帚木蓬生のレビュー一覧
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小説でなければ書けなかった医療現場の飽くなき探究心、生命誕生にどこまで人為的な行動が許されるか?そして日本の医療の法的規制のない事実。倫理とか常識とかいった心情に訴えるだけで、現実として未出生になる胎児は、年間出生胎児とほぼ同数か倍数に百万から二十万という事実。特に医学・医療が延命に対して先端医療が認められるのならば、生命誕生にはどうななのか?という課題を衝き付ける13章は読ませる。
山中教授のノーベル賞受賞報道の頃に本書の紹介文があり知りました。子孫を残していくという本能に近い部分と、それが叶わなかった人にも機会を、ここではips細胞発見まえだったので、血縁ある胎児細胞を移植に利用すると -
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この国がどうして〈アフリカの蹄〉と言うのか教えてやろうか。白人が我々黒人を蹄で蹴散らし、踏みにじっている場所だからだー。
アパルトヘイト政策のもと、人種差別が激烈であった南アフリカ共和国が舞台のモデルとなっている。
根絶したはずの天然痘が、爆発的な勢いで黒人の子供達に蔓延した。白人の子供達には被害は無く、黒人の子供達だけが毎日多く命を落とす。この不可解な出来事と相重なって衛生局は病人を隔離し、病の拡散を防ぐことを謳い黒人達を黒人居住区へ追いやる。この国の白人は、古くからこの地で暮らしていた黒人を排斥して白人だけの国家を築くことを強く願っていた。一連の出来事は何者かの陰謀なのか?
心臓外科を学 -
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「千日紅」という文字に惹かれて手に取った一冊。
九州を舞台に、バツ2で40歳間近の時子の日常生活を中心としたお話。
ホームヘルパーとして、父の形見であるアパート「扇荘」の管理人として毎日を送っていますが、仕事を仕事と割り切らず、所々に感じる彼女の人の良さがとても自然で素敵でした。
扇荘に一人の青年・有馬が現れたことから、少しずつ時子の生活が華やいでいきますが、終始ゆったりとした話です。
鵜飼いや棚田など、田舎の描写が綺麗で、目に浮かぶようでした。
ベトナムのサイゴンへも行ってみたくなりました。
始めは途中で飽きてしまうかもと思ったけれど、たまにはこんな大人の恋愛も良いなぁと思える作品でし -
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東西の壁が崩壊したベルリンで、「贈ヒトラー閣下」と書かれた剣道の防具が発見された事実から描かれた作品。
ナチス政権下のベルリンに武官補佐官として派遣された日独混血の青年将校の苦悩と数奇な運命。回復の見込みのない精神病者の処分、ユダヤ人弾圧、ヒトラー・ナチスの外交戦略に惑わされる日本軍部の定見のなさが冷静な日本青年の目を通して描かれる。ナチスを通して更にその上を行く無定見な日本をも描いている。
結末は少しどうかなとも思ったが、全体としてはすばらしい作品。
視点としては戦争末期、朝鮮人の九州炭鉱への強制連行を朝鮮人の視点で描いた「三たびの海峡」と同じ目線。
作者が精神科医として、精神病院の入院患者 -
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なるほど。こちらを先に読んでいれば、『インターセックス』で一部なぞとなっている部分は、なぞでも何でも無かったのですね。
知らずに逆の順序で読んだことで、実は『インターセックス』をちょっと多めに楽しむ事が出来たのかもしれませんし、こちらで岸川の性格、やり方が分かっていたら違った視点から読めたのかもと。。。
しかし、驚いたのは、年間に生まれる子供と堕胎される子供の数が同じくらいであること。もしかして少子化の原因には堕胎のリスクが昔よりも少なくなり、一昔前なら生まれたかもしれない命が、避妊意外にもこういった方法で盛んにBirth Controlが行えてしまっていることも含まれるのではと邪推せずには入 -
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(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
(下)
ついに工事が始まった。
大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。
苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑 -
Posted by ブクログ
(上)
目の前を悠然と流れる筑後川。
だが台地に住む百姓にその恵みは届かず、人力で愚直に汲み続けるしかない。
助左衛門は歳月をかけて地形を足で確かめながら、この大河を堰止め、稲田の渇水に苦しむ村に水を分配する大工事を構想した。
その案に、類似した事情を抱える四ヵ村の庄屋たちも同心する。
彼ら五庄屋の悲願は、久留米藩と周囲の村々に容れられるのか―。
新田次郎文学賞受賞作。
(下)
ついに工事が始まった。
大石を沈めては堰を作り、水路を切りひらいてゆく。
百姓たちは汗水を拭う暇もなく働いた。
「水が来たぞ」。
苦難の果てに叫び声は上がった。
子々孫々にまで筑