【感想・ネタバレ】臓器農場のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いわゆる医療サスペンスの系譜に分類される小説である。この分野の小説は、あまり読んだことがなかった。同系列のドラマもあまり得意ではない。手術の場面など、いわゆる臓器手術の場面(描写)の生々しさが苦手だからである。
本書の著者は現役の精神科医である。もちろん医学的な知識は豊富で、それがこの小説にリアリティと重厚感を与えている。恐る恐る手にした小説だったが、読んでよかったと感じている。ナースの日常、病院の院内描写、論文の内容の細部に至るまで、あたかもノンフィクションのごときリアリティである。しかし、小説が備えるべき物語性も十分に盛り込まれている。病院の闇を巡る物語にもかかわらず、ラブロマンスの要素も(決して甘くなり過ぎない程度に)入っているのだから、この小説だけで幾通りもの楽しみが詰め込まれているといっていい。
臓器移植を巡る倫理性を読者に突きつける話であり、「無脳症児」といういわば奇形の赤ん坊が登場する。寡聞にして、「無脳症児」なる症例は初見であり、医学的な知識が皆無な自分には医学百科的な楽しみもあった。何せ無脳症児の作り方まで書かれているのだ。
医療の世界が舞台ということで食わず嫌いになっていた時間がもったいないと思えるほど、引き込まれる作品である。丁寧で、奇を衒うことのない描写も好感が持てる。エキセントリックなタイトルも、読後には印象が変わっているだろう。

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2019年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは、すごい内容の医療サスペンスだった!
かなりのめり込んで読んだ。

生まれたばかりの無脳症の乳児の臓器を移植。
というすごい設定で衝撃的で考えさせられた。

副院長が無脳症の乳児を『物』扱いしたとき、私は怒りを感じた。
けど、、、、、無脳症の乳児の画像をコンピュータで検索して見て考え直した。

ホントに脳がなく頭が平で目が出目金のように出てる写真や、頭の中が露わになってる画像、一つ目の乳児の画像などなど見てとても衝撃を受けた。
正直、人間というよりもエイリアンに近い感じ。

そんな赤ちゃんを自分が産んだらどう思うか。
考えるだけで怖く悲しくなる。
奇形の自分の赤ちゃんを愛せるか。
脳がないから、赤ちゃん本人は、自分が生きてることも、誰が母親で父親だということもわからない。
無脳なので何も考えられず感じることもない。
そんな赤ちゃんを自分の子供として見られるか。
たぶん、私はダメだと思う。
そんな赤ちゃんだったら、臓器を誰かのために分けた方がいいのではないかと思うだろう。

それにお金が絡んでくるのは、今の世の中、仕方ないとおもうし、臓器移植はそれなりにリスクが高いから多額の金額が動くのはある意味しょうがないと思う。

でも、臓器移植目的で無脳症の赤ちゃんを無理に作らせるのは犯罪だと思うし、その目的を妊婦してる母親に告げずに無脳症児を作り上げるために無断で注射などしてたらそれはモンスター的犯罪だと思う。

脳がなく自分が生きてることも分からず、何日も生きられないと分かっていても、臓器移植のために死んでいくのが分かっていても、「物」ではなく「人間」だし、それはリスペクトされないといけない。

とても考えさせられた本でした。

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2014年08月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

的場医師も敵なのかな!?と最初は思っていたけど、本当に勇敢で素敵な人だった。疑ってすみません、、
脳がなければ人権はないのか、という倫理的な問題を考えさせられる本。
フィクション感が弱く、すごく面白かった。
どんどん先を読みたくなる感じ。
廃棄庫やリネン庫、研究室に忍び込んでいる時のドキドキ感が最高でした。

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2022年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現役精神科医の医療系のヒューマンサスペンス。

臓器農場というタイトルからはもう少しグロい感じを想像していたが、近未来を予測したフィクション作品という感じ(未来に決して起こって欲しくはないが)。

無脳症という奇形の存在を知った衝撃は大きく、まして臓器移植の為に意図的に無脳症の子供が出来るようにして移植用の臓器を生産するという行為にはおぞましさを感じた。

自分が勤める病院で行われている臓器移植の裏に何か秘密を感じ、その真相を解明しようとする規子と同僚であり友人の優子。

そこに加わった的場医師と障害を持つ藤野。

単なる謎解きサスペンスだけでなく、臓器移植という最新医療と、そこに関連する狂気に加えて、患者と共に成長する看護婦や叶わぬ愛の物語など、内容盛りだくさんで読み応え十分の作品でした。

説明
内容紹介
新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」──。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か? 真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手……。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。

内容(「BOOK」データベースより)
新任看護婦・規子が小耳に挾んだ「無脳症児」のひと言がきっかけだった。この病院で何か途方もないことが進行している―。周囲で頻々と起る奇妙な出来事、そして親しい者たちの死。涙の渇くひまもなく襲ってくる「臓器農場」からの魔の手。マッドサイエンスを食い止める者はいないのか…。本邦医学サスペンス史上随一の熱血小説。

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2020年10月25日

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ネタバレ

聖礼病院に就職した規子。ある日、無脳症の胎児を身ごもった母の会話を聞いてしまう。規子の病院で無脳症児からっ臓器移植が行われている事実を知ってしまう。そこから医師と規子の友人の看護師など口封じのために殺されてしまう。サスペンスの中に本格的な医療の知識、そしてラブストーリーが織り込まれている。どんどん読み進んでしまう作品。

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2017年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

厚いけれど一気に読めました。
解説にもあったが帚木さんの本は言葉がわかりやすく抑制がきいていて読みやすい。

「無脳症児」は人間か。
生きられないならせめて他の子供の役に立って欲しいという親や医療関係者の気持ちもわかる気がするが・・・。

登場人物の言動が何となく古いなと思ったら、20年以上前の作品でした。が、内容は古さを感じさせない。
ケーブルカーと車掌藤野茂がいい味を出している。

しかし貞村医師の学生時代の部活エピソードはひどい!

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2015年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

評価は3.

内容(BOOKデーターベース)
新任看護婦の規子が偶然、耳にした言葉は「無脳症児」―。病院の「特別病棟」で密かに進行していた、恐るべき計画とは何か?真相を追う規子の周囲に、忍び寄る魔の手…。医療技術の最先端「臓器移植」をテーマに、医学の狂気と人間の心に潜む“闇”を描いた、サスペンス長編。現役医師としてのヒューマンな視線、山本周五郎賞作家の脂の乗り切った筆致が冴える、感動の名作。

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2017年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだ2人はいい人だから死んでほしくなかったです。
ドナーの数が圧倒的に少ない子供の臓器を手に入れる方法。
時間とお金がかかるけど良心も痛まず臓器を取り出せれるこの方法。認められないけれど 助けられる命も出てくる・・・
早くIPS細胞で作り出せれるといいです。

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2013年03月17日

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