帚木蓬生のレビュー一覧

  • 香子(一) 紫式部物語

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    作者の、源氏物語への深い思い入れがよく分かる。式部=香子とした伝記物語かなと思いきや、思い入れの深さなのか、何事も源氏物語に結びつけ、半ばからは源氏物語の作者なりの解釈と香子の現状が交互に書かれていく。
    二巻、三巻と、源氏物語の厚みが増すにつれ、香子の物語が潰れていくように感じるので、作者が一体何を書きたかったのかがちょっと不明。源氏物語を原作あるいは谷崎か与謝野あたりの訳でしっかり読んでいないと、作者の解釈に引きずられそう。源氏にある催馬楽や白氏文集ぶんを減らせば随分とスリム化できるのではないかと思う。

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    2025年02月04日
  • 閉鎖病棟

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    現役精神科医である帚木達生さんが、精神科の旧閉鎖病棟を舞台に、患者の視点から病院の内部を描いた作品。淡々としながら優しさが溢れていて、患者への愛を感じた。

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    2025年02月04日
  • 源氏物語のこころ

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    筆名に源氏物語の2つの帖の題名をつけるほど源氏物語に傾倒している筆者の、長年の研究の成果を注ぎ込んだガイドブック。

    全帖の要約に加え、筆者が特に注目する「こころ」の多種にわたる用例の解説により多層的に物語の本質に迫ろうとする試み。

    未読者も「源氏」の全貌や要所がつかめ、愛読者にも新たな視点、手掛りを与えてくれるだろう。

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    2025年01月04日
  • 香子(三) 紫式部物語

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    ぼんやりとしていた物語が、登場人物が、執筆の過程で明確になっていく様がおもしろい。

    物語こそが人間の機微を詳しく書いているのかもしれません。
    物語は、ある人の身の上を、ありのままに言葉にしているのではなく、良い事も悪い事も、この世に生きる人の有様を、見聞きするだけでは足りない点を、後の世に伝えたいと願ってる、いろいろな事を心にしまっておく事ができずに言葉に残そうとしたのです。

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    2024年12月30日
  • 花散る里の病棟(新潮文庫)

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    最後の章のパンデミックは、フィクションのようだ。コロナ感染拡大の危機感が蘇った。これはこれでリアリティ画って良いのですが、もう少し恋愛的な要素が入っていても良いと思った。

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    2024年12月18日
  • 襲来 上

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    上巻は見助が日蓮の耳目となって対馬に渡るところで終わるが、ひらがなで拙い手紙しか書くことのできない見助が、どこまで助けになるのだろうか。せっかく、当時の知識階級である僧たちと寝食をともにしていた見助なのだから、もっと読み書きを学ばせて欲しかった。日蓮そのものも、元は漁村の生まれなのだし、無理ではないのでは?
    また、他の方たちも書いていることだが、他の仏教の宗派に対する攻撃が凄まじい。今も存在する宗派も多いのに、支障はないのだろうか?
    下巻に続く。

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    2024年11月02日
  • 閉鎖病棟

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    山本周五郎生受賞作品。感涙の名作ということで、手に取りましたが、残念ながら、自分の琴線には触れませんでした。

    精神病棟でおこる殺人事件に関するミステリーかと思っていたのですが、そもそも想定が違っていました(笑)

    冒頭で3つの話が語られます。

    産婦人科で堕胎する少女由紀の物語。
    傷痍軍人の父親をもつ秀丸の物語。
    甥の子供の水難事故の責任を追及される聾唖の昭八の物語。

    なんの関連性もなく、なんなのこれ?っと思わせる展開でしたが、チュウさんを中心に描かれる閉鎖病棟での物語に絡んでいきます。

    悲しい過去、重い過去をもつ患者たち。
    そして、その患者、看護婦、先生の日常が語られていきます。
    本書

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    2024年10月19日
  • 閉鎖病棟

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    最近よく読んでいる帚木蓬生さん、歴史もの以外は初。
    精神科病棟の暮らしが実直に書かれていた。
    事件が起こってから変化が訪れる展開で、読後感よし。

    こんなにうまくいくというか、きれいな話だけではないだろうとは思うものの、著者は精神科医なので実際に近いのだろうとも思う。
    もう20年も前、友人が精神科に入院してお見舞いに行ったことがあったが、それまでの勝手なイメージと違って、友人は以前と変わらなく見えたし、他の方々も淡々としておられた。
    そういうことを思い出した本だった。

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    2024年10月16日
  • 白い夏の墓標

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    聞き慣れない、見慣れない単語、文字、文章で読むのに苦労した。けれど 時代背景も内容もスケールの大きい話で面白かった。

    ウィルス兵器、闇深く実際にあることなんだろうとは思うけど 間違った方法で使用されないことを祈るしかない。怖い。

    少し自分の知力が高まった感覚を味わえる。笑

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    2024年09月20日
  • 白い夏の墓標

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    ネタバレ

    佐伯
    北東大学ウィルス学教室。

    ラザール・ベルナール
    アメリカ陸軍微生物研究所。

    黒田武彦
    二十四、五年前、ベルナールの部下。スペインとフランスの国境だ雪の日の自動車事故で亡くなる。

    ジゼル・ヴィヴ
    二十年来、武彦の墓の世話をしている。

    リチャード
    佐伯の旧友。十年前佐伯がロンドン医科大学にいた時の同僚。

    仙台に駐留していた米軍北部兵站司令部の疫学部長。

    市郎
    黒田の兄。精神病院に入院している。

    クレール
    黒田の娘。

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    2024年09月10日
  • 蠅の帝国―軍医たちの黙示録―

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    *星4つ相当です
    厚労省と日本医師会と新潮社が企画した日本医療小説大賞 第一回受賞作との事。
    戦中戦後の軍医または軍医の卵がどのように生活したかよく分かる15編の短編からなる。
    爺さんが陸軍軍医だったという人は読むと良いと思います。うちの爺さんもそうでした。
    作家さんは精神科医で「ははきぎ」と読むそうで、これまで名前は見かけるも手に取ったのは初めて。圧倒的な取材力でこの高解像度はありがたい。

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    2024年08月24日
  • 白い夏の墓標

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    1979年第81回直木賞候補作
    文庫化は1983年
    コロナ禍で、ウィルス研究小説として再注目されたようです

    「ウィルス」研究の成果を評価され、アメリカの研究施設へと乞われた一人の若き細菌学者
    程なく、同じ細菌研究者の友人は、突然の彼の事故死の連絡を受けた

    数十年後パリで死んだ男の元上司の訪問を受け、彼の墓がフランスの田舎にある事を知る
    墓を訪れた友人は、死んだ男の元恋人と会い、彼の死の真相を知る事になる

    ウィルス研究に没頭していた男の生い立ち、アメリカへ渡ってからの研究者としての葛藤が、徐々に明らかになっていく
    研究が兵器として使われる事を拒んだ男の過酷な人生を友人がたどる
    細菌研究につ

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    2024年08月13日
  • 香子(五) 紫式部物語

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    紫式部と源氏物語の2本立てなのでとにかく長かった。二つの物語が重なり合うような展開が面白さと紛らわしさを生んだようだ。
    やっと終わったと思ったら、源氏絵という章があり、総復習のようで感慨深かった。

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    2024年08月12日
  • 国銅(上)

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    2010年、平城京遷都1300年の記念すべき年に読んだ。
    大仏建立の詔が聖武天皇によってなされたのは743年のことだ。
    通常、大仏建立記は為政者の立場から、つまり聖武天皇•光明皇后•藤原仲麻呂•僧玄昉•行基の視点から語られる。
    だが、本書は巨大大仏を実際に建立した一人の人夫の視点から描かれる。
    市井の市民の視点を通すことで、時代背景がよりリアルに切実に感じられ、登場人物が生き生きと描かれることになるのだ。

    主人公国人(くにと)に課せられた銅作りの苦役は悲惨極まりないが、その状況を易々と乗り越える主人公の心映えは純粋で美しい。
    大仏建立に徴用され、長門国から奈良に向かうに当たっては、役人の庇護

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    2024年07月15日
  • 香子(四) 紫式部物語

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    物語は、紫の上、光源氏組が退場し薫の君、匂宮へと舞台は移る。リアル時代も一条帝が亡くなり道長が東宮の祖父として力を増す。

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    2024年07月14日
  • 香子(三) 紫式部物語

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    ネタバレ

    源氏物語と紫式部日記との出来事内容が二重写しのようで、物語製作秘話の様なところが面白い。時々今上帝や院の名前がごっちゃになったりした。
    ところで、明石の女御が12歳で出産したとは(物語とはいえ)かなりひどい話だと、この度あらためて腹が立った。
    紫式部出仕から藤原彰子出産、夕霧の恋模様に玉鬘の恋愛事情なども面白い。

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    2024年06月18日
  • 老活の愉しみ 心と身体を100歳まで活躍させる

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    世は終活ブームながら、老活こそ生命線。
    60歳で白血病を経験した73歳の現役医師による
    だれ一人置き去りにしない「食事」「習慣」「考え方」。
    高齢者のおちいりがちな病気不安症、睡眠行動の点検、本当に正しい脳の鍛え方、筋肉や歯、脳の活動のための食。むずかしいことは何もない。さあ、今の今から。
    ●これらすべては、後期高齢者になりかけている私自身が現在実行している工夫であり、これからもこうしていきたいという、人生の方針でもある。〈目次〉から
    はじめに――老活とは
    【第一章】 超高齢社会と医療費
    救急車の出動件数、刑務所の高齢化/健康寿命を延ばす
    【第二章】 精神的不調は身を忙しくして治す
    失うものが

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    2024年06月16日
  • 白い夏の墓標

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    ネタバレ

    20年前アメリカ留学中に事故死した黒田の
    死が自殺だと告げられた佐伯が墓石のあるピレネーへ向かい過去を振り返る話。
    アメリカ留学の真実に黒田の過去、徐々に明かされながら緩やかに進むこの世界から逃れたくない。黒田が佐伯に抱いてた感情も良くて、それが死後に伝わる虚しさ。黒田が足掻いた生き様を忘れたくない。なんやろ、読み進めるにつれてゆっくりと心臓を鷲掴みにされてる感がある。
    そして最後の光が柄にもなくホッとした。いやそんな期待してなかったからこそそうか、そうやったんや、って胸に落ちた。良かった。

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    2024年06月01日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    ネタバレ

     著者作品は3作目。
     そのペンネームから源氏物語とはなにかしら所縁があろうことは想像できたが、ついに手を付けたかという感じだ。

     折しも今年は大河ドラマでも紫式部の物語が放映されている。満を持してということだろう。

     400頁を超える文量だが、まだ第1巻。今後も、続巻が予定されている(すでに3巻までは出てる?!)。毎月の上梓とは恐れ入る。

     この第1巻は、紫式部こと香子が8歳のときから物語は始まり、藤原宣孝と結婚する20代半ばのころまでが描かれる。
     そして、「源氏物語」はすでに書き始めている。

     もとより、謎多き女性であり、生没年も不詳。世界最古の小説である「源氏物語」も、いつ書き

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    2024年03月08日
  • 閉鎖病棟

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    精神病棟に入院している人々の生活
    外の世界と同じようにそこには社会がある
    退院したいと、外に出たいと思う

    自分は本当に病気なのか
    と聞かれ、答えに躓く

    確かに
    自分が普通なのか
    至って健全かどうか
    なんてはっきりと言えないもんなあ

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    2024年02月14日