帚木蓬生のレビュー一覧

  • 閉鎖病棟
    ミステリーのコーナーに置いてあって、閉鎖病棟というタイトルから勝手に気軽なエンタメ小説だと思っていましたが見事に裏切られました。

    最後は涙がとまらず、純粋に感動しました。
    こんなにも温かく、最後は希望の光がさした本に出会ったのは久しぶりです。
    上手く感想は書けないけれど、人が人を思う気持ちに
    心が...続きを読む
  • 白い夏の墓標
    帚木蓬生さんのミステリータッチの作品を初めて読んだ。相変わらず読みやすい文章。冒頭からスッと入っていけるのも特徴。すごく面白かった。プチどんでん返し系ですね。
  • アフリカの蹄
    主人公の作田信は30代の外科医師。心臓移植手術を学ぶため、南アフリカの大学病院に留学している。この国では、白人の命を助けるために黒人の臓器が提供され、その逆はない。医学技術の進歩が人種差別の犠牲の上に成り立っている皮肉に、作田も疑問を感じざるを得ない。
    作田は、勤務時間外を利用して、町のスラム地域に...続きを読む
  • 水神(上)
    真っ当な小説を久々に読んだ気がします。勉強不足で、同県民なのに大石堰と五庄屋の事知らなかった…素晴らしい業績。
    時代もので農民が中心に描かれてる作品って確かにあまり読んだことが無いかも。その上、庄屋様もお奉行様も利他な人が多くて凄い。庄屋たち、苦労は我々の代で終わらせて次世代に引き継がないという強い...続きを読む
  • 襲来 下
    大好きな帚木さんの歴史小説。「水神」と同じく、史実とフィクションが上手い具合に溶け込んでいて、本当に存在しているような人物描写は見事としか言いようがない。結末に近づくにつれ、胸が熱くなり涙無しでは読み進められなくなった。covid-19が落ち着いたら、鎌倉に史跡を辿りに行きたい。
  • やめられない ギャンブル地獄からの生還
    生還出来る者は、まだいい。実際は大多数がそのまま死んでいくのであり、その過程で周囲を、周囲の弱い立場のモノを傷つけまくっていく。ギャンブル依存症者並びにソレを生み出す施設は、それだけで犯罪者にも等しいゴミとしか思えない。同情の余地はない。
  • 三たびの海峡
    帚木蓬生さんは、〇〇病棟シリーズとかけっこう読んで知っていたのに、この作品を読んでいなかったなんて、何たる不覚!!!もっと早く読むべきだった。
    北九州に住んでいたことがあったのに、主人公の息子と同じように中学校で社会科を教えているのに、これを読まないまま今に至ってしまったことを恥じるばかりです。

    ...続きを読む
  • 守教(上)(新潮文庫)
    旅行で長崎に訪れた際に、かくれキリシタンに興味を持ち、この守教に出会いました。
    この本は、かくれキリシタンの概要を述べることに留まらず、「かくれ」ることになった経緯・歴史、それを取り巻く人々の習慣・知恵・苦悩、そしてそれが先祖から子孫へと受け継がれていく様が描かれています。
    非常に生々しく、重たい場...続きを読む
  • インターセックス
    すごいなぁ。素晴らしい作品だった‼︎
    602ページ夢中で読み、今朝の電車で読み切ってしまいました。何度も胸が熱くなり涙が滲みました。ますます帚木蓬生作品、好きになりました。

    人間性そのものへの探究と、事件性のミステリーとの両面、どちらも読み応えたっぷりです。
    ちょっと大袈裟な言い方だけど…全人類...続きを読む
  • 老活の愉しみ 心と身体を100歳まで活躍させる
     帚木蓬生「老活の愉しみ」、2020.4発行。「終活」でなく「老活」。高齢者のためのバイブルみたいですW。大切なことが網羅されています。内容の骨子は: ①2025年は団塊世代がすべて75歳に。健康寿命を延ばすこと ②失うものばかり増える高齢者 ③筋肉こそが日本を救う。著者は1日120回のスクワットを...続きを読む
  • 悲素(上)(新潮文庫)

    真実は此処に在る…!

    2021年8月読了。
    この前に著者の『沙林』を読んで大いに心を動かされ(これはこれで必読!)、長らく積ん読状態だった本書を読んだ。

    和歌山カレー事件は、オウム同様についこの前の出来事ぐらいの認識だったが、あれからもう20年以上経つのか…。
    先日加害者家族(=「林真須美死刑囚」の家族)のドキ...続きを読む
  • 水神(下)
    江戸時代の農村の生活の苦しさと治水の有難さを痛感させられた。菊竹源左衛門すごい。筑後川を見に行ってみたい。
  • 沙林 偽りの王国

    あの頃のおぞましさが甦る…。

    「ついこの前の事」ぐらいの感覚に思っていました。それぐらい、あの一連の騒動や事件はオンタイムで見ていた者の一人として、心に突き刺さる様なおぞましさだったからです。

    もう「あの事件」を直接知らない世代が、相当増えてきているんですものね…。

    これだけ詳細に、医学的見地からあの事件を振り返った...続きを読む
  • 水神(下)
    素晴らしい。感動した。読後感も良い。
    縄田さん絶賛も新田二郎賞受賞も大いに納得で
    登場人物に対する抑制された愛情を感じた。
  • 聖灰の暗号(下)
    圧巻のレイモン・マルティの手稿!!マルティは、14世紀、カタリ派を弾圧するローマ教会の審問官について記録するドミニコ会の修道士なのだが、カタリ派の指導者が聖書のイエスの言葉を引用して審問官を糾弾していく姿を見て、本当のキリスト者はカタリ派の人々ではなかったかと思い始めるのだ。マルティとカタリ派の指導...続きを読む
  • インターセックス
    ノンフィクションともとれる現代の日本のジェンダーや医療と倫理をテーマにした深い内容。ながらにして、ストーリーとしても面白く、ぐいぐいと引き込まれて読めました!
    男と女の性差の前に、ひとりの人間ー、って今日現在に生きる私たちにとって、本当に重要な問いかけですよ。ちゃんと目の前や周りの人に興味を持って、...続きを読む
  • 襲来 下
    日蓮の予言「外敵襲来」を確かめるために、千葉安房からはるばる九州西の島対馬まで旅をした見助。いよいよ対馬でその情報を見聞きしていくのが下巻。

    「見助」というネーミングがうまい。侍でもない職人でもない、ただ海で舟をこぐのとタイ釣りがうまい漁師。だから西海に出て、果ての島に渡っていくのも得意である、...続きを読む
  • 風花病棟
    ちょっと心が辛いときに読みたくなる本。立ち止まって後ろを振り返って良いし、そうやって日々を過ごしていけばいいんだな、と。優しい気持ちになれます。
  • 閉鎖病棟

    感動

    閉鎖病棟に居る患者たちの互いを思いやる気持ちの美しさに感動しました
  • 水神(上)
    中村哲さん急逝で読み直した。涙なしに読めない。江戸時代、身代をかけて筑後川に大石堰を築いた五人庄屋の実話に基づいた小説。五人を取り巻く人々が、細やかに描写されている。決して聖人君子物語ではない。