帚木蓬生のレビュー一覧
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ネガティブケイパビリティとは、元々は詩人がシェイクスピアの創作活動から抽出したものだった。
タイトルの通り
ネガティブケイパビリティとは、
答えの出ない事態に、耐える力
なんとか持ち堪える力
のこと
多くの症例や
戦時中の遺書や歴史
源氏物語
教育現場等を例に引きながら
ネガティブケイパビリティを説明する
胆力
とも言えるかもしれない。
答えを急がず、
投げやりにならず、
簡単にキレず、
諦めず、
持ち堪える力
これは、親切、共感の土台にもなるとのこと。
非存在の存在
言語以前の感覚
これは、
中原中也の言うところの「名辞以前」のことのような気がする
ここに止まり続けること。
そこから何かが立ち上がってくるのを待つこと。
自分自身、結構すぐ投げ出しがちなのでネガティブケイパビリティ身に付けたい。 -
Posted by ブクログ
上司のおすすめで、貸してもらって読んだ。
10人のお医者さんが出てくる短編集。
最初の2作品までは、うーん、いまいち印象に残らないかもしれない…と思いながら読んだが、3つ目の「雨に濡れて」(乳がんと闘いながら医者を続ける内科医の女性のお話)から印象が変わった。
物語の展開や起伏は少ないが、しみじみと良いお医者さんの良いお話だなあと感じられる。あとがきに記載の通り、名医でも悪医でもない「普通の名医」のお話。
「顔」(顔の真ん中に穴が空いた女性のお話)と「アヒルおばさん」(腟内異物を10年以上放置した女性のお話)は、テーマが衝撃的過ぎて、印象に残った。 -
Posted by ブクログ
取り組んでいることがなかなか結果が出なかったり、思う方向に行かなくて焦りやフラストレーションを感じていた時にふと手に取った本。
もっと「ネガティヴ・ケイパビリティとは何か」を説明する新書のようなものをイメージしていたが、精神科医で作家の筆者らしく、医学生・医師時代のエピソードや、詩人ジョン・キーツや紫式部といった作家のエピソードを交えながら、ネガティヴ・ケイパビリティの輪郭をなぞり出していくような本だった。
どうすれば曖昧さを受け入れ、ネガティヴ・ケイパビリティを身につけられるかというハウツーは述べられていない。それでも結局は親切や共感といったヒューマニティが根幹にあるというメッセージが今の私にはすとんと腹落ちし、まずは人に親切にしたり共感できるための心の余裕を整えることが大事なのかな?と納得することができた。
折に触れて読み返したい一冊。
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『ネガティブ・ケイパビリティ』を読み、「答えを急がないこと」の大切さについて深く考えさせられた。
現代はすぐに答えや解決を求めがちだが、本書では、あえて「わからないままにしておく力」が人にとって重要だと説かれている。特に、精神科医の役割としての「共感」や「寄り添い」は、問題を解決すること以上に価値があると感じた。
また、ポジティブ思考が常に良いわけではなく、無理に前向きになろうとすることで苦しくなることもあるという視点には強く共感した。ネガティブな感情を排除するのではなく、そのまま抱えることが必要な場面もあるのだと思う。
さらに、音楽や絵のように言葉にできない理解や、人生の終末期における後悔の話も印象に残った。すぐに答えを出せない問題とどう向き合うかは、日々の生き方にもつながるテーマだと感じた。
「解決しないこと」に意味がある——そんな新しい視点を得られる一冊だった。
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仙台の大学に在学中、机を並べた親友・黒田はアメリカへ留学するも、留学先で事故死したと知らされた佐伯
と思っていたら、パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議にて見知らぬ老紳士から、黒田はフランスで自殺したと告げられる
黒田の死の謎に迫るサスペンスやミステリー、死のトリックどうこうというよりも
黒田の、細菌学者としての理想と苦悩を、良心の呵責を、人となりを、黒田の過去を辿り、時には踏み込まなくていいとこまで踏み込んじゃって後悔しながらも、佐伯はひとつひとつ知っていく
黒田の過去と、過去に裏打ちされた生き様とに触れ、一度は切れてしまった黒田との糸を手繰り寄せる
テーマがテーマだから、すごく専門的な用語が多いのは確か
難しいことを難しく書くのは簡単だけど、この本は不思議と読みやすい
そこも素晴らしい
章立てがウィルスに関する用語になっていて、この物語と共鳴しているのも良いなと思う
最後は大どんでん返しで、自分としては救われた気がした
あと、仙台ヴァイラスというウィルス、実在するらしい!
それにも驚いた!
↓↓ちょっとネタバレ↓↓
友達が密かに国境を越えれるか賭けをしてて、自分は越えれるに賭けていて、成功させたいからアドバイスして、っていう手紙を、ジゼルが伯父(養父)に送り、それに対して詳細な返事が届くくだり
やっぱりわかってたんやな、と思った
気づけていない伏線も、まだたくさんあるのかもしれない
人を思う気持ちと、そのために何かに背く行動は表裏一体なのかも -
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ネタバレ内容的にも物量的にも重い本だったけど、おもしろかった。
全体的に明るいよりは暗めな雰囲気の作品。
景色や心情描写は細かく綺麗で想像もしやすい。
新人看護師が勤め始めた病院で無脳症児を飼育して金儲けをする裏の動きに気づいてしまう。
親友とその病院の医師と謎を暴こうとするが2人は不審な死をとげ、主人公が解決に奔走する。
医療関係の知識は無いに等しいけど、無脳症の子供を「生」すらない、物体のように扱うのか、母のお腹に宿った時点で「生」が始まり人間として扱われるべきなのか、倫理観的には後者だけど間島看護婦の言うように前者と捉え他の患者の治療に役立てるのもそれもまた一つの理想なのかなと思ったり。
藤野茂の役柄が頼もしすぎた。 -
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『エンブリオ』の続編。
天才だがサイコパス的な岸川先生は、前作では圧倒的な存在感だった。
しかし本書では秋野先生という才色兼備で患者に寄り添うスーパードクターの登場によって、岸川の異常な才能や性格がやや薄まった印象。
秋野先生には岸川の罪を究明してほしい気もするし、してほしくない気もして、ドキドキして一気読みしてしまった。
また、インターセックスの患者を取り巻く現状が描かれており、その点は非常に勉強になる。
医療はマイノリティを排除する側面があるという考えにはなるほどと思わされたが、どんな状況でも人工中絶は悪だとする秋野先生の信念には、正直なところ全面的には共感できない。
ラストでは秋野先生の境遇が明かされて驚かされると同時に、男女という枠ではなく人間として捉える視点は、とても良い考え方だと感じた。
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Posted by ブクログ
患者のためなら何をしても正義なのか。
上巻では、岸川先生は倫理的な問題を抱えつつも患者思いの名医という印象が強かった。
だが下巻に入ると、そのイメージは一変する。続きが気になって読む手が止まらなかった。
表向きは人格者で、誰もが惚れ込むほどの医療を提供する天才。
しかし裏では、自分にとって都合の悪い人間に対して冷酷で、罪悪感というものがまるでない。
全ては自分が正しいという確信のもとに行動しており、その姿はかなりのサイコパスだと思う。
善と悪が混在している人物だが、もし自分が患者の立場だったなら、きっと彼のことを神様みたいに感じてしまうのだろうなあと思った。 -
Posted by ブクログ
不妊治療や流産・死産の経験がある人には、読むのが辛いかもしれない。
ショッキングな描写もあるが、残酷さを強調するのではなく淡々と書かれていて、その発想に驚かされる。
いくつかの症例が登場する中で、とりわけ印象に残るのは、亡くなった女性の卵子を人工授精させ、男性の腹部へ移植するというケース。
倫理的には完全にアウトで、世間から強く批判される類の治療だが、それでも医師の姿勢には揺さぶられるものがある。
患者に寄り添い、未来の医療を見据えるその信念を前にすると、本当に「なぜいけないのか」「倫理とは何か」と考えさせられる内容だった。
下巻の展開が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
今この概念を知れたことは恐らく私の財産になるだろうと思った。
箒木さんご本人の専攻(?)もあると思うけど、源氏物語のくだりが長かったのはちょっとこたえた、、笑
ただ言語や宗教が違えどヒューマニティというのが根本的にあるもので、それを根拠よく育てて行くことの大切さはよく理解できた。
現代社会において「ネガティブ・ケイパビリティ」という力を育てるのは、これからを生き抜く私たちには本当に大切なことだと感じている。
ネガティブケイパビリティという概念を知ったことで、何かあった時に焦ったり取り乱したりせず、一呼吸の余裕が生まれるんだろうと思う。
それだけでもこの本を読んでよかったと思うし、たとえば今後、パートナーとぶつかることがあったり、自分に子供ができて課題にぶち当たったり、そういった時にこの「ネガティブ・ケイパビリティ」を思い出すことになると思う。
違いを楽しめる、喜べる人になりたいと常々思っているので、大切な一冊になりそう。