帚木蓬生のレビュー一覧
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パチンコ、麻雀、競馬、競輪…。「庶民の娯楽」という美名の陰で、急速に増えつづける依存者の群れ。この本には「地獄への片道切符」に乗ってしまった人たちの末路が描かれております。
僕は西原理恵子を始め、伊集院静や白川道など、確実にギャンブル依存症の作家のエッセイや作品を読んで、彼らの日常を笑ってみていたことがありましたけれど、それでも、彼らの日常が破滅しないのは彼らがやっぱり普通の人間の何倍もお金を稼いでいるのだという事実と、仮に、破綻はしていても『作家だから』ということで、多めに見てもらっているのであって、普通の人間が病的なまでにギャンブルにのめりこんでしまうと確実に待っているのは地獄への一本道 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分類では医療サスペンス?だけど、小説の本質と良さとは全く違うところにある。なので本書がサスペンスの角度で紹介され、また呆け老人の行動の描写でまるで好奇心を煽るような紹介文には個人的に違和感を感じる。
小説の構成は、病院の中の老人個人個人のストーリを集めて構成される病院の日常、新人看護婦の視点、サスペンスのキーとなる医師の講演、その後老人のあいつぐ急死、手紙での告発。
小説後半のスピードが早く、たたみかけるような終結も箒木蓬生さんのパターンではあるが、今回も終盤で一気にギアチェンジし急にサスペンスに入った。だから医療サスペンスなんやけど、なんかちょっと奇妙。
本質は老人医療、安楽死等の倫 -
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私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。
非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好都合も随所に見られるが、本作全体を貫き通す真っ直ぐな流れは揺らぐことなく、読者の真情に迫る。
物語の中には、謎もどんでん返しもトリックも出てはこないが、“生きる”とはどういうことなのか、そんな命題に真っ向から取り組み、そのプロセスを経て得られた著者なりの答えが示されている。
「水神」同様、作中に出 -
Posted by ブクログ
私は先に「水神」の方を読んでしまったが、この「国銅」があって「水神」がある、そんなことが自ずと頓悟された。
非常によくできた二昔前ぐらいの連続テレビドラマを観ているかのようだ。
主人公の国人が絵に描いたような善人の模範で、周りの人々や環境にも異様なほど恵まれる、などといったフィクションならではの好都合も随所に見られるが、本作全体を貫き通す真っ直ぐな流れは揺らぐことなく、読者の真情に迫る。
物語の中には、謎もどんでん返しもトリックも出てはこないが、“生きる”とはどういうことなのか、そんな命題に真っ向から取り組み、そのプロセスを経て得られた著者なりの答えが示されている。
「水神」同様、作中に出 -
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ネタバレ読み終わって、息を殆ど止めた状態で読んでいたことに気づいた。
無知な私には、医学の知識をそのまま鵜呑みにしてしまっていいのかはわからない。
でも、かなりの確率で第三の性を持って生まれてくる人達がいて、その大部分がひっそりと生きているのだろうことはわかった。
岸川院長の考え方にはハラハラさせられたが、遺書を読むと、もう何も言えない。
誰もが楽しめる本だとは思わないけど、読み応えのある作品に挑戦したい人にはお薦め。
『閉鎖病棟』とは違い、読み手に元気がなくても充分楽しめるのもよい。
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「神の手」と評判の若き院長、岸川に請われてサンビーチ病院に転勤した秋野翔子。そこでは性同一障碍者への性