帚木蓬生のレビュー一覧

  • ヒトラーの防具(上)

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    ネタバレ

    文庫本サイズで上下巻計1000頁以上の久々の大作だった。

    巻末の謝辞から、日本からヒトラーに贈られた剣道の防具があったというのは事実のようだ。なんともワクワクさせられる出だしではないか。そこから着想し、主人公の日独混血の青年将校を生み出し、彼の目を通して見た第二次世界大戦中のドイツと日本の様子を描き出す。タイトル『ヒトラーの防具』(『総統の防具』から改題)に含ませた意味が本書の大いなる伏線であり、見事な点。

     著者の作品は初めて。医者である自分の立場から出てくるのであろう弱者への思いが繰り返される。強者の論理に振り回される弱者の立場を執拗に描くことで、「真理は弱者の側に宿る」(東郷大使、の

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    2015年12月09日
  • アフリカの蹄

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    歴史上の事実として知識はあったものの、こうして物語として紡がれるとそこで生きてきたであろう人たちがフィクションではあれ現実感をもってたちあがってくる。
    そしてそのような現実が驚く程最近まで起きていた事実。
    あってはならないことが現実に起きていた事実をしっかりと胸に刻んでおかなければならない。
    そして、目には見えないウィルスで何かを支配できてしまうことの恐ろしさ。

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    2015年11月21日
  • 空の色紙

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    言い回しが古かったり、専門的な記述がすぎる部分はありますが、内容的には自分の知らない時代の異常な状態での心理状態や葛藤などが読めて興味深かったです。

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    2015年11月07日
  • インターセックス

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    男性でも女性でも無い性があると言う観点ではとても感心した話であった。
    しかし、主人公の女医が完璧すぎてこれまた入り込めない。ほほえんだだけで周囲の男性が皆でれっとする・・そんな場面は必要か?

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    2015年08月19日
  • 風花病棟

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     病院の窓から見える山藤、実家の百日紅、庭のチューリップ、造花のカーネーション。
     病院という閉ざされた空間と縦軸の時間を繋いでいく花々のモチーフが、日常のさりげない情景として、ストンと入ってきてくれた。医者としての苦悩も伝わってきた。
     

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    2015年05月27日
  • 移された顔

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    『顔のない顔』『移された顔』の二編。
    表題作は著者初の戯曲である。

    『顔のない顔』アルコール依存症の夫に顔を奪われた「わたし」。
    人々の好奇と恐怖の目を弱った視力の中でぼんやりと捉えながら「わたし」は生きている。
    「モンスター」と幼い子は言った。
    「わたし」はそれを優しく諭す。

    顔の移植などという大掛かりなものが、本当にできるのだろうか。
    顔を失った「わたし」は見知らぬドナーからもらった顔だった。
    だから受け入れられたのかもしれない。
    しかしそれが知人、親友だったら。

    戯曲『移された顔』はそれを描いている。
    事故で植物状態になったリナ。
    ユミは顔をなくしてしまった。
    唯一大けがを負わなか

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    2015年05月10日
  • インターセックス

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    インターセックスという、世間からはひた隠しにされてきたマイノリティな性に焦点を当てた一冊。

    マジョリティであるmale、female に分類される読者にはインターセックスとは何かという周知を図り、
    マイノリティである読者にはインターセックスであるからと恥じる必要はない、性は二分化されるべきではないのだと声をかけている。
    そういう意味で大きな意味を持つのではないかと思う。

    エンブリオの続編、と知らずに読んで、エンブリオでの岸川と加代の話がやたら出てきて驚いた。
    この小説に岸川の黒い部分はそこまで必要でなかったように感じる。

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    2015年04月12日
  • 国銅(下)

    購入済み

    なみだ

    ハッピーエンドではない。悲しい終わり方なんだけど、悲しい涙じゃなくて、感動の涙です。

    一生懸命っていいな

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    2015年03月29日
  • エンブリオ 下

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     国際学会から帰国後、海外からの患者を受けいれることになった岸川。同じころ、研究の情報が外部に漏れている可能性が浮かび上がり岸川は調査を始める。

     上巻で岸川の性格についてナルシストと思いましたが、ナルシスト以上にエゴイストなのかな、と読み終えて思いました。

     患者や医療の未来のため、という自身の正義のためなら倫理を顧みない岸川の異常な性格が下巻では徐々に露わになってきます。

     以前海堂尊さんの小説を読んだときにも感じたことなのですが、主人公に対し「お前は何様のつもりだ」と読んでいて感じてしまうんですよね。どちらも主人公は産婦人科医で患者のためという理念も共通しているのに、なぜ終盤になる

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    2015年03月23日
  • エンブリオ 上

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    医療、倫理について考えさせられました。お話は極端だったり、物語として読めますが、読んだ後いろいろ考えてみることが出来るきっかけ本でした。

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    2015年03月18日
  • 移された顔

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    ネタバレ

    短編と戯曲。
    短編は主人公の強さに感動した。戯曲はやや感情移入し辛かったけど、目先が変わって面白い。
    手術シーンは生々しくてなかなかきつかった〜
    医療技術が発達しても、顔を移植するということには心理的に大きな負担がかかるんだなあ。自分だったら耐えられるかどうか。。
    「人」は「顔」。中身は関係ないというわけではなくて、顔が変わることの力は強すぎる。しかも知らない人ならまだしも親友の顔になるなんて。

    帚木さんもお医者さんだから、後書きも興味深い。現実に顔を移植して強く生きている人がいるってことが衝撃的でした。

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    2015年03月18日
  • エンブリオ 上

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     患者からの信頼の厚く国際的にも評価の高い産婦人科医の岸川。彼は人為的に流産させた胎児の臓器移植や男性の妊娠実験などを成功させ国際学会でも発表するのだが…

     冒頭からいきなり胎児の臓器移植の場面があって、「おいおい、まじかよ」となりましたが(笑)、しかし読んでいくと岸川の色々な実験や手術はグレーゾーンの範囲内ということが分かります。

     自分はてっきりこの手の行為は中絶や不妊治療といったものを除いてほとんど違法だと思っていたのですが、どうやら法律は追いついてなくて、学会の倫理ガイドライン程度の規制しかないみたいです。ガイドラインもあくまで目安程度のもので、破れば罰則があるというわけでもないら

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    2015年03月23日
  • 受精

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    この本が出版された年よりさらに科学は進んでいる。小説の中の話ではなく現実は・・・と考えてしまいます。

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    2015年02月26日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

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    キャンブルもアルコール依存症と同じ依存症であり、それを国家が後押ししている構造の異常さを炙り出す。
    カジノはもちろん、宝くじ等のくじや公営ギャンブルの利権構造にも切り込む。
    自分を含めまわりの現状を今一度冷徹に見てみる必要がある。

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    2015年01月06日
  • ギャンブル依存国家・日本~パチンコからはじまる精神疾患~

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    ギャンブルがヒトに与える影響と、ギャンブル業界を知るために

    ギャンブル依存症についてと、国内パチンコ、スロット、公営ギャンブル、海外との比較をデータと共に述べ、ギャンブル大国としての危機を告げている。
    パチンコスロット台数に関しては、コンビニ並みに多いことには驚いた。地方の公営ギャンブルが赤字でも解体や雇用等問題があり、仕方なく続けている実態。国の機関がギャンブルを元に資金や天下り先にしている。

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    2015年01月15日
  • エンブリオ 下

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    ネタバレ

    1巻目が面白かったので続きを読んだが、なんだかラストにがっかり。結末というか、これで終わり?な感じでなんだか少しモヤモヤしている。

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    2014年11月13日
  • 移された顔

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    ネタバレ

    医療エッセイなのかなと思っていたら創作だった。
    夫の暴力で顔を失った女性の短編、事故で脳死状態の友人から顔をもらった看護師と青年医師とのロマンスあふれる戯曲。顔移植は現実化しているらしいが、臓器移植とは異なる心理的な拒絶があるのかも。

    着想はおもしろいが、やや凡庸なストーリーだった。
    顔を変える、ペルソナ願望って珍しくないのかもね。

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    2014年11月08日
  • 賞の柩

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    あまりにも自分には縁のない世界で……。
    ノーベル賞なんて現実感ないし、研究者のことがよくわからず。
    単純に物語として、面白かった。

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    2014年09月12日
  • 空夜

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    ネタバレ

     ちょっと前に、母が言いました。
     この人の本は、優しい本だね、と。

     その時まだ、一冊しか読んでなかったので、優しいのか、やさしくないのか、まったくもって区別が付かなかったんですが、今回これで、2冊目。
     ちょっとミステリーがかっているのかしら? と思ったら、結婚もして子供もいる奥様方の恋愛話。
     でもなんというか、自然とドロドロもしていなければ、濃くもない感じはしました。読後感はどちからというと、さっぱり……というか、落ち着くところに落ち着いたのかなあ……と思います。

     情念は情念なんだけど、理性的でないわけではない話なので、どろどろにはならなかったかなあ……と。
     後、多分、恋愛して

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    2014年05月22日
  • アフリカの瞳

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    蹄の方が面白かったけど、こちらもやっぱり終盤は感動。
    ただ金銭や物資、人間を送って援助するだけでは問題解決にはならず、場合によってはかえってその国の力を弱めてしまうということは、正直あまり考えたことがなかった。

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    2014年04月26日