帚木蓬生のレビュー一覧

  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    【目次】

     はじめに――ネガティブ・ケイパビリティとの出会い
    精神医学の限界/心揺さぶられた論文/ポジティブ・ケイパビリティとネガティブ・ケイパビリティ

     第一章 キーツの「ネガティブ・ケイパビリティ」への旅
    キーツはどこで死んだのか/燃えるような愛の手紙/キーツの短い生涯/文学と医師への道/経済的困窮の中で「受身的能力」へ/シェイクスピアを再読しながら詩作/初恋とともに詩作/療養のためにローマへ

     第二章 精神科医ビオンの再発見
    精神分析におけるネガティブ・ケイパビリティの重要性/ビオンの生涯/第一次世界大戦の戦列へ/精神分析医になる決意/ベケットの治療から発見したこと/第二次世界大戦

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    2025年04月21日
  • ヒトラーの防具(下)

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    しばらく読むのを中断していたが、読み終わった。戦争の悲惨さが心に重くのしかかっている。
    この作品で描かれたベルリン市街戦、総統ヒトラーの最期。
    胸に残って離れない。
    ささやかなものだったかもしれないが、それぞれにあったはずの未来を無惨に引き裂く戦争。
    そしてそれを引き起こす政治家。
    歴史に学ぶところは大であろう。
    登場人物のルントシュテット夫妻とヒャルマー爺さんが、ドイツの善意の象徴として描かれているのが救いだった。

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    2025年04月19日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    徹底したギャンブル批判が綴られているのは、当事者やその家族、治療者や自助グループ、対策組織など関係者の考えとして至極当然とも言えるが、その論調が続いたあとでの、回復に向けた取り組みへの距離感と視線という点ではこの書籍ならではという味があった。

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    2025年04月12日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    ネタバレ

    読み終わりました
    ネガティブ・ケイパビリティという考え方は共感したしいいと思ったけど、作者の感覚が古いな〜とは思いました。

    キーツのアパートを訪れた際の受付の方の描写や、キーツの死因が自分本位に遊んでいたことによるのにかなり悲劇的に描かれているのが気になった。
    わざわざ「褐色の肌をした若い女性」なんて書かなくていい。
    本編とはズレるけど、作者の人間性が見えた気がして手放しで本を賞賛できない。

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    2025年04月04日
  • ほんとうの会議 ネガティブ・ケイパビリティ実践法

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    仕事柄、会議が多く、実のある議論、効率的な議論とするにはどうすべきかと悩んでいるところで、店頭で見かけて手にしてみました。
    序盤は、依存症の方から話を引き出す事例から入っており、ビジネス観点ではなかなか頭に入らない内容でした。
    本書では、会議の目的は答えを出すことをよりも、話を引き出すことであり、そのためには答えがでないことも許容する(ネガティブ・ケイパビリティ)ことの重要性を説いていました。
    テキパキと会議を進めることだけではなく、話を引き出す重要性を改めて感じました。心理的安全性にもつながる内容だとも感じました。


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    2025年03月26日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    このところオンラインカジノが大きな話題となり、その利用者は国内337万人に推計されると報道されました。
    私自身、一番くじや宝くじは時々楽しみますが、オンラインカジノの広告なんて目にしたことはありません。損するとわかっているのに、なぜ手を出してしまうのか?
    そんなことを考えていた矢先に書店で本書を見つけ、興味深く読みました。

    幸いといっていいでしょうが、私の周りに「ギャンブル脳」はいません。
    ですので、本書で赤裸々に語られる患者とその家族の地獄の様相には言葉も出ませんでした。
    特に、ギャンブルをやめられない息子に悩む母親から「『ギャンブルをやめて』と遺書を書いて私が首を吊ったらやめてくれますか

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    2025年03月15日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    はっきりしないものを、簡素化して解決した気になっている。そっち方が楽だからだ。
    普段の自分の行いについて、思い当たるところはある。
    この本を読んだことをきっかけに、今後は自分に問いかけてみようと思う。それは逃げるためのラベリングやフレーミングではないか?と。

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    2025年03月02日
  • ヒトラーの防具(上)

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    久しぶりに再読してみた。
    第二次世界大戦直前から突入に至る期間。ドイツがナチスにより方向を間違え突き進んだ期間である。
    同じ轍を日本が辿っていくと言うのが悲しい。
    個を大事にするドイツ人ですらこんなに流されていくのだ。
    我が身に置き換えればなす術もないのか。
    匿ったユダヤ人女性はこれからどうなるのであろかかよ

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    2025年02月17日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    「どうにも答えが出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」
    「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」

    本文の中で書かれているネガティブ・ケイパビリティの定義は前述の通り。

    詩人・キーツが兄弟への手紙に書いた「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念を、精神分析医・ビオンが取り上げ、「記憶も欲望も理解も捨てて、初めて行き着ける」と言ったそうだ。
    キーツが述べた「ネガティブ・ケイパビリティ」は、シェイクスピアの作品の根底にあるものとして捉えられた。
    シェイクスピアの作新は、この世界にある複雑なものを、複雑なまま取り上げて組み立てている。
    ものごと

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    2025年02月10日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    僕がスマホゲームの株を買わない理由がコレ。子供の脳に過度な射幸心を刻む犯罪だと思っているから。病的なギャンブルの仕組みはこの一冊でよく分かる。お金、女、ギャンブル、この3つに問題のある人とは関わらないようにしてるけど、帚木先生はこれをフィールドワークにしていると知りホントに凄い人だなとおもう。

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    2025年02月06日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    このネガティヴ・ケイパビリティと言うものは、元々和を以て尊しとなすという精神を受け継いできた日本人が持っていたものではないかなと感じた。
    その良くない面も勿論あるのだけれど。
    でも近年の効率よく安易にに対立軸を作り、簡単に白黒つけようとする傾向は、日本人という国民性の良くも悪くも変化を感じさせる。
    芸術の分野でも、間や余白に美や意味を感じる日本的な感覚が、変わってきているのも同じ。
    曖昧な状態を受け止める余裕が、今を生きる我々にはないのだと、考えさせられた。

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    2025年01月30日
  • ギャンブル脳(新潮新書)

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    アルコールもギャンブルも、この国では身近ですよね。

    一度はまると、なかなか抜け出せない怖さ…
    人生が破壊されてもはまる威力があるものがいつでも出来ることを考えると頭が痛くなります。

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    2025年01月29日
  • インターセックス

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    今まで男女の二分でしか見てなかった世界が拡がりました。
    どちらかに寄せる手術がよいのでは、と最初は考えてましたが、読み進むうち、そうでない選択もあり、それがよいのだと考えが変わりました。

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    2025年01月17日
  • 聖灰の暗号(下)

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    須貝らによって発見されたレイモン・マルティの手稿が圧巻だった

     〜生きた人が焼かれるのを見たからだ
     焼かれる人の祈りを聞いたからだ
     煙として立ち昇る人の匂いをかいだからだ
     灰の上をかすめる風の温もりを感じたからだ〜

    神を仰ぎ、慎ましく、嘘をつかず静かに暮らしてきた人びとがなぜ聖職者により、残酷な火刑に処されることになったのか?
    宗教や信仰が悪いわけではない…
    カタリ派の一掃はフランス王にとっては南仏への領土拡大、教皇にとっては異端排除…
    それぞれの思惑が一致したのだ
    結局は人間の欲だ…
    深く心に残る作品になった
    須貝とクリスチーヌの❤はやはりお約束だったが…(笑)

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    2025年01月08日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    紫式部物語を読みながら、源氏物語を読む。
    贅沢な作品。

    源氏物語がいかにして出来たのか。
    古今和歌集や蜻蛉日記、白氏文集、長恨歌………もう全然知識が足りないな(笑)

    誠に人の世は、野分や雲、雨と同じで、人の手ではどうにも動かせない。その摂理の下で、翻弄され続けるのだ。

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    2024年12月11日
  • 三たびの海峡

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    吉川英治文学新人賞

    最近、日本の植民地支配はいいことしかなかった、大東亜共栄圏はアジアの人たちを欧米列強の支配から解放してあげたから感謝された。などなど真顔で言う人の話を聞いたが、その人に読んでもらいたい。でも、全部作り話だと言うだろうけど。
    いくら戦争中とはいえ、人間とは思えない鬼畜のような日本人、そして日本人に取り入り、同胞をいたぶる朝鮮人に怒りを覚えるが、その中でもまともな日本人もいるのを知って少し安心した。しかし、戦後も、戦中にこのような悪行を働いていたにもかかわらず、何食わぬ顔で成功していた人物も多いんだろう。

    次が気になり、速攻で読み終えたけど、最後が納得できない終わり方だった

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    2024年12月03日
  • 閉鎖病棟

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    1995年第8回山本周五郎賞受賞作

    帚木氏は、小説家で精神科医でもあります
    精神病院の施錠を必要とする病棟
    その中で今を生きる患者達を淡々と描きます
    患者達それぞれに過去があり、家族と過ごしたこともある
    そこから切り離された日常を寄り添いながら生きている彼らにも 感情があり希望がある
    病院の内側から語られていきます

    山本周五郎の「季節のない街」を 思い出しながら読みました
    語り口、社会から取り残されたような世界観
    山本周五郎賞に相応しい作品でした

    しかーし、面白く読み切れるかというとちょっと辛いんですね
    患者の群像劇(正しいわからないけど)で、
    それぞれの病気と性格を把握していくのが

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    2024年12月01日
  • 閉鎖病棟

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    ネタバレ

    三人のショートストーリーから始まり、これ短編集?その割には尻切れみたいな終わり方だなぁと思っていたら、突然本章となり、一つの病棟の朝の描写から始まった。すでに異常な行動が書きだされ、ああ、閉鎖病棟=精神病院(旧)の話だと理解する。
    それぞれに様々な症状の患者がおり、その中でも日常生活をまともに過ごす何人かが中心となり、しかしそのまともな人もまともじゃなかった過去がある。今ではだいぶんとケアの仕方も変わっているんだろうけど、当時はまさにこの小説の世界そのものだった。一人一人を丁寧に描かれており、読んでいくうちに誰もが愛おしく感じられるが、後半に入ると息も詰まるような事件が発生し、ああ、冒頭の話が

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    2024年11月04日
  • 白い夏の墓標

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    ウィルス研究者のかつての同僚の過去を知り、米国の細菌兵器の研究をしていたことを知る。どんでん返しはないが、同僚の生い立ちや心理描写が良かった。

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    2024年10月29日
  • 閉鎖病棟

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    精神病院での日常と、患者たちの過去が描かれている作品。昔は特に精神病への差別も今より酷かったろうし理解も薄かったはず。そんな中明るく生きる人達の模様と結末に心がジーンとした。

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    2024年10月06日