帚木蓬生のレビュー一覧
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パチンコ、麻雀、競馬、競輪…。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増えつづける依存者の群れ。この本には「地獄への片道切符」に乗ってしまった人たちの末路が描かれております。
僕は西原理恵子を始め、伊集院静や白川道など、確実にギャンブル依存症の作家のエッセイや作品を読んで、彼らの日常を笑ってみていたことがありましたけれど、それでも、彼らの日常が破滅しないのは彼らがやっぱり普通の人間の何倍もお金を稼いでいるのだという事実と、仮に、破綻はしていても『作家だから』ということで、多めに見てもらっているのであって、普通の人間が病的なまでにギャンブルにのめりこんでしまうと確実に待っているのは地獄への一本道です。
僕は少年時代に、いわゆるアーケードゲームでこの症状に近い状態になってしまったことがあるんですけれど、やっぱり、ゲームをしないことには落ち着かなくなりますし、どんな手段を使ってでもお金を工面してやりたくなるという意味ではやっぱり似たようなものがあったのでしょうね。しかし、ギャンブル。この本では特にパチンコを取り上げておりますが、普通の主婦がパチンコにのめりこんで、夫の貯金に始まり、子供たちの保険を解約したしたり、果てはサラ金。ついにはヤミ金にまで手を出して、家族や親戚にも愛想をつかされて堕ちていくさまがなんともやり切れませんでした。
ギャンブル依存はれっきとした病気できちんと病院に通って適切な治療を経ないことにはますます悪化させていく。そして本人だけではなく、家族や親戚さえも泥沼に沈ませてしまう。本当に恐ろしいものだということを感じました。ギャンブルそのものに関しては、個人的にはすべて否定するものではありませんが、何事も『過ぎたざるはなお及ばざるが如し』で節度を持って、楽しむ方は楽しんでください。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分類では医療サスペンス?だけど、小説の本質と良さとは全く違うところにある。なので本書がサスペンスの角度で紹介され、また呆け老人の行動の描写でまるで好奇心を煽るような紹介文には個人的に違和感を感じる。
小説の構成は、病院の中の老人個人個人のストーリを集めて構成される病院の日常、新人看護婦の視点、サスペンスのキーとなる医師の講演、その後老人のあいつぐ急死、手紙での告発。
小説後半のスピードが早く、たたみかけるような終結も箒木蓬生さんのパターンではあるが、今回も終盤で一気にギアチェンジし急にサスペンスに入った。だから医療サスペンスなんやけど、なんかちょっと奇妙。
本質は老人医療、安楽死等の倫理を問うもので小説中に答えもなく、私にもまとまった考えはないけれど、老人ひとりひとり生きてきた人生(特に戦争を体験した人の話は今の私のブーム)と、呆け方、呆けた後の人とのかかわり方、死に方については人間ドラマが凝縮されており興味深かった。この人の書く小説は淡々と書かれているのが余計、感情を深くさせる。(日本語が謎)
印象的で忘れられないのは、腰が痛くて曲がってしまったおばあさんが性格のキツイ実の娘に嫌味を言われ生活しにくい日常を過ごし、とうとう老人病棟への入院にあたり医者に対して語る言葉。
「本当にもう自分の体は焼いた方が楽かなと思ったりもします。何もかも焼いてしまって煙だけになり、まっすぐ空に昇っていくのもよさそうなきがします。・・・ほんに無様な格好になってしまいました。せめて煙になるときには背をピンと伸ばして空に昇っていきたいと思います。」っていうところ。
泣けた。 -
Posted by ブクログ
私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。
非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好都合も随所に見られるが、本作全体を貫き通す真っ直ぐな流れは揺らぐことなく、読者の真情に迫る。
物語の中には、謎もどんでん返しもトリックも出てはこないが、“生きる”とはどういうことなのか、そんな命題に真っ向から取り組み、そのプロセスを経て得られた著者なりの答えが示されている。
「水神」同様、作中に出てくるなんでもない食べ物の数々や、また医師ならではの見地から描かれた疾病の表現などが印象に残る。
大仏建立の具体的な方法についても、ここまでよく調べられたものだと感服する。
奈良登りの掘り口や釜屋、吹屋もそうだが、登場人物たちが働いている現場の暑さ寒さまで伝わってくるような臨場感だ。 -
Posted by ブクログ
私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。
非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好都合も随所に見られるが、本作全体を貫き通す真っ直ぐな流れは揺らぐことなく、読者の真情に迫る。
物語の中には、謎もどんでん返しもトリックも出てはこないが、“生きる”とはどういうことなのか、そんな命題に真っ向から取り組み、そのプロセスを経て得られた著者なりの答えが示されている。
「水神」同様、作中に出てくるなんでもない食べ物の数々や、また医師ならではの見地から描かれた疾病の表現などが印象に残る。
大仏建立の具体的な方法についても、ここまでよく調べられたものだと感服する。
奈良登りの掘り口や釜屋、吹屋もそうだが、登場人物たちが働いている現場の暑さ寒さまで伝わってくるような臨場感だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって、息を殆ど止めた状態で読んでいたことに気づいた。
無知な私には、医学の知識をそのまま鵜呑みにしてしまっていいのかはわからない。
でも、かなりの確率で第三の性を持って生まれてくる人達がいて、その大部分がひっそりと生きているのだろうことはわかった。
岸川院長の考え方にはハラハラさせられたが、遺書を読むと、もう何も言えない。
誰もが楽しめる本だとは思わないけど、読み応えのある作品に挑戦したい人にはお薦め。
『閉鎖病棟』とは違い、読み手に元気がなくても充分楽しめるのもよい。
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「神の手」と評判の若き院長、岸川に請われてサンビーチ病院に転勤した秋野翔子。そこでは性同一障碍者への性転換手術や、性染色体の異常で性器が男でも女でもない、〈インターセックス〉と呼ばれる人たちへの治療が行われていた。「人は男女である前に人間だ」と主張し、患者のために奔走する翔子。やがて彼女は岸川の周辺に奇妙な変死が続くことに気づき……。命の尊厳を問う、医学サスペンス。