帚木蓬生のレビュー一覧

  • アフリカの蹄
    帚木さん、さすがです。
    ストーリーはドラマチックでぐいぐい読ませるし、人物は魅力的だし、何よりこの題材。

    フィクションではあるが少し前の南アフリカ共和国に状況が似ていて、スラムに生きる黒人たちが欲していたのは本当に小さな、よその国では疑問すら持たないような当然の権利だった。

    日本人として恵まれた...続きを読む
  • ヒトラーの防具(上)
    ドイツ物だからなぁ・・・私の採点は甘い!だなんて思わないでくださいまし~。
    本当に感動しました! 上・下巻に分かれているものの、あっという間に読むことができますよん。
    戦争中のドイツの残虐な行為についても書かれていますし、それに対抗しようとしていたアンダーグラウンド組織のこともでてきます。もう涙・涙...続きを読む
  • アフリカの瞳
    HIV感染者とエイズ患者の違いを知らずにいました。援助することは大事だけれど、その結果に思いを寄せることも大事なんですね。さらに 国の施策を盲信しないことも必要だと思いました。疑問に思ったら追求するエネルギーを持っていたいものです。
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―
     小説でありながら実録のような重みがあり、続けて二度読みしてしまうほど、記憶に留めておきたい作品となった。
     一兵卒として軍に徴集される立場と違って、最初から恵まれた立場にあるが、終戦間近には国内の陸軍軍医学校でコウリャン飯が食べられていたなど、知らなかった事が多い。
     戦地での食糧不足、医薬品不足...続きを読む
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―
    第二次世界大戦(日中戦争・太平洋戦争)を題材とした戦記ものは多々あるが、軍医という視点からのものは珍しいように思う。
    各編すべて一人称の「私」で記述されているためか、フィクションのはずなのにノンフィクションの手記を読んでいるかのようなリアリティがある。そこには、あの時代を確かに生き抜いた人の息吹が感...続きを読む
  • 賞の柩
    ノーベル賞の裏側。
    実際にここまでして賞をとろうとする人はいないだろうけれど、精神的には近いことは起きているかもしれないし、輝かしい栄誉の影には数え切れないほど多くの人たちの悔しさやときに犠牲もあるのかもしれない、と考えさせられる。
    すべて暴露されてしまえばいいのに!と思いながら読んでいたけれど、や...続きを読む
  • 賞の柩
    ノーベル賞、栄光に輝く受賞者達の後ろには多くの研究者達がいる。けれど、こうまでして賞を取ろうとする人はいないだろうと思うのだけれど‥。
    悔しいと思っている人は沢山いるんでしょうね
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―
    戦火の中で非業の死を遂げた人々、絶望的状況の中でおのれの職務を全うした人々がいたことを改めて胸に刻むための一冊である。しかしながらユーモアやスリルもきちんと描かれていて小説としてたいへん面白いのだ。
  • エンブリオ 上
    天才産婦人科医、岸川。
    胎児から取り出した脳や卵巣を使っての移植手術、またファームにて人工的にエンブリオを作り出し、臓器培養も手がけている。
    そして次に行っているのは男性の妊娠。

    次巻に続く。
  • インターセックス
    サスペンスとサイエンスミステリー。インターセックスやセクシャリティの問題を色々考えさせられた。LGBT活動をしている人にはぜひおすすめします♪
  • 白い夏の墓標
    医学サスペンスというよりは純文学のようでした。医学としての題材といい舞台のヨーロッパの情景も書かれておりとても興味深く読めました。とても好きな作品です。
  • 逃亡(上)
    第二次世界大戦中、香港で憲兵をしていた主人公「守田征二」。上巻では戦犯になることを恐れ、身分を偽って収容所に入り、帰国のチャンスを窺う様子が描かれる。

    ときおり挟まれる戦時中のエピソード。憲兵という仕事柄、自分もスパイを使うし、敵もスパイを使う。正々堂々というと皮肉な響きにはなるが、敵も味方もそう...続きを読む
  • 逃亡(下)
    下巻では、帰国し、妻子と再会し、そして戦犯として逃亡する姿が描かれる。上巻がある意味ハードボイルド的な部分もあったのに対し、下巻は情緒的なところが大きい。特に、妻とのさまざまなやり取りは涙を誘う。

    舞台は全然違うが加賀乙彦の「湿原」を思い起こさせた重厚な傑作。
  • アフリカの蹄
    天然痘ウィルスを使った黒人撲滅無差別テロ事件。
    天然痘ウィルスを国外に持ち出し、感染を防げるか!?というストーリー。
    2作目よりも私は1作目のほうが好きでした。
  • 臓器農場
    1993年の作品だけどiPS細胞が注目されている今こそ考えるべき先端技術と倫理の問題。特に臓器移植については移植に携わる医師、救命医、ドナーを待つ家族、そして移植される患者自身、立場が変われば是非は問えないだろうと考えさせられた。

    治療の一つとしては確かに必要な臓器移植。また再生医療の発展と共に何...続きを読む
  • ギャンブル依存とたたかう
     ギャンブルはこれまで一度もやったことはありませんが、ネットや音楽に依存しがちな自分にも役立つかもしれないと思い、手に取った本。

     第一章はギャンブル依存症の大まかな説明である。『007』シリーズのイアン・フレミングの「ギャンブルに絶対勝つ方法はただ一つ、イカサマをすることである」という言葉を引用...続きを読む
  • 安楽病棟
    ミステリ要素すら終末医療という避けられないテーマに組み込んだ良作。自分の未来を投影出来ればいくつもの読み方ができる。
  • 水神(下)
    江戸初期の久留米藩が舞台。福岡県うきは市に残る大石堰がテーマ。 為政者ではなく村の庄屋が起案の前代未聞の治水工事。水から見放されている土地と百姓を救うという一心で身代ばかりか命までもかけた五人の庄屋。作者が込めた想いはただ百姓の事を書きたかったという通り日々の過酷な環境を日々の生活に重ね合わせて工事...続きを読む
  • 安楽病棟
    帚木さんの『閉鎖病棟』が良かったので、今度はこちらを~。
    て久しぶりの帚木さんの作品だよ。

    老人性痴呆症、老後の生活、そして終末期医療を主筋にして書かれた小説です。
    かなーり重い内容で460ページの長編。
    考えさせられるね~。
    パパが死ぬ前に入院してた頃、ちょっとだけ看病したのを思い出しながら読み...続きを読む
  • 水神(下)
    筑後川の堰渠工事を舞台に、当時の百姓の生活、庄屋の苦悩、士農工商という身分の中でも生きる人の優しさ、思慮深さが描かれた素晴らしい名作だと思う。
    百姓の苦しさを救うがために、堰渠工事に尽くした庄屋のために、最後の藩の奉公として命を投げるという展開には思わずえっと声が出てしまうぐらい驚愕した。そして、堰...続きを読む