帚木蓬生のレビュー一覧

  • 逃亡(下)

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    とにかく食べ物に関する描写が多いと感じた。
    追われ続ける恐怖と、潜伏し続ける孤独と飢えの中では、とにもかくも、人間は欲求が食欲に集中するのだろう。

    ボロボロになりながら逃げ続け、上の息子の出産は、赤紙により出征して立ち会えず、終戦後、ボロボロになり終われ終われて帰国したのに、今度は同じ日本人である警察に、戦犯と言われ追われ下の子の出産にも立ち会えない。
    国が放つ号令に従い懸命に働いたのに、家族を引き裂かれ、こんなにも苦しまなければならなかったのか。

    戦争という究極的状況下では、価値観というのは、現代に生きる自分からするとあまりにも強烈すぎて受け入れがたい。
    そんな時代に翻弄され、人が消えて行くのは切なく、無性に腹がたって仕方がない。

    自分がこの時代に生きてたらと何度も想像を巡らせながら読み進めたが、相当タフな精神を持たないと生き延びれないなと、諦めの境地に陥って頭が真っ白になる。

    帚木作品2作品連続で読み、充実したものの精神がすっかり疲労してしまった。
    次はもちっと軽いものを読もう。

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    2011年10月10日
  • 逃亡(上)

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    戦時中に幼少から教え込まれた価値観と、自分の仕事として責任感を強く感じ働いたがために、敗戦と同時に敵国の者たちに追われ、帰国すればGHQの配下となった同じ日本人の警察に追われ、飢えながら逃げ続ける姿に胸を突かれた。
    どうか無事に逃げきってほしい。。。
    下巻に続く。

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    2011年10月10日
  • エンブリオ 上

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    岸川という天才産婦人科医が男性の妊娠を試みる。ちょっと非現実的ではないかと思うけど、まぁそれはよいとして、内容がグロいところがあった。人工授精、体外受精が法的に認められる現代の延長をみてるようで、興味深いものもある。

    下巻に期待。

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    2011年09月11日
  • 受精

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    作家が医師というのはよくあるようで、お医者さんって物書きになりたかった人が多いのかしら。
    遺伝子医学がまだそれほど進んでいない時に書かれた作品にも拘らず、なかなか真実に沿った仕上げになっている。恋人を事故で亡くした女性に恋人の子供を生ませてあげようと誘って集める。最愛の人を亡くして悲しみに理性が曇っていても、夢心地で会った彼が実在する肉体として妊娠を可能にするかどうか、薬を飲まされたわけではないのに考えないところ。そして夢見心地ではない医師のほうは、支給された冷凍精子がその恋人のものと疑わない。今時ごく一般の男性が特に主義も理由も宗教もないのに、精子を保存するとお思いか?この2点がどうも説得力に欠けるところ。皆の目を覚まさせるきっかけとなる女性(同じ理由で来院し、妊娠中)の死、胎児が奇形だったので、遺伝性の病気を研究するために女性を集めているのかと思いきや、実はネオナチの話だった。現実でもユーゲントのメンバーだった今は老人となった子供たちはノーチェックなのだろうか。恋人を事故を装って殺すところまで計画するのはちょっと不思議だった。彼女たちにヒトラー2世の母としてどのようなクォリティがあったのだろうか。

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    2011年09月11日
  • アフリカの蹄

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    何度か読んだことのある作家さんです。古本屋で購入しました。

    自分は天然痘のワクチンを受けたことがないので生物兵器として実際使用されたら怖いだろうなあ…なんて思いながら読みました。そういえば日本人はバナナなんて呼ばれてたなあ~なんてことも思い出しながら読みました。(外は黄色いけれども中は白い、と言う意味らしいです)実際こういう立場になったとき、弱者側につける人間がどれだけ居るだろうか。

    お話としてはル・カレのナイロビの蜂のほうが圧倒的なスケールで迫ってくるのでそちらのほうが自分は好きかな。

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    2011年08月18日
  • 国銅(下)

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    国人は、大仏造営の傍ら詩を詠み、薬草を採り過ごし、遂に故郷へ帰ることを許されたが・・・
    意外とあっさりだったかな。それでも、これだけの人々の労苦の上に成り立っていると思うと、大仏を見る目も変わってくるかもと思った。

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    2011年07月23日
  • 国銅(上)

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    苛酷な労働に耐え、都に献上する銅を作る国人が、大仏造営の命を受け、奈良へ旅立つまで。
    素直で、ひたむきな主人公と仲間と師匠と、ちょっと気になる娘も・・・と、ベタな展開ではあるんだけれど、素直にいいなぁと思えるお話。
    下巻でも頑張ってね、と思わず応援したくなる。

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    2011年07月21日
  • 空山

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    大作です。巨大なごみ処理センターをめぐり、ごみの出し方、ごみの行方、自然への影響など考えなくてはいられなくなります。本当に身近で深刻な問題です。

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    2011年06月30日
  • 聖灰の暗号(下)

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    上巻から徐々に謎に迫り、そしていよいよすべての手稿が発見される。ここに出てくることっぽいことは、おそらく本当にあったのだろう。たくさんの人々がキリスト教の王道から違う(解釈が違う)というだけで、残虐に葬り去られてきた。普段は考えないが、信仰とはなんだろうかと考える。どう考えても、自分はこの小説に出てきた異端の考えの方が共感できる。そうなると、火あぶりかー、いやでも王道派のふりをするかな、しにたくないし。そう考えるとやっぱり、信仰を貫いて火刑に処される気持ちもわからず、どっちもやだなーと、思ってしまう自分は日本人っぽいといえばそうかと。物語的にはまーまー、ちょっと中だるみはあった。

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    2011年06月14日
  • 聖灰の暗号(上)

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    歴史学者が歴史の闇に葬られていた暗部に触れる、と同時にそれを防ごうとする組織が立ちふさがると、まあこんな類のお話でした。キリスト教カトリックの異端審問期に存在したカタリ派がメインになっており、その分野にまったく無知なので、単純に興味深かった。おそらく、カタリ派や中世のこの時期を研究した堅い書物はたくさんあれど、なかなか物語として読ませてくれるようなものは少ないだろう。小説の面白さと素晴らしいところは、物語にそった知識と興味をこんなド素人にでも湧きあがらせてくれることかもしれない。

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    2011年06月14日
  • 空山

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    ごみ処理場建設に絡む環境問題、政治問題を取り上げる。行政側の曖昧ななし崩しにしようとする対応に、今日の福島原発事故を彷彿させられる。11.5.22

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    2011年05月22日
  • ヒトラーの防具(下)

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    ネタバレ

    地震のせいか涙もろくなりながら読んだ。
    でも、最後がちょっと・・・予想通りというか史実があるからそういう程度までしかできなかったというか・・・。

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    2011年03月20日
  • ヒトラーの防具(上)

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    ネタバレ

    相変わらずの帚木ペース。現在から過去へと飛んだ話は、淡々と進んでいきます。
    第2次世界大戦直前のドイツが舞台。
    恋人が出てきたところは相変わらず…?

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    2011年03月02日
  • 逃亡(下)

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    内容は良かったと思います。
    でも何度も同じ説明が繰り返されている感じが気になります。
    ところどころ読み飛ばしても問題なしで…。
    上下に分けなくても一冊に収まったのでは?!

    引き込まれ感の少ない本でした。
    評価★が良かっただけに残念。

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    2011年01月13日
  • 安楽病棟

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    戦争の話とか、医療の話とか、途中読んでてしんどくなってきたけど(内容理解できない的な意味で)読んでよかったと思う。
    ミステリーな部分は本当にほんのちょっとで(最終章までミステリーだということを忘れていました)ドキュメントみたいに感じました。
    安楽死の問題はいくら話し合っても答えの出ない重い問題だと思います。
    この本ではミステリーなので殺人という形でしたが、実際自分の祖父母が、父母が、兄弟が、自分が、ああいう立場になったときにどういう決断をするのか、とても考えさせられました。

    とりあえず自分には介護の仕事は死んでも勤まらないなと思いました。
    世のヘルパーさんたちはすごい。

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    2011年04月06日
  • 空夜

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    ネタバレ

    帚木氏の小説は、社会に孕む問題をついた、、、というイメージがあったのだが本作は誠に艶っぽい。びっくりした。

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    2010年11月11日
  • 受精

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    ドイツ人&南米で、アイラ・レヴィンの「ブラジルからきた少年」と同じネタかいなと思ったらその通りだったので残念。
    ただ、視点がちょっと違ったのが幸いか。
    このへんの心理的なものはさすが、帚木氏というとこか。

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    2010年11月09日
  • アフリカの瞳

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    HIVをめぐるアフリカの問題・・・全然知らなかったなぁ。薬のことが1番びっくりしました。。後半になって、一気に話が進んであっという間にラスト。ラストの劇の場面が好きでした。

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    2010年10月31日
  • エンブリオ 下

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    借本。
    上巻程サクサク読めず、躓きっぱなしでした。
    読んでて気分が悪くなるような感じ。
    個人的に、内容だけに考えすぎたのかもしれない。

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    2012年12月29日
  • 聖灰の暗号(下)

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    話ができすぎていて、スリルに欠ける部分がある。

    ただ、カタリ派というあまり馴染みのないキリスト教の一派に対する中世キリスト教の異端審問を題材にして、権威、権力と個人の信仰、内面という問題をうまく扱っていて、なかなか勉強させられる。
    あまり馴染みのないテーマをわかりやすく、興味をひきだすように描きだす技術はすごい。

    カタリ派が日本人の宗教観に近いのか、カタリ派を日本人の宗教観に合わせて解釈しているのかよくわからないが、カタリ派の独特な考え方がなかなか興味深い。

    前回読んだ、『深い河』の大津の考え方を思い出したりもした。

    ただ、カタリ派に対する評価と、ローマ教会に対する批判的態度がいずれも一面的な気がしないでもない。

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    2010年08月25日