帚木蓬生のレビュー一覧
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ヒトラーの防具
第二次大戦前に、ドイツを訪れた日本の剣道団体がヒトラー総統に剣道防具を贈呈するとこらから物語は始まる。側近に渡すことができればよいと考えていた贈呈団は、ヒトラー本人が表れて感激する。
ドイツ駐在武官補佐である主人公の香田は日本陸軍中尉だが、折に触れヒトラーの関心を引く。一方で、香田自身はナチスドイツに対し、違和感を抱き続ける。それというのも、香田の周りには、両親、兄をはじめ、魅力的な人間が集まっており、やはりナチスドイツに違和感、あるいは反感を持っているからだ。通常の生活では明らかにすることができない各人の本心が、香田に対しては明らかにされていくところに、香田自身の魅力が表現されているのだろう。
ゲシュタポの一斉捜索後、思いがけずヒルデを預かることになるが、香田にとっても大きな人生の転機となる。
戦局の悪化に伴い、大事な人が次々なくなっていき、香田の考え方もますます純化していく。その精神の深まりが丁寧に描かれている。
物語全体は、香田の日記をたどりながら、香田の周辺状況と歴史的事実が巧みに組み合わされており、ダイナミックな展開を味合うことができる。「日本の目となり耳となり、本国に事実を伝えていくのが外交官の役割だ」と強く意識するも、日本国内とドイツとの認識ギャップや、真実を伝えることのできない時局の面映ゆさが物語の主要な展開である。実在した剣道防具からここまでの物語展開を作り上げる技量は相当であり、非常時の人間の在り方について改めて考えてしまった。 -
Posted by ブクログ
享保十九(1734)年~天明三(1783)年
医師としての技術とそれ以上の心持ち、思想を学び続ける庄十郎。独立を許され開業する。
そして新たな増税。8歳以上一人につき払えという。裕福な者には大したことは無い。子だくさんの貧しい百姓には‥‥
起こるべくして一揆は起きる。増税を言い出した藩は首謀者と庄屋、大庄屋を罰して事を治める。
凌水と名乗りを変え医師として働く庄十郎は、家族の軋轢や百姓の窮状の中で自分の出来ることを少しずつでもしていく。
彼の言葉で気に入ったのが「人生に大事なものは、はとははとははは」
歯、母、はははと笑うこと。ホントだ、父が無いのが侘しいけどね (笑) -
Posted by ブクログ
再読です。
ややドロドロした本が続いたので、真っ直ぐな物語が読みたくなって。
江戸時代、両側を川に挟まれながら台地ゆえに水が回らず、困窮する村々。そこの五人の庄屋が立ち上がり、私財をなげうって筑後川に堰を設けて村に水を引くまでの物語です。
彼らの無私な熱意は藩を動かし、最初は反対をした他の庄屋や町の商人をも巻き込み突き進んでいきます。
悪人が一人も出てこない、真っ直ぐな話です。真直ぐゆえに、ストーリーの曲折は少ないのですが、それを十分にカバーする力があります。
でも、地図くらい付けて欲しかったなぁ。どうも水路の構造が理解できずに、話が見えなくなるところがありました。
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12-055 2012/06/07 ☆☆☆☆☆
『国銅』に続く帚木さんの2作目の歴史小説です。奈良時代と江戸時代の違いはあれ、難工事に臨んだ庶民の話というテーマは同じです。
「大石堰」とか「五庄屋物語」で調べると様々な記録がネット上に存在します。帚木さんは福岡県小郡市生まれ、調べてみると大石堰の近くです。たぶん小さい頃から聞かされていた話なのでしょう。
読み応えのある、ページをめくる手が止まらなくなる様な上下巻です。全ての登場人物が見事なほど善人として描かれ、その分物語として浅くなった感じはするものの、それを補って余りある程に貧農の痛々しいまでの生活と諦念が書き込まれます。
庄屋達の見事な心意気、それを支える武家や商人達、そして希望の未来へ進み始める農民たち。
帚木さんらしい端正で抑制の効いた文章と相まって、静かで爽やかな感動を生む作品です。 -
Posted by ブクログ
初めてこの人の本読んだけど、この人すごい!と思った。
痴呆老人、介護士の客観目、安楽死。
日本がこれから直面する問題であろう題材をミステリー仕立てに仕上げられている。
最初の語りあたりは、正直気怠くて、ずっと最後まてこんな調子かなあ。。だったらこの本海外小説並みに分厚いし、途中で挫折しようかなと思ってたんだけど、途中からドンドン面白くなっていって引き込まれていった。
直近未来に痴呆になる可能性がある親を持つ私には、小説の話だけとはいかず、かなり学びの感覚で読んでいった。
それにしても、登場人物の看護士の着眼点は見事としかいいようがない。
途中涙あり、笑いあり、驚きあり、で読み終わったらなんともいいようがない充実感に満たされた。
もしかしたら、中年の私だからこの本に感動したのかな(*^^*)
ま、でも年齢層関係なしにぜひいろんな方に読んでもらいたい一冊だと思ったよ。
この人の本はこれ以外にも評価が高かったので
今度読んでみよっと! -
Posted by ブクログ
精神科医だけど、文学賞を受賞した作家でもあるらしく、文章が上手い。
日本全国どこにでもあり、お手軽に行けるパチンコ・スロットマシーンなどの娯楽がいかに危険か、具体的な統計データや、最近の刑事事件などを引用しながら、論理的に説明していて、非常に説得力がある。
パチンコ業界の利権に群がる警察の実態と、その利権から得られる莫大な金についても冷静に明晰に説明されている。
日本の新聞やテレビは、パチンコ業界と警察の癒着を追及できない。
なぜなら、パチンコ業界から莫大な広告収入を得ているから。
記者クラブでの馴れ合いといい、広告スポンサーへの弱腰といい・・・。
日本のマスメディアの腰抜けぶりは、想像を絶するものがある。
国際的に比較しても、記者クラブ制度のもとで、政権与党や警察に飼い慣らされた日本の飼い犬ジャーナリズムのダメさは、後進国以下のレベルであることが、世界的にも知られている。
それにしても、オレがギャンブルに全くハマらなかったのは、なぜだろう?
小学校3年生くらいの頃はゲームセンターに入り浸っていた時期もあったし、コインゲームでスロットマシーンとか、競馬みたいなゲームも熱中してやってた。
でも、いつの間にか、全く行かなくなってた。
学生時代は、みんなで馬券を買ったこともある。
競馬好きの友達に誘われて、早朝、郊外の競馬場まで行くとコーヒーとサンドイッチをタダでもらえて、一緒に馬を眺めていた。
麻雀好きの先輩に誘われて、徹マンに付き合ったこともある。
でも、そういうのって、お付き合いでやってるだけで、楽しいとは思わなかった。
1度だけ、パチンコ屋に行って、ビギナーズ・ラックで当たったことがある。
でも、2度目に行ったときは全く出なかった。
3度目はもう行かなかった。
仕事で海外に行ったときは、カジノも行った。
ラスベガスではスロットマシーンやったし。
でも5$くらい使っただけで飽きた。
あとは、ひたすらブロンドのお姉さんが運んできてくれるコロナ・ビールを飲んでた。
外国へ行けば、カジノにも行くけど、オレにとっての楽しみは、タダでビールが飲めることだけ。
はっきり言って、ギャンブルやるよりビール飲んでたほうが楽しいんだよね。
ようするに、オレはドケチだし小心者だから、脳が、ギャンブルに熱中できないような構造になっているのかもしれない。
パチンコ業界が1年間で20兆円も儲かってるという事実を知っていれば、パチンコ屋にせっせと通って金を貢ぎ続けるなんて、あまりにもバカらしくない?
あらゆるギャンブルで、勝者になれるのは、胴元だけだ。
ギャンブルって、どの角度から考えても、金と時間のムダとしか思えない。
ハマらなくて本当に良かった。
ギャンブル障害ってのはヤバすぎる病気だ。
麻薬中毒やアル中と同じくらいヤバい。