さんの本の方が引き続き良い。また、著者の専門や関心から文学や芸術家たちのことに多くの紙幅が割かれるのも、個人的には関心があるから良いのだが、「実践法」というタイトルとのギャップは感じてしまう。「ほんとうの」「実践法」と総じてタイトルが別のものであった方が素直に楽しめたかな、という印象。
匿名
ビジネス書として読まないこと
この本を、最初、会議の有意義なやり方を教える本かと思いましたが、実際は、カウンセリング、文学やその作家の背景も複雑にかかわるので、人によっては、分かりにくかったりするかもしれません。
また、この本では、会議(特にビジネス)で求められることが、実は、不正や腐敗の原因にもなるというのは考えされます。