帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこれは、すごい内容の医療サスペンスだった!
かなりのめり込んで読んだ。
生まれたばかりの無脳症の乳児の臓器を移植。
というすごい設定で衝撃的で考えさせられた。
副院長が無脳症の乳児を『物』扱いしたとき、私は怒りを感じた。
けど、、、、、無脳症の乳児の画像をコンピュータで検索して見て考え直した。
ホントに脳がなく頭が平で目が出目金のように出てる写真や、頭の中が露わになってる画像、一つ目の乳児の画像などなど見てとても衝撃を受けた。
正直、人間というよりもエイリアンに近い感じ。
そんな赤ちゃんを自分が産んだらどう思うか。
考えるだけで怖く悲しくなる。
奇形の自分の赤ちゃんを愛せるか。
脳がないから、赤ちゃん本人は、自分が生きてることも、誰が母親で父親だということもわからない。
無脳なので何も考えられず感じることもない。
そんな赤ちゃんを自分の子供として見られるか。
たぶん、私はダメだと思う。
そんな赤ちゃんだったら、臓器を誰かのために分けた方がいいのではないかと思うだろう。
それにお金が絡んでくるのは、今の世の中、仕方ないとおもうし、臓器移植はそれなりにリスクが高いから多額の金額が動くのはある意味しょうがないと思う。
でも、臓器移植目的で無脳症の赤ちゃんを無理に作らせるのは犯罪だと思うし、その目的を妊婦してる母親に告げずに無脳症児を作り上げるために無断で注射などしてたらそれはモンスター的犯罪だと思う。
脳がなく自分が生きてることも分からず、何日も生きられないと分かっていても、臓器移植のために死んでいくのが分かっていても、「物」ではなく「人間」だし、それはリスペクトされないといけない。
とても考えさせられた本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ帚木さん、さすがです。
ストーリーはドラマチックでぐいぐい読ませるし、人物は魅力的だし、何よりこの題材。
フィクションではあるが少し前の南アフリカ共和国に状況が似ていて、スラムに生きる黒人たちが欲していたのは本当に小さな、よその国では疑問すら持たないような当然の権利だった。
日本人として恵まれた環境に生きていること、充分幸せ(偏った価値観かもしれないが)なのにきちんと感謝できていないこと。そういうのはもちろん感じて頭のどこかで反省したりはするんだけど、たぶん大事なのはそこじゃない。別に説教くさいわけでもなく、読んでいる間はただただ子供たちの病気が治りますようにと祈っていた。
ただ白人側の章を読んでいると、あんなに親から刷り込まれていたら迫害を当然と思うのも無理はないのかも…と思ってしまった。流されやすい自分が嫌になる。いやでもやっぱり重要なのは人種ではなく一人ひとりの人格だよね。
最後のゼネストと、そこからの世界の反応は感動でした。
目次を読むだけでも、そこにまた物語があるようで涙ぐむ。
AMANDLA! -
Posted by ブクログ
ドイツ物だからなぁ・・・私の採点は甘い!だなんて思わないでくださいまし~。
本当に感動しました! 上・下巻に分かれているものの、あっという間に読むことができますよん。
戦争中のドイツの残虐な行為についても書かれていますし、それに対抗しようとしていたアンダーグラウンド組織のこともでてきます。もう涙・涙ですよん。
戦争の悲劇は人間を狂わせてしまうところですよね。
日本国家を背負って駐在している主人公のヒューマニズムはだまってはいませんでした。
しつこいですけど、満点をうなずいていただける作品だと思います。
著者である帚木(ははきぎ)氏は元精神科のお医者様。
初期の作品はお仕事柄か、精神医学ミステリが多かったのですが、作家を本業になさってからは広範囲のミステリやボーダー小説を書いています。
一貫してヒューマニズムや正義感をテーマに書かれ、悲しいかな、そんな人いるの?ってこともありますが、そういう人たちが現実にいて欲しいという望みが生まれ、読んでいてスッキリするところが大好きなんです。
今のところ、新作がでると必ず読む作家さんのひとりとなっています。
それにしてもこの剣道の防具、実存しているんですよ~。
いろいろな人の手に渡り、フランスにあったらしいのですが、今は日本剣道協会が保管しているそうです。見てみたいものです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小説でありながら実録のような重みがあり、続けて二度読みしてしまうほど、記憶に留めておきたい作品となった。
一兵卒として軍に徴集される立場と違って、最初から恵まれた立場にあるが、終戦間近には国内の陸軍軍医学校でコウリャン飯が食べられていたなど、知らなかった事が多い。
戦地での食糧不足、医薬品不足、情報不足に苦しみながらも、常に目の前に自身を必要とされている人を優先とする医者という信念に感動する。戦死者より病死者の多さに対する苦悩。さらに戦時下の軍医としての重要な仕事は、死者の氏名を明らかにして戦死者名簿に載せること。これも初めて知った。
「戦犯」という作品で語られた、使役住民の何百人もの病死者と、部下の殴打による使役人の死亡の重みが同列だった裁判。国の一部としての自身、国を成立させているのもまた人で、こうした透徹した考えで罪を受ける軍医。国という枠組みを考えさせられる作者のメッセージが込められているように思う。
表題の蠅の帝国は広島原爆の記録であるとともに、その直後の自然災害にも触れた作品。
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Posted by ブクログ
第二次世界大戦中、香港で憲兵をしていた主人公「守田征二」。上巻では戦犯になることを恐れ、身分を偽って収容所に入り、帰国のチャンスを窺う様子が描かれる。
ときおり挟まれる戦時中のエピソード。憲兵という仕事柄、自分もスパイを使うし、敵もスパイを使う。正々堂々というと皮肉な響きにはなるが、敵も味方もそういうものだと思って行動する。スパイを捕まえれば拷問によって吐かせようとするし、逆にスパイがばれた側は、ときには死も厭わない。戦争のダークサイドというか、普通には表に出ない部分であるが、裏を返せば、すべてが明らかにされれば、戦犯となってしまう。
戦争という場では当然だったことが、戦争が終わった瞬間に犯罪とされてしまう、BC級戦犯の理不尽さがここにある。
そういった様々な不安定さをはらみながら下巻に続いていく。