帚木蓬生のレビュー一覧
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十編を収めた短編集。
いずれも老若男女の「良医」が主人公・花が必ず登場するもので、どれもものすごく大きな起伏があるという話ではないけれど、なんだかじんわりよかったなと思わせられた。
現役精神科医である作者によると、メディアなどで大きく名医だと取り沙汰される医者よりも、日の当たらないところに良医はいるのだと、それを伝えたかったのだと。
たしかに作中に出てくる医師たちは、患者をよく見て、患者との関わりを常に模索している人たちが多かったな。
1話目は個人的に導入が入りづらいなあと感じだけど、どの話も全体的にどこか印象に残る。
あらすじには紹介されてない話だけど、藤籠、顔、アヒルおばさんという話が好き -
Posted by ブクログ
イギリス医学会の重鎮アーサー・ヒルがノーベル医学・生理学賞を受賞したことを端緒に、青年医師・津田が自信の恩師である清原の随筆を読んだことから始まる医療サスペンス。
津田の恩師に対する思い、その娘・紀子の父への思慕、無名の研究者の発見が搾取され狂わされた人生、そして研究者たちの不可解な死因、とグイグイ引き込まれた。
章が変わるごとに目線が変わり、今回は誰?あれは誰が探り当てたんだっけ?と混乱する時も。
権威あるものに逆らえない風潮はどの分野にもあるんだろうけど、殺人はともかくこんなことは現実にもありそうで、なんだかノーベル賞も手放しで賞賛できなくなりそう。
それにしても死因が明らかになる終 -
Posted by ブクログ
下巻は菊竹様に涙…こんなに農民想いのお奉行様は居ないだろうけどたとえフィクションだとしても泣けます。水神、ってこの人のことだったのか。。嘆願書という名の遺書、心にきました。
大石堰出来て、こんなに大量の水を見たことがない村民が川の側に佇んで日がな一日眺めてる気持ちもわかるし、あの水流を何かに利用できないかと考え始める村民もいて、治水工事思い立って嘆願した五庄屋たちは救われただろうなと思いました。元助と伊八も田んぼが作れる。
藤兵衛さんもよかった…上巻でなんて嫌な爺と思っていましたが、耄碌してたと自分の間違いを認めてずっと苦しんでたんだな。。磔台の酷さをまざまざと目にしてたというのもあるんだろう -
Posted by ブクログ
ネタバレ南アフリカのアパルトヘイトを題材にし、白人の支配層が絶滅したはずの天然痘を使って黒人社会を殲滅しようとする。
そんな中で心臓移植を学ぶ為に南アフリカに来ていた日本人医師・作田信が主人公をつとめます。
大学病院へ行かない時間を使い、スラム街の診療所の手伝いを始めた頃にその地域で生活する黒人の子供たちの間で奇妙な病が流行りだす。
次々と命を落としていく幼い子供たち。
作田はなんとかしょうと、大学病院に患者を連れて行くも、黒人だからという理由で診察すら受けることを許してもらえない。
時を同じくし、作田の周りの人々が彼に対し圧力をかけ始める。
その間にもどんどん広がりをみせる病と、命を落と