帚木蓬生のレビュー一覧

  • アフリカの瞳

    Posted by ブクログ

    いや、おもしろかった。HIV薬害(と呼んでいいと思う)について内面から真っ向固く書き連ねているにもかかわらず、ストーリー展開もキャラ立ちも極上の筆力でああっという間に読める。私はまだ前作「アフリカの蹄」を読んでいないのだが、ぜひとも読まなければ、という気にさせられた。
    それにしてもキャラたちのすべて魅力的なことよ! 悪者がまったく出てこない(出てきてもそれは深く書かれない)のは物足りない気もするが、テーマがはっきり浮かび上がって、むしろマンガ的にはしない、読者に「こう感じて欲しい」という作者の狙いが前面に出ていて、ドキドキはするが、エンタティンメントというよりは実録ものをどう面白く読んでもらえるか、作戦勝ちなのだろう。
    前半もおもしろく読めたが、後半のスピード感はまさに圧巻。展開としては特にひねったところはないだけに、本当に筆力の強大さなのだろう。

    0
    2010年02月04日
  • 聖灰の暗号(上)

    Posted by ブクログ

    フランスに留学中の主人公の研究発表を機に引き起こった殺人事件。
    南フランスにおけるカタリ派の弾圧を中心に読み解いていく、歴史ミステリーです。
    セリフの随所に聖書からの引用があり、その辺りがうっとおしい方もおられるかもしれませんが、話の展開はテンポよく、ダレたところは感じませんでした。。
    フランスの郷土料理のレシピや景色の描写など、あまりメジャーでない南フランスの情景に筆者のフランスへの思い入れが伺え、その辺りも楽しく読めました。

    0
    2010年01月31日
  • アフリカの瞳

    Posted by ブクログ

    南アフリカ共和国らしき国のエイズ感染者を救おうとする日本人医師のお話、不正をただし悪を許さない姿は現代のヒローなのか。家族を巻き込んでのエイズに絡む事件の告発は危険だった。結果は万々歳で世界を大きく動かすほどの展開になる。アフリカのエイズの現状を知る上では参考になる本だ。

    0
    2013年11月20日
  • ヒトラーの防具(下)

    Posted by ブクログ

    半年近く前に上巻は読み終えていたのだが、だいぶ間が空いてしまった。

    上巻をもう一度読み直さないとダメか…と思ったが、いきなり読み進めることが出来た。おそらく自分が思っていた以上に、人物の設定・ストーリーの展開などが、自身の記憶には印象的だったのだと思う。

    後半の展開は、文章に余韻がありすぎて(NANAのいつも巻頭に書かれるようなセリフ口調を思い浮かべてもらうと良い)先の展開が、読めすぎてしまった。

    最後のオチもなんかスッキリしなかったので、星4つ。上巻の方が引き込まれた、。それだけ新鮮だったのだろう。

    ヒトラーの防具は実在しているというのが驚き。そして、それは今現在、日本にあるらしい。見たからどう…ってわけでもないが、機会があれば、それを見てみたいと思った。そして、いつか友人が推すドイツにもこんな視点を持って行ってみたい。

    0
    2010年01月08日
  • 聖灰の暗号(下)

    Posted by ブクログ

    『聖灰の暗号(下)』(帚木蓬生、2010年、新潮文庫 )

    キリスト教がテーマ、謎解き、謎解きと並行して起こる殺人事件。小説の設定としては『ダヴィンチ・コード』と似てます。

    『聖灰の暗号』では、中世にローマカトリック教会から異端とされたカタリ派に関する世紀の大発見をした日本人歴史学者スガイとフランス人医師らとともに、物語が進んでいきます。

    謎解きが進むにつれ、追手がいることが明らかに。それはスガイの発見を阻害しようとします。それがため、殺人事件にまで発展してしまいます。

    追手が迫るなか、スガイらは謎解きと完成することができるのか。

    (2009年12月31日)

    0
    2010年01月04日
  • 聖灰の暗号(上)

    Posted by ブクログ

    『聖灰の暗号(上)』(帚木蓬生、2010年、新潮文庫 )

    キリスト教がテーマ、謎解き、謎解きと並行して起こる殺人事件。小説の設定としては『ダヴィンチ・コード』と似てます。

    『聖灰の暗号』では、中世にローマカトリック教会から異端とされたカタリ派に関する世紀の大発見をした日本人歴史学者スガイとフランス人医師らとともに、物語が進んでいきます。

    謎解きが進むにつれ、追手がいることが明らかに。それはスガイの発見を阻害しようとします。それがため、殺人事件にまで発展してしまいます。

    追手が迫るなか、スガイらは謎解きと完成することができるのか。

    (2009年12月27日)

    0
    2010年01月04日
  • エンブリオ 下

    Posted by ブクログ

    インターセックスから読んでしまったので、スターウォーズ的な感じになりました。

    岸川の技術で人生が救われる人もいれば、簡単に命をとられてしまう胎児。

    これは簡単に善悪の判断ができないなーと思った。僕の意見は学会に来ていた日本人の医師たちに似ていると思った。倫理とかを話合うべきなのではと。

    まだ子供を持ちたいと思ったことないし、身近に想像できないガキだからそう思うのかな。身近な問題の人にとって話合いなんて待ってられないだろうな。

    親と見ていたテレビの番組で、先天的な治療しないと命にかかわる難病にかかった幼児が、痛みで泣きじゃくっている姿を見た自分の親が、

    「あんなに苦しい思いをさせるくらいなら、寿命だと思った方がいいんじゃないか」

    俺がもしそうだったら簡単に見捨てるのかな~と思ってしまった。

    悲しくなったからこの問題を自分の中でどう解釈すればいいのか余計わからなくなった。

    みんながどう感じているのか話し合ってみたい、そんな気持ちにさせてくれる本でした。

    0
    2010年01月15日
  • 安楽病棟

    Posted by ブクログ

    1年前に買ってようやく読み終えた。
    『閉鎖病棟』に衝撃を受けた帚木さんの作品。
    「脳死は人の死か」という脳死移植問題や、
    「尊厳死」「意志表示」というターミナルケアの問題。
    10年も前の作品だけど、今読んでもまったく古いと感じない。
    IT環境はこの10年でものすごい進歩したけど、
    終末期ケアの在り方は今だ議論が進んでいないんだと実感。
    それだけ、「人の死」というのは結論を出すのが難しいテーマなんだと思う。
    学生時代に読んでおきたかったなあ。

    0
    2009年12月26日
  • 千日紅の恋人

    Posted by ブクログ

    宗像時子は父が遺した古アパート、扇荘の管理人をしている。扇荘には様々な事情を抱えた人たちが住んでおり、彼女はときに厳しく、ときには優しく、彼らと接していた。ある日、新たな入居者が現れた。その名は有馬生馬。ちょっと古風な好青年だった。二度の辛い別離を経験し、恋をあきらめていた時子は、有馬のまっすぐな性格にひかれてゆく。暖かで、どこか懐かしい恋愛長篇。

    登場人物が魅力的で、ほんわかしてて好み

    0
    2009年11月02日
  • 逃亡(上)

    Posted by ブクログ

    太平洋戦争終結後、中国戦線から帰国するが、戦犯に問われる恐れから逃亡する物語。
    当時は、身に覚えのない人々も戦犯にされ、処刑されたり巣鴨刑務所に拘置された人々が多くいたのでしょうね。

    0
    2009年10月24日
  • アフリカの蹄

    Posted by ブクログ

    「アフリカの蹄」の12年前のお話。シンやパメラの出会いや若き日々を知ることができた。天網恢恢疎として漏らさず、に尽きると思った。そこまで動かす、人種差別というものは何なのだろうか。感染してしまった小さな子供を抱きながら、何もできずに諦めて呆然としている母親…というのを思っただけで、胸どころではなくお腹まで深くえぐられるような、突き刺さった思いがした。

    0
    2009年10月15日
  • エンブリオ 下

    Posted by ブクログ

    下巻に入ると、モナコ学会での成功に目をつけたアメリカの企業からの魔の手が伸びてくるなどして事件が多発。テンポもあがって一気読みです。主人公・岸川院長の考えは全くぶれず、基本的に「患者のため」「患者の要望を叶える」。その姿勢は正しいが、「患者のため」を理由に何をしてもいいのかというと、当然そんなことはない。岸川院長の評価が難しいのは、通常の小説やドラマなら、悪役の医者は自分の利権(主にお金、名誉)を追い求めるので分かりやすいのだが、岸川院長は単純な利権にしがみついているわけではないところだ。上巻からずっと主人公視点で書かれているのでずっと読んでいると、正しいことをしているような感覚になる。やはり岸川院長は神に近づきすぎたのではないだろうか。やっていることは明らかに人間の領分を超えていると思う。実際の産婦人科医学がどの程度なのか知らないが、もしかしたら大部分は夢や想像の世界ではなく、この本に書かれているようなことが現実に実現しているのかもしれない。そう思うと恐ろしくもあり、ひとりひとりが考えておく課題のような気がする。

    0
    2011年08月06日
  • エンブリオ 上

    Posted by ブクログ

    天才医師といえば外科医のイメージが強いが、この本の主人公・産婦人科医の岸川はまさに天才。天才ゆえの倫理を無視した医療の研究と実践の数々が、難しいことなのに分かりやすく描かれており、圧倒的に引き込まれる。岸川視点でひとつひとつの行動・言動についての経緯や考えがものすごく丁寧に書かれているおかげだと思う。上巻ではまだ大きな事件とか事故は起こっていないので、小説としての盛り上がりはないが、今後の展開に期待せずにはいられない。人工受精〜エンブリオ産業・・・人間にとって何が正しくてどう進むべきなのか? ある程度自分の考えをもちながら下巻も読み進めていきたいと思う。

    0
    2011年08月06日
  • エンブリオ 上

    Posted by ブクログ

    どこまでが真実なのでしょう?
    妊娠中なので、結構身近な問題にただ驚愕です!
    でも面白かったです。

    0
    2009年10月04日
  • 逃亡(上)

    Posted by ブクログ

    憲兵という主役には取り上げられない仕事についていた人間を主人公にした物語。
    長い話だが、そもそも対象となっている期間が昭和45年から47,8年ということと、適度に現在と過去がフラッシュバックする
    構成もあって、飽きることなく読み進められる。
    主人公は戦時における憲兵という仕事柄、非道なことにもかかわるが、実はそれを思い悩むことはあまりない。
    そこらへん作者が医者であるということもあるのだろう。作中にも出てくる事件で、遠藤周作は、主人公が悩んで悩んで悩みまくっちゃうという
    「海と毒薬」という傑作を書いているのが、本作はそこまでの高みに達していないというか、そもそもそれを目的にしていない。
    いずれにせよ第二次世界大戦時の憲兵や戦犯について入念なリサーチがなされたということが分かる良作である。

    0
    2009年10月04日
  • 臓器農場

    Posted by ブクログ

    倫理観、善悪、良心。
    判断の基準はとても曖昧で、恣意的だ。
    誰の立場で考えるかでも、判断は180度変わってしまう。

    とりあげるのは臓器移植。

    日本では、脳死の子どもの臓器移植は認められていない。法律で。
    脳死判定の基準ができて、脳死と判定されれば臓器移植のドナーとなることが認められた。法律で。

    じゃあ、無脳症児からの移植は?

    移植でしか助かる道のない子どもを助ける方法がある。
    脳死者からの臓器提供。
    無脳症児からの臓器提供。

    法律で認められている前者はセーフで、後者はアウト。
    その線引きの恣意的さ。

    ドナー側、患者側、どちらの立場で見るかによって、風景はころっと変わってしまう。

    脳死者は生きていないのか。
    無脳症児は生きているのか。
    生きているとは。


    法律は便利だ。
    どこにでも線を引いてしまえる。

    倫理観は、難しいかもしれない。
    どちらにも良いところと悪いところがあって、曖昧さとまっこう勝負しなくちゃいけない。

    線引きが必要なこともある。
    でも、相手を思いやる気持ちで、悩み迷いながら曖昧さと向き合うことも大切だと思った。
    難しいけど、簡単なほうに逃げずに立ち向かう勇気が必要だと思う。

    0
    2014年06月22日
  • エンブリオ 上

    Posted by ブクログ

    帚木さんっぽい作品。

    いま医療の様々な場面で取り上げられる難しい問題である、生命倫理。
    このことについて、色々考えさせられた。
    決して彼(主人公)の考え方が正しいと言うわけではないけれど、妙に納得させられたり。。。

    『反倫理とは反自然に他ならなく、自然でない行為が、倫理的でないと難詰される。
     では医学・医療とはなんなのか。
     人の死・病を回避する術だとすれば、それは反自然的行為であり、従って反倫理行為となってしまう。』

    医療に携わる者として1番心に残った場面。
    これから先色んな生命倫理の問題に直面するのだろう。
    そんな時、今はまだ自分の倫理観は確立していないけど、確実に影響を受ける1冊となるんだろうな。
    最後がいまいちだけど、難しい題材だけにしょうがないね。
    一気に読んでしまいました。

    0
    2009年10月04日
  • 千日紅の恋人

    Posted by ブクログ

    この著者には珍しく、普通の日常を描いたほっこりした小説。
    ハッピーエンドで良かった。
    けど、男性がちょっと素敵すぎる気も…

    0
    2009年10月04日
  • エンブリオ 上

    Posted by ブクログ

    上下巻で完結、なのに、
    「これはまだ序章じゃないのか?」と思わせます。
    ラストまで一気に盛り上がり、その頂点で終わる。
    も、もどかしい…!
    かといって続編は望みません。

    0
    2009年10月04日
  • エンブリオ 下

    Posted by ブクログ

    もし、全て医療とは自然の摂理に反する行為だと割り切ってしまうのであれば、そこに限界など存在しないことになる。
    しかし、仮に医療とは自然の摂理に反するものではないというのであれば、その根拠と限界を示さなければならない。それは非常に困難な作業だろう。ただ、その困難さを乗り越えないかぎり、最先端医学の暴走を止めることはできない。
    「暴走」と決めつけること自体、ひとつのとらわれた思考ではある。ただ、暴走でないと言い切る勇気は自分にはない。
    結論は見えない。考え続けることしか、今はできない。

    現代の最先端医療を舞台にした『ペスト』といったところか。

    最後のシーンは、作者のただものではない部分を思い知らされる。

    0
    2009年10月04日