帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
仙台の大学に在学中、机を並べた親友・黒田はアメリカへ留学するも、留学先で事故死したと知らされた佐伯
と思っていたら、パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議にて見知らぬ老紳士から、黒田はフランスで自殺したと告げられる
黒田の死の謎に迫るサスペンスやミステリー、死のトリックどうこうというよりも
黒田の、細菌学者としての理想と苦悩を、良心の呵責を、人となりを、黒田の過去を辿り、時には踏み込まなくていいとこまで踏み込んじゃって後悔しながらも、佐伯はひとつひとつ知っていく
黒田の過去と、過去に裏打ちされた生き様とに触れ、一度は切れてしまった黒田との糸を手繰り寄せる
テーマがテーマだから、すごく専門的な用 -
Posted by ブクログ
ネタバレ内容的にも物量的にも重い本だったけど、おもしろかった。
全体的に明るいよりは暗めな雰囲気の作品。
景色や心情描写は細かく綺麗で想像もしやすい。
新人看護師が勤め始めた病院で無脳症児を飼育して金儲けをする裏の動きに気づいてしまう。
親友とその病院の医師と謎を暴こうとするが2人は不審な死をとげ、主人公が解決に奔走する。
医療関係の知識は無いに等しいけど、無脳症の子供を「生」すらない、物体のように扱うのか、母のお腹に宿った時点で「生」が始まり人間として扱われるべきなのか、倫理観的には後者だけど間島看護婦の言うように前者と捉え他の患者の治療に役立てるのもそれもまた一つの理想なのかなと思ったり。
藤 -
Posted by ブクログ
『エンブリオ』の続編。
天才だがサイコパス的な岸川先生は、前作では圧倒的な存在感だった。
しかし本書では秋野先生という才色兼備で患者に寄り添うスーパードクターの登場によって、岸川の異常な才能や性格がやや薄まった印象。
秋野先生には岸川の罪を究明してほしい気もするし、してほしくない気もして、ドキドキして一気読みしてしまった。
また、インターセックスの患者を取り巻く現状が描かれており、その点は非常に勉強になる。
医療はマイノリティを排除する側面があるという考えにはなるほどと思わされたが、どんな状況でも人工中絶は悪だとする秋野先生の信念には、正直なところ全面的には共感できない。
ラストでは秋野先生 -
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患者のためなら何をしても正義なのか。
上巻では、岸川先生は倫理的な問題を抱えつつも患者思いの名医という印象が強かった。
だが下巻に入ると、そのイメージは一変する。続きが気になって読む手が止まらなかった。
表向きは人格者で、誰もが惚れ込むほどの医療を提供する天才。
しかし裏では、自分にとって都合の悪い人間に対して冷酷で、罪悪感というものがまるでない。
全ては自分が正しいという確信のもとに行動しており、その姿はかなりのサイコパスだと思う。
善と悪が混在している人物だが、もし自分が患者の立場だったなら、きっと彼のことを神様みたいに感じてしまうのだろうなあと思った。 -
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不妊治療や流産・死産の経験がある人には、読むのが辛いかもしれない。
ショッキングな描写もあるが、残酷さを強調するのではなく淡々と書かれていて、その発想に驚かされる。
いくつかの症例が登場する中で、とりわけ印象に残るのは、亡くなった女性の卵子を人工授精させ、男性の腹部へ移植するというケース。
倫理的には完全にアウトで、世間から強く批判される類の治療だが、それでも医師の姿勢には揺さぶられるものがある。
患者に寄り添い、未来の医療を見据えるその信念を前にすると、本当に「なぜいけないのか」「倫理とは何か」と考えさせられる内容だった。
下巻の展開が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
今この概念を知れたことは恐らく私の財産になるだろうと思った。
箒木さんご本人の専攻(?)もあると思うけど、源氏物語のくだりが長かったのはちょっとこたえた、、笑
ただ言語や宗教が違えどヒューマニティというのが根本的にあるもので、それを根拠よく育てて行くことの大切さはよく理解できた。
現代社会において「ネガティブ・ケイパビリティ」という力を育てるのは、これからを生き抜く私たちには本当に大切なことだと感じている。
ネガティブケイパビリティという概念を知ったことで、何かあった時に焦ったり取り乱したりせず、一呼吸の余裕が生まれるんだろうと思う。
それだけでもこの本を読んでよかったと思うし、たとえ -
Posted by ブクログ
この手の医療倫理モノって今となっては多数存在するのだけれど、40年以上前に発表され、今もってまったく古さを感じさせないというのは凄い。そして、書いたのが帚木さんというところに、本の説得力がある。
センダイ・ヴァイラスを発見、研究していた黒田氏がアメリカにヘッドハンティングされ、そのままアメリカで亡くなったと聞かされていたにもかかわらずフランスに手がかりが……という国際色溢れる作品。さすが、医学は国境を越える。
純粋なサスペンスとして、黒田の”死”の真相や、登場人物の関係性が徐々に明らかになっていくのは面白い。本当に、古さを感じない作品。
あと、センダイウイルスが実在することにも驚いた。完全に創 -
Posted by ブクログ
舞台は1900年のパリ。1900年のパリ、と聞いても歴史に弱い私はそれがどういう時期だったのか、すぐに分かりませんでした。確かフランス革命って18世紀末だよな。じゃあそれから100年後くらいか。ふむふむ、パリ万博。おっ、これはなんか聞いたことあるぞ。ドレフュス事件……? うっ、こっちもなんか聞いたことはあるけど……、ほうほう、こんな事件だったのか。と正直そのくらいの知識で読みはじめたのですが、著者の紡ぐ丁寧な描写のおかげもあって、気付けば、心は1900年のパリにいました。
日本の芸術品に強い興味を持つ精神科医のラゼーグを語り手に、謎めいた日本人女性である音奴との出会い、そしてラゼーグに会