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Posted by ブクログ 2024年03月09日
面白かった!!!
いのちとはどこに宿るのか、深く考えさせられました。
欠陥を持った藤野くんが、一番地に足を着けていて、だからこそ最後の言葉がとても印象に残りました。
的場先生の手記がとても切なく、悲しかったです。
Posted by ブクログ 2019年08月06日
いわゆる医療サスペンスの系譜に分類される小説である。この分野の小説は、あまり読んだことがなかった。同系列のドラマもあまり得意ではない。手術の場面など、いわゆる臓器手術の場面(描写)の生々しさが苦手だからである。
本書の著者は現役の精神科医である。もちろん医学的な知識は豊富で、それがこの小説にリアリテ...続きを読むィと重厚感を与えている。恐る恐る手にした小説だったが、読んでよかったと感じている。ナースの日常、病院の院内描写、論文の内容の細部に至るまで、あたかもノンフィクションのごときリアリティである。しかし、小説が備えるべき物語性も十分に盛り込まれている。病院の闇を巡る物語にもかかわらず、ラブロマンスの要素も(決して甘くなり過ぎない程度に)入っているのだから、この小説だけで幾通りもの楽しみが詰め込まれているといっていい。
臓器移植を巡る倫理性を読者に突きつける話であり、「無脳症児」といういわば奇形の赤ん坊が登場する。寡聞にして、「無脳症児」なる症例は初見であり、医学的な知識が皆無な自分には医学百科的な楽しみもあった。何せ無脳症児の作り方まで書かれているのだ。
医療の世界が舞台ということで食わず嫌いになっていた時間がもったいないと思えるほど、引き込まれる作品である。丁寧で、奇を衒うことのない描写も好感が持てる。エキセントリックなタイトルも、読後には印象が変わっているだろう。
Posted by ブクログ 2018年10月12日
ケーブルカー。生まれ育った長崎にふと思いを馳せる。規子と的場医師の出会いもとっても素敵だったが、ラストシーンで(うすうすわかってはいたものの)明確になる的場医師と規子の思いに胸熱くなった。あぁ。規子と的場医師が結ばれてほしかったな・・・
Posted by ブクログ 2017年12月17日
ミステリー好きになったきっかけの本。
夜読み始めたら止まらなくなり、そのまま最後まで読んでしまった。
内容も当時の自分には結構衝撃的だった。
そのせいか、色々と印象に残っている。
面白い本だと思う。
Posted by ブクログ 2014年08月17日
これは、すごい内容の医療サスペンスだった!
かなりのめり込んで読んだ。
生まれたばかりの無脳症の乳児の臓器を移植。
というすごい設定で衝撃的で考えさせられた。
副院長が無脳症の乳児を『物』扱いしたとき、私は怒りを感じた。
けど、、、、、無脳症の乳児の画像をコンピュータで検索して見て考え直した。
...続きを読む
ホントに脳がなく頭が平で目が出目金のように出てる写真や、頭の中が露わになってる画像、一つ目の乳児の画像などなど見てとても衝撃を受けた。
正直、人間というよりもエイリアンに近い感じ。
そんな赤ちゃんを自分が産んだらどう思うか。
考えるだけで怖く悲しくなる。
奇形の自分の赤ちゃんを愛せるか。
脳がないから、赤ちゃん本人は、自分が生きてることも、誰が母親で父親だということもわからない。
無脳なので何も考えられず感じることもない。
そんな赤ちゃんを自分の子供として見られるか。
たぶん、私はダメだと思う。
そんな赤ちゃんだったら、臓器を誰かのために分けた方がいいのではないかと思うだろう。
それにお金が絡んでくるのは、今の世の中、仕方ないとおもうし、臓器移植はそれなりにリスクが高いから多額の金額が動くのはある意味しょうがないと思う。
でも、臓器移植目的で無脳症の赤ちゃんを無理に作らせるのは犯罪だと思うし、その目的を妊婦してる母親に告げずに無脳症児を作り上げるために無断で注射などしてたらそれはモンスター的犯罪だと思う。
脳がなく自分が生きてることも分からず、何日も生きられないと分かっていても、臓器移植のために死んでいくのが分かっていても、「物」ではなく「人間」だし、それはリスペクトされないといけない。
とても考えさせられた本でした。
Posted by ブクログ 2013年02月27日
1993年の作品だけどiPS細胞が注目されている今こそ考えるべき先端技術と倫理の問題。特に臓器移植については移植に携わる医師、救命医、ドナーを待つ家族、そして移植される患者自身、立場が変われば是非は問えないだろうと考えさせられた。
治療の一つとしては確かに必要な臓器移植。また再生医療の発展と共に何...続きを読む処までが「人間」なのか?一生付き合う必要のある命題なのだと感じた
Posted by ブクログ 2011年11月01日
感動しました。
主人公のナースが白衣の天使って感じなのも良いです。
技術が進めばすぐにでもこんなことが現実になるんでしょうか…。
助かる人がいるのも事実だけど、、、やはり堕胎っていうのは女性にとっては言葉に顕せないことですよね。
Posted by ブクログ 2023年10月12日
ーー「母がよくききます。茂、赤ん坊のとき死んだほうが良かったか、それともこうやって生きているほうが良いかって」藤野茂はそこまで言って初めて表情を緩めた。「ぼくは、死んだほうがいいと思ったことは一度だってありません。頭が弱くても、毎日ケーブルカーに乗れるから、やっぱり生きていて良かった」(8)
Posted by ブクログ 2022年09月08日
的場医師も敵なのかな!?と最初は思っていたけど、本当に勇敢で素敵な人だった。疑ってすみません、、
脳がなければ人権はないのか、という倫理的な問題を考えさせられる本。
フィクション感が弱く、すごく面白かった。
どんどん先を読みたくなる感じ。
廃棄庫やリネン庫、研究室に忍び込んでいる時のドキドキ感が最高...続きを読むでした。
Posted by ブクログ 2019年11月05日
内容(「BOOK」データベースより)
新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」―。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か?真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手…。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医...続きを読む師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
Posted by ブクログ 2020年10月25日
現役精神科医の医療系のヒューマンサスペンス。
臓器農場というタイトルからはもう少しグロい感じを想像していたが、近未来を予測したフィクション作品という感じ(未来に決して起こって欲しくはないが)。
無脳症という奇形の存在を知った衝撃は大きく、まして臓器移植の為に意図的に無脳症の子供が出来るようにして...続きを読む移植用の臓器を生産するという行為にはおぞましさを感じた。
自分が勤める病院で行われている臓器移植の裏に何か秘密を感じ、その真相を解明しようとする規子と同僚であり友人の優子。
そこに加わった的場医師と障害を持つ藤野。
単なる謎解きサスペンスだけでなく、臓器移植という最新医療と、そこに関連する狂気に加えて、患者と共に成長する看護婦や叶わぬ愛の物語など、内容盛りだくさんで読み応え十分の作品でした。
説明
内容紹介
新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」──。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か? 真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手……。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
内容(「BOOK」データベースより)
新任看護婦・規子が小耳に挾んだ「無脳症児」のひと言がきっかけだった。この病院で何か途方もないことが進行している―。周囲で頻々と起る奇妙な出来事、そして親しい者たちの死。涙の渇くひまもなく襲ってくる「臓器農場」からの魔の手。マッドサイエンスを食い止める者はいないのか…。本邦医学サスペンス史上随一の熱血小説。
Posted by ブクログ 2019年07月01日
「ぼくらはそれでも肉を食う」の後に読んだので、テーマに重複する部分があり、興味深かった。現役の医師による、医療小説である。
タイトルからも想像できるように、臓器移植が主題だ。山の中腹にある新設の総合病院には秘密の部門があり、そこでは臓器移植が行われていた。ドナーはどんな人なのだろうか。
倫理的にとて...続きを読むも難しい問題である。死が確定している人と臓器移植が無ければ死ぬ運命の人の命のどちらが尊いのか?この本の中で書かれていることが、これから本当に起きるかもしれない。そういう意味では、カズオイシグロの「わたしを離さないで」を思い起こした。
本書はミステリー仕立てになっているが、ミステリーとしてよりも医療小説としての方が評価が高いのではないか。
Posted by ブクログ 2019年01月17日
臓器移植が持つ、希望、危険性が描かれている。
患者たちに対する看護師の対応が頼もしくあり、
秘密の部屋に忍び込むなどスリル有りで飽きない展開。
キャラもかなり立っていたと思います。
話も面白く、医療問題を考えるきっかけにもなり良い出会いだったと思う。
Posted by ブクログ 2017年09月23日
聖礼病院に就職した規子。ある日、無脳症の胎児を身ごもった母の会話を聞いてしまう。規子の病院で無脳症児からっ臓器移植が行われている事実を知ってしまう。そこから医師と規子の友人の看護師など口封じのために殺されてしまう。サスペンスの中に本格的な医療の知識、そしてラブストーリーが織り込まれている。どんどん読...続きを読むみ進んでしまう作品。
Posted by ブクログ 2015年08月27日
厚いけれど一気に読めました。
解説にもあったが帚木さんの本は言葉がわかりやすく抑制がきいていて読みやすい。
「無脳症児」は人間か。
生きられないならせめて他の子供の役に立って欲しいという親や医療関係者の気持ちもわかる気がするが・・・。
登場人物の言動が何となく古いなと思ったら、20年以上前の作品...続きを読むでした。が、内容は古さを感じさせない。
ケーブルカーと車掌藤野茂がいい味を出している。
しかし貞村医師の学生時代の部活エピソードはひどい!
Posted by ブクログ 2014年04月29日
ミステリーの形としては普通なんだけど、テーマが特殊だからかすごく特別に感じた。でも、これって答えの出ない問題なのかもしれない。倫理的な問題って意見分かれるよね。
Posted by ブクログ 2012年11月01日
技術と倫理のバランスだけだとわかりやすいが、そこには必ず不正な儲け、名声などが絡んでくる。
純粋なきもちが、いつの間にかしかたないとなってしまうのは哀しい。
Posted by ブクログ 2012年08月15日
ホラーかと思いきや、医療サスペンス。
医師による作品なだけあって是非がわからない難しい問題を
テーマにしている。
読者に投げかけるスタンスではなく、強いメッセージを感じる作品。
安っぽい言い方をすれば命の尊厳。
他の作品も評判がよいようなので読んでみようかと思う。
最後のラブレターは...続きを読む胸を衝かれた。切ない・・・
Posted by ブクログ 2012年02月11日
規子さんが「無脳症児」にそこまでこだわる理由が良くわからなかったけれど、こだわった結果起こったことと結末は、いろいろ考えさせられた。
臓器移植とたりない臓器、どうすることが良いことなのか難しい。
この世界は命であふれている。すべての命が捨てられることなく育ち、暮らすことが理想なのだけれど……
本人や...続きを読む家族の意思を確認した上での脳死者からの臓器移植は良くて、無脳症児からの半強制的な臓器の取り出しはいけないのか?それを金儲けにしないのなら良いのか??病気の子供を治したい気持ちは?臓器を取り出される赤子の気持ちは?脳がないなら気持ちはない?
わからないままに読み終えて……今も迷いの中にある。
Posted by ブクログ 2012年02月09日
初の医療サスペンス。好きかも…
無脳症ってあんまり知りませんでした。
無脳症には人権がないのか?!…何をやっても許されるのか?!…深いですね。
ハラハラドキドキだけじゃなく、最後は感動しました。
タイトルがちょっと…なので電車で読むときにはカバーが必須だと思いました(笑)
Posted by ブクログ 2021年02月20日
医者である帚木氏らしい迫真に満ちた医学サスペンスであるが
ただの医学サスペンス以上のものを感じるのは、氏の人物描写にあるのだろう。
主人公の看護婦の心、、、
ただの医学ミステリに終わらせず、看護婦と患児のかかわり、
医者とのかかわりを書いてる点などからもあきさせない。
一見殺伐とした医学ミステリ...続きを読むなんだが、そういう点が、
読み手をほっとさせ安心させるのだ。
Posted by ブクログ 2014年06月22日
倫理観、善悪、良心。
判断の基準はとても曖昧で、恣意的だ。
誰の立場で考えるかでも、判断は180度変わってしまう。
とりあげるのは臓器移植。
日本では、脳死の子どもの臓器移植は認められていない。法律で。
脳死判定の基準ができて、脳死と判定されれば臓器移植のドナーとなることが認められた。法律で。
...続きを読む
じゃあ、無脳症児からの移植は?
移植でしか助かる道のない子どもを助ける方法がある。
脳死者からの臓器提供。
無脳症児からの臓器提供。
法律で認められている前者はセーフで、後者はアウト。
その線引きの恣意的さ。
ドナー側、患者側、どちらの立場で見るかによって、風景はころっと変わってしまう。
脳死者は生きていないのか。
無脳症児は生きているのか。
生きているとは。
法律は便利だ。
どこにでも線を引いてしまえる。
倫理観は、難しいかもしれない。
どちらにも良いところと悪いところがあって、曖昧さとまっこう勝負しなくちゃいけない。
線引きが必要なこともある。
でも、相手を思いやる気持ちで、悩み迷いながら曖昧さと向き合うことも大切だと思った。
難しいけど、簡単なほうに逃げずに立ち向かう勇気が必要だと思う。
Posted by ブクログ 2018年03月28日
新人看護師が配属された小児科。親友は産婦人科と子供の医療に携わって仕事をしているが、病院内の秘密を知ったせいで事件に巻き込まれる。移植をしないと助からない子供がいる事実。技術力や名声を上げたい医師。資金稼ぎをしたい病院。その隙にいる金に取り憑かれる人間。それぞれの思惑の中で新人看護師は真相を暴きだす...続きを読むが犠牲者も出てしまう。移植にまつわる事件のミステリー。
Posted by ブクログ 2017年12月08日
評価は3.
内容(BOOKデーターベース)
新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」―。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か?真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手…。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編...続きを読む。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。
Posted by ブクログ 2017年11月16日
日本ミステリーのレンチャン。めったに無いことですね。
帚木蓬生さんは前回の閉鎖病棟が気に入って2冊目。余りミステリーめいたものは避けて購入したつもりが・・・。面白くなかったわけではないのです。ただ、この題材ならミステリー的な比重をもう少し下げたほうが、良い作品になったように思えます。優子も的場医師...続きを読むも死を賭してまで調査する必要も無いですし、殺害されなくても・・。
一人一人の登場人物は生きていると思います。例えばケーブルカー乗員の藤野さんとか、間島看護婦とか。そうした人物像中心で話を進めたら臓器移植という題材をより生かせたように思えるのです。
また、最後50ページはチョッとくどい感じですねエピローグ風にさらりとまとめた方がスッキリしたと思います。
もう一度。これはこれでしっかりとした面白い小説なのです。
Posted by ブクログ 2014年03月23日
技術的には「エンブリオ」へと続く話。ミステリーという手法をとりながら、無脳症という生の定義と倫理観を問う。
多数の事を並行してできないが、一つの事をとことんやるケーブルカーの車掌が藤野の存在が、ホッとさせる
Posted by ブクログ 2013年03月17日
死んだ2人はいい人だから死んでほしくなかったです。
ドナーの数が圧倒的に少ない子供の臓器を手に入れる方法。
時間とお金がかかるけど良心も痛まず臓器を取り出せれるこの方法。認められないけれど 助けられる命も出てくる・・・
早くIPS細胞で作り出せれるといいです。
Posted by ブクログ 2011年11月13日
面白かった。モノレール文庫も侮れない。
さて、無脳症児の臓器を移植することはOk。
でも、無脳症児を、移植する臓器のために、人工的に誕生させ、育成することはNG。
単純になぜだろう。
病院側だった看護婦のように、その行為を「一人の命を救済するための、聖なる行動」と思いこむの、それは彼女の勝...続きを読む手な驕りだろう。他者のため、といって行う言動はすべて自己満足だと思う。
けれどそこまでの使命感を抜きにして、ただあるから使う、それで患者が一人助かる。もっとあった方がいい、だったら作ろうか。この発想は倫理に反するものなのだろうか。
ならばかわいい犬を作るために違う品種同士を掛け合わせるのは?トマトとナスビを組み合わせるのは?食べるためだけに太らされた豚は?使い捨てのメイク落としシートは?
別に私はだから全てのものの命を大事にしましょう!って言いたいわけじゃない。クレンジングシートは役に立つよ。で、終わり。豚はおいしいよ。で、終わり。それとどう違うのかなって、そう思うだけです。
倫理とはどこに存在するのでしょうか。人間どうしにだけ?犬は含む?カバは?紫陽花は?
賛同する気も別にない。ただ主人公たちが、明確な理由なく正義感に燃えてるみたいだったから不思議で。筆者自身がもちろん反対派なんだろうから仕方ないけど、そこのところの議論が少なくて不満でした。
’なんとなくいやだ’っていう生理的な嫌悪感があるのはわかります。ただ実害がないのにそういう曖昧な感覚に頼るのはどうかな。今私たちが愛用してるアイテムやらサービスは、どれもこれもそういう次元を超えることで、発明されここに存在しているんだし。
2008年07月30日 01:46