帚木蓬生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
第二次世界大戦中、香港で憲兵をしていた主人公「守田征二」。上巻では戦犯になることを恐れ、身分を偽って収容所に入り、帰国のチャンスを窺う様子が描かれる。
ときおり挟まれる戦時中のエピソード。憲兵という仕事柄、自分もスパイを使うし、敵もスパイを使う。正々堂々というと皮肉な響きにはなるが、敵も味方もそういうものだと思って行動する。スパイを捕まえれば拷問によって吐かせようとするし、逆にスパイがばれた側は、ときには死も厭わない。戦争のダークサイドというか、普通には表に出ない部分であるが、裏を返せば、すべてが明らかにされれば、戦犯となってしまう。
戦争という場では当然だったことが、戦争が終わった瞬間に -
Posted by ブクログ
ギャンブルはこれまで一度もやったことはありませんが、ネットや音楽に依存しがちな自分にも役立つかもしれないと思い、手に取った本。
第一章はギャンブル依存症の大まかな説明である。『007』シリーズのイアン・フレミングの「ギャンブルに絶対勝つ方法はただ一つ、イカサマをすることである」という言葉を引用した上で、DSM-Ⅳ病的賭博「衝動制御の障害」ICD-10「習慣及び衝動の障害」において放火癖・窃盗癖・抜毛癖と同等の疾患であり、日本では法律によって場所・実施方法が制限されていないパチンコの存在が最大の特徴であると指摘している。また、今後は株取引のデイトレードやネット上のギャンブルが問題になるだろ -
Posted by ブクログ
ネタバレ帚木さんの『閉鎖病棟』が良かったので、今度はこちらを~。
て久しぶりの帚木さんの作品だよ。
老人性痴呆症、老後の生活、そして終末期医療を主筋にして書かれた小説です。
かなーり重い内容で460ページの長編。
考えさせられるね~。
パパが死ぬ前に入院してた頃、ちょっとだけ看病したのを思い出しながら読みました~。
今の時代、介護や看護は誰にでも切り離せない問題となったけど、
本当にみんなは理解してるのか?
そう思うわ~。
私は癌のパパの看病をそんなにしてたわけじゃないけど、最後は寝たきりになって少しは看護婦さんの手助けを少しはしたかな?
オムツの替え方、洗浄の仕方とかシーツの替え方、少しは知っ -
Posted by ブクログ
ネタバレ筑後川の堰渠工事を舞台に、当時の百姓の生活、庄屋の苦悩、士農工商という身分の中でも生きる人の優しさ、思慮深さが描かれた素晴らしい名作だと思う。
百姓の苦しさを救うがために、堰渠工事に尽くした庄屋のために、最後の藩の奉公として命を投げるという展開には思わずえっと声が出てしまうぐらい驚愕した。そして、堰渠工事の完成。五庄屋だけでなく、菊竹にも完成を見てほしかったと思わざるを得ない。
外国に行くたびに(特にスペインとか)、水があふれる日本とはなんて恵まれた国なんだろうと思っていたけど、それは水のために命をかける人がいたからこそ。
本当に良作でした。 -
Posted by ブクログ
アフリカにある某国でエイズ勢力が跋扈している。アパルトヘイトから解放された矢先のエイズ禍。低所得者層では、効果的な抗エイズ薬は買えない。彼らは製薬会社から人体実験のモルモットにされ、黒人政府には踏み台にされていた。そんな所に日本人医師・作田が多くの人達と共にエイズと戦う。
興味深く読むことができた。すんごい感動した。難しい本読むよりこういう小説絡みで読んで勉強できるんだから、もっと本を読もうと、読まないといけないと思った。力を合わせるって素敵な事、作田も皆もすっごい良い人。これは泣けるぞ。
さて、これは差別・エイズを問題にしたものだ。日本に住んでてエイズを心配したことがあったろうか。小中高と性 -
Posted by ブクログ
本書は2009年8月末に単行本として出版されているもので、本年6月に文庫化されたものだから既読本である。再読すると往々にして当初の感動イメージが損なわれることがあるのだが、本書はかつて読んだときの感動がそのまま再現された稀有な例で兎に角読んで絶対に損はさせないと太鼓判を押せる作品だ。
本書の舞台は島原の乱の記憶もまだ色褪せない頃の九州は筑後川流域。滔々と流れる大河の傍に住むにも関わらず、土地の高低によりその水を利用できず永年、水不足・旱魃に悩まされてきた村々。そこでは人力による水汲みだけを仕事として一生を終える百姓も居る。その窮状を何とかしようと流域の庄屋5名が、私財を投げ打ってまでも堰渠を -
Posted by ブクログ
本書は2009年8月末に単行本として出版されているもので、本年6月に文庫化されたものだから既読本である。再読すると往々にして当初の感動イメージが損なわれることがあるのだが、本書はかつて読んだときの感動がそのまま再現された稀有な例で兎に角読んで絶対に損はさせないと太鼓判を押せる作品だ。
本書の舞台は島原の乱の記憶もまだ色褪せない頃の九州は筑後川流域。滔々と流れる大河の傍に住むにも関わらず、土地の高低によりその水を利用できず永年、水不足・旱魃に悩まされてきた村々。そこでは人力による水汲みだけを仕事として一生を終える百姓も居る。その窮状を何とかしようと流域の庄屋5名が、私財を投げ打ってまでも堰渠を -
Posted by ブクログ
ネタバレ傑作。
ただ感動。
帚木さんの本はいま別のを読み進めているが、
この"アフリカの蹄"は越えられないと思う。
アパルトヘイト下の南アフリカが舞台。
心臓移植を学ぶため、一人日本から留学した作田信。
友人のサミュエルと恋人のパメラとの出会いから、
黒人スラム街の診療所を手伝う事に。
ある日から黒人の子供のみに原因不明の奇病が発生。
薬も医療器具もないなかで必死に戦い続けるが、
裏では国家的な民族浄化が粛々と進められていた、という話。
まぁーまぁー、よくあるストーリだが、
まず白人の差別感情がすさまじい。
黒人を家畜以下に考え、家畜以下に扱う。
どこまでも追い詰めていく狂っ -
Posted by ブクログ
痴呆になりつつある数人の老人の描写から始まる。この人のようになるのかあの人のようになるのか……。それぞれの理由で痴呆病棟に入院になる。
次は病院での様子を看護婦の目で教えてくれる。家族にとっての毎日は身内であるゆえの辛さや苦しさがあるのだと思える。仕事としてのほうが冷静に対応できるのかも知れない。痴呆になった人はもう人ではないのか?動く屍なのか?他人に迷惑をかけるなら早く死んだほうがいいのか?割り切れる回答は無いのかもしれないけれど、痴呆になっても生きていることを許していける社会だといいなと思う。
安楽死を、死なせることを医者が選ぶのではなく自然に、命の火が消えるのがいいな。ぽっくり逝きたいと