帚木蓬生のレビュー一覧

  • 白い夏の墓標

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    1979年第81回直木賞候補作
    文庫化は1983年
    コロナ禍で、ウィルス研究小説として再注目されたようです

    「ウィルス」研究の成果を評価され、アメリカの研究施設へと乞われた一人の若き細菌学者
    程なく、同じ細菌研究者の友人は、突然の彼の事故死の連絡を受けた

    数十年後パリで死んだ男の元上司の訪問を受け、彼の墓がフランスの田舎にある事を知る
    墓を訪れた友人は、死んだ男の元恋人と会い、彼の死の真相を知る事になる

    ウィルス研究に没頭していた男の生い立ち、アメリカへ渡ってからの研究者としての葛藤が、徐々に明らかになっていく
    研究が兵器として使われる事を拒んだ男の過酷な人生を友人がたどる
    細菌研究につ

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    2024年08月13日
  • 香子(五) 紫式部物語

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    紫式部と源氏物語の2本立てなのでとにかく長かった。二つの物語が重なり合うような展開が面白さと紛らわしさを生んだようだ。
    やっと終わったと思ったら、源氏絵という章があり、総復習のようで感慨深かった。

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    2024年08月12日
  • 国銅(上)

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    2010年、平城京遷都1300年の記念すべき年に読んだ。
    大仏建立の詔が聖武天皇によってなされたのは743年のことだ。
    通常、大仏建立記は為政者の立場から、つまり聖武天皇•光明皇后•藤原仲麻呂•僧玄昉•行基の視点から語られる。
    だが、本書は巨大大仏を実際に建立した一人の人夫の視点から描かれる。
    市井の市民の視点を通すことで、時代背景がよりリアルに切実に感じられ、登場人物が生き生きと描かれることになるのだ。

    主人公国人(くにと)に課せられた銅作りの苦役は悲惨極まりないが、その状況を易々と乗り越える主人公の心映えは純粋で美しい。
    大仏建立に徴用され、長門国から奈良に向かうに当たっては、役人の庇護

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    2024年07月15日
  • 香子(四) 紫式部物語

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    物語は、紫の上、光源氏組が退場し薫の君、匂宮へと舞台は移る。リアル時代も一条帝が亡くなり道長が東宮の祖父として力を増す。

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    2024年07月14日
  • 香子(三) 紫式部物語

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    ネタバレ

    源氏物語と紫式部日記との出来事内容が二重写しのようで、物語製作秘話の様なところが面白い。時々今上帝や院の名前がごっちゃになったりした。
    ところで、明石の女御が12歳で出産したとは(物語とはいえ)かなりひどい話だと、この度あらためて腹が立った。
    紫式部出仕から藤原彰子出産、夕霧の恋模様に玉鬘の恋愛事情なども面白い。

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    2024年06月18日
  • 白い夏の墓標

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    ネタバレ

    20年前アメリカ留学中に事故死した黒田の
    死が自殺だと告げられた佐伯が墓石のあるピレネーへ向かい過去を振り返る話。
    アメリカ留学の真実に黒田の過去、徐々に明かされながら緩やかに進むこの世界から逃れたくない。黒田が佐伯に抱いてた感情も良くて、それが死後に伝わる虚しさ。黒田が足掻いた生き様を忘れたくない。なんやろ、読み進めるにつれてゆっくりと心臓を鷲掴みにされてる感がある。
    そして最後の光が柄にもなくホッとした。いやそんな期待してなかったからこそそうか、そうやったんや、って胸に落ちた。良かった。

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    2024年06月01日
  • 香子(一) 紫式部物語

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    ネタバレ

     著者作品は3作目。
     そのペンネームから源氏物語とはなにかしら所縁があろうことは想像できたが、ついに手を付けたかという感じだ。

     折しも今年は大河ドラマでも紫式部の物語が放映されている。満を持してということだろう。

     400頁を超える文量だが、まだ第1巻。今後も、続巻が予定されている(すでに3巻までは出てる?!)。毎月の上梓とは恐れ入る。

     この第1巻は、紫式部こと香子が8歳のときから物語は始まり、藤原宣孝と結婚する20代半ばのころまでが描かれる。
     そして、「源氏物語」はすでに書き始めている。

     もとより、謎多き女性であり、生没年も不詳。世界最古の小説である「源氏物語」も、いつ書き

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    2024年03月08日
  • 閉鎖病棟

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    精神病棟に入院している人々の生活
    外の世界と同じようにそこには社会がある
    退院したいと、外に出たいと思う

    自分は本当に病気なのか
    と聞かれ、答えに躓く

    確かに
    自分が普通なのか
    至って健全かどうか
    なんてはっきりと言えないもんなあ

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    2024年02月14日
  • 白い夏の墓標

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    この作品が45年も前に書かれたとは思えないほど、決して古びない科学の進歩と科学者の向き合い方の問題が描かれる。
    貧しさと人間不信故にウイルス研究に憑かれた男の哀しい人生。死んだことにされ生涯を無名の科学者として国に奉仕することを強いられた男の行く末。
    手記の形で描かれる黒田の生い立ちや、唯一の拠り所だった研究が「逆立ちした科学」であることへの疑問と絶望がヒリヒリと胸に迫る。

    巻末の手紙が全ての謎を明らかにして、そこに一筋の希望が残されたことに安堵する。
    科学の進歩も使い方次第。人を生かすも殺すも紙一重の医学の闇。
    核兵器よりもはるかに安価で開発ができ、簡単に大量殺戮が可能な細菌兵器。あの国も

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    2024年02月02日
  • 薔薇窓の闇 上

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    下巻に向けてのプロローグの意味合いが強く、最初は少し退屈だなと思いました。下巻でどんどん物語が進捗・展開しエンディングに入ります。色々な事柄が最後1つに繋がり伏線回収しまくります。我慢して読めばそのうち面白くなります♪

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    2024年01月13日
  • 生きる力 森田正馬の15の提言

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    【星:3.5】
    メンタル的に弱っている時に、とある人に勧められて読んでみた。

    私はこれまで知らなかったのだが、精神症状療法に「森田療法」というのがあり、その森田療法のエッセンスを15個に分けて気軽に説明している。

    正直心に強く刺さるというのはなかったが、辛い状態も日常の中の一部分としてあるがままに受け入れて、考え込むのではなくとにかく行動し。今に全力を注ぐ、といったところであろうか?

    ひとつ面白いと思ったのが「平常心」の捉え方である。普通だったら「なにかあっても動じない心」とか何だろうけど、この本では逆に「何かあったらあたふたしてしまったりする」方が平常心だと説いている。
    そのうえで、あ

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    2024年01月08日
  • エンブリオ 上

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    天才が野心を持つと狂気をはらむのか。
    冷静で、人間関係もそつなく軽やかにこなし
    スマートで知的。

    だけど怖い。怖すぎる。

    どんな道を歩んでいくのか下巻も興味深い。

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    2023年12月23日
  • 白い夏の墓標

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    「この本、本当に凄いぞ」との帯につられて、購入。
    ハードルが上がりすぎていたせいで、期待はずれだった。
    しかし、物語としては大変楽しかったです。

    黒田という寡黙な研究科。
    友達もいないので、過去も謎だが読み進めていくうちに、
    どんどん人間味がでてきた。

    コロナなどもあって、作者が詳しくかいているため、
    人工ウイルスあるかもと思えた。
    ふむふむ。。

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    2023年12月07日
  • 閉鎖病棟

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    読んですぐは時代背景が予想より昔過ぎるのもあり、患者さん達にもなかなか入り込めず…でも読み進めるにつれて過去を知るにつれて、人を知るにつれて、応援したくなる気持ちが膨らむし、このまま穏やかに過ごして欲しいと願ってしまうほど入り込んでしまいました笑
    素敵な人たちばかり。優しい人たちばかり。
    チュウさんの詩も好きでした。
    最後の最後はほんとに泣けました。
    どうか、この物語のみんなが、穏やかな毎日を過ごせますようにと願ってしまうラストでした。

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    2023年12月07日
  • 襲来 上

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    主人公の見助は、その名の通り、日蓮上人の耳目として対馬に赴き、蒙古襲来の際には惨状の目撃者に徹する。故に激しいアクションは一切無し。かの“神風”の後も、生き残った元の船団が逃げ帰るのを山の上から眺めているだけである。また、作中で日蓮上人は浄土宗をボロカスにこき下ろしていたけど、念仏宗をはじめとする他宗派への非難・攻撃がいくら史実とは言え、関係方面からクレームが来なかったのか、ちょっと心配になるくらいの内容だった。

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    2023年09月19日
  • 襲来 下

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    主人公の見助は、その名の通り、日蓮上人の耳目として対馬に赴き、蒙古襲来の際には惨状の目撃者に徹する。故に激しいアクションは一切無し。かの“神風”の後も、生き残った元の船団が逃げ帰るのを山の上から眺めているだけである。また、作中で日蓮上人は浄土宗をボロカスにこき下ろしていたけど、念仏宗をはじめとする他宗派への非難・攻撃がいくら史実とは言え、関係方面からクレームが来なかったのか、ちょっと心配になるくらいの内容だった。

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    2023年09月03日
  • 白い夏の墓標

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    細菌兵器の開発という、「逆立ちした科学」に携わってしまった男達の苦悩の物語、といった所か。語り部的な立ち位置の佐伯教授は、その足跡を追うのみで、大きな事件に巻き込まれる訳ではない所がやや不満。
     本作の舞台となっているモンセギュールはまた、『聖灰の暗号』――多分、初めて自発的に購入した帚木作品だったと思う――の舞台でもある。と思うと、また読みたくなった。

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    2023年09月03日
  • 受難

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    ネタバレ

    iPS細胞と3Dプリンターを使った細胞工学で人体のレプリカを作って、蘇生させるというSF設定は措くとしても、'14年のセウォル号沈没事故を下敷きにしたストーリーは、そっち方面から抗議が来なかったのかしらと、要らぬ心配をする程にそのまんま。ヒロインの春花(はるか)が、自分の父親が多数の乗客を見殺しにした《世月号》のオーナーであり、彼の財力とエゴで自分だけ蘇生したという事実を知った時の苦悩は如何ばかりか。結局、父親を抹殺し、自分も死を選ぶという選択をしてしまったことが、余りに哀しい。

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    2023年09月03日
  • 襲来 上

    購入済み

    日蓮上人伝記と鎌倉時代の旅日記

    題名に反して上巻は、日蓮上人伝記と鎌倉時代の旅日記であった。同じ作家の「国銅」を思わせる出だしであったので期待したが、日蓮上人の活動の記述がどうしても敬意を払わざるを得ないようで、逆に小説としては平板なものになっていると感じた。見助の九州への旅の記述のほうが当時の様子がよくわかって面白い。

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    2023年09月03日
  • 守教(下)(新潮文庫)

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    下巻でようやく面白くなってきて、静かに終わる。星2寄りの3かな。説明書きが多いのは仕方ないのだけど、それをあまりセリフにして欲しくなかったかな...読み終わると後味は悪くなくて、九州行きたくなる笑

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    2022年12月30日