帚木蓬生のレビュー一覧

  • 閉鎖病棟

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    ネタバレ

    罪はどのように購うか、被害者と加害者の処遇については両者に深い溝があるのは当然だが、人の命の尊厳はどの方向からどのように見ればいいのだろう。医師の目でかかれた作品。

    平成7年度 山本周五郎賞受賞作

    犯罪を犯した人は、その状況によっては精神鑑定を受ける。最近はどのケースが異常で、またそうでないか、外部のものはわからないことも多いが。
    この本は、精神の異常で罪を犯した人たちが入院治療のために入っている精神病院が舞台である。
    開放病棟は届けを出せば外出もできる、治療によって平静を保つことができるようになった人たちがいる。閉鎖病棟は症状が重く、暴力的で外に出られない人たちが入っている。
    昼だけ開く

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    2026年03月07日
  • 花散る里の病棟(新潮文庫)

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    九州で4代続く開業医の話、それぞれの時代ならではの医療は興味深く、引き込まれた。
    例えば大正時代、寄生虫、特に蛔虫が多く、虫下しを飲ませ出てくる虫の数を数える、初代は虫医者と呼ばれた。
    4代目は新型コロナの話、改めて当時の社会の騒動を思い返せた。

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    2026年03月05日
  • 閉鎖病棟

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    精神病院での殺人事件をテーマに精神病院の実態と精神病患者とは決してアブノーマルなひとばかりではない、普段は普通のこころの持ち主で、我々の側が色メガネでバイアスをもって見てしまっていることを教えてくれている。帚木蓬生はいつも温かな目で、この本も患者目線で、悪者であっても常に愛情をもった筆遣いに終始している。

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    2026年02月28日
  • 水神(下)

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    静かで深い感動。だが、磔の存在と、稀有な侍の切腹による救いなど、支配と被支配の関係の残酷さもありありと描かれる。

    解説を読んで、さらにそうした農民の暮らしと苦しさを、より深く感じる。
    為政者と民の関係。封建制から、民主主義に変わっても、その構図は変わっていない様な印象がある。

    権力が果たす役割→民が其々の利害で動くと大きな全体最適が得られないというところも描かれつつも、責任を取らない、権力により搾取をするという性質が権力側にはあるというところか。

    如何に権力を監視するのか、そして如何に権力を行使するのか。そんなことも改めて感じる機会となった。

    今日、本屋で見つけた、江戸時代からかんがえ

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    2026年02月18日
  • 水神(上)

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    農家の苦労と、そこでの暮らし、人生が丁寧に描かれる。そして、その苦難の生活を改善するための灌漑事業が立ち上がる。
    その中で、進める人、反対する者、応援する者、付和雷同して暴れる者、お上との関係。様々なステークホルダーと関わりながら、如何に進めていくのか。
    事業を担当する者にとってのバイブルとなる。熱く、静かに、騒がず、耐えて進めていく。決して楽でもスカッとすることもないが、人と関わる大きな仕事を為すとは。

    下巻に続き、これからどうなるのか。

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    2026年02月18日
  • 臓器農場

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    閉鎖病棟を読んで気に入ったのでこちらも。

    同じ医療でも全く異なる内容。精神科医の先生がミステリーを書くとこうなるかのか…と登場人物の心情がよく伝わった。
    内容はとてもとても苦しくて何度も本を閉じては開いてを繰り返して読み終えた。1996年に書かれた内容とは思えない程現代にも通ずる課題が記されていた。


    個人的に小学生の頃、入退院を繰り返し看護師さんから暖かい励ましやお手紙を20年以上たった今でも持っているのだが、主人公が勤める小児科病棟での出来事を読むたびに思い出された。本当に看護師さんはじめ、医療従事者の方には感謝しきれません。

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    2026年02月17日
  • 閉鎖病棟

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    なかなか信用してもらえなかったり腫れ物として扱われたりと色々ある中でそれでも彼らの日常というものはたしかに存在している。
    彼らにも感情があるし彼らにも人生がある。
    そんなことを感じる内容でした。
    とても好きです。
    また読みます。

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    2026年02月06日
  • 老活の愉しみ 心と身体を100歳まで活躍させる

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    『老活の愉しみ』は、老後を「守り」に入って過ごすのではなく、動き、働き、関わり続けることこそが健康寿命を延ばすという一貫したメッセージを、医師としての知見と豊富な具体例で示した一冊である。著者の**帚木蓬生**は、超高齢化社会の現実として、医療費の増大や要介護・認知症の増加を冷静に見据えつつ、個人が取るべき実践的な指針を提示している。

    印象的なのは、「精神的不調は身を忙しくして直す」「脳も筋肉も使わなければ衰える」という考え方だ。ロコモティブシンドロームやサルコペニアへの対策としての運動、歯や咀嚼の重要性、睡眠や食事の基本を丁寧に積み重ねながら、最終的には人とのつながりと知的活動の継続が、認

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    2026年02月03日
  • 水神(下)

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    工事が始まった。反対派の村々も公儀が決めたとあっては従うほかない。その上工事の費用は全部5庄屋が捻出すると決まっており、何かあった場合には5庄屋が命をかけるとまでいうのだ。庄屋の処刑台となる磔台も5つ設置された。

    筑後川には石を籠にいれて沈めて堰をつくり、川を掘削する。周囲の台地に水を二方向に巡らせ、田畑を潤す予定である。村々は活気づき、労務に励む人々が笑顔に包まれるようになった。2ヶ月の工期しかない。裏を返せばすぐに水の恵みを享受できるのだ。反対派の村々も村人たちが活気づくのを感じて、皆でお金を出し合い150両ものお金を5庄屋に届けてきた。わだかまりはなくなった。そこに、死人がでる。鰻を取

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    2026年01月24日
  • 水神(上)

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    久留米藩の台地は、筑後川のすぐ近くにありながら、台地であるがゆえに水が足りない。筑後川の水を人の手をかけて汲み上げなければ、田畑が灌漑しないのである。大水の時は比較的被害はなかったが、やはり雨の日以外汲み上げに人手を割かなければならないのはツラい。

    庄屋さんの助左衛門は、堰渠を作って台地に水を引く案を考え付き、同じ志をもつ庄屋を4件見つけた。藩にお許しをもらいたいと考えるが、反対派が横槍を入れてくる。逆に声がかからなかったけれど賛成派もいた。反対派が暴動のように助左衛門の家を襲ったりもしたが、水面下では藩による測量が開始された。

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    2026年01月24日
  • 守教(下)(新潮文庫)

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    慶長13年、家康は全国の外様にイエズス教徒取締りを命じる。慶長16年、毛利家でも修道士処刑、松浦唐津肥後でも弾圧開始。一方で上秋月や柳川に教会が建つ。
    慶長17年3月、切支丹禁教令。小倉中津博多甘木の教会閉鎖。天領で弾圧開始。慶長19年10月高山右近マニラ追放。

    元和7年、領主が替わり取締りが厳しくなる。
    寛永元年、中原ジュリアン神父来訪。各地での殉教の様子を語り、各地で弾圧による逃散も起こっている旨話す。
    寛永7年、信徒ではないという証文および血判提出。
    寛永8年、道蔵磔刑。
    一般人はあまり死なないけれど、ペドロ岐部神父や中浦ジュリアン神父など神職の人たちはほぼほぼ処刑されてしまう。
    寛文

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    2026年01月05日
  • 守教(上)(新潮文庫)

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    あけましておめでとうございます。

    お正月に長崎に行って大浦天主堂を見てきました。26聖人の碑は怖いから見てきませんでした。というよりこの頃のキリスト教のあり方には明確な反発があります。というわけで読まざるを得ない守教。上巻から。

    永禄12年。大友宗麟より毛利との戦で足を怪我して使い物になくなった一万田右衛門は、高橋の村の庄屋を任される。彼の息子はキリスト教の孤児院で育った子で大友宗麟の斡旋で養子に来た子だ。名を米助というが、元服名久米蔵をいただく。
    大友宗麟の一万田にかける思いは、「小さなイエズス教の王国を築いてほしい」ということだった。農民も庄屋たちも妻も子も小作人もこぞって洗礼を受け、

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    2026年01月04日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

    匿名

    購入済み

    帚木蓬生さんのやめられないという本のパチンコ依存の方々の実体験があまりにも恐ろしく忘れられず、こちらも読了しました。日本人は昔から賭博好きとされる性質というのにはとても驚きました。こちらの本は怖い内容はないですが、ギャンブルの弊害、ギャンブルにより壊れていく国や日本の事も書かれていてとても勉強になりました。

    #深い #タメになる

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    2026年01月04日
  • 閉鎖病棟

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    10年ぶりの再読。
    内容はほとんど覚えておらず、登場人物にすっかり感情移入してしまって、辛くて悲しくて、それでも希望も感じられる素晴らしい作品だった。
    後半、秀丸さんからの手紙以降は涙が止まらなかった。

    精神疾患のある人がもし身近にいたら、正直少し怖いとか、距離を取りたいと思ってしまう気持ちはある。
    けれど、精神疾患の人イコール悪では決してなくて、皆それぞれ懸命に生きているのだということが、読んでいてとてもよく伝わってくる。

    精神科医だからこそ描ける視点で、患者にとっての幸せとは何かを考えさせられる作品だった。

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    2025年12月16日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    ネガティブケイパビリティという
    すぐには解決できなくても
    なんとか持ちこたえていける能力。

    これは本当に大切な力だなぁと
    よく理解できました

    本の中では
    このネガティブケイパビリティの力が
    高い方々として
    ジョン・キーツ
    シェイクスピア
    紫式部
    といった歴史上の方々が紹介されているのですが

    勉強不足の私は彼らのお名前は存じ上げているものの、その作品についてはあまり知らず…

    それらを著者さんがわかりやすく
    作品内容の紹介もしてくれていたり
    その方の生涯も少し紹介してくださっているので

    1冊を読んだというよりも
    途中、「私、今、3冊くらい読んだ?」
    …と、まるで各著書を読んだ気持ちになり

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    2025年12月16日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    ケイパビリティというか、キャパビリティっていうと理解しやすい、
    ネガティブに対する許容量って感じでしょうか。

    著者は患者の話を聞くたび、してあげられることがない、という思いがあった。
    できることは、
    目薬(見て話を聞いてあげること
    日薬(時間経過で状態が良くなることに期待する
    ぐらいとのこと。

    答えを決めずに、考え続ける、受け止め続ける、
    哲学的な考えでもある。

    メディシンマン
    - 占い師と病魔退治の祈祷師
    「精神療法科は医学教育を受けているものも、そうでいないものも、伝統的占い師の継承者と見なすことができる」
    「現代精神医学の勝利は薬理の領域内のみである。社会的境遇の面では、伝統的治療

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    2025年12月13日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    読んで、スッと心が楽になった。
    「ネガティブ・ケイパビリティ」、なかなか説明しづらいけど、私の中では「寛容さ」という表現が最もしっくりくるかも。
    寛容でいることは難しいけど、ちょっとでも心の間口を広げられれば、世界はもっと良くなるかも。

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    2025年10月26日
  • インターセックス

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    女医が主人公のミステリー。インターセックスというタイトルに引かれ何となく読み始めたがリアリティーのある記述に引き込まれあっという間に読み終えた。帚木蓬生さんという作者を知らなかったが東大仏文科卒業後、九大医学部を出た医者の方と知り納得。ミステリーとして良かったのはもちろんだがリアリティーのあるインターセックスに関する記載も多々あり性というものの微妙さ、難しさを改めて感じた。

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    2025年10月11日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    仕事上で、外的要因によって業務内容が変化し、不安や億劫さを感じていたときに、その対処のヒントを得ようと思い本書を手に取った。しかし、読み進めるうちに、本書が扱うネガティブケイパビリティは、仕事に限らず、もっと広い人間の在り方に関わる概念であることを知った。

    この言葉自体は以前から聞いたことがあったが、原典は詩人キーツが詩作の苦しみの中から生み出したものであり、その170年後に精神分析医ビオンが医学的観点から再評価した概念であることを知り、背景の深さに驚いた。また、著者である精神科医が語る臨床現場や終末期医療における「答えの出ない事態」に直面する実例は、ネガティブケイパビリティの必要性を実感さ

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    2025年10月07日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    昨今、友人と話していて思うのが、ネガティブな事象に対するアレルギーを持つ人がなにかと多いなということ。
    なんにでもポジティブを見出そうとしなくていいと思う。希望に結びつく答えがなくても、ただその状態で耐える。その感性がないと、痛みに寄り添える希望の存在にはなれない。

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    2025年09月16日