帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
容易に答えの出ない事態に耐えうる能力、ネガティブ・ケイパビリティ。
終末期医療で、患者が感じる死への不安は当たり前。正常な不安。
ポジティブ・ケイパビリティのみを身につけた医師は、何もすることがないと考える。
一方、ネガティブ・ケイパビリティを身につけた医師は宙ぶらりんな状況を持ちこたえる。患者と対峙する。患者や家族の気持ちを理解しようとする、心配を減らす。
教育においても、解決すること、答えを早く出すこと、それだけが能力ではない。
解決しなくても、訳が分からなくても、持ちこたえていく。
消極的に見えても、実際にはこの人生態度には大きなパワーが秘められている。
持ちこたえていくうちに、落ち着くところに落ち着き、解決していく。
私は、息子の感情が豊かすぎるところ、また気にくわないことがあるとパニックになって大声で泣き叫ぶのを目の当たりにし続けて疲れた。
早くお兄さんになってほしいと思ってしまっている。
そんなときこそネガティブ・ケイパビリティが役立つのかな、と思った。違うかな?
エッセイ的な箇所が多々あり、そこを削ってくれたらもっと読みやすいのにな、と思った。
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Posted by ブクログ
・仙台の北東大学でウイルス研究を行う佐伯は、パリで開かれた肝炎ウイルス国際会議に出席した際、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールという老紳士の訪問を受ける
・そこで、アメリカ留学中に交通事故死したとされていた、かつて仙台で共に研究を行っていた黒田が実はフランスで自殺したことを告げられる
・ベルナールから、スペイン国境近い南仏ウストに住むヴィヴという女性を訪れる様告げられ佐伯はそうするが、黒田の墓を世話するヴィヴとの出会いを通じて、黒田の死の真実が明らかになる
・仙台時代、ウイルスの結合研究成果を評価されてアメリカ軍の研究施設に招聘された黒田は、フランス/スペイン国境上にあるアンドラの研究所に押し込まれ、ウイルス兵器開発の為の研究を強いられる
・実験の為に集落一つ犠牲にする様な研究に耐えられなくなった黒田は、精神異常を装い、担当看護師であったヴィヴとフランスウストへの脱走を試みるが、国境近くで射殺されてしまう
・真実を知った佐伯は、黒田が現地で残した娘と会い彼女がフランスで力強く生きていることを知り日本に帰国。その後、ベルナールから手紙を受け取り、当時の研究所の所長であったベルナールがモンセギュールの城塞から黒田の死体を投げ落として自殺に見せかけたという告白を受ける
・黒田の意思を継ぎ研究に対する気持ちを新たにする佐伯に、余命短いベルナールから研究資金寄付の申し出があったところで物語は終わる
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・細菌学をテーマにしたサスペンス(?)の珍しさと、『白い夏の墓標』という興味を引くタイトル、芥川賞候補/店長一押し!/九大医学部x東大仏文科、という期待値を上げる帯紙で購入
・謎の死を遂げたかつてのライバル/同僚の軌跡を辿りながら、彼の背負った悲しい運命と、残されたものの哀しみと希望をしんみり描くという筋書きなので派手さは無い
・作品を終始覆っているもの悲しさ、寂しさは独特で、悲しい手記を読んでいる様な気分になる。何となくカズオイシグロの様な寂しさを思い出した
・ストーリー自体に斬新さは無いし、都合良く現れる紳士や、あまりにも詳細に書き込まれた黒田の手記など、少し冷めてしまう部分もあった
・が、作者の経歴と照らし合わせて、本当に彼が書きたいものを全力で書いたんだな、と思うと胸に迫るものがあった
・科学技術を駆使して経済/社会発展を目指すものの一人として、黒田の手記に記された以下の言葉は、心に深く残った
(この言葉の為にこの1冊があると言っても過言ではない)
「ウィルスもバクテリアも、それ自体は、ニュートラルな興味の対象でしかない。山と同様、究めつくすことに快感がある存在だろう。まっとうな科学も、逆立ちした科学も、それは同じことだ。/それでは研究者を、逆立ちした化学に向かう者と、まっとうな化学を目指す者に振り替えるものは一体何なのか。実は、何もない。未知のものを究めること自体が快感としてひとり歩きしはじめると、まっとうな科学も、いつのまにか逆立ちしてしまう。/ぼくたちがやっていることは確かに、逆立ちした科学だ。だが、もっと恐ろしいのは、まっとうだと思いこみ、また人からもそう信じられ、その実、逆立ちしている科学ではないのか。」 -
Posted by ブクログ
地下鉄サリンのみを取り上げているというより、真理教そのものに焦点を当てている。
医者である主人公視点で、その時、メディアではどのような取り上げ方をされていたのか、どのような流れから地下鉄サリン事件が起きたのかなど、一連の流れを全体像で知ることができた。
また、ただ淡々と一連の流れが書かれているのではなく、メンバーの生い立ちや、薬物が戦争ではどう使われてきたのか、そして、日本では他にどのような使われ方をしたのかまで深堀りされて書かれており、興味深く読み進めることができた。
物語として読みたい方には不向きだが、その当時何があったのかを知りたい方にはオススメできる小説だ。