帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
帚木さんっぽい作品。
いま医療の様々な場面で取り上げられる難しい問題である、生命倫理。
このことについて、色々考えさせられた。
決して彼(主人公)の考え方が正しいと言うわけではないけれど、妙に納得させられたり。。。
『反倫理とは反自然に他ならなく、自然でない行為が、倫理的でないと難詰される。
では医学・医療とはなんなのか。
人の死・病を回避する術だとすれば、それは反自然的行為であり、従って反倫理行為となってしまう。』
医療に携わる者として1番心に残った場面。
これから先色んな生命倫理の問題に直面するのだろう。
そんな時、今はまだ自分の倫理観は確立していないけど、確実に影響を受ける1冊 -
Posted by ブクログ
もし、全て医療とは自然の摂理に反する行為だと割り切ってしまうのであれば、そこに限界など存在しないことになる。
しかし、仮に医療とは自然の摂理に反するものではないというのであれば、その根拠と限界を示さなければならない。それは非常に困難な作業だろう。ただ、その困難さを乗り越えないかぎり、最先端医学の暴走を止めることはできない。
「暴走」と決めつけること自体、ひとつのとらわれた思考ではある。ただ、暴走でないと言い切る勇気は自分にはない。
結論は見えない。考え続けることしか、今はできない。
現代の最先端医療を舞台にした『ペスト』といったところか。
最後のシーンは、作者のただものではない部分を思い知 -
Posted by ブクログ
舞台は明らかに書かれていないが、南アフリカのアパルトヘイトについて書かれていることは誰もがわかることだろう。それにしても人種差別の凄さは恐ろしい。同じ人間であることをどうして忘れてしまうのだろうか。信じられない〜っていう思いだが、誰しも心の奥底に持っているものだと思う。自分を含めて同胞が1番だという自負。今でこそ南アフリカは改善されてきたが、いつまたどこで始まるかわからない。それほど人種が混ざり合ってきているからだ。本書でも医師として人間として巨大な敵に立ち向かう日本人医師の姿勢が素晴らしい。正義や平和の真の意義を全ての人が持っていたら平和な世界になるのに。