帚木蓬生のレビュー一覧

  • エンブリオ 上

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    『さすが』の一言。
    この人の作品で、読み応えの無いもの、読んでて飽きてくるものってほとんど無いですよね。
    面白かった。個人的には産婦人科さんとは全く関係の無い生活をしているのに、こないだ知り合ったお医者さんに「え?、そっち関係の勉強してるの?」と言われるほど、知識だけはついてくる。

    で、知識だけの本かといえば全然そんなことも無い。終末医療、産婦人科業界そんな中に生きるのもやはりニンゲン。う〜ん、考えさせる一冊でした。

    それにしても、この人の本は京極なみに薀蓄が増えて本の面白さとは別に楽しいな〜。

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    2009年10月04日
  • 逃亡(上)

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    戦犯として追われる主人公の逃亡生活が、ちょっとした移動ですらも余さずにほとんどが描かれている。長い。がそれだけの価値はあると思う。

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    2009年10月04日
  • 空山

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     『空夜』の続編。とはいえ、前作が男女の情愛を緩やかに淡々と描いたのに比べ、今作はごみ処理問題をテーマに据えた社会派。社会派小説は好きなので、楽しむという意味ではいいのですが、前作は前作で、帚木蓬生の読みごたえある文章が気に入っていたので、なんとも複雑。

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    2009年10月04日
  • 国銅(上)

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    奈良の大仏を作る話な上にこの表紙、受けるイメージはかなり渋めなのだけれど、おもしろい。意外に読みやすい。「仏像」を全く違う視点から見るきっかけを与えてくれるような逸品です。

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    2009年10月04日
  • 安楽病棟

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    痴呆老人らをめぐる安楽死、尊厳死、終末医療が主題。
    よく書かれている時事社会小説。

    「全くぅ、まともに考えたらやってられないよなぁ、読むの辛いなぁ」と思わせつつ最後まで読ませる。

    色々な痴呆老人現れ、自分は果たしてどの型なんだろ、なんて身につまされる。「私に限って大丈夫」なんて思えるのは30代までの若者。中年でそう思える奴は馬鹿か「おめでたい」か、もう「痴呆」が始まっているか、だ。

    落ち込みかかっている人は絶対に読んではいけない。

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    2009年10月04日
  • 空山

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    「空夜」の続編で登場人物は同じです。しかし、内容が全く変わっており前作で準主役であった俊子が主役級になっています。
    前作は大人の恋愛小説でしたが、本作はゴミ問題・地域振興・政治問題の三点が書かれています。こう書くと非常に硬く難しい内容と敬遠されがちですが、さすが帚木蓬生。当然多少の専門用語も出てきますが難し過ぎず、かといって簡単過ぎず絶妙なバランスで書かれています。

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    2009年10月04日
  • カシスの舞い

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    帚木氏の作品は良い。全作通して貫いているヒューマニズムには本当に天晴れ!である。主人公は自分の地位を捨ててでも正しいことに向かう。その姿勢を読んでいると人間も捨てたもんじゃないんだなぁ〜とうれしい気持ちになってくる。それにしても・・・大学病院ってなんだか怖いなぁ〜。人体実験が必要なことは医学の向上のためにも必要なことなのはわかっているけれど、実際自分がやられたらね・・・。

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    2009年10月04日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    イギリスの詩人ジョン・キーツが、弟に当てた手紙の中で示した概念らしい(その手紙の文面自体は見当たらない)。「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」(p.3)
    精神科医でもある著者のもとにやってくる患者への接し方や、“プラセボ効果”や、シェイクスピアや源氏物語や、現代の教育現場(不登校など)や世界政治(難民の受入れや、トランプ政権の不寛容さ)へと話を展開する。自ら決定し、解決し、正解を導き出す能力・姿勢を訓練・試験され続けるのが現代社会だけれども、逆に「問題を問題として認識しつつ、解決を急がない」という能力・姿勢が、新しい発見や、問題の解消に役立つことも

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    2026年03月01日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    脳はすぐに分かりたがり、白黒つけたがり。とりあえず問題解決が早い人が評価されがち。だけど、世の中にはすぐには解決できない問題のほうが多くて、解決できなくてもなんとか抱えて持ち堪えていくってそれはひとつの大きな能力なんだよ。
    解説より歴史みたいな部分が長かった。もっと実践的なものを読みたい。

    悪く言えば先送り。積極的保留。
    すぐ解決できるのが善、優秀ではないと認識することが大事。

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    2026年02月27日
  • 閉鎖病棟

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    それぞれの登場人物の生き様が躍動感をもって、文章から浮かび上がってきた。「閉鎖病棟にいる人」「精神障害者」などという一言ではくくれない、生きた人間の顔がそこにはあった。

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    2026年02月21日
  • 花散る里の病棟(新潮文庫)

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    虫下しで名をはせるも、早世した初代
    苦労して医者になり、軍医として死線をくぐり
    生涯心に苦悩を抱えた2代目
    町医者として地域に貢献し続けた3代目
    そして先端医療に関わり、コロナに巻き込まれた4代目

    九州の4代続く医者の家系が
    患者と医療、命に真摯に向き合う。

    時代がコロコロ入れ替わるので、「これは何代目の話だ?」と一瞬迷うことも。

    ところどころに挟まれる俳句が滲みる

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    2026年02月18日
  • エンブリオ 下

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    ネタバレ

    生命倫理を考えさせられる作品でした。
    胎児を意図的に堕胎させ、その臓器を使って不妊治療や難病治療を行う行為は、感覚的にも倫理的にも許される行為ではないものの、一本でそれが本当に困難な病気を治療するのに役立つのだとすれば全く否定もできないのではないか。
    岸川には自分の技術や限界を押し広げようという研究者としての野心を持ちながらも、利益目的ではなく、困っている患者を本当に助けたいと考えている点も、彼の行為を正当化しないまでも間違っているとはいえないのではないかという気にさせます。

    作品としては面白かったのですが、登場人物のセリフ回しがなんとなく古臭く感じられる点と、岸川の性行為のシーンが少しくど

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    2026年02月14日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    医療従事者です。現場では正しい答えを導き出すこと=ポジティブ・ケイパビリティが求められているシーンが大半ですし、それが得意な人が評価されやすいという側面があります。また仕事でそういった能力が必要であるため、私生活でもだんだんと不確実性に耐えられなくなり、余裕がなくなっていたと反省しました。
    自分のネガティブ・ケイパビリティを高めるにはどうしたらよいのか、についてはあまり触れられていなかったように思いますが、自分にとってはとても大切な価値観を知ることができた一冊でした。

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    2026年02月11日
  • 閉鎖病棟

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    お勧めされてこちらの本を。
    閉鎖病棟の中で事件が起こってそれを解決するようなミステリー小説だと思って読みはじめたが、全く異なるストーリーだった。
    まず閉鎖病棟の中だけでずっと物語が進むのではなく、かなり頻繁に外に出かけることがある。それに驚いたと同時に、重い精神的な病を持つ人は治りづらく、病院の中にずっといるものだ、という自分の中の固定概念というか偏見というかに気が付かされた。
    浅くもなく深くもなく、会社の同僚とも家族とも違う関係で、でも互いに想い合う日々の暮らしの話。
    病気の症状を思わせる描写がいろいろ出てくるのだけど、主人公視点が統合失調症の患者なので、こちらも医者の言葉の方が間違っている

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    2026年02月05日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    【353冊目】答えの出ない事態に耐える力のことを言うようです。

     本書の中では色んな事例を出して説明してくださるのですが、私なりの解釈は、

    "拙速に「答え」に見えるものに飛びついて引き換えに安心を得るのではなく、「こういうこともある」と鷹揚にかまえてことの成り行きを受け入れるチカラ"

    なのかなぁ?と思いました。

     ただし、正直な感想は「なんだかよく分からん」でした笑。というのも、イヌの散歩やら、海外の作家やら、源氏物語の話やら、果てはドイツのメルケル元首相やトランプ大統領の話まで、話題が多岐に及んでしまっているのです。それぞれに絡めてネガティヴ・ケイパビリティが論じ

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    2026年02月05日
  • アフリカの蹄

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    30年以上前に書かれた作品。
    アフリカの大学病院に留学して心臓移植手術を学んでいる日本人の作田信。
    彼は黒人差別が横行していることに反発を抱き、大学病院へ行かない日はスラム地域での診療を始めた。
    しかし、それに目をつけられ厳重注意を受けるが、それには従わず、スラムへ通い続ける。
    そんな中、絶滅した筈の天然痘の症状が黒人地区の子どもたちばかりに見られるようになる。
    それは人為的なものと見られる、作田は益々、黒人たちの側につくことになる。
    しかし、この国での黒人に対する扱いは留まるところを知らずに、それに加担する作田も危険にさらされる。
    何人もの犠牲を出しながら、戦う黒人たちの姿に、時代の残酷さを

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    2026年01月24日
  • 白い夏の墓標

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    仙台ウイルスという新種を用いて、微生物兵器の研究が極秘裏に行われていた。
    本作は昭和58年発行だが、内容はコロナ禍を彷彿とさせ、今読んでも非常にリアルに感じられる。
    人が嫌いで誰とも打ち解けない黒田だが、実は人一倍繊細で優しい人物なのだと思う。
    ラストはどんでん返しと言ってもいい展開で、最後まで面白く読めた。

    フランスの地名が多く登場し、しかも説明なしにさらっと書かれているため、情景がイメージしにくい点は少し残念だった。

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    2026年01月16日
  • ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力

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    答えのでない事態に耐える力。
    ネガティヴ・ケイパビリティ。
    何か起きた時に、曖昧な状態でい続けることはたぶんに辛いことだと思うから、はやく解決しようとするし、解決しないなら考えるのをやめてしまうかもしれない。
    この概念を知ったとて、実践できるかどうかは別だが、知ってると知らないではきっと、違うだろうなと思う。

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    2026年01月10日
  • 白い夏の墓標

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    夏フェア本2024。小難しそうで敬遠していた。理系サスペンスで、倫理を問う物語。細菌学者の死の謎。陸軍微生物研究所。不穏な場所だ。何を研究しているのか。想像通り、いや、想像以上に物騒な研究だ。良心の呵責、科学者としての理想や理念はどこにある。世紀の発見は、科学者としていつかは夢見るかもしれない。だが、正しくない使い道へと歩み出したら。あくまでも物語で作り話だ。それなのに、いつか現実に起こりうるのではないかと思わされるのが何よりも怖い。

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    2025年12月28日
  • カシスの舞い

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    10年振り再読。
    題材はとても面白いが、展開がやや回りくどく、前半は正直退屈に感じた。一方で終盤は一気に畳みかけるように進み、読み終えたあとはスッキリとした爽快感がある。
    生体実験というテーマは、倫理的な問題が強く問われる一方で、今後の医療発展に大きく関わる可能性を持っている内容でもある。
    しかし、その裏で犠牲になる被験者一人ひとりの人生や幸せを無視するような考え方は、決して許されるものではないと感じた。
    『閉鎖病棟』では患者の目線から苦悩が描かれていたが、本書では医療者や研究者の立場からの思考が前面に出ており、読後に重さの残る作品だった。

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    2025年12月21日