帚木蓬生のレビュー一覧

  • 白い夏の墓標

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    仙台の大学に在学中、机を並べた親友・黒田はアメリカへ留学するも、留学先で事故死したと知らされた佐伯
    と思っていたら、パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議にて見知らぬ老紳士から、黒田はフランスで自殺したと告げられる
    黒田の死の謎に迫るサスペンスやミステリー、死のトリックどうこうというよりも

    黒田の、細菌学者としての理想と苦悩を、良心の呵責を、人となりを、黒田の過去を辿り、時には踏み込まなくていいとこまで踏み込んじゃって後悔しながらも、佐伯はひとつひとつ知っていく
    黒田の過去と、過去に裏打ちされた生き様とに触れ、一度は切れてしまった黒田との糸を手繰り寄せる

    テーマがテーマだから、すごく専門的な用

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    2026年02月02日
  • ヒトラーの防具(上)

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    本当にフィクションなのか?と思うくらいリアルに描かれている。ヒトラーの関心を受ける香田だったが、本人は違和感を感じていた。ゲシュタポの様子やアウシュビッツ行きの電車での惨状など、改めて心苦しくなる。本当にこんな時代があったのかと勉強になる。

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    2026年02月01日
  • 白い夏の墓標

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    ミステリ部分というよりは、倫理と科学の探求の間で揺らぐ青年の心情描写が印象的でした。
    手記の章が特に好きです。

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    2026年01月20日
  • 臓器農場

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    ネタバレ

    内容的にも物量的にも重い本だったけど、おもしろかった。
    全体的に明るいよりは暗めな雰囲気の作品。
    景色や心情描写は細かく綺麗で想像もしやすい。

    新人看護師が勤め始めた病院で無脳症児を飼育して金儲けをする裏の動きに気づいてしまう。
    親友とその病院の医師と謎を暴こうとするが2人は不審な死をとげ、主人公が解決に奔走する。

    医療関係の知識は無いに等しいけど、無脳症の子供を「生」すらない、物体のように扱うのか、母のお腹に宿った時点で「生」が始まり人間として扱われるべきなのか、倫理観的には後者だけど間島看護婦の言うように前者と捉え他の患者の治療に役立てるのもそれもまた一つの理想なのかなと思ったり。

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    2026年01月07日
  • 臓器農場

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    90年代の小説だがこれが一気に読ませる掘り出し物だった。難しそうなテーマだからと敬遠していたが、医療サスペンスとして一級品だが、それだけでなくヒューマンドラマとしても面白かった。
    命を扱う、という事は命に対して責任がある、という事である。
    そこにあるのは医療を金儲けの手段や道具としか考えていない人々への警鐘であり、命の重たさを伝える事でもある。
    この世に産まれ落ちた命はどんな形であれ生きるという宿命を負っている、本書にはそんな声が宿っている。

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    2026年01月02日
  • 白い夏の墓標

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    久々にのめり込んだ作品。
    細菌兵器に手を染めさせられた科学者の悲運な人生をなぞる、自分にとってある種盲点な、なじみのないテーマに強く惹きつけられる。
    本書で取り上げる科学の二面性は、昨今のAIに対しても同じ思いを抱かずにはいられない。

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    2025年12月28日
  • インターセックス

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    『エンブリオ』の続編。
    天才だがサイコパス的な岸川先生は、前作では圧倒的な存在感だった。
    しかし本書では秋野先生という才色兼備で患者に寄り添うスーパードクターの登場によって、岸川の異常な才能や性格がやや薄まった印象。
    秋野先生には岸川の罪を究明してほしい気もするし、してほしくない気もして、ドキドキして一気読みしてしまった。
    また、インターセックスの患者を取り巻く現状が描かれており、その点は非常に勉強になる。

    医療はマイノリティを排除する側面があるという考えにはなるほどと思わされたが、どんな状況でも人工中絶は悪だとする秋野先生の信念には、正直なところ全面的には共感できない。
    ラストでは秋野先生

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    2025年12月22日
  • 閉鎖病棟

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    つまらなすぎて途中で読むのをやめようかと思ったが、最後の方は涙が止まらず、読んどいてよかった。精神病院というとなんだか不気味なイメージがあるけど、人間なんだよ。そうなりたくてなった人達ではなく、生まれ持ったものや社会やそうさせたものなんだ。そして精神病院の中でもいろんな人間関係はあるのだなと改めて思う。
    島崎さんの原因を勝手に決めつけていた自分に大反省。そして法廷でのちゅうさんの言葉には心を打たれ、警察の都合のよさには怒り心頭。みんな仲良く助け合って生きていってほしいと切に願います。

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    2025年12月15日
  • エンブリオ 下

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    患者のためなら何をしても正義なのか。
    上巻では、岸川先生は倫理的な問題を抱えつつも患者思いの名医という印象が強かった。
    だが下巻に入ると、そのイメージは一変する。続きが気になって読む手が止まらなかった。
    表向きは人格者で、誰もが惚れ込むほどの医療を提供する天才。
    しかし裏では、自分にとって都合の悪い人間に対して冷酷で、罪悪感というものがまるでない。
    全ては自分が正しいという確信のもとに行動しており、その姿はかなりのサイコパスだと思う。
    善と悪が混在している人物だが、もし自分が患者の立場だったなら、きっと彼のことを神様みたいに感じてしまうのだろうなあと思った。

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    2025年11月28日
  • エンブリオ 上

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    不妊治療や流産・死産の経験がある人には、読むのが辛いかもしれない。
    ショッキングな描写もあるが、残酷さを強調するのではなく淡々と書かれていて、その発想に驚かされる。

    いくつかの症例が登場する中で、とりわけ印象に残るのは、亡くなった女性の卵子を人工授精させ、男性の腹部へ移植するというケース。
    倫理的には完全にアウトで、世間から強く批判される類の治療だが、それでも医師の姿勢には揺さぶられるものがある。
    患者に寄り添い、未来の医療を見据えるその信念を前にすると、本当に「なぜいけないのか」「倫理とは何か」と考えさせられる内容だった。
    下巻の展開が楽しみ。

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    2025年11月27日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    今この概念を知れたことは恐らく私の財産になるだろうと思った。

    箒木さんご本人の専攻(?)もあると思うけど、源氏物語のくだりが長かったのはちょっとこたえた、、笑
    ただ言語や宗教が違えどヒューマニティというのが根本的にあるもので、それを根拠よく育てて行くことの大切さはよく理解できた。

    現代社会において「ネガティブ・ケイパビリティ」という力を育てるのは、これからを生き抜く私たちには本当に大切なことだと感じている。

    ネガティブケイパビリティという概念を知ったことで、何かあった時に焦ったり取り乱したりせず、一呼吸の余裕が生まれるんだろうと思う。
    それだけでもこの本を読んでよかったと思うし、たとえ

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    2025年11月03日
  • 白い夏の墓標

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    大どんでん返しの結末。これには驚いた。
    けれども、文章をしっかりと読んでいれば、ある箇所でその違和感に気づき、この結末を予想できたかもしれない。

    ウィルス、そこからの細菌兵器開発へ。人のためになるはずの科学ではなく、”逆立ちした科学”。それに従事せざるを得ない科学者の苦しみ、葛藤。そして、そこからの逃亡。

    1人ではできない、立っていられない。誰かが必要。

    それにしても、見事などんでん返しだと思う。面白かった。

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    2025年10月26日
  • 白い夏の墓標

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    フランスで開催される肝炎ウイルス国際学会に出席した佐伯教授は米国陸軍微生物研究所のベルナールという人物からの訪問を受けた。かつて仙台で一緒に机を並べていた黒田がアメリカ留学時代に事故死したと思っていたが、ベルナールが言うにはフランスで自殺をしたという。そしてフランスの田舎に黒田の墓があるのでぜひ見舞ってほしいという…。思いもしない旧友の後を追うことになり、細菌兵器研究の闇を覗くことになった。

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    2025年10月09日
  • 臓器農場

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    人に勧めたい作品。長編だが文面は読みやすい。題名や表紙のイラストは不気味だが内容は普通のミステリー。面白かった。

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    2025年09月10日
  • 臓器農場

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    精神科医でもある著者。思ってたように暗い。
    体調が良くなってなかったら読めなかったかもというくらい、暗い。新生児の臓器のビジネス、もう聞くだけで暗い。

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    2025年09月08日
  • 白い夏の墓標

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    ウィルス研究は兵器製造にも繋がるという恐怖と、知らずにその罪に加担するおぞましさ。
    並行して黒田の死が二転三転するところにも引き込まれる。

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    2025年08月24日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    自身の知らない概念であったネガティブ・ケイパビリティについて、多方面から教えてもらてもらえる本でした。シェイクスピアや源氏物語、戦争に関する本も読んでみたいと思うようになりました。

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    2025年08月03日
  • 白い夏の墓標

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    この手の医療倫理モノって今となっては多数存在するのだけれど、40年以上前に発表され、今もってまったく古さを感じさせないというのは凄い。そして、書いたのが帚木さんというところに、本の説得力がある。
    センダイ・ヴァイラスを発見、研究していた黒田氏がアメリカにヘッドハンティングされ、そのままアメリカで亡くなったと聞かされていたにもかかわらずフランスに手がかりが……という国際色溢れる作品。さすが、医学は国境を越える。
    純粋なサスペンスとして、黒田の”死”の真相や、登場人物の関係性が徐々に明らかになっていくのは面白い。本当に、古さを感じない作品。
    あと、センダイウイルスが実在することにも驚いた。完全に創

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    2025年07月08日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    大阪のIRが2030年秋に開業する予定だが、ギャンブル依存は医師もお手上げな病気らしい。
    というのも、一旦ギャンブル症になった人の脳は元に戻らない。西洋では「いったんピクルスになったギャンブル脳は、二度と元のキュウリの脳には戻りません。」と表現するらしい。治療や自助グループ活動により、ギャンブルをしない期間を1年、また1年と積み上げていくのが現状。
    日本人のギャンブル症有病率は世界3位だというのに、いいのか?

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    2025年07月07日
  • 薔薇窓の闇 下

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     舞台は1900年のパリ。1900年のパリ、と聞いても歴史に弱い私はそれがどういう時期だったのか、すぐに分かりませんでした。確かフランス革命って18世紀末だよな。じゃあそれから100年後くらいか。ふむふむ、パリ万博。おっ、これはなんか聞いたことあるぞ。ドレフュス事件……? うっ、こっちもなんか聞いたことはあるけど……、ほうほう、こんな事件だったのか。と正直そのくらいの知識で読みはじめたのですが、著者の紡ぐ丁寧な描写のおかげもあって、気付けば、心は1900年のパリにいました。

     日本の芸術品に強い興味を持つ精神科医のラゼーグを語り手に、謎めいた日本人女性である音奴との出会い、そしてラゼーグに会

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    2025年07月03日