帚木蓬生のレビュー一覧

  • インターセックス

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    『エンブリオ』の続編。
    天才だがサイコパス的な岸川先生は、前作では圧倒的な存在感だった。
    しかし本書では秋野先生という才色兼備で患者に寄り添うスーパードクターの登場によって、岸川の異常な才能や性格がやや薄まった印象。
    秋野先生には岸川の罪を究明してほしい気もするし、してほしくない気もして、ドキドキして一気読みしてしまった。
    また、インターセックスの患者を取り巻く現状が描かれており、その点は非常に勉強になる。

    医療はマイノリティを排除する側面があるという考えにはなるほどと思わされたが、どんな状況でも人工中絶は悪だとする秋野先生の信念には、正直なところ全面的には共感できない。
    ラストでは秋野先生

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    2025年12月22日
  • 閉鎖病棟

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    つまらなすぎて途中で読むのをやめようかと思ったが、最後の方は涙が止まらず、読んどいてよかった。精神病院というとなんだか不気味なイメージがあるけど、人間なんだよ。そうなりたくてなった人達ではなく、生まれ持ったものや社会やそうさせたものなんだ。そして精神病院の中でもいろんな人間関係はあるのだなと改めて思う。
    島崎さんの原因を勝手に決めつけていた自分に大反省。そして法廷でのちゅうさんの言葉には心を打たれ、警察の都合のよさには怒り心頭。みんな仲良く助け合って生きていってほしいと切に願います。

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    2025年12月15日
  • エンブリオ 下

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    患者のためなら何をしても正義なのか。
    上巻では、岸川先生は倫理的な問題を抱えつつも患者思いの名医という印象が強かった。
    だが下巻に入ると、そのイメージは一変する。続きが気になって読む手が止まらなかった。
    表向きは人格者で、誰もが惚れ込むほどの医療を提供する天才。
    しかし裏では、自分にとって都合の悪い人間に対して冷酷で、罪悪感というものがまるでない。
    全ては自分が正しいという確信のもとに行動しており、その姿はかなりのサイコパスだと思う。
    善と悪が混在している人物だが、もし自分が患者の立場だったなら、きっと彼のことを神様みたいに感じてしまうのだろうなあと思った。

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    2025年11月28日
  • エンブリオ 上

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    不妊治療や流産・死産の経験がある人には、読むのが辛いかもしれない。
    ショッキングな描写もあるが、残酷さを強調するのではなく淡々と書かれていて、その発想に驚かされる。

    いくつかの症例が登場する中で、とりわけ印象に残るのは、亡くなった女性の卵子を人工授精させ、男性の腹部へ移植するというケース。
    倫理的には完全にアウトで、世間から強く批判される類の治療だが、それでも医師の姿勢には揺さぶられるものがある。
    患者に寄り添い、未来の医療を見据えるその信念を前にすると、本当に「なぜいけないのか」「倫理とは何か」と考えさせられる内容だった。
    下巻の展開が楽しみ。

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    2025年11月27日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    今この概念を知れたことは恐らく私の財産になるだろうと思った。

    箒木さんご本人の専攻(?)もあると思うけど、源氏物語のくだりが長かったのはちょっとこたえた、、笑
    ただ言語や宗教が違えどヒューマニティというのが根本的にあるもので、それを根拠よく育てて行くことの大切さはよく理解できた。

    現代社会において「ネガティブ・ケイパビリティ」という力を育てるのは、これからを生き抜く私たちには本当に大切なことだと感じている。

    ネガティブケイパビリティという概念を知ったことで、何かあった時に焦ったり取り乱したりせず、一呼吸の余裕が生まれるんだろうと思う。
    それだけでもこの本を読んでよかったと思うし、たとえ

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    2025年11月03日
  • 白い夏の墓標

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    大どんでん返しの結末。これには驚いた。
    けれども、文章をしっかりと読んでいれば、ある箇所でその違和感に気づき、この結末を予想できたかもしれない。

    ウィルス、そこからの細菌兵器開発へ。人のためになるはずの科学ではなく、”逆立ちした科学”。それに従事せざるを得ない科学者の苦しみ、葛藤。そして、そこからの逃亡。

    1人ではできない、立っていられない。誰かが必要。

    それにしても、見事などんでん返しだと思う。面白かった。

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    2025年10月26日
  • 白い夏の墓標

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    フランスで開催される肝炎ウイルス国際学会に出席した佐伯教授は米国陸軍微生物研究所のベルナールという人物からの訪問を受けた。かつて仙台で一緒に机を並べていた黒田がアメリカ留学時代に事故死したと思っていたが、ベルナールが言うにはフランスで自殺をしたという。そしてフランスの田舎に黒田の墓があるのでぜひ見舞ってほしいという…。思いもしない旧友の後を追うことになり、細菌兵器研究の闇を覗くことになった。

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    2025年10月09日
  • 臓器農場

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    人に勧めたい作品。長編だが文面は読みやすい。題名や表紙のイラストは不気味だが内容は普通のミステリー。面白かった。

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    2025年09月10日
  • 臓器農場

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    精神科医でもある著者。思ってたように暗い。
    体調が良くなってなかったら読めなかったかもというくらい、暗い。新生児の臓器のビジネス、もう聞くだけで暗い。

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    2025年09月08日
  • 白い夏の墓標

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    ウィルス研究は兵器製造にも繋がるという恐怖と、知らずにその罪に加担するおぞましさ。
    並行して黒田の死が二転三転するところにも引き込まれる。

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    2025年08月24日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    自身の知らない概念であったネガティブ・ケイパビリティについて、多方面から教えてもらてもらえる本でした。シェイクスピアや源氏物語、戦争に関する本も読んでみたいと思うようになりました。

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    2025年08月03日
  • 白い夏の墓標

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    この手の医療倫理モノって今となっては多数存在するのだけれど、40年以上前に発表され、今もってまったく古さを感じさせないというのは凄い。そして、書いたのが帚木さんというところに、本の説得力がある。
    センダイ・ヴァイラスを発見、研究していた黒田氏がアメリカにヘッドハンティングされ、そのままアメリカで亡くなったと聞かされていたにもかかわらずフランスに手がかりが……という国際色溢れる作品。さすが、医学は国境を越える。
    純粋なサスペンスとして、黒田の”死”の真相や、登場人物の関係性が徐々に明らかになっていくのは面白い。本当に、古さを感じない作品。
    あと、センダイウイルスが実在することにも驚いた。完全に創

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    2025年07月08日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    大阪のIRが2030年秋に開業する予定だが、ギャンブル依存は医師もお手上げな病気らしい。
    というのも、一旦ギャンブル症になった人の脳は元に戻らない。西洋では「いったんピクルスになったギャンブル脳は、二度と元のキュウリの脳には戻りません。」と表現するらしい。治療や自助グループ活動により、ギャンブルをしない期間を1年、また1年と積み上げていくのが現状。
    日本人のギャンブル症有病率は世界3位だというのに、いいのか?

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    2025年07月07日
  • 薔薇窓の闇 下

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     舞台は1900年のパリ。1900年のパリ、と聞いても歴史に弱い私はそれがどういう時期だったのか、すぐに分かりませんでした。確かフランス革命って18世紀末だよな。じゃあそれから100年後くらいか。ふむふむ、パリ万博。おっ、これはなんか聞いたことあるぞ。ドレフュス事件……? うっ、こっちもなんか聞いたことはあるけど……、ほうほう、こんな事件だったのか。と正直そのくらいの知識で読みはじめたのですが、著者の紡ぐ丁寧な描写のおかげもあって、気付けば、心は1900年のパリにいました。

     日本の芸術品に強い興味を持つ精神科医のラゼーグを語り手に、謎めいた日本人女性である音奴との出会い、そしてラゼーグに会

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    2025年07月03日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

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    先日、たまたま新聞のコラムで帚木蓬生さんの本が紹介されているのを目にして、ちょっと興味が湧いたので読んでみることにしました。
    パチンコはギャンブルだ、というのは以前から認識していましたし、パチンコ屋がより人をパチンコにハマるような仕掛けをしてきている、ということはある程度分かっているつもりでした。また、その他の公営ギャンブルも何故合法なのか不思議に思ってはいたのですが、それらの裏には巧妙な利権のシステムがあった、というのはちょっと意外、と言うか自分の物の見方が甘かったということを改めて認識させられました。
    本書を読む限り、日本という国のギャンブル依存は治りそうもないという絶望しかありませんね。

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    2025年07月01日
  • 逃亡(上)

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    戦争は終わった──。だが、彼の戦いは、そこから始まった。

    敗戦とともに価値観が反転した時代。
    かつて「国のため」と信じて従ったその道は、一夜にして「罪」へと変わる。
    追われる男と、彼を信じて待つ家族。寄せられる村の視線、心の中に生まれる疑いと迷い。

    逃げることは、罪なのか。
    生きることに、どれほどの勇気が要るのか。

    静かな田舎の風景の中で、声にならない問いが交錯する。
    正しさとは何か――。
    読む者の胸に静かに刺さる。
    下巻に続く

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    2025年06月24日
  • 閉鎖病棟

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    精神病患者の聖人君子すぎるキャラクターや、作品全体の謎として性加害が扱われることの危うさなど、気になるところはあるが、惹き込まれる文章。

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    2025年06月07日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    いずみさん推薦


    ネガティブ・ケイパビリティ(negative capablity 負の能力もしくは陰性能力)とは、「どうにも好えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」のこと


    ・ネガティブ・ケイパリティという概念を発見したことがすごい

    ネガティブ・ケイパリティという概念があることを知っておくとよい


    ・ネガティブ・ケイパリティはキーツによって生み出された概念。
    しかし、それは手紙の中の一節だったので、長年知られざるままだった。
    キーツ死後の170年後、同じ英国のビオンによって再発見された。

    ・脳はわかりたがる傾向にある



    ・後半は精神科医にネガティブ・ケイパリティ

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    2025年06月22日
  • 襲来 上

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    帚木蓬生は、精神科医としての知見を背景に人間の内面に深く迫る作品で知られ、また『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』という著書を持つ。
    この「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、「どうにも答えの出ない、対処しようのない事態に耐える能力」であり、「事実や理由を拙速に求めず、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいられる能力」を指します。それは何かを解決する能力ではなく、むしろ「そういうことをしない能力」とも表現されます。帚木氏は、この能力を知ってからご自身の人生や創作活動が随分楽になったと述べています。

    この「ネガティブ・ケイパビリティ」という視点から、『襲来』を読むと、作品の持つも

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    2025年05月18日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    ネガティブ・ケイパビリティのいろんな例が載っているので、どんな人でも理解しやすいのではないかと思う。

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    2025年05月14日