帚木蓬生のレビュー一覧

  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    我が国のギャンブル依存症治療の第一人者であり、著名な作家でもある著者の一般向けの本。2004年の新潮選書から出たg「ギャンブル依存とたたかう」でも勉強させていただいたが、20年経ち、コロナ禍も経て、ギャンブル依存症がパチンコからオンラインに代わってきた現在、またIR法ができさらにリスクが高まる情勢の中で、改めて書かれた書で、その新しい知見も含めて書かれており、わかりやすく勉強になる。早速、患者さん及び家族のためにどんどん進めている次第である。治療の工夫でSOGSで小結、大関、横綱と重症度判断をして伝える方などは感心した。最後に自助グループの意味合いについて懇切丁寧に書かれているのは同様の類書に

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    2025年02月24日
  • 生きる力 森田正馬の15の提言

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    なんだか好きそうな考えだなあと思いつつ深掘りしていなかった森田療法。噛み砕いてくれている本書は入門にぴったりでした。

    「反省と吟味は自分の過去の小さな行動までに及びます。現在の行動よりも、過去の行動が重味をもってきます。(略)
    こうなると現在の時間は、過去の言動を点検し、今後の行動を事前に決めるのにひたすら費やされます。いわば、今の時間が、過去と未来の時間に侵入されて、身動きがとれなくなった状態です。」

    これって流行りのマインドフルネスでお馴染み「今ここ」と同じでは?と思いました。イマイチ理解し切れていなかったのですが、森田療法でするっと入ってきて驚きです。
    あとがきにもあるように、考え方

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    2025年02月23日
  • 花散る里の病棟(新潮文庫)

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    彦山ガラガラ 二○一○年/父の石 一九三六年/
    歩く死者 二○一五年/兵站病院 一九四三 ― 四五年/
    病歴 二○○三年/告知 二○一九年/
    胎を堕ろす 二○○七年/復員 一九四七年/
    二人三脚 一九九二年/パンデミック 二○一九 — 二一年

    四代にわたる医師の家
    働き方はそれぞれながら、治療するという立場は同じと思えば違うかもしれないとも思う。
    戦争の時代、パンデミックの時
    思いは乱れたかもしれない

    自分が体験していないことは想像するしかないけれど、できるだけ心を寄せて想像しようと思う

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    2025年01月20日
  • 臓器農場

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    ネタバレ

    主人公にとって大切な2人の命が奪われてしまうことは悲しい出来事だった。
    この本を読んで、助かりたい気持ち、研究心や向上心、助けたいという気持ちの裏側に、犠牲になる命があると知ったらどうする?ということを深く考えた。自分の信念を問われている気がした。

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    2025年01月19日
  • やめられない ギャンブル地獄からの生還

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    「ギャンブル依存症は進行性の病気だ」そう看破する筆者の主張が悲惨極まりない具体的な例とともに語られている本です。ギャンブル依存症とは本人はおろか周りの人も傷つけるものだと痛感します。恐ろしい一冊です。




    いやぁ、恐ろしいですね。ギャンブル依存症というものは。しかも、誰でもかかりうる病であるということ、そして、根治するには専門医の手を借りないとどうしようもないんだということが、いやというほど読んでいてよくわかります。

    僕の場合は、自分がこういうことには人一倍弱い人間だということがわかりすぎるくらいわかっているので、たぶん、この病気には人より早く、また深くかかることになると思うんで、なるた

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    2025年01月14日
  • 風花病棟

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    ラジオ深夜便の朗読に聴き入ってしまって
    翌日(今日)本屋さんで探し購入しました
    深夜便での朗読は「顔」でした
    ファンになりました

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    2025年01月13日
  • 香子(四) 紫式部物語

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    日常使うことがない漢語が、新鮮で勉強になった。

    光源氏の老後のストーリーを想像している場面がとても、もの悲しく心に残った。

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    2024年12月14日
  • 花散る里の病棟(新潮文庫)

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    4世代にわたる町医者の物語。時代が前後するので少し混乱するが、全部読み応えがある。
    中でも「二人三脚」は聖二とMの友情にホロリ。「パンデミック」では、コロナ禍当時の首相を裸の王様と切って捨てる・・・まさに自分もそう思っていたので痛快だ。

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    2024年12月09日
  • 白い夏の墓標

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    書店で帯に惹かれ購入。名作と言われるだけあって繊細で綺麗で切ない文章が読む手を止めなかった。

    210頁「人は理由なしに生きることはできるけれども、十分な理由なしに死ぬことはできない。」本質的な素晴らしい一文だ

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    2024年11月22日
  • 三たびの海峡

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    日本人全員が読んだ方がいい。

    最近よく読む帚木蓬生さんの歴史小説が興味深いものばかりで、今回も内容は知らないまま読み始めた。
    タイトルと絵から何度も渡航に失敗しつつ日本に渡った鑑真の話かと予想したが全く違い、強制連行された朝鮮人労働者の話だった。
    辛く厳しい話が多いけれども、読み進めさせる力はやはり相当で、特に最後の展開では止まれなかった。

    一方、読み終えて今の日本人でこういったことを知っている人はどれぐらいいるのだろうと思った。
    自分も聞いた覚えはある程度だけど、私が子どもの頃はまだ戦争が身近だった。
    祖父母は戦争を体験していて、8月になると戦争についてのテレビ番組が多く流され、体験者の

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    2024年10月04日
  • 香子(三) 紫式部物語

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    源氏物語のあらすじは、おおかた頭に入っているので、巻ごとの合間に挿入された紫式部のつぶやき、思いを感じとれてとても楽しいです。

    紫式部物語なので、当然といえば、当然なのですが。実際はどうばのか、想像することもできるし、大河ドラマも見ているので、時代を超えて思いを馳せられるっていいです。

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    2024年09月28日
  • 生きる力 森田正馬の15の提言

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    改めて森田療法のお勉強。以下メモ。
    ・見つめよ、逃げるな。
    ・悩みや心配は5分以上頭の中でこねくり回さない。
    ・ハラハラドキドキこそ平常心。寒がったり暑がったりするのと同じ。
    ・心の正直な動きの事実を認めない時必ず起こってくるのが「ねばならない」⇒「はからい」「思想の矛盾」
    ・解決方法は「あるがまま」⇒いろいろ生じてくる不安を起こらないように工夫したり克服しようと努力はせず「あるがまま」に放置する。
    ・ハマった時の脱出方法
    ①身近な日常の継続⇒「外相整えば内相自ずから熟す」
    ②身体を動かす⇒これは実感として効く。悩んだら酒より筋トレ

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    2024年09月08日
  • 国銅(下)

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    この本を読んでから奈良時代が気になって仕方がない。
    改めてすごく影響を受けたことに気づき、⭐︎5へ変更。
    ーーー
    源氏物語のことを調べていて帚木蓬生さんを知り、ネガティブケイパビリティという考え方も気になっていたので興味を持った。
    書かれてるジャンルは精神科医としてのものからく小説だけでも色々あるようで、直感でこちらを選択。

    奈良の大仏を作る人足(肉体労働者)の話。
    歴史小説、にしては古すぎて文献などはほとんど残ってないだろうから、ほぼ創作だと思われる。
    が、本当にこんなだったんだろうなというリアリティがあり、エンタメとして読みやすくて上下ともどんどん読み進められた。
    とても面白く、他のもの

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    2024年08月26日
  • 白い夏の墓標

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    ネタバレ

    黒田という人間が尊く、その生に魅せられました。

    本書には、細菌学全般の知識を全く持ち合わせずとも、そのテーマの中で描かれるキャラクターの心理描写や人間ドラマが数々あり、思わず涙するシーンもありました。

    その主な要素となるのは、やはり本書の主人公である黒田武彦です。
    恐らく、誰もが彼の光の当たらない暗い闇の中で生きる様に共感をした場面が少なからずあったのではないでしょうか。
    彼の生はあまりにもリアルで酷いものでしたが、私はそこから生まれる黒田の人間らしさに共感し、より彼を好きになりました。

    本書の狂言まわしである佐伯も語っていましたが、黒田には、いわゆる「知らない方が幸せ」とされる世の中の

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    2024年08月22日
  • 国銅(下)

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    20年ぶりに再読。帚木蓬生さんの小説の根底に流れるものは「優しさ」だと思う。
    奈良登の黒虫や吹屋頭、都の池万呂や島万呂や二見。何度もその優しさに涙する。
    何年後かにまた読もう。

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    2024年07月30日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    大河ドラマの描かれ方との違いを比較しながら読め、楽しかった。

    源氏物語の下地には、紫式部の漢籍の素養があり、本当に偉大な文学なのだなぁ。

    漢詩が多く出てきていて、一度で理解するのは難しかったので、再読して味わえるようになりたい。

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    2024年07月22日
  • 三たびの海峡

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    広島や長崎の原爆での被害のことばかりが耳に入るが、日本も同じように侵略や強制労働を強いてきた歴史をなかったかのように振る舞う
    もちろん主人公も人としての道は外れているが、そういう時代であったとはいえ、こんな酷いことができるのかと言うくらい出てくる日本人は鬼畜だった。

    読み応えのある1冊。

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    2024年06月14日
  • 水神(上)

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    目の前を悠然と流れる筑後川。だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか。

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    2024年06月03日
  • 白い夏の墓標

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    この作家さんの話は専門的だけど好きなんです。今回もまるでコロナが以前から知っていたような感じをさせる物語であるともいえる。まぁ所々専門すぎて読み飛ばしたものはありますが(笑)

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    2024年06月03日
  • 三たびの海峡

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    耐えられない苦労の一言では表せない人生。
    時代に翻弄されながら、生き残って生きていくことの重さを感じさせられた。
    もう一度じっくりと読みたい。

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    2024年04月24日