帚木蓬生のレビュー一覧

  • 風花病棟
    生きることのさみしさと、喜びとが、しんみりと沁みてくる。

    死と向き合う医者という仕事は、同時に自分の生き方をも見つめ直すことになる。

    父の生き方、戦争という歴史、貧困、癌、・・・・・扱っている題材は、どれも生き方を見つめ直させるものばかりだが、
    作中に描かれる、花の記憶が、作品に灯りをともしてい...続きを読む
  • アフリカの瞳
    ノンフィクションなのではないか?
    と思わせるほどの小説でした。

    アフリカに蔓延るエイズ、そのエイズと政府に立ち向かっていく日本人医師と彼の仲間たちの様子を描いた物です。
    世界各国でエイズは今も蔓延しています。圧倒的に多いのはアフリカですが、日本でもエイズ患者は多くいます。決して他人事ではないのだと...続きを読む
  • 臓器農場
    感動しました。

    主人公のナースが白衣の天使って感じなのも良いです。


    技術が進めばすぐにでもこんなことが現実になるんでしょうか…。
    助かる人がいるのも事実だけど、、、やはり堕胎っていうのは女性にとっては言葉に顕せないことですよね。
  • ヒトラーの防具(下)
    下巻は一気読み。歴史小説は終わりがわかるためあまり加速する事はない。ただしこの作品さすがにミステリーの要素も加わり最後まで気の抜けない作品に仕上がっている。戦争という狂気をテーマにしながら最後まで人間らしさを失わずにあたたかい気持ちを持ち続けた人々を描くを満ち続けた人々を見事に描き切っている。かなり...続きを読む
  • 安楽病棟
    分類では医療サスペンス?だけど、小説の本質と良さとは全く違うところにある。なので本書がサスペンスの角度で紹介され、また呆け老人の行動の描写でまるで好奇心を煽るような紹介文には個人的に違和感を感じる。
    小説の構成は、病院の中の老人個人個人のストーリを集めて構成される病院の日常、新人看護婦の視点、サス...続きを読む
  • 国銅(下)
    私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。

    非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
    主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好...続きを読む
  • 国銅(上)
    私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。

    非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
    主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好...続きを読む
  • ヒトラーの防具(上)
    昔剣道をやっていたことがあり、表紙の剣道防具の絵にひかれて購入した本。
    第2次世界大戦中のドイツで、日独混血の青年、香田光彦の、誇りを失わない力強い生き方に感動した。
    戦争の愚かしさというものを改めて考えさせられた。
  • 聖灰の暗号(下)
    信仰とは何か、善とは何か。
    古文書によって解明されるローマ教会とカタリ派の対比が、(日本人にもわかりやすいようにデフォルメされているのかもしれないけれど)非常に興味深い。ミステリーの要素も充分で、次々と頁を繰りたくなるスリリングさ。ラブストーリーや友情も気持ち良く描かれていて、小説としての面白さあり...続きを読む
  • インターセックス
    読み終わって、息を殆ど止めた状態で読んでいたことに気づいた。

    無知な私には、医学の知識をそのまま鵜呑みにしてしまっていいのかはわからない。
    でも、かなりの確率で第三の性を持って生まれてくる人達がいて、その大部分がひっそりと生きているのだろうことはわかった。

    岸川院長の考え方にはハラハラさせられた...続きを読む
  • 三たびの海峡
    九州北部の炭鉱地帯。大陸に近いこの地の歴史がわかる本。これを読んで、この地方のこと、人間の扱われ方について、ますます知りたくなった。
  • 三たびの海峡
    第14回吉川英治文学新人賞。このミス「BEST 1993国内編09位」。キーワードは、河時限(ハーシグン)、強制労働、ボタ山。朝鮮半島と日本の関係。3回の海峡越え・・・胸が熱くなりました。
  • アフリカの瞳
    遠いアフリカで何が行われているかを知ることができる本。日本人が無関心な大陸で、日本はじめ先進国の施しが国の自立を妨げている現実を著者は厳しく指摘している。
  • 逃亡(上)
    下巻も含めた感想を。

    日本が中国占領時に犯した残虐な行為の数々,敗戦直後の日本人に対する中国人の態度,アメリカが日本に犯した大きな罪。
    全てがノンフィクションのようにリアルでした。

    スパイを処刑することが死刑に当たるのに,原爆を落としたアメリカは無罪?
    勝てば正義?

    征二の家族への想い。家族の...続きを読む
  • 安楽病棟
    おばあちゃんっこだった私にとっては
    患者さんたちのエピソードがとても和むし、癒される。

    ますます高齢化が進む日本のことを考えずにはいられない1冊。
    これからは良い"死の質"を求める人が増えるのだろうか
  • エンブリオ 下
    「男性の妊娠」研究を国際学会で発表し、各国の賞賛を浴びた岸川。彼の高度な医療水準に、アメリカで不妊治療をビジネス展開する大企業が目をつける。最先端の技術と情報を盗むため、巨大組織が仕掛けた卑劣な罠。そして、それに対して岸川がとった恐るべき反撃策とは。岸川の持つ闇が徐々に暴走し始める…。生殖医療の暗部...続きを読む
  • エンブリオ 上
    エンブリオ―それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先...続きを読む
  • 聖灰の暗号(下)
    上下2巻のそれも厚みのある2冊だったけど、停滞することなく最後まで読めた。途中、カタリ派の<良き人>の説教、問答に感動。実際に聖職者による問答のように思えるくらい。
    文中で紹介されるワインや郷土料理も楽しい。恋愛のシーンはは・・・なくてもいいかな。
  • 国銅(下)
    これほどに魅了された作品は久しくない。
    想像をはるかに超える苦役に就きながらも、心は腐らず真っ直ぐに生きる主人公を応援し、全ての出会いに感謝しながら読んでるなんて。
    何度となく大仏さんにお参りしているが、次回は別の見方で感慨一入になるだろう。
  • 国銅(下)
    読み終わる頃には涙を抑えるのに苦労しました。
    なんという臨場感!!!
    多分これから何度も読み返すことになるでしょう。。。