帚木蓬生のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ当事者にしてみれば「興味深い」なんて言ってはいけないのかもしれないけど、世間であまり話題にされることのない、生まれつきの「インターセックス」を題材にした長編。
最近、性同一性障害などはわりとオープンになってきたけど、体そのものが男性器と女性器を両方兼ね備えていたり(ただしどちらも未発達のことが多い?)、または両方ともなかったりする「インターセックス」は、割合的には多く出産しているにも関わらず、当事者が声をあげることなくひっそりと生きているため、問題にされることが少ない。
主人公の女医は、赤ちゃんのうちに手術をしてどちらかの方に近づけるべき、という従来の考え方を転換させ、そんな体でもいいじゃない -
Posted by ブクログ
ネタバレ現役精神科医の医療系のヒューマンサスペンス。
臓器農場というタイトルからはもう少しグロい感じを想像していたが、近未来を予測したフィクション作品という感じ(未来に決して起こって欲しくはないが)。
無脳症という奇形の存在を知った衝撃は大きく、まして臓器移植の為に意図的に無脳症の子供が出来るようにして移植用の臓器を生産するという行為にはおぞましさを感じた。
自分が勤める病院で行われている臓器移植の裏に何か秘密を感じ、その真相を解明しようとする規子と同僚であり友人の優子。
そこに加わった的場医師と障害を持つ藤野。
単なる謎解きサスペンスだけでなく、臓器移植という最新医療と、そこに関連する狂気 -
Posted by ブクログ
「ぼくらはそれでも肉を食う」の後に読んだので、テーマに重複する部分があり、興味深かった。現役の医師による、医療小説である。
タイトルからも想像できるように、臓器移植が主題だ。山の中腹にある新設の総合病院には秘密の部門があり、そこでは臓器移植が行われていた。ドナーはどんな人なのだろうか。
倫理的にとても難しい問題である。死が確定している人と臓器移植が無ければ死ぬ運命の人の命のどちらが尊いのか?この本の中で書かれていることが、これから本当に起きるかもしれない。そういう意味では、カズオイシグロの「わたしを離さないで」を思い起こした。
本書はミステリー仕立てになっているが、ミステリーとしてよりも医療小