帚木蓬生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前読んで面白かった、「閉鎖病棟」と同じ作者の作品です。「閉鎖病棟」のときも書いたのですが、この作者の作品は、なんでもないような日常生活を積み重ねることで、物語に厚みを作っていく感じですね。今回の作品は舞台設定が、修正直後の中国・日本で、B級戦犯となってしまった主人公の逃亡を描いています。ストーリー的には主人公が戦犯として逃亡している場面と、そのときに思い出す戦争中の憲兵としての戦場での活躍で描かれているのですが、どちらも淡々とドキュメント的に描かれているだけで、そこに謎があるわけでも特別なつながりがあるわけでもないです。「閉鎖病棟」の時には舞台設定が割合身近だったこともあり、その構成が物語に
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Posted by ブクログ
アフリカを舞台に留学生の日本人医師が黒人差別の激しい国の中で立ち上がる。絶滅したはずの天然痘ウィルスによって黒人たちを絶滅しようとする白人組織。ワクチンは手に入るのか。帚木蓬生はこれで何冊目かになるが、病院内部の陰謀をテーマにしたミステリーものから「逃亡」のように戦争をテーマにしたもの、「千日紅の恋人」のようなほのぼの恋愛小説と割りといろんなジャンルを書いているのだなと思っていたが、やはりこういった医療関係のサスペンスものが一番という気がする。舞台は多分あの国だろうけど、武力行使で戦って兵器の充実した白人たちに殺されるなら職場放棄のデモで職を失い餓死したほうがいいという考え方、そしてそれによっ
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Posted by ブクログ
ストーリーはなかなか面白いのですが、冗長すぎます。1/3くらいは削りたいかな。あるいは、その代わりに農村再生の動きをもっと書き込むか。そうすれば、全体に締まった感じになったろうと残念です。
しかし、エイズに実情、政府援助がもたらす問題、アフリカの貧困の実情などを描き、社会に対する警句としてはなかなか良く出来た作品と言えるかもしれません。
気になったのは、欧米の製薬会社はアフリカに無料でエイズ治療薬を配布すべきだという説が随所に出てくることです。会社勤めの人間としては、会社と言うのは営利団体であり、そこまで要求するのは酷な気がします。この薬で欧米では十分に利益を出しているのだからという根拠ですが