あらすじ
イギリス医学界の重鎮、アーサー・ヒルがノーベル賞を受賞した――。知らせを受けた青年医師の津田は、同じ分野で研究を続けながら惜しくもこの世を去った恩師、清原の死因を探るなかで、ヒルの周辺に不審な死が多いことに気付く。彼らを死へと追いやった見えざる凶器とは一体何か。真相を追ううちに津田は大きな陰謀に飲み込まれてゆく。ノーベル賞を題材にした本格医療サスペンス。
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面白かった。読みやすかった。
帚木蓬生さんの作品は本当にどれも読みやすい。
こういう世界があるんだなぁ、と思いながら読んだ。医学、生理学などの研究に携わる人は、純粋に苦しむ人を助けたい、という志で励んで欲しいものだと思った。
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ノーベル賞の裏側。
実際にここまでして賞をとろうとする人はいないだろうけれど、精神的には近いことは起きているかもしれないし、輝かしい栄誉の影には数え切れないほど多くの人たちの悔しさやときに犠牲もあるのかもしれない、と考えさせられる。
すべて暴露されてしまえばいいのに!と思いながら読んでいたけれど、やはりこの結末でよかったのだと思う。本当に素晴らしい才能や栄誉を穢さないことが、研究者のみならず人としての正しいあり方だと思うので。読みごたえ充分で、読後感もよかった。
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ノーベル賞、栄光に輝く受賞者達の後ろには多くの研究者達がいる。けれど、こうまでして賞を取ろうとする人はいないだろうと思うのだけれど‥。
悔しいと思っている人は沢山いるんでしょうね
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イギリス医学会の重鎮アーサー・ヒルがノーベル医学・生理学賞を受賞したことを端緒に、青年医師・津田が自信の恩師である清原の随筆を読んだことから始まる医療サスペンス。
津田の恩師に対する思い、その娘・紀子の父への思慕、無名の研究者の発見が搾取され狂わされた人生、そして研究者たちの不可解な死因、とグイグイ引き込まれた。
章が変わるごとに目線が変わり、今回は誰?あれは誰が探り当てたんだっけ?と混乱する時も。
権威あるものに逆らえない風潮はどの分野にもあるんだろうけど、殺人はともかくこんなことは現実にもありそうで、なんだかノーベル賞も手放しで賞賛できなくなりそう。
それにしても死因が明らかになる終盤は背筋がゾクッとした。こんな殺し方、秘密裏にブツを持ち出せる人がいればある意味完全犯罪。怖いわ〜
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地元の誉である帚木蓬生さん。(うちの父の同級生であることを最近知りました)
仏文科と医学部をご卒業されたという作者の経歴が生かされた、ヨーロッパを旅しながらの医療サスペンスがおもしろかったです。栄光の裏には、きっとこういう隠された事実がいくつもあるんだろうなと思います。
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イギリス人が受賞したノーベル賞の裏には、意外な過去があった。
ノーベル賞を巡っていろんな人の死が関係していた。
次々と真実を突き止める津田医師。
医学ミステリーでは帚木氏の小説は面白いです。
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ノーベル賞を受賞したイギリス医学界の重鎮
彼の周りでは、ライバルたちの謎の死があった・・
若い研究者の画期的な論文を
潰したり、自分のものにしたり。
こういうのって実際にあるのかもしれない
サクサクと話が進んで読みやすい医療サスペンス
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イギリス医学界の重鎮、アーサー・ヒルがノーベル賞を受賞した―。知らせを受けた青年医師の津田は、同じ分野で研究を続けながら惜しくもこの世を去った恩師、清原の死因を探るなかで、アーサーの周辺に不審な死が多いことに気付く。彼らを死へと追いやった見えざる凶器とは一体何か。真相を追ううちに津田は大きな陰謀に飲み込まれてゆく。ノーベル賞を題材にした本格医療サスペンス。
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ついこの間ノーベル賞が発表になり、日本人が受賞したことは喜ばしいニュースであるが、この作品はそのノーベル賞が背景の医療サスペンス。恩師の死因を探るため主人公は、疑惑の受賞者や関係者を訪ねて、ヨーロッパ各地を巡り歩く。疑惑追及の旅ではあるが、旅情豊かな景色の描写に、爽やかな読後感となっている。
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この本で初めて帚木先生の存在を知ったのですが、これこそ医療サスペンス。今は医療サスペンスというと「チームバチスタ」かもしれませんが、断然こちらをお薦めします。小難しい医療話も少なく分かりやすいし、場面展開が早くて飽きがきません。他の作品も読みたいです。
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ノーベル賞を巡る疑惑を追及したサスペンス。
結論からすると、話の筋は非常に簡単なのだが、登場人物の多さと、日本・イギリス・フランス・スペインを舞台にした国際的なスケールが話を複雑化している。外国の情景は割と詳細に書かれているが、イメージがわかない人にはやや小難しい内容となってしまうかもしれない。
人間は、名声と権威を得ると傲慢になってしまうのかなと思ってしまう(もちろんそうでない人も数多くいるが)。謙虚さが欠けるというか、真摯な姿勢ではなくなるというか…。そのようなことも考えさせられる作品。
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ノーベル医学生理学賞のイギリス人受賞者の周りに隠れている不審死。多くの人の目線で語られるので始めは混乱したが、後半は盛り上がって面白かった。
亡くなった日本人教授の弟子であった医師津田が主に謎を追うのだが、彼の性格が(特にデートしてるときの)ちょっと疑問…笑。
エンディングはスカッとはしないし、盛り上がるとは言えやっぱ帚木さんの本は地味だなあ。あれもこれも無理に繋がったりどんでん返しがあるわけじゃない。そこがまた好き。
アーサーヒルの内面はもう少し読みたかったかな。
お手にとる方は、解説もぜひ。
Posted by ブクログ
ノーベル賞受賞者アーサー・ヒル。そして自分を医学に導いた恩師や、アーサーに関わる人の死因が繋がりそうな気配を必死で手繰り寄せる医師の津田。どの世界でも「出る杭は打たれる」。アーサーは出過ぎてしまった。しかも「出てきそうな杭を事前に潰しておく」と必ず矛盾が生じてくる。それでも「名誉」を求めたアーサー。アーサーの原動力は母親への愛からくるものだったのではないだろうか。母という女性が彼を突き動かした。そして、彼自身の幕引きも女性の手によるものになるとは皮肉だ。明らかになった真実は静かに「柩」の中で永遠に眠る。