【感想・ネタバレ】水神(上)のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年02月25日

真っ当な小説を久々に読んだ気がします。勉強不足で、同県民なのに大石堰と五庄屋の事知らなかった…素晴らしい業績。
時代もので農民が中心に描かれてる作品って確かにあまり読んだことが無いかも。その上、庄屋様もお奉行様も利他な人が多くて凄い。庄屋たち、苦労は我々の代で終わらせて次世代に引き継がないという強い...続きを読む意志を感じます。身代潰しても、磔にされても構わない、って相当強い。
農民と庄屋や奉行、階級差は歴然とあるけど下々を虐げることは全く無くて凄い。農民のキツさは今の時代とは比べものにならないけど、農民を虐げて温々暮らす庄屋が居ない……庄屋って悪徳な印象だったけど五庄屋の面々には覆されました。
権がかわいい。忠犬。

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Posted by ブクログ 2020年01月15日

中村哲さん急逝で読み直した。涙なしに読めない。江戸時代、身代をかけて筑後川に大石堰を築いた五人庄屋の実話に基づいた小説。五人を取り巻く人々が、細やかに描写されている。決して聖人君子物語ではない。

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購入済み

水神(上)

2017年06月17日

江戸時代の百姓の生活環境が良く書かれていると感じました。

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Posted by ブクログ 2016年06月05日

再読です。
ややドロドロした本が続いたので、真っ直ぐな物語が読みたくなって。
江戸時代、両側を川に挟まれながら台地ゆえに水が回らず、困窮する村々。そこの五人の庄屋が立ち上がり、私財をなげうって筑後川に堰を設けて村に水を引くまでの物語です。
彼らの無私な熱意は藩を動かし、最初は反対をした他の庄屋や町の...続きを読む商人をも巻き込み突き進んでいきます。
悪人が一人も出てこない、真っ直ぐな話です。真直ぐゆえに、ストーリーの曲折は少ないのですが、それを十分にカバーする力があります。
でも、地図くらい付けて欲しかったなぁ。どうも水路の構造が理解できずに、話が見えなくなるところがありました。

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12-055 2012/06/07  ☆☆☆☆☆

『国銅』に続く帚木さんの2作目の歴史小説です。奈良時代と江戸時代の違いはあれ、難工事に臨んだ庶民の話というテーマは同じです。
「大石堰」とか「五庄屋物語」で調べると様々な記録がネット上に存在します。帚木さんは福岡県小郡市生まれ、調べてみると大石堰の近くです。たぶん小さい頃から聞かされていた話なのでしょう。

読み応えのある、ページをめくる手が止まらなくなる様な上下巻です。全ての登場人物が見事なほど善人として描かれ、その分物語として浅くなった感じはするものの、それを補って余りある程に貧農の痛々しいまでの生活と諦念が書き込まれます。
庄屋達の見事な心意気、それを支える武家や商人達、そして希望の未来へ進み始める農民たち。
帚木さんらしい端正で抑制の効いた文章と相まって、静かで爽やかな感動を生む作品です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月20日

舞台は島原の乱後の筑後川流域の農村。上巻は5人の庄屋が立ち上がって久留米藩に堰を作りたいと嘆願書を出すまでの話。川から水を毎日朝から晩まで水を運ぶ仕事をしている若い小作農の眼を通じて話が進んでいる。歴史小説なのに戦国大名や幕末志士が登場する訳でもない。でも心温まる感動的な話。登場人物が筑後弁でしゃべ...続きを読むってくれるので、すぐに話に入っていけた。没頭しすぎで最寄り駅に到着したのにも気づかず…。

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Posted by ブクログ 2014年11月20日

筑後川を目の前にしながら高台にあるため、水不足で農作物が育たない。
朝から晩まで川から水を汲み上げ水路に流す作業は打桶といわれ、元助と伊八の二人で行われていたが、桶で汲み上げられる水の量はたかが知れている

この貧しい農民達を救いたいと、五人の庄屋が私財をなげうって堰を作る作業を奉行所に申し立てる
...続きを読む
下巻につづく…

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Posted by ブクログ 2014年08月03日

こういったストーリーに定番の悪役が出てこないのに感じ入った。表現力がすばらしい。
「元助は深く息を吸い込む。朝方の空気と夕方の空気は匂いも味も微妙に違った。早朝の空気は、草いきれと土の匂いが入り混じったすがすがしさがあるが、夕方の空気はどこかかまどの匂いがした。」幼い頃に田舎で味わった体感そのもので...続きを読むはないか。2014.8.2

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Posted by ブクログ 2012年06月26日

本書は2009年8月末に単行本として出版されているもので、本年6月に文庫化されたものだから既読本である。再読すると往々にして当初の感動イメージが損なわれることがあるのだが、本書はかつて読んだときの感動がそのまま再現された稀有な例で兎に角読んで絶対に損はさせないと太鼓判を押せる作品だ。

本書の舞台は...続きを読む島原の乱の記憶もまだ色褪せない頃の九州は筑後川流域。滔々と流れる大河の傍に住むにも関わらず、土地の高低によりその水を利用できず永年、水不足・旱魃に悩まされてきた村々。そこでは人力による水汲みだけを仕事として一生を終える百姓も居る。その窮状を何とかしようと流域の庄屋5名が、私財を投げ打ってまでも堰渠を構築し水不足の苦難を克服しようと久留米藩奉行に嘆願書を出すに至る。しかしながら100を超える流域の庄屋の中には反対の声も挙がる。藩奉行に「命を賭する」との血判状まで出した事業は藩に認められるのか、宿年の夢である堰渠工事は無事に完成するのか、事故が起きると庄屋の命はどうなるのか、ページをめくるのももどかしく先へ先へと読み進めたくなる長編物語だ。

物語の筋も面白いのだが、水に寄せる農民の想いや庄屋としての責任感、それらを応援する奉行・下級藩士・商人ら多くの人々の思いのたけが丁寧に語られており思わず胸が熱くなる名作だ。

そもそも2009年に出たときはついつい積読期間が長く、読み始めたのが年が明けて暫くしてから。読後の感動からすると2009年のベスト10に組み入れるべきだったと反省はすれども既に年が明けてしまい後の祭り。その反省も踏まえ、この文庫版が出たこの機に、声を大にして勧めたいものだ。

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Posted by ブクログ 2022年11月10日

 大河・筑後川の流域でありながら、台地のために川の水の恩恵を受けられない貧しい村々。その中の五人の庄屋が、水路(堰と堰渠)を作るため立ち上がった。前編はここまで。

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Posted by ブクログ 2014年04月15日

前半は百姓の悲惨な生活…松皮粉、藁餅など農民文学かと思いきや、後半は涙涙の展開。下巻はもっとウルウルするのかな。

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Posted by ブクログ 2012年09月17日

渇水に苦しむ村々。筑後川の堤作りに立ち上がった庄屋たちの悲願は叶うのか。
農民たちの暮らしや庄屋たちの想いが淡々と、生き生きと綴られます。

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Posted by ブクログ 2012年08月16日

百姓たちの頑張り、庄屋たちの熱い思いが詰まっている作品です。
末端の人間の頑張りも、必ず見てくれている人がいる。現代でもそうありたいものです。

百姓・庄屋たちの描写もしっかりと読ませてくれますが、圧巻は庄屋たちがお奉行へ嘆願する場面です。
嘆願書の文面には涙を禁じえません。

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Posted by ブクログ 2012年08月14日

(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。

だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。


助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。



その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
...続きを読む

彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。


新田次郎文学賞受賞作。


(下)
ついに工事が始まった。

大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。


百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。

「水が来たぞ」。



苦難の果てに叫び声は上がった。

子々孫々にまで筑後川の恵みがもたらされた瞬間だ。

そして、この大事業は、領民の幸せをひたすらに願った老武士の、命を懸けたある行為なくしては、決して成されなかった。


故郷の大地に捧げられた、熱涙溢れる歴史長篇。









江戸時代、筑後川の近辺にありながら水利工事の不徹底のため水不足にあえぐ村が舞台になっています。


一部の庄屋の財産、生命を賭して郡役所、近隣の村、百姓など関係者を説得し、一大堰渠造成、灌漑事業を成し遂げる物語。



前半は、江南原の百姓たちの貧しい暮らしぶりが描かれ、主人公と4人の庄屋たちの真摯な姿に胸を揺さぶられます。


上巻の一番の見せ場は、主人公と庄屋たちが、藩のお偉方を前に堰の工事を願い出る口上のくだり。


下巻で堰の工事が始まってからは、難局を上手く乗り切っていくかが見せ場になっています。


そして終盤、涙なくしては読めない箇所もありこの主人公たちには心から頭の下がる思いがしました。





筑後川に堰を作って水を引くことを決意した主人公と4人の庄屋、地方藩の郡代である下級武士、工事に携わった百姓、それら大勢の人々の苦闘と栄光を描いた傑作です。


今の時代だからこそ、昔の方の苦労や一丸となる大切さを再認識するのに良い小説になっていると思います。


人のために生きる、生活を捧げるという行為が胸を熱くさせらました。



何が人間にとって大切なことなのか...



まだ読んでみえない方は是非一度読んでみて下さいね☆

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Posted by ブクログ 2012年06月19日

江戸時代、九州の筑後川で実際にあったお話し。側に筑後川があるのにその地形から村の稲田には水が届かず村人は生活に苦しんでいる。おまけに大水が出て川が氾濫するとさらに悲惨な状態になってしまう。長年のこのような状況を筑後川に堰を作る事で打開しようと決死の覚悟で立ち上がる五人の庄屋の想いが胸を打つ。軽快な九...続きを読む州弁での会話が全般を包み、筑後川から村人の為に水を汲む(打桶と言うらしい)元助と伊八の大変さや気持ちの美しさが心を打つ。打桶の際の二人の掛け声「オイッサ、エットナ」が聞こえてきそうであり光景が目に浮かぶような感覚になってしまった。堰がどのように出来ていくのか、下巻を急ぎ読みたい。

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Posted by ブクログ 2022年04月30日

大河のすぐそばにある村にもかかわらず、それが水の恩恵を受けられない高台だったことで、長らく生産不良と貧困に悩まされてきた。そこで5人の庄屋が堰と溝渠を建設するために奔走する。

本筋は単純でありきたりだが、それを動かすための場面描写や人間模様、権力(気遣い)関係、背景の記述が素晴らしい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年12月07日

筑後川の灌漑の話だ。
水が、百姓がそそいだすべての労力に、命を吹き込むといってよかった。毎年、水不足や氾濫に悩まされてきた村が筑後川に堰を造り、豊かな土地にすることに心血を注いだ5つの庄屋の話だ。庄屋というと、これまでは百姓をいじめて年貢を巻き上げるイメージしかなかったが、この話では、命も財産もかけ...続きを読むて闘う5庄屋がかっこいい。
上巻の半分ぐらいまでは、もたもたした書きぶりだが、堰の話をお奉行様に洩っていくあたりからひきこまれていく。
全二巻

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Posted by ブクログ 2012年12月24日

江戸初期久留米藩が舞台。治水工事がテーマ。しかも農民が起案の前代未聞の治水工事。前半は百姓の水に関する苦労を実際の日々の生活に重ね合わせて淡々と記述。後半は藩への命がけの嘆願が通りいよいよ工事へ。楽しみだ!

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Posted by ブクログ 2012年07月07日

江戸時代の筑後川流域の五庄屋が堰を作り、農業用水道をつくった実話を基にした小説

福岡に一時住んでいたとき、日照りで給水制限があったことがありますが、福岡は昔から水に恵まれない土地だったのを、この本に登場する人たちの尽力ですこしづつ改善されてきたことがよく理解できます。

川から水を汲み上げる役割の...続きを読む人がいて一日中行なっている姿がその汲み上げ方法を具体的に詳細に描かれている。すこし丁寧すぎるくらい。
それだけ作者の思い入れがみえる気がする。

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Posted by ブクログ 2012年06月29日

目の前を流れる筑後川。しかし田畑にその水はこない。
日照りに苦しむ百姓たちのために庄屋たちが立ち上がる。
筑後川に大石堰を設けるために。藩への請願から始まり、まわりの村の反対に会い、それでもと進む彼らに頭が下がる。庄屋として村人のために働く…… 
議員として住民のために働いてますか??議員のみなさん...続きを読む??と思ってしまいました

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