帚木蓬生のレビュー一覧

  • 聖灰の暗号(下)

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    登場人物がフランス語(やらオキシタン語)やらで話しているせいなのか、著者の癖なのか、とにかく一文が長く、接続も多い。しかし、それが翻訳のような雰囲気を生んでおり、外国文学を読んだような後味がある。
    カタリ派から見た歴史も、あるひとつの見方にしか過ぎず、全てを肯定的にとらえてよいのかはわからないが、少なくとも人殺しに神の名を借りる者に、神を説く資格はない。どのような宗教であろうが、罪を犯したり他人を害したわけでなもないのに、特定の思想を持たなければ救わないような狭量な者は、神でなくただの王ではないか。

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    2015年11月17日
  • 風花病棟

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    2015/11/05
    NHKラジオである土曜日の朝に朗読された「かがやく」をきいて涙があふれ、サイトで帚木蓬生さんの作品だと知り本書を手にした。読み進めるのが惜しく一話読むたびに時間を置いた。ほんとうに良い本だった。

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    2015年11月05日
  • 安楽病棟

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    初めてこの人の本読んだけど、この人すごい!と思った。
    痴呆老人、介護士の客観目、安楽死。
    日本がこれから直面する問題であろう題材をミステリー仕立てに仕上げられている。

    最初の語りあたりは、正直気怠くて、ずっと最後まてこんな調子かなあ。。だったらこの本海外小説並みに分厚いし、途中で挫折しようかなと思ってたんだけど、途中からドンドン面白くなっていって引き込まれていった。

    直近未来に痴呆になる可能性がある親を持つ私には、小説の話だけとはいかず、かなり学びの感覚で読んでいった。

    それにしても、登場人物の看護士の着眼点は見事としかいいようがない。
    途中涙あり、笑いあり、驚きあり、で読み終わったらな

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    2015年09月04日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

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    精神科医だけど、文学賞を受賞した作家でもあるらしく、文章が上手い。

    日本全国どこにでもあり、お手軽に行けるパチンコ・スロットマシーンなどの娯楽がいかに危険か、具体的な統計データや、最近の刑事事件などを引用しながら、論理的に説明していて、非常に説得力がある。

    パチンコ業界の利権に群がる警察の実態と、その利権から得られる莫大な金についても冷静に明晰に説明されている。

    日本の新聞やテレビは、パチンコ業界と警察の癒着を追及できない。
    なぜなら、パチンコ業界から莫大な広告収入を得ているから。

    記者クラブでの馴れ合いといい、広告スポンサーへの弱腰といい・・・。
    日本のマスメディアの腰抜けぶりは、想

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    2017年08月21日
  • アフリカの蹄

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    これは星5つで問題ないでしょう。
    若干うまくいきすぎなところはなくもないけど、でも、これくらいじゃないと酷すぎて読んでられないもの。
    救いが必要。
    現実はもっともっともっと過酷なんだよね。
    日本人として日本に住んでいて、カトリック教育を受けていると今一つ差別してしまう気持ちが理解できないのだけど、ある意味人間の本能的な部分なのではないかと思ってしまったりも。
    考えさせられる作品でした。
    そして「あ~よかった」的な感じでは終わっているけれど、そんな一筋縄ではいかないよね。きっとここからがまた大変なんだよね・・・。

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    2015年03月11日
  • 水神(下)

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    ネタバレ

    福岡県現うきは市の5庄屋が筑後川大石堰の工事に尽力した実話に基づく話(九州農政局HPにも紹介されている)。当時の農村の様子が丁寧に描かれている。読み終わったときの爽快感がいい。

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    2014年12月31日
  • 水神(上)

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    ネタバレ

    舞台は島原の乱後の筑後川流域の農村。上巻は5人の庄屋が立ち上がって久留米藩に堰を作りたいと嘆願書を出すまでの話。川から水を毎日朝から晩まで水を運ぶ仕事をしている若い小作農の眼を通じて話が進んでいる。歴史小説なのに戦国大名や幕末志士が登場する訳でもない。でも心温まる感動的な話。登場人物が筑後弁でしゃべってくれるので、すぐに話に入っていけた。没頭しすぎで最寄り駅に到着したのにも気づかず…。

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    2014年12月20日
  • 水神(下)

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    後半は涙涙です

    堰を作る作業、大きな石を川に沈める描写など実際に観ているようです
    悪人が登場しないところも好きです!

    読みやすく感動的な作品でした

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    2015年02月18日
  • 水神(上)

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    筑後川を目の前にしながら高台にあるため、水不足で農作物が育たない。
    朝から晩まで川から水を汲み上げ水路に流す作業は打桶といわれ、元助と伊八の二人で行われていたが、桶で汲み上げられる水の量はたかが知れている

    この貧しい農民達を救いたいと、五人の庄屋が私財をなげうって堰を作る作業を奉行所に申し立てる

    下巻につづく…

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    2014年11月20日
  • インターセックス

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    ふぅ〜〜〜
    と、読み終わった後に考えこんでしまう。
    概念としては大学時代に勉強はしていたが、生物学的にこういうことがあるのは知らなかった。

    知っても、自分に深く関係のある状態にならないとフラットに近づくのは難しい気がする。
    未だに女性の社会進出なんてことを言ってる世の中で、性と言うものの概念をきちんと理解し、社会システムが形づくのはいつのことになるか。そもそも来るのか。

    物語の作りは海堂尊っぽい(笑)

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    2014年11月03日
  • インターセックス

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    元医師であった帚木さんの作品。
    外的に男でも女でもないインターセックスを題材に人としてのあり方を問う。サスペンスの謎解きも面白いが、無くても厚い内容。

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    2014年10月07日
  • 臓器農場

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    ネタバレ

    これは、すごい内容の医療サスペンスだった!
    かなりのめり込んで読んだ。

    生まれたばかりの無脳症の乳児の臓器を移植。
    というすごい設定で衝撃的で考えさせられた。

    副院長が無脳症の乳児を『物』扱いしたとき、私は怒りを感じた。
    けど、、、、、無脳症の乳児の画像をコンピュータで検索して見て考え直した。

    ホントに脳がなく頭が平で目が出目金のように出てる写真や、頭の中が露わになってる画像、一つ目の乳児の画像などなど見てとても衝撃を受けた。
    正直、人間というよりもエイリアンに近い感じ。

    そんな赤ちゃんを自分が産んだらどう思うか。
    考えるだけで怖く悲しくなる。
    奇形の自分の赤ちゃんを愛せるか。
    脳がな

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    2014年08月17日
  • 水神(上)

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    こういったストーリーに定番の悪役が出てこないのに感じ入った。表現力がすばらしい。
    「元助は深く息を吸い込む。朝方の空気と夕方の空気は匂いも味も微妙に違った。早朝の空気は、草いきれと土の匂いが入り混じったすがすがしさがあるが、夕方の空気はどこかかまどの匂いがした。」幼い頃に田舎で味わった体感そのものではないか。2014.8.2

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    2014年08月03日
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

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    本意なく従軍、あるいは被災地に赴き、充分な物資なくもどかしさを感じる。15の短編は全て「私」の一人称で冷静に語られ、ノンフィクションのような錯覚を覚える。14.7.19

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    2014年07月19日
  • アフリカの蹄

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    ネタバレ

    帚木さん、さすがです。
    ストーリーはドラマチックでぐいぐい読ませるし、人物は魅力的だし、何よりこの題材。

    フィクションではあるが少し前の南アフリカ共和国に状況が似ていて、スラムに生きる黒人たちが欲していたのは本当に小さな、よその国では疑問すら持たないような当然の権利だった。

    日本人として恵まれた環境に生きていること、充分幸せ(偏った価値観かもしれないが)なのにきちんと感謝できていないこと。そういうのはもちろん感じて頭のどこかで反省したりはするんだけど、たぶん大事なのはそこじゃない。別に説教くさいわけでもなく、読んでいる間はただただ子供たちの病気が治りますようにと祈っていた。

    ただ白人側の

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    2014年04月18日
  • ヒトラーの防具(上)

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    ドイツ物だからなぁ・・・私の採点は甘い!だなんて思わないでくださいまし~。
    本当に感動しました! 上・下巻に分かれているものの、あっという間に読むことができますよん。
    戦争中のドイツの残虐な行為についても書かれていますし、それに対抗しようとしていたアンダーグラウンド組織のこともでてきます。もう涙・涙ですよん。
    戦争の悲劇は人間を狂わせてしまうところですよね。
    日本国家を背負って駐在している主人公のヒューマニズムはだまってはいませんでした。
    しつこいですけど、満点をうなずいていただける作品だと思います。
    著者である帚木(ははきぎ)氏は元精神科のお医者様。
    初期の作品はお仕事柄か、精神医学ミステリ

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    2014年03月22日
  • アフリカの瞳

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    HIV感染者とエイズ患者の違いを知らずにいました。援助することは大事だけれど、その結果に思いを寄せることも大事なんですね。さらに 国の施策を盲信しないことも必要だと思いました。疑問に思ったら追求するエネルギーを持っていたいものです。

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    2014年02月09日
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

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    ネタバレ

     小説でありながら実録のような重みがあり、続けて二度読みしてしまうほど、記憶に留めておきたい作品となった。
     一兵卒として軍に徴集される立場と違って、最初から恵まれた立場にあるが、終戦間近には国内の陸軍軍医学校でコウリャン飯が食べられていたなど、知らなかった事が多い。
     戦地での食糧不足、医薬品不足、情報不足に苦しみながらも、常に目の前に自身を必要とされている人を優先とする医者という信念に感動する。戦死者より病死者の多さに対する苦悩。さらに戦時下の軍医としての重要な仕事は、死者の氏名を明らかにして戦死者名簿に載せること。これも初めて知った。
     「戦犯」という作品で語られた、使役住民の何百人もの

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    2014年02月08日
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

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    第二次世界大戦(日中戦争・太平洋戦争)を題材とした戦記ものは多々あるが、軍医という視点からのものは珍しいように思う。
    各編すべて一人称の「私」で記述されているためか、フィクションのはずなのにノンフィクションの手記を読んでいるかのようなリアリティがある。そこには、あの時代を確かに生き抜いた人の息吹が感じられる。
    戦争というものの一面を知る上で貴重な一冊。

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    2014年01月08日
  • 賞の柩

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    ノーベル賞の裏側。
    実際にここまでして賞をとろうとする人はいないだろうけれど、精神的には近いことは起きているかもしれないし、輝かしい栄誉の影には数え切れないほど多くの人たちの悔しさやときに犠牲もあるのかもしれない、と考えさせられる。
    すべて暴露されてしまえばいいのに!と思いながら読んでいたけれど、やはりこの結末でよかったのだと思う。本当に素晴らしい才能や栄誉を穢さないことが、研究者のみならず人としての正しいあり方だと思うので。読みごたえ充分で、読後感もよかった。

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    2014年01月04日